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惚れ薬の偽物の恋③
3話!!! 歪んだ公認
監禁生活が始まってから、三ヶ月の月日が流れた。
裕太の徹底した管理の成果により、小夏の足首から鎖は外されていた。薬の効果が切れる一時間半前の先回り投与が毎日寸分の狂いもなく繰り返された結果、小夏は自ら進んで裕太に甘えるようになっていたからだ。
ある日の午後、いつものように裕太の部屋で、特製のあまみるくを飲みながらソファでくつろいでいるときだった。突然、静寂を破るように部屋のインターホンが激しく鳴り響いた。
「ピンポーン! ピンポーン! 長嶋小夏さん! 警察です、中にいますか!?」
ドアをドンドンと叩く激しい音と、外からの警察の声。小夏の捜索を続けていた警察が、ついにこの場所に辿り着いたのだ。
ソファの横で小夏の髪を撫でていた裕太の顔から、一瞬で血の気が引いた。その瞳に見たこともないような凶暴な焦りが浮かぶ。彼は小夏の手を強く握りしめ、震える声で囁いた。
「……っ、小夏ちゃん。静かにして……。あいつら、僕と小夏ちゃんの幸せを壊しにきたんだ。小夏ちゃんは、僕と離れたくないよね……?」
「動くな! 警察だ!」
次の瞬間、凄まじい音と共にドアが蹴破られ、数人の警察官が部屋になだれ込んできた。
「長嶋小夏さんですね!? 無事ですか!?」
警察官の一人が保護しようと駆け寄る中、裕太は激しい焦りと絶望に顔を歪ませながらも、小夏の手首を強く掴んで離そうとしなかった。
「ダメだ……! 小夏ちゃんを連れて行かないでくれ! 僕たちは愛し合ってるんだ……!」
裕太の瞳から大粒の涙がこぼれ落ちる。その時、小夏の脳内で暴れていたのは、さっき飲み干したばかりのあまみるくの強烈な成分だった。彼女にとって、目の前で泣いている裕太こそが、世界で一番愛すべき存在だった。
「離してください! 私はゆうたと一緒に居たいんです……っ!」
小夏は自分を保護しようとする警察官の手を必死に振り払い、涙を流しながら裕太の体に強くしがみついた。
「長嶋さん、落ち着いてください! あなたを保護しに来たんです!」
「嫌です! ゆうたをいじめないで!」
小夏は裕太のシャツの胸元を絶対に離さないという強い力で握りしめ、彼の胸に顔を埋めた。その姿を見た警察官たちは、激しい衝撃に目を見張った。どこからどう見ても、被害者が加害者を妄信的に愛しているようにしか見えなかったからだ。
「あは……あははは! 聞いたかよ、お前ら! 小夏ちゃんは僕を選んだんだ……! 僕たちの愛の勝ちなんだよ!」
裕太はあなたを壊れ物を抱くように強く抱きしめ返し、警察官たちを鋭い目で睨みつけた。
この事件は、世間に大きな衝撃を与えることとなった。警察や裁判所がどれだけ調査を行っても、小夏の口から出るのは裕太への純粋で深い愛の言葉だけだった。薬物の存在を完璧に隠蔽していた裕太の計画性もあり、最終的に世間は「これは拉致監禁ではなく、二人の同意による激しい恋愛と逃避行である」と判断せざるを得なくなった。
結果として、名倉裕太の指名手配は完全に解除された。二人の関係は、公的に「ただの愛」として認められ、隠れて生きる必要すらなくなったのだ。