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かわいいこ
2025/11/28 かわいいこ
うわー、かわいいな。初めて彼女を見た時、心の底からそう思った。曲線を描く輪郭と小さなくちびるはそれだけで愛らしさを出し、低い位置で結ばれた髪の毛は少しうねっていて、ブレザーのせいで角張っている肩はそれでも華奢で、膝下の長さのスカートから覗く足は意外に日に焼けていた。私には彼女はあまりにも魅力的に映った。しかし一般的に、彼女は特別可愛らしくはないようだった。友人にそれとなく訊いた時、返ってきた言葉は「えー福井さんっしょ? まー普通じゃね。 あんま目立ってないしよく知らね。」である。世の中見る目がないもんだなと思う。と同時に、見る目がなくて良かったとも思う。他の誰かに彼女の魅力を理解され、彼女が人気者になるなんてことはあってはならないのだ。彼女は自分が魅力的だと気づいていないから魅力的なのだ。一生かわいいと持て囃されずに無自覚に生きて、それなりに不幸な人生を歩み、81とかで死ねばいい。そーゆーのが、私は好き。
「そういう」より「そうゆう」より「そーゆー」だなと思った。