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#3 クールで可愛い
放課後。
今日は親友が委員会に出ている。
俺は一緒に帰るために親友が帰ってくるのを待っていた。
今日も推したちは尊かったな、と思い出す。
その拍子にふと、親友と出会った―――推しにしたときのことを思い出した。
懐かしいな、と思いつつ俺はその思い出に浸かっていった。
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あれはそう、高校に入学して一週間も経たない頃。
俺は放課後に推しとなりそうな人を探して街を彷徨っていた。
なぜ推しを探すか?答えは簡単だ。学校に行きたくなる理由がほしいから!
俺は中学生の頃、学校が退屈で仕方がなかった。
クラスメイトはなぜかこちらを遠巻きに見てくるし、勉強はすぐ理解できてしまうし、運動もできた。
だから、できることをずっと強要される学校があまり好きではなかったのだ。
そんなある日、俺の人生は180°回転する。
とある一軍クラスメイトが実はヲタクだったと知ったときだ。
そう。俺はその時ギャップに目覚めたのだ。
さて、話を戻す。
俺は推しを探していた。
そして今、目の前で男子生徒が不良達に絡まれていた。
あの子は確か、水戸怜。
普段ぶっきらぼうで誰とも話さず本を読んでる物静かでクールな男子生徒。
顔が可愛いから一部の女子からすごく人気がある。
ふむふむとそんな情報を思い出していると、事態は悪い方向に傾く。
不良の一人が彼の胸ぐらを掴んだのだ。
小柄な彼の体が浮く。
すると、さっきまでクールだった顔が崩れ始めた。
プルプルと恐怖で涙目になってる。普段のクールさが消え、顔の可愛さが全面に出る。
そんな彼を見て、俺の心が高なった。
推し、みぃつけた!
颯爽と推しの前に駆けつけ推しを掴んでる不良の顔面を殴る。
驚いたような推しを横抱きして俺は一目散にその場を離れた。
「あの、助けてくれてありがとう。高峰くん、だよね?」
近くの公園で彼を地面に下ろす頃にはすっかりいつものクール顔に戻っていた。
それをちょっぴり残念に思いつつ、推しの言葉に頷く。
「お礼になにかしてほしいことある?」
こてんと首を傾ける推し。尊い。
「じゃあ、推しにしていい?」
「⋯は?」
推しはとりあえずお友達からで、と言ってその場を後にした。
これが我が親友との出会いだ。
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懐かしい、とても懐かしい。
と思い出に浸っていると、ムニッと誰かが俺の頬をつついた。
そちらを振り返ると、親友がいた。
どうやら委員会の用事は済んだらしい。
「おまたせ。帰ろ。」
「うん」
カバンを持ち親友の後を追う。
(なんか顔ニヤついてたな。絶対推しの事考えてたんだろうけど。今日は誰のこと考えてたんだろ?)
親友がそんなことを考えているとはつゆ知らず、後ろ姿の親友も尊いな、と思った。
見上げた校舎はすっかり夕焼け色に染まっていた。