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【第一章】第2話:戦闘開始
「何故幽楽が…普通は陽獄が来る筈だよ。」
レフェールは表情を険しくさせ、目の前に立つ瑠璃を見据える。
「私は戦わないわよ!でも……。」
瑠璃はふふっと小悪魔らしい笑みを浮かべ口元に人差し指を立てた。
突如として瑠璃の頭上、二人の人影が姿を現す。
─ドォォォン!!!!!!
「なっなんだ!?」
翔陽がサングラスが吹き飛ばないように抑えながら声を上げる。
「やっと僕たちの出番だね。」
「ようやくだ…やっと闘えるぜ。」
現れたのは、小柄な体とは不釣り合いの黒い大鎌を手に持った黒髪の少年と、黒い包帯で目を覆った男だった。
見た瞬間すぐ、直感で「こいつらはやばい」と俺の脳が警鐘を鳴らす。
二人からは尋常じゃない程の殺気が漏れ出ている。
それはレフェールや翔陽も感じていたようだった。
「君は下がれ…!!」
先程の紳士的な雰囲気とは豹変して、凍てつくような視線を前にいる二人に向けるレフェールが、振り向きもせず指示を出す。
「でっでも…!」
「レフェールの言うとおりにした方がいい!」
躊躇してその場に踏みとどまろうとしたが、素早く動き出した翔陽によって抱えられる。
翔陽が脚に力を込め、踏み込んだ。
刹那、コンクリートの地面が蜘蛛の巣状にひび割れ、人間離れした速度でみるみるレフェールから遠ざかっていく。
巻き起こる風によって髪が、服がなびき、視界が霞んで見えない。
「レフェールさんっ…!」
俺は手を伸ばしたが、届く筈がない。翔陽に抱えられたまま、遠く離れた所へと連れられる。
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「さて…。」
レフェールがそう呟いた途端、シュッと風切音が一つ。
刹那、レフェールの頭目掛けて黒髪の少年が勢い良く足を振り下ろす。
レフェールは瞬時に反応し、咄嗟に腕を交差させ防御する。
それでも威力が強く、レフェールの体は数歩後ろへと下がった。
「いきなり仕掛けてくるなんて酷いじゃないか。」
レフェールは不敵に笑うと、強く地を蹴って素早く少年へと接近する。
隠し持っていたナイフを懐から取り出し、頸動脈目掛けて腕を突き出す。
「おっと!」
少年は一瞬目を見開いたが、体を後ろへと反らして回避する。
その勢いを利用して両手を地面につくと、一回転するようにレフェールの顎目掛けて足を振り上げる。
レフェールはそれに気付くも、反応が遅かった。
体を後ろに引いたが、靴底が顎を掠め、皮膚が削れる。
ヒリヒリとした痛みを感じるが、今はそれを気にしている場合ではない。
「ほらほら!もっと攻撃してよ!」
少年は目を見開いて狂った様に笑いながら、持っていた大鎌を振り上げレフェールの懐に入ると、その胴体を真っ二つにしようと横へと大鎌を振るう。
レフェールはそれよりも早く脚に力を込め、地を蹴って真上へと跳躍して回避し、屋根の上へと飛び乗る。
「(小柄な体なのに…なぜあの大鎌を振るえるんだ…。)」
陽獄のその異常さと、まだ12歳程と思われる少年が戦いに身を投じているという事実にレフェールは胸が張り裂けそうな気持ちになった。
「オレの事忘れてねェよなぁ!?」
考え事をしている間も無く、高笑いと同時に黒い包帯を目に巻いた男が、腕を横に一閃し、屋根の上にいるレフェールに向けて持っていたナイフ数本を投擲した。
レフェールはそれに気づき、静かに深呼吸をした。
**「「【裂花:鏡花蘭開】」」**
レフェールの瞳が開かれると同時に、三日月の瞳孔が輝きを増した。
刹那、彼の足元から眩い黄金の光と薄紫の光が咲き溢れる。
同時に、彼の周囲に美しく幻想的な淡い薄紫色の花弁が舞う。
それは彼の瞳と同じように光り輝き、迫り来るナイフはまるで見えない壁に衝突したかのようにカキン!と音を立てて弾かれた。
「「なっ…!?」」
少年と包帯の男が同時に目を見張って驚く中、レフェールは体勢を低くし、二人を見据える。
「悪いけどここは引いて欲しいね。」
シャラン、と鈴の音の様な音が響くと同時に、瞬く間にレフェールの姿が幻影かの様に揺らめいた。
いや、レフェールの動きが早すぎたせいで、脳の視覚処理が追いつかなかっただけだ。
レフェールは二人の背後に立ち、いつでもその命を摘み取れる様に二人の首筋に鋭い切れ味の剛鉄よりも硬い花弁を寸前で止めていた。
「最高だよあんた…!」
文字通り、動けば死ぬ状況にあるというのに少年は歓喜に声を震わせた。
「チッ、…撤収だ。」
黒い包帯の男は舌打ちを一つすると、ナイフを下ろす。
「は…!?何でだよ、まだ…!」
少年は包帯の男の言葉に反論しようとしたが、突然言葉を詰まらせ黙り込む。
「…物分かりが良くて助かるよ」
レフェールが裂花の力を解くと、花弁は普通の花弁へと変化し、ひらひらと舞い落ちた。
黒い包帯の男は少年の首元を掴むと、レフェールを一瞥して陽炎の様に揺らめいたかと思えばその場から二人一緒に消えた。
まるで最初からその場にいなかったかの様に、静寂が訪れる。
そしていた筈の瑠璃の姿は見当たらない。
いつの間に消えたのだろうか。
「はぁ…めんどうなことになったねぇ…。」
レフェールはため息を漏らすと、腰に手を当て、空を見上げて一人静かに呟いた。
久々の投稿、第一話の続きです!
今回は戦闘シーンをメインに書いてみました!
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