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逢魔版 みにくいアヒルの子
ある所に、アヒルの家族がいました。
お母さんアヒルは、とても優しいアヒルでした。
お母さんアヒルの他に、3兄弟の子供がいました。
長男アヒルはとても元気で食いしん坊。
次男アヒルは大人しいけれど家族想い。
しかし末っ子アヒルは他の子とは違いました。
身体の色はすすけた色で、大きくずんぐりしていました。
「すすけた色をしたお前なんかが、母さんの子供なわけないやい!!」
兄弟達は言いました。
「まあ、なんてみにくいアヒルの子なの!そのみにくさがうつるから、私に近づかないでちょうだい!」
他の鳥たちは言いました。
「お前はなぜ、みにくいの?なぜそのように生まれてしまったの?」
母さんアヒルまでもが、そう言いました。
末っ子アヒルは悲しくなって、ある時家を飛び出しました。
誰も知らない場所で、1人静かに暮らそう。
そう思い、旅をしました。
途中、何人か人に出会いました。
しかし人は皆口を揃えて言うのでした。
「みにくいアヒルの子。気分が落ち込むから消えてくれ」と。
その度に石を投げられ水をかけられ、酷い時は蹴り飛ばされた事もありました。
みにくいアヒルの子は悲しみましたが、自分の居場所を求め、ひたすらに旅を続けました。
雨の日も雪の日も、休まず旅を続けました。
冬が過ぎ、春が訪れた頃、アヒルの子は誰もいない湿原にたどり着きました。
恐ろしい程静かで不気味でしたが、自分を馬鹿にする生き物は誰もいないと、アヒルの子は喜びました。
ここを自分のすみかにしようと降り立つと、アヒルの子は、自分の身体が変化している事に気づきました。
アヒルの子は、もうみにくいアヒルの子ではありませんでした。
アヒルの子は成長して、1匹の美しい雁となっていました。
自分はみにくくはなかった。美しい雁だったんだと思い、喜びで胸がいっぱいになりました。
雁は、自分の美しさを誰かに自慢しようと辺りを見回しました。
しかし先程から、辺りには誰もいませんでした。
鳥たちはいませんでしたが、雁は糸に吊された貝の中身を見つけました。
不思議な食べ物だな、と思いましたが、おなかがすいていた雁はためらう事無く貝の中身に近づきくわえました。
その直後に、バチン!!という鋭い音が鳴り、雁の足に激痛が奔りました。
実はそれは、湿原に来る鳥を捕まえる為にニンゲンが仕掛けた罠でした。
「痛い!!痛い!!誰か!助けて!!!」
雁は叫び暴れましたが、助けが来る気配はありません。
むしろ暴れた事で罠の刃がどんどん足に食い込んでいきます。
その騒ぎに気がついたのか、1人のニンゲンが猟銃を担いでやってきました。
「おぉー立派な雁が捕れたなぁ。これはよさそうだ。」
猟師は担いでいた銃を、雁に向かって放ちました。
バン、という銃声が辺りに響き渡りました。
雁はもろに銃弾を受け、羽を飛び散らせ、血を吹きながらその場に倒れ息絶えました。
その後雁は猟師の家で羽をむしり取られ、解体されて、猟師の家族に料理として振る舞われました。
こうしてみにくいアヒルの子の短い生涯は終えました。
······え?
アヒルの子の家族は、あの後どうなったのかって?
実はあの後野良犬に襲われ、家族全員、食い殺されていました。
巣があった場所にはもう、血で汚れた羽と、肉や皮、筋がこびりついた小さな骨の欠片しか残っていないそうです。
【ログアウト中·········暫くお待ち下さい。】
世界線ー逢魔
何処かに存在する暗黒の土地。
逢魔が創るものは全て、未知なる力を秘めているという。