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須磨
起きると身体が火照っていた。熱を測る。38度をゆうに超えていた。風邪のようだった。
「風邪…」
「え、風邪?取り敢えず学校は休もうか」
母が学校へ連絡を入れる。いつもお世話になっています、紫の母です。はい、はい。うちの紫が熱を出して。はい。お願いします。そう言って、母は言った。
「ごめん、仕事があるから。適当にゼリー飲むか、して、あとはスマホで何か連絡ね」
「うん」
「じゃあ、行ってくるね。朝ごはんは置いといたから」
惣菜パンがテーブルの上に置かれていた。ソーセージロール。好きなやつを、もぐもぐと食べる。手を洗って、冷えシートをおでこにはる。そのまま、ソファにごろん、と転がる。
リモコンを操作して、たまにはゲーム実況でも見ようかと思う。ちょっと再生してみたけれど、病人に画面酔いはきついとわかり、普通に本紹介を見た。
あーあ、絶対昨日の雨だ。いくら傘をさしていたとはいえ、わりと濡れた。
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お昼は適当にゼリーを食べた。その後寝ながら動画を漁った。今なら昼休みで図書室にいる。今なら5限目がスタートした。そんなことを思いながら、リモコンを操作した。
正直、熱は引いていた。さっき測ったら、36度に落ち着いていた。
ピンポン、というインターホンが鳴った。誰か確認すると、清美だった。近所だし、ついでに届けてくれたんだろう。清美ならべつにいいや。
ガチャリとドアを開けた。
「大丈夫?」
「うん。熱出ただけ。ほら、昨日の雨に濡れたからだと思う。大したことないし、明日には行けそうだよ」
「良かったぁ。はい、これ。連絡とかは特になくって、プリントだけ配られたよ」
保健だよりや学級だより。全部、燃えるゴミと化すものだ。
「ま、紫の組の連絡は知らないけどね。でも聞いてないし、たぶん大丈夫だよ」
「そうなんだ。ありがとね」
「全然」
そう言って、わたしはドアをしめた。
源さんはどうなっているんだろう、という疑問が一瞬だけ頭をかすめた。まぁ、下等生物のなかでは、終わった話題として処理されているんだろうけど。
それに、うちのクラスの子が来ていない。普通は同じクラスの子が来る。清美が来たのは、たぶん近所だからという理由だけじゃない。
うちのクラスの子は、全員わたしを避けている。嫌っている。きっと、今日はわたしの悪口大会でも開かれていたんだろう。べつにどうでもいいけど、源さんや美千花、清美と瑛菜には聞かれたくないな、とは思った。
須磨
どっちもあんま使わない漢字