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3 生贄?もちろん!
「**キ、麒麟ンーーーーッ!?**」
今までの態度から180度回転したような驚愕っぷりを見せるキリンジに、リーダーらしき怪物が声を低くする。
「当然だろうが……!」
鋭い爪が皮膚に食い込むほど拳を強く握る怪物、人間をよほど憎んでいるみたいだ。
「**麒麟様の為なら生贄だって大歓迎ッ!** と、言いたいところだが、さすがのオレもそう単純じゃないぞ……」
さっきまで興奮していたかと思えば、突如スンと落ち着く、一体キリンジの情緒はどうなっているのか。
納得いかなそうな表情のキリンジに、リーダーらしき怪物が耳を寄せた。
「いかにも質問したいですってツラだな。まあいい。儀式が開始するまでなら答えてやってもいい」
「いいのか? じゃあ聞くぞ。まず、人間が麒麟を滅ぼしたってどういうことだ?」
「……お前、人間のくせに何も知らないんだな」
「はるか遠くから来たもんで、すまない」
怪物は憎しみを秘めた口ぶりで語る。
「忘れもしない、9年前、3人の人間が『麒麟の国』に攻め込んで来やがったんだ。エニシダ様はそいつらに殺されて、他の麒麟族の方々も全員殺された__」
「……エニシダ様って?」
「麒麟族の王さ。オレたちみたいなゴブリンにも優しく接してくれた、まるで神様みたいなお方だった」
キリンジは怪物こと、ゴブリンから語られた話に言葉が出なかった。
愛する麒麟を救うために異世界にやってきたキリンジだが、お目当ての麒麟は既にいないらしい。
それも、《《人間に滅ぼされて》》。
「おい、人間、もう質問はないか? 一旦戻らねばならん」
「……ないな」
話が終わり、リーダーゴブリンが自分たちの村へと帰っていく。下っ端ゴブリンたちも、その後をついていった。
そして、森の中に取り残され一人になったキリンジ。だが、別に寂しくはなさそうだ。
そんなことよりも、愛する麒麟が既にいないことが何よりもショックそうに見えた。
「じゃあ、オレは何の為に来たんだ?」
最大の目的だったものがあっさりと崩れ落ちていき、それらは喪失感と成って積み重なる。しかし、このままじゃ異世界に来た意味がないと考えたキリンジの脳裏に、あることがよぎった。
「生贄……なってみるか」