【中古本】バカと賢い人の違い

≪要約≫ 賢い人とバカの人の決定的な違いは自分の知らない世界を知ろうとするかどうかです。 それは、バカには「バカの壁」が立ち塞がっており、学歴やIQなどは関係ないのです。 自分の知らない世界を積極的に知ろうとしないのがバカな人であり、自分の知らない世界を理解しようとするのが賢い人です。 　 「バカの壁」は他人のみならず自分自身も対象です。 東京大学の学生にも「バカの壁」を持つ人がたくさんいると言います。自分が「バカの壁」の中にいるかどうか、知るためにも役に立つ一冊です。 「バカの壁」について知ることで、バカな人――話しても分かり合えない人と距離を取って無駄な体力を使わなくなります。 　 本文ではバカの特徴について、以下の三つを挙げています。 　 ・わかった気になる ・個性を大事にしようとする ・正解が一つだと思い込む --- 1.わかった気になる バカな人は、なんとなく聞いたことがあるだけなのに、完全に理解したと思い込んでいます。 例として、イギリスのBBC放送が制作した、ある夫婦の妊娠から出産までを詳細に追ったドキュメント番組を、北里大学薬学部の学生に見せたところ、女子学生と男子学生で反応が違いました。 　 女子学生は、今後自分が妊娠して出産する可能性があることから、もっと詳細に知るべき、とても勉強になったと新しい発見や気付きを得ていました。 一方多くの男子学生は、自分が妊娠することがないため、浅い知識のままで分かった気になっていました。 保健体育の授業で習ったし、今更大学で学んでもなんの勉強にもならないと言いました。 男子学生が詳細なことまで知ろうとしなかったのは、頭の中に「バカの壁」があったからです。 このエピソードから、人間は知りたくない / 知る必要がないと感じた情報を遮断してしまいます。 　 同じ大学の同じ授業なので、偏差値に大差があるわけではありません。 情報を遮断して分かった気になる理由は、偏差値やIQなどとは関係ない「バカの壁」です。 「誰だって話せばわかる」という風潮は真っ赤な嘘だと言います。どんなに理解して欲しくてもバカには伝わりません。相手に「バカの壁」があると、たとえ噛み砕いた説明をしてもまったく理解してもらえません。 　 「自分には関係ない」と思った瞬間、「バカの壁」がそびえ立つと著者は述べています。 目の前の出来事が、自分にとってどのような関係があるかを結びつける力が重要です。 --- 2.個性を大事にしようとする 「自分らしく生きる」や「独創性」などの個性を大事にすることが正義である風潮がありますが、著者は「個性を伸ばすなんてウソ」と言います。 　 世の中の成功者は、個性を伸ばしたから成功したと言われますが、著者は「ありえない」と言います。 個性とは、人と違う部分のことです。 他の人が楽しんでいる時に急に泣き出したり、しんみりした時に急に爆笑したり、理解不能な行動も人と違う部分であり、個性の一種です。 しかし、これらはサイコパスな一面であり、サイコパスな人が成功するわけではありません。 　 つまり、世間的に成功している人の個性とは、サイコパスのような個性ではなく、みんなが理解できてみんなが喜ぶものに限ります。 そのことを教えずに、周りのことは考えずに個性を伸ばそうとするのはどうでしょうか。 それだけでは成功することなんて出来ないのに、世の中は「自分らしく生きよう」などの情報がありふれています。 　 著者曰く、個性はかなり曖昧なもので、脳や意識は日々生まれ変わります。 「その人らしさ」のような個性は日によって変化しやすく、個性を伸ばすことに特化すると迷惑です。 個性云々の前に大前提として人の気持ちを想像することが大切です。 本当に成功したいなら、個性という曖昧なものに頼るのではなく、他人やお客さんの気持ちを想像することが重要です。 この大前提を理解しないでよく分からない「個性」を最優先する人が一番バカなのです。 つまり、バカの壁を打ち破るには人の気持ちを想像する力が必要です。