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シティ・ロマンス 第四話
林沢レオ
さっきの話を聞いてやけに喉が渇く僕はジンジャエールをもう1瓶飲み干してしまった。
「飲み物買ってきます」
「うぃー」
自販機まで歩き購入しようとしたところで、回収ボックスに入れようと思っていた空き瓶を持ってないことに気がついた。
「おかえりー。早かったね」
「忘れ物しちゃって」
「あ、じゃあはい」
佐倉さんはタバコを咥えた。
「ほい、火。ライターあるから、これ」
「僕のことなんだと思ってんですか」
「内臓売っちまうぞ〜っ」
「ごめんなさい」
消化ができなくても嫌なので僕はライターを受け取った。
火をつけた瞬間、とんでもない火力の火が飛び出してきた。
「うわっ!!」
「はっはっは!引っかかった〜」
「ひどい!あんまりだ!」
僕は空き瓶を手に取り歩き出した。
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ベンチに帰ると佐倉さんはしょんぼりしていた。
「何してるんですか」
「落ち込んでる」
「なんで」
「君がそんなに怒ると思ってなかった」
「もうしないでくださいね!」
「わかったから機嫌直してよう」
こういう時だけ仔猫のような顔をしてくるから驚きである。
「じゃあなんか面白い話してくださいよ」
「ん〜…中世の独裁者の話?」
「興味ないです」
「じゃあ、メリーゴーランドの女神様の話とか?」
「御伽話じゃないですか。なんか僕知ってますよそれ」
「…ん、もうない」
「ないことはないでしょ」
「ないんだもん。いい加減許してよ〜」
「はぁ…わかりました」
「やったね!」
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「じぁあ僕そろそろ帰ります」
「えーもう?」
「もう散々喋ったじゃないですか」
「わかったよ、ばいばい」
「おやすみなさーい」
公園から出る間際、後ろを振り返ってみた。タバコを吸い、メリーゴーランドの、乗降口の真上、月の看板を見ていた。