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第6話 救いたい
少しの時間が随分長く感じた。
かさねが倒れ、保健室で二人きり。
かさね「…ん………」
はなこ「ぁっ…七浦さん!!だ、大丈夫ですか…!?」
かさねが目を覚ます。苦しくは無さそうだ。
かさね「ごめんね、急に倒れてぇ……」
はなこ「良いんです…でも、なんで倒れたのかなって…」
かさね「…学校作りのせいとかの貧血じゃないかなあ?」
はなこ「あ、確かに…!!ちょっと休んだ方が良かったですね…」
かさね「いーよいーよ、はい、帰ろ!」
はなこは立ち上がって帰ろうとするかさねの手を掴んで引き止める。
はなこ「待っ…で、でも…七浦さんは大丈夫なの…?」
かさね「…へーきへーき!よくある事だし?」
はなこ「じゃあもっと良くないです!!」
かさね「今までめっちゃ言われたそれ!w」
笑うかさねを見るのは久しぶりじゃないはずなのに、自分に向けられた笑顔が少し悲しげに見えた。
はなこ「………」
かさね「八川さん?」
はなこ「っあ、いやなんでもないです」
かさね「なんか思ってるでしょー?私に話してよ」
はなこ「…………その、私……」
今までにないほどに緊張する。
心臓の音が煩わしい。でも、何か違う感情。
はなこ「未来に来てから七浦さんと2人きりだったんで、七浦さんが他の人と仲良くしてるの………見てると……そ…の…、」
かさね「なあに?」
かさねの可愛い笑顔。
はなこ「その…なんか、嫌だなぁって……思っ…て…」
かさね「………え?」
はなこ(ぜっっっったい引かれた!!!!最悪!!!!!!)
かさね「な、なーに言ってるの!?///」
顔が赤い。初めて見た顔。
きっとこれは、嫌な感情じゃないのかもしれない。
はなこは決心した。
はなこ「なんか…嫉妬…?しちゃって…!嫌なら離れてください…」
かさね「い、嫌じゃないよ!!!う、…嬉しいよ!!!」
はなこ「……へ?」
かさね「未来に来てからすごい元気もらってるし、八川さんが居なかったら学校なんて出来てなかったから、だから、!」
かさね「私、八川さんの事好きだよ…?」
ガタ、とその時ドアが開く。
シラナミ「おーいそろそろ帰レー」
かさね「はーい!じゃあ帰ろ!」
はなこ「え、あ、は…い!」
何も言えない。恥ずかしい。
でも、とてつもなく嬉しい。
はなこはそんな事を考えながら上靴を出す。
かさね「帰ったら何するー?今日の晩御飯なんだろね!」
はなこ「そ…そう…ですね…」
かさね「そういえばそろそろ過去に戻る実験終わるんだっ…け?」
はなこ「あ、そうですよ!やっと帰れますね…!!」
はなこ「でも未来も楽しかったですねー!!また来たいかなあ?w」
かさね「もうこんな惨事嫌だよー!w」
シラナミ「おおオマエラ今から帰るのか」
はなこ「あ、はい!あと、研究いつ終わりますか?早く帰りたいんです!親とかも夏休みの事とかもあるので!」
シラナミ「アー、明日には出来そうだヨ」
はなこ「やった!やりましたね七浦さーん!」
かさね「めっちゃ笑顔じゃん!明日まで頑張ろう」
特に何事も無く後日を迎える。
2人はやっと現在に帰れるのだ。
今まで通りの生活を取り戻せる、2人の絆も深まる。
一石二鳥だ。
はなこ「なーなうらさん!!」
かさね「おっと、起きるの早いねぇ」
はなこ「そりゃやっと帰れるので!」
かさね「でもこっちの生活も楽しかった」
はなこ「はい!すごい楽しかったですー!」
シラナミ「おいはなこ、準備が出来たぞ。」
はなこ「はーい、帰ったら何しようかなぁ」
かさね「また普通に遊ぼうよ」
はなこ「じゃあ、帰りましょう!七浦さん!!!!!」
かさねに手を伸ばす。
かさねは、手を取らない。
かさね「私、一緒に行けないよ。」
はなこ「な、な…に言ってるんですか…?」
かさね「嘘じゃない。」
はなこ「だ、だって2人でここまで頑張ったのに、」
かさね「物理的には無理ではないんだけど、一緒にいれなくなるから」
はなこ「なんで…?なんでなんですか?なん、で…?」
かさね「……あー、」
かさね「私病気なんだよね。」
はなこ「…………は?」
初めて聞いた。初めて見た。
こんな真剣な話。真剣な顔。
くだらないことで笑い合って、何気ない日々を送っていたのに。
その中でのかさねの不穏な発言を思い出した。
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「あーでも保健室も作ろ?」
これは昨日の倒れた時用の事だったのかもしれない。
「あは!ごめんね!ちょっと一緒に夏休み遊ばない?」
わざわざこの言葉を遠くまで連れて行ってから言ったのは、周りに聞かれないようにしていたからかもしれない。
「…学校作りのせいとかの貧血じゃないかなあ?」
これは病気という事を誤魔化していたんだ。
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はなこ「な、治るんですよね?だから今は行けないんですよね?」
かさね「多分……治らない。」
はなこ「戻ってから治してもらったり…」
かさね「それが出来ないから八川さんとここに居るの!!」
はなこ「…え?」
かさね「私は未来人なの!!ここが生まれた場所なの!!!」
かさね「八川さんが居る過去に戻ったら私、病気が進行して死んじゃうから…!!!」
かさね「だから……ここに居るのに……」
かさねが珍しく少し泣いている。
はなこ「じゃ…あ、なんで過去に居たんですか、そのままいれば良かったじゃないですか、」
かさね「明日香が言ってたこと思い出してよ。」
今まで普通に聞いていた言葉が重く響いてくる。
「学校ぐらいの範囲ならバーチャルで作れるね。」
知っていたのは、かさねに連れてこられてしばらくしていたからかもしれない。
「かさねちゃん!!なんで…モゴッ」
なんでここに居るの?と聞きたかったのかもしれない。
はなこ「待って…よ…意味分からないです…」
かさね「あと私、過去と未来を行き来しすぎて病気の進行が未来でも進んじゃうようになっちゃったんだ。」
はなこ「待ってやめてください、じゃあ七浦さんはすぐに…」
かさね「うん、私3日以内には死ぬらしいよ。」
かさね「だから、私が死ぬまでよろしくね。雪女さん。」
はなこ「……え?、」
かさね「雪女。特徴は…青い目と白い髪の毛…」
はなこ「いやだから私は雪女じゃ…」
雪女みたい、かさねの何気ない言葉を思い出す。
かさね「会った時から思ってた、雪女みたいだなって」
かさね「救いたいっていう願い、交流を好まない、いずれ未来に来る。」
はなこの特徴と同じだ。
はなこ「だから……な…に…」
笑って言ってたことが、こんなに重要な事だったなんて。
かさね「雪女はね、未来に来たら帰れない。」
シラナミ「だから本の説明とはなこが似てた…んだ……」
はなこ「帰れ…ないって……嘘だ…じゃあ…え…」
かさね「死ぬまで一緒…的な?…お、重いか!w」
少し場を和まそうと焦っているのが分かる。
はなこ「じゃあ私っ、七浦さんの病気を治すから!!待っててよ!!」
かさね「八川さん…ありがとう。待ってる。」
はなこは早速研究所へ向かった。
自信満々な笑顔で。
シラナミ「………どうするんだ…」
かさね「__だから…治らないんだってば…__」
次多分最終話
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