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第2話 事件の始まり
ようやく帰ってこれた汚い汚い自分の部屋。今は午後6時半。いつもの月曜にはとっくに塾に行っている時間だった。
「はぁ……もう何なのぉ……」
疲れもあり、着ていたジャージのまま、ベッドにバタりと倒れてしまった。
そのまま、スマホを起動する。
明るく染まっていく画面を凝視しながら、香苗は今までの事を思い返していた。
ーーー
新が先生達を引き連れて戻ってきたのはあれから2分後、警察が来たのはそれから更に6分後の事だった。
園芸部の生徒以外は集団下校の処置が取られ、園芸部生徒は事情聴取も兼ねて、少し残っていた。
先生や3年生を中心に集まる1、2年達。
不安で泣きそうな1年生、いつものようにはしゃぎもせずやけにソワソワする2年生、時計を気にしながらも珍しく静かに待機する3年生。
自分達がついさっきまでいた畑に立ち入り禁止のテープが貼られ、自分達の代わりに警察がうろうろしている。
もしかしたらの話、
これは偶然、私が園芸部を舞台にしたミステリー小説を読んでて、偶然、みんなと同じ名前の登場人物がいて、偶然、主人公の名前が私と同じで、思わず感情移入してるだけなのではないかと何度も思う。
__「あー……こんな事になるなら部活サボればよかった……」__
そんな考えはゆあの呟きでかき消された。
小説でこんな事書いてる人あんまりいないから多分現実だ。
「すみません……事情聴取良いですか?」
ふと前に目を向けると目の前には、警察と思わしき女性。彼女が右手に持つ警察手帳には|錠谷 紫苑《じょうや しおん》という名前と彼女の顔写真があった。
見た目はパッと見クール系美人。女優とかも目指せそうな見た目だ。
「と……言っても、ちょっとしたお話です。
……遺体を発見したのはいつ、誰ですか?」
紫苑さんはそう言ってメモを取り出した。
いつの質問には誰かがぽつりと「多分4時15分くらい……」と発言し、誰かという質問には私が何も言わずに手を挙げた。
「……じゃあ、当時の状況は?」
「みんなで部活の畑仕事をしていました。肥料を撒く作業で、その為に土を掘る必要があったんですが……」
部長が答える。紫苑さんはサッとメモにその事を書き込んだ。
「……じゃあ次。遺体の心当たりはありますか?」
「……いえ、特に。」
部長の返答に他の生徒も頷く。でも、畑の辺りは普段、他の生徒はあまり通る道では無かった。
「……ご協力、ありがとうございました。」
この人目を見て話せないのかな。
なんか、ここまで一切目が合ってない気がする。
香苗は失礼な事を若干思った。
最終的に帰宅指示が出たのは5時半だった。
普段は歩き慣れている通学路。30分もあれば着くのに、1時間かけてのろのろと歩いた。帰れたのは6時半。
塾にはもう行けない時間だった。
「香苗ー!明日学校休校だってー」
リビングからの親からの声もより遠く感じる。
「明日ーお母さん仕事だからおばあちゃん家に行ってくれないかなー?」
多分、うちの親の事だから既におばあちゃんに連絡してるんだろうな。香苗に結局、拒否権は無いのだ。
おじいちゃんの部屋でミステリー小説でも読も。そして、今日の事は一刻も早く忘れよう。