三日月の瞳を持つ者達─通称「残月」は、ある特殊異能を持つ。
その異能は人によって様々だが、どれも強大な力ばかり。
彼らの持つ異能を恐れた政府は、とある1つの組織を作り出した。
残月に対抗し、その力を絶やそうとする「天蝕」。
果たして残月は天蝕の魔の手から逃げ延びることが出来るか!?
⚠️誤字脱字、少し変なところがあるかもです。初心者なので温かい目で見守っていただけたら幸いです!
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目次
【第一章】序章「三日月の瞳を持つ者達」
『ねえ、貴方、この子、瞳孔が三日月みたいだわ、綺麗…。』
『ん?おお、そうだな。この子はきっと特別な子だ。優しい子に育つだろう。』
---
『ああっ、!貴方…!貴方…!』
『くっ"、`⬛︎⬛︎`!早く、逃げろ!父さん達が何とかしているうちに!』
「嫌だ…嫌だッ!はあっ、はぁっ…。」
俺はガバッ、と勢いよく上体を起こした。冷や汗が一筋頬を伝う。
悪夢にうなされていた影響か、呼吸が荒く、状況を把握するのに時間がかかった。
「また、か………。」
"あの日"以来、ずっと悪夢しか見ていない。どれも精神を抉り取る様な悲惨な出来事ばかり。
ため息をついて、額に手を当てる。
少し、熱い。気になって体温計で計ってみたが、熱はない。
「また、悪夢を見ていたのかい?」
白メッシュが混じった薄紫色の髪をしたレフェールが部屋のドアを開け、微笑みながらも心配そうに少し眉を顰めて入ってきた。
「あ、あぁ。大丈夫です…。」
俺は作り笑いを浮かべて、ベットから降りる。
レフェールはその笑顔が作り笑いだと分かっていても、追求はしてこなかった。
「君は、`|残月《ざんげつ》`に入ったばかりの新人だ…まぁ、入ったばかりと言っても、組織という訳じゃないけれどね。でも、自分一人で抱え込まず、私たちに頼ってくれてもいいんだよ。」
俺の肩にポン、と手を乗せて、俺の目を真っ直ぐに見つめながらレフェールは言った。
彼の目も、俺と同じ"三日月型の瞳孔"をしている。
そして、俺はまだ特殊異能…一般的に「|裂花《れっか》」と呼ばれる特殊な力が目覚めてまだ1ヶ月も経っていない。
─その力のせいで、自分が世界から忌み嫌われ、危険視される対象とは知らなかった。
レフェールも同じで、彼も「裂花」の力を持っている。
彼が言うには、14歳の時に覚醒し、人々から避けられ、行き場を失っていた所を残月と呼ばれる者達に拾われたらしい。
残月は、俺やレフェールと同じ「裂花」の力と三日月の瞳を持つ者達の名称だ。
以前、レフェールに拾われた時に地下シェルターでそう説明された。
「おーい!!こっち来てくれ!!!」
下の階からでも十分響き渡る様な大きな声が部屋の外から聞こえてきた。
「はぁ、もう少し声の大きさを下げる事はできないのかい?」
呆れた様にため息をつき、レフェールはその声の主の方へと歩いていった。
髪をある程度整え、その後をついていく。レフェールがドアをガチャリと開ける音がして、二つの人影が見えた。
「すまない!!これが癖になってしまってな!」
褐色の肌をした、サングラスを頭の上、額の近くに上げてかけたと翔陽と、その少し後ろに隠れる様にして肩をすくめている美帆が姿を現す。
「珍しいコンビだね、何か用かい?」
レフェールは目を丸くして少し驚いた様子で問いかけた。
「いやぁ、美帆が|天蝕《てんしょく》のやつらの仕業と思われる物を見つけたらしい……緊急事態だ。」
翔陽はヘラヘラと笑っていたが、ふと笑みを消して真剣な顔つきに変わり、背後にいる美帆の方へと視線を移す。
「あ、は、はい…その…これが…。」
美帆は自分に視線が集まっている事に気付き、急いで肩にかけていたカバンの中をゴソゴソと漁った。
美帆がカバンの中から手に取った物は、真っ白な一つの封筒だった。それをレフェールへと差し出す。
レフェールは美帆から封筒を受け取ると、封筒のロウを剥がし、中から一つの長方形の紙を取り出す。
それを見たレフェールは目を見開き、眉を顰めた。
「…どう、ですか…?」
