公開中
逢魔版 鶴の恩返し
わんわん(わんこ)にわくわくされたので気合いが入ってアヒルの子よりも大分グロくなりました。
昔々ある所に、おじいさんとおばあさんが暮らしていました。
2人はとても仲のいい夫婦でしたが、とても貧しい夫婦でもありました。
なんとかして生活するために、おじいさんは山に罠を仕掛けて野生の動物を狩り、おばあさんは機織りをして、織れた布を町に売りに行っていました。
ある冬の朝、外騒がしかったので出てみると、広い雪原に放置された誰かの罠に、1匹のそれはそれは美しい鶴がかかっていました。
「なんとなんと······可哀想に、今助けてやろう。」
おじいさんが罠を外してあげると、鶴はお礼を言うかの様に声高らかに鳴き、空へと飛び去って行きました。
その事をおばあさんに話しますと、おばあさんはほほえんで言いました。
「それはいい事をしたねぇ。きっと、鶴の恩返しがあるかも知れないよ。」
それから数日後。
その日は酷い吹雪の夜でした。
暖房も備わっていないので、おじいさんとおばあさんは身を寄せ合って夜を過ごしていました。
すると、外からかすかに扉を叩く音が聞こえます。
「おやおや······こんな吹雪の夜に、誰かな?」
おじいさんが扉を開けると、そこには雪の様に真っ白な着物を着た、美しい娘が立っていました。
「旅をしていた所、道に迷ってしまいました······どうか一晩泊めていただけないでしょうか。」
「あぁ、もちろんだ。一晩と言わず何日でも泊まっておくれ。」
おじいさんはその娘を家に入れてやり、囲炉裏の火をおこして暖めてあげました。
娘は大変感謝し、お礼に何か恩返しをしたいと言いました。
おじいさんとおばあさんは大丈夫だと言いましたが、娘は機織りを見て言いました。
「私、機織りが得意なのです。もしよろしければ、私が織った布を町へ持って行って、売ってくれませんか?」
娘は、ただ······と続け、少し黙りました。
そして、続けました。
「私が機織りをしている間、絶対にふすまの扉を開けないでくれませんか?」
話を聞いたおばあさんは、おじいさんと顔を見合わせ、微笑みました。
「大丈夫じゃ。若い子には見られたくないものの1つや2つ、あるでのぉ。」
おじいさんも微笑みました。
「絶対に覗いたりはしないから、安心しておくれ。」
それを聞いた娘の表情はぱっと明るくなりました。
それからというもの、娘は毎晩パタパタと機織りをしました。
娘が織った織物は見た事が無いほど美しく、町へもってゆけば高値で売れました。
そのお金で家を修理したり、新しい家具を買ったりして、おじいさんとおばあさんは次第に裕福になっていきました。
ですがある時、おじいさんは娘の元気が無い事に気がつきました。
どうしたのかと聞きますが、娘は答えません。
おじいさんは「あまり無理をしなくてもいいんだよ」と言ってその場を立ち去りました。
その日の夜です。
おじいさんは、機織りの音で目が覚めました。
ふすまに近づき耳を澄ませると、いつもと変わらずパタパタという音が聞こえます。
絶対に覗くなと言われていましたが、おばあさんは寝ていますし、娘も機織りに集中しています。
今しかないと思い、そっと、少しだけふすまを開けました。
中を見たおじいさんは大変驚きました。
そこに娘の姿は無く、1匹の鶴が器用に機織りをしているのです。
それだけでもおじいさんは驚いたのですが、鶴の近くに何やら袋が置かれている事に気づき、目をこらしました。
それの中身を認識した途端、おじいさんは今度は恐ろしさで震え上がりました。
なんと袋の中には、人のものと思われる骨や髪、内臓などがびっしりと詰まっていたのです。
鶴はその袋の中身を少し取り出しては布地に混ぜ込んでいたのでした。
おじいさんは何も見なかった事にして寝ようとしましたが、次の瞬間、鶴がこちらを振り向きました。
「見ましたね?」
鶴は娘の姿に戻り、おじいさんに近づきます。
おじいさんは寝ているおばあさんを起こそうと揺さぶりましたが、おばあさんはまるで死んだ様に寝ていて起きる気配はありません。
鶴はおじいさんの腕をつかみ、部屋に引き摺り込みました。
おじいさんは倒れたまま、娘を見上げます。
「今回は上手くいくとおもったのですが······非常に残念です。」
娘はどこからか大きな刃物を取り出すと、おじいさんに向かって振り下ろしました。
肉が絶たれ、骨が砕ける音が響き渡ります。
おじいさんは叫び、助けを求めますが誰も来ません。
暫くして、真っ赤に染まった娘はさっきまでおじいさんだったものを見下ろしました。
その後娘は、おじいさんだったものを、内臓や骨などを綺麗に分け、何事も無かったかの様に鶴の姿で機織りを続けました。
次の日、おばあさんは娘の声で目が覚めました。
起きてみると、今までのどれよりも美しい紅い布ができあがっていて、おばあさんはとても喜びました。
「おぉ······!これは今まで見た事が無い。きっと、天国のおじいさんも喜ぶでしょうねぇ。」
そういって、仏壇に向かって手を合わせました。
その姿を見て娘は言いました。
「本当ですね。でも、罠をしかけている最中に熊に頭を割られただなんて······気の毒でなりません。」
暫く2人は沈黙していましたが、それをやぶる様に、娘は言いました。
「そうだ、今日は私がこの布を町に持って行きましょうか?おばあさんは無理なさらずに待っていて下さい。」
それを聞いたおばあさんは喜びました。
「ありがとうねぇ。それじゃあ、私はあなたが帰ってくるまで囲炉裏の火をおこして温めておいていますよ。」
娘は身支度をし、外へ出ました。
数日前までの吹雪は嘘の様で、とても美しい日です。
少し歩いた時、背後で轟音が鳴り響きました。
振り返って見ると、おばあさんが中にいるはずの家が燃え上がっています。
炎は天を焦がすかの様に高く、高くあがりました。
おばあさんの叫びが聞こえた様な気がしましたが、娘はそれを無視して鶴の姿になりました。
そして、声高らかに鳴きながら、晴れた冬の空へと飛び去ってゆきました。
【ログアウト中·········暫くお待ち下さい。】
逢魔へ行きたいのであれば、とある方法で"ログイン"して下さい。
·········ログインの方法は、月魄のみぞ知る······。
知りたい方は是非、名前と共にお申し付け下さい······。
貴方様がその"文書"を解読出来るかどうかは別ですが。