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祈り
その夜、私はカミサマにお願い事をしました。
「カミサマカミサマ、どうか私を善人にしてください。」
両手を組み合わせ、目を閉じて。
「善を助け、悪を挫く。そんな素晴らしい善人にしてください」
「此れはある種の懺悔です。カミサマカミサマ、どうか私を善人にしてください」
神様のへの御供物の様に置かれた一本の血塗られた包丁。
鉄の匂いがする部屋。
床を歩けば、そこはたちまちレッドカーペット!
「カミサマカミサマ、どうか私をお許しください」
反省も、後悔もしている。けれどそれでも辞められない。
「カミサマカミサマ、私を善人にしてください」
私は悪人で、どうしようも無い屑。それでもまだ、善人になりたい。
「カミサマカミサマ、私は救われますか?」
遠くから聞こえるお迎えの音。
やったぁ!遂にカミサマが来てくれたんだ!きっと私を善い人にしてくれる筈!
「〜〜!!」
声が聞こえる。
「カミサマカミサマ、やっと逢えましたね!」
手にナニカが掛けられる。手招きをされる。
「カミサマ、今から何処行くの?」
訳のわからない乗り物に乗って、訳のわからない場所に連れて行かれる。
「カミサマ?私は確かによくないことをしたよ?でもよくないことをしたのは、よくないことをしていた人だけだよ?」
「カミサマ?私は悪人だけど、ココロは綺麗だよ?多分」
「どうして?私はそこら辺にいる人よりも、善の意識はあるはずだよ?」
「カミサマ?カミサマカミサマカミサマ、カミサマ?」
がしゃん
レバーの音が響く。
<暗転>
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『今朝の4時55分。死刑が実刑されました。ーーは最後まで神様、神様と呟き続けていたそうです。続いては----』
善人であろうとした悪人。可哀想ですか?