美帆は恐る恐る、レフェールの隣に並んで紙を覗き込む。
「これは…まずいねぇ…。」
レフェールは顔を上げて、先程の優しく微笑んだ笑顔とは打って変わって、まるで別人の様な顔つきでそう言った。
「え、マジですか?」
俺はレフェールのその変化に息を呑みながら、嫌な予感がして肩をビクッと震わせた。
レフェールは紙を封筒の中に戻すと、俺の方へと視線を向けてきた。
何を言われるかと不安で心臓が早鐘を打つ。
窓から差し込む月光が部屋の中を照らし、冷たいひんやりとした夜風が肌を撫で、髪を揺らす。
夜空に浮かぶ月の様な輝きを持つレフェールの黄金色の瞳が更に輝きを増したように見えた。
「君は、残月の中でも天蝕の奴等に目をつけられている。しかも、天蝕の中にある3つの組織の中の1つ、厄介な"|冥濁《めいだく》"にね。」
「冥濁…?」
「ああ、話してなかったね。冥濁は研究と管理を専門とする組織。そして後2つ、"|陽獄《ようごく》"という戦闘を専門とする組織、"|幽楽《ゆうらく》"という暗殺と隠密を専門とする組織がある。この3つの組織を統率し、指示を行うのが天蝕という組織だ。君が思う以上に、天蝕は膨大な組織なのだよ。」
レフェールは困惑する俺に対して淡々と落ち着いた声で説明した。翔陽や美帆は背後で黙ってそれを聞いている。
「冥濁が研究と管理を行う組織、でそれに目をつけられている…冥濁は陽獄や幽楽と比べれば戦闘力は低いが、研究に対して異常な執着を持つ。まぁ変態の集まりだ。陽獄や幽楽と違い、別の意味で厄介なんだよ。」
翔陽は腰に手を当て、頭を掻きながら、レフェールの言葉を紡ぐようにしてそう言った。
「そう。一度奴等に目をつけられれば、奴等の目から逃げる事は難しい。奴等は目をつけた物は必ず手に入れようとし、そのためならどんな手段も問わない。」
コツ、コツと革靴の音が静かな部屋の中に響く。レフェールは俺の前まで来ると、言葉を止めると同時に足を止めた。
「君には、平穏に暮らす選択肢は残されていないようだ。」
少し悲しげに、視線を足下へと移してそう言った。
「君はまだ若い。かつて私が15歳の時、残月と呼ばれ戦いに身を投じなければならなかった。それにこれから生まれてくる子達を巻き込みたくなかったんだが…。やはり私は何もできない役立たずだね。」
自嘲気味にふっと乾いた笑みを溢すと、顔を上げ、再び俺の方を見つめてきた。
「役立たずなんて…!そんな、俺は貴方に救われた!だから今も生きられて、同じ境遇にある仲間と出会えたんだ!力を合わせれば…!」
俺は胸が張り裂けそうな気持ちになり、必死にそう叫んだ。事実、俺は彼に救われた。
両親を殺され、行く当てもなかったところを、彼が手を差し伸べてくれた。
だからこそ、その命の恩人が自分を責めているなど、俺には我慢できないことだった。
「…っそうだね、私がこんなことを言ってしまっていてはダメだ。」
レフェールは俺の言葉にハッとしたように目を見開くと目を細めて笑った。
「君は特別だ。だから生き残り、故郷へ、私たちが元いた世界へ帰らねばならない。」
少し間を置いて、再び口を開いた。
「だから、天蝕に負けぬように我々ももっとお互いについて知り、鍛えなければね。」
レフェールは踵を返すと、ドアを開け、ドアの縁に寄りかかってこちらを見つめた。
「おいで、残月について、そして世界について教えてあげよう。」
「…!はい!」
俺は顔を明るくすると、レフェールの方へと駆け出した。
翔陽や美帆も、後に続いてやってくる。
『どんなに厳しい状況でも、諦める事なく、仲間と協力すれば必ず脱出できる。』
今は名前も思い出せない亡き両親が、まだ平穏に暮らせていた時にそう教えてくれたように。
その言葉を胸に、俺は前を歩き続ける。
---
「…やはり、残月の奴らは殺してもまた生まれてくる。」
「えぇ、しかも、段々進化していますしね。」
「我々も、警戒を強めよう。」
**`「「全ては我らが偉大なる『天蝕』の導きのままに」」`**
シリーズを作ってからやっと序章投稿しました!
どうでしょうか?面白いでしょうか?
ミステリーっぽさ?も入れてます!
よければ感想、ファンレターお待ちしてます〜♫