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最終回!花火の恋
AYAYA
夏祭り開催!
うちらは、夏祭りを満喫することに!
よし…告白頑張るぞ!
「わぁ!すごい!」
「ホントだな。どこ行こう?」
「うーん…りんご飴とか買っちゃおうよ!」
三人で会話しながら、進めていく。
早速、りんご飴を三つ買って、舌をつける。
「ん!あま~い!」
りんごと飴のあまさが伝わってきて、思わず声を上げた。
「次はどこ行く?」
凜が聞くと、勇斗が提案した。
「金魚すくい、行かない?」
「いいね!行こ!」
うちがグッドポーズを向けて言う。
「いらっしゃい!金魚すくい、一回百円だよー!」
金魚すくいの屋台のおじさんが、声をかけてくれた。
みんなそれぞれ、百円を出して、金魚すくいをさせてもらうことに。
あ!
丸く浅い、大きな水槽に、赤や朱、白、黒など、色鮮やかな金魚たちが泳いでいる。
ピチピチと音を立てて、泳ぐ姿に目を引き付けられる。
よし!
勢いよく、ポイを水槽に入れた。
特に目を引かれた、きれいな赤色の金魚。
取れる!
そう思って、ポイを上げると、薄い紙が半分以上破れて、おまけに何も取れなかった。
「あーあー」
ふと、低い声が聞こえて、横を向くと、うちと同じしゃがんだ体制をした、勇斗がいた。
「もう!何、勇斗?見ないでよ…」
うちがあきれた顔をすると、勇斗は、はははっと笑って言った。
「何やってんだよ。俺が取ってやるよ」
どうせ取れないだろうと思っていると、勇斗は真剣な顔で水槽を見つめる。
そして、うちが取ろうとしていた、金魚の下にポイを入れて、やさしくそっと水から上げた。
「勇斗!すごい!」
なんと、勇斗のまだ破れていないポイに赤く小さな金魚が。
「いいな!勇斗。この金魚、大事に育ててあげて」
うちがそう言うと、勇斗は首を振って、袋に入れてもらった金魚を差し出した。
「いや。大丈夫。夏海—お前がこの金魚、育ててほしい。このふるさとで…」
「分かった。ありがと…」
うちはうつむいてつぶやく。
……。
涙が流れていて、勇斗に見向きもできない。
そして、また三人で屋台を回る。
うちは、浴衣の袖で強く目をこする。
そんな時
「では、始まりまーす!」
そんなアナウンスが鳴って、バァンと爆発するような音が鳴った。
空を見上げると、空に色とりどりの光が。
わぁ…打ち上げ花火だ!
空が火で彩られていて、感動した。
「夏海!ちょっと来て!」
凜に突然、呼び止められた。
え?
人混みの中、凜の方に向かうと、耳元で『早く告白しなよ』と一言。
「じゃ、そろそろ塾だから、帰るわ!勇斗、今までありがとう!じゃあ!」
凜が大きく手を振って、帰ってしまった。
ウソ…。
凜は週に二回、塾に通っている。
今日も塾の日だけど、だからって夏祭りなのに…。
でも、二人きりになるチャンスかも!
「凜!今日はありがとう!」
「ああ。凜。今までありがとうな」
そう言って、凜と別れた。
「……あのさ…勇斗…」
「なんだよ?」
告白しよう…!
「好き」
「は?」
「だから、好きだって(笑)」
「へ?」
勇斗の顔を見ると、マヌケな顔をして、少し赤い。
「勇斗…聞いてくれる?」
「何がだよ?」
どこに行くわけでもなく、ただ足を進める。
「うち…勇斗のことが好き!理由なんて多すぎて言えないほどだけど…」
「……」
「今まで、本当にありがとう。もう会えないけど、お互い頑張ろう。うちは、あんたの将来—警察を応援してるよ!悪い人を捕まえて、人を守る。きっといい未来が待ってる。信じてる!…それと関係ないけど、ちょっとお願いがあるんだ…いいかな?…それは今日だけ、勇斗の彼女ということでいさせて…」
「…分かった。それで、何をすれば…?」
「それは…手、つなぐことで…」
「分かったよ。仕方ねぇな」
そう言って、自分の手に感触がした。
勇斗の手だ。
うちはその手を、はぐれないように強くにぎった。
「今日はありがとう…」
「じゃあ」
うちが背を向けて、手を振って去ろうとした、その時
「待って」
「一つ、言わせてくれ…」
勇斗がうちを呼び止めた。
「俺、お前に会えて良かった…ありがとう」
そのとたん、本日二回目の涙が。
それに、止まらなくて大号泣。
そのまま、家に帰って泣き続けた。
九月 始業式
凜と同じタイミングで、教室に入った。
もちろん、もう勇斗はいない。
だから、うちと凜の二人で登下校をすることになった。
勇斗以外のみんながそろっても、クラスは少し静か。
みんなも、勇斗が引っ越したことを知っているみたいだ。
「おはようございます!」
先生が入ってきた。
「おっ!飛行機、見えるぜ!」
「ホントだ!」
「わぁ!」
近くには、空港がある。
午前八時三十分。
ちょうど、勇斗の引っ越しの飛行機の時間だ。
ということは、あの飛行機に、勇斗が乗っている⁉
「はっ、勇斗―――!」
うちは、校則にも関わらず、各教室にある、ベランダへ、窓を開けて出た。
「えっ?勇斗乗ってるの?」
勇斗の引っ越しの移動は飛行機ということ、出発時間は八時三十分だということも、うちしか知らない。
特別に教えてもらったのだ。
「勇斗―――――!」
「勇斗っ!」
「今までありがとうなーーーーーっ!」
先生は止めに入ることもなく、みんなもベランダに出ていた。
先生も、いつの間にか、ベランダに出ていて、叫ぶ。
「おーーーーーい!佐川―――――!サッカー部、担任、お世話になったな――――!ありがとよーーーーー!」
そして、うちもまた叫ぶ。
「勇斗――――――――!ずっとお世話になったね――――――!ホントに、ありがとーーーーーーーーー!」
また、うっすらと涙を流しながらも、薄れゆく飛行機雲と、見えなくなった飛行機にいつまでもいつまでも、手を振り続けた。
みなさん!こんにちは!
今回で、『この恋は打ち上げ花火のように…』シリーズ最終回となりました。
なんとしても、書ききりたかったので、すごく長くなりました。
短い期間でしたが、ありがとうございました!
ちなみに、『この恋は打ち上げ花火のように…』のタイトルの意味はお分かりできたでしょうか?
この恋とは、夏海の恋、『打ち上げ花火のように』は、打ち上げ花火のように音が鳴って、散って消えていくという、恋と青春の物語です。
では、最後となりますが、本当にありがとうございました!
では、さようなら!