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水彩デイズ #3
すず
白石さんの家に行けるの…!?
「今日暇…だからいいよ」
「ちょっと話したいことがあって……すぐに来てね!」
「わかった。カバン置いたらすぐ行くわ」
2人だけとか緊張する……ここに悠馬がいたら…でも悠馬がいたらせっかくの2人の時間が……
「2人だけで何話してるの?」
今話しかけてきたのはクラスの人気者、佐伯日向だ。女子のくせにグイグイくるんだよな……
「ひなちゃんなんか久しぶりだね!」
「あ、確かに〜。最近体調悪くてうち休んでたからね。で、さっき何の話してたの?」
「この話は秘密〜。だよね、桜木くん」
「そうそう、秘密」
秘密って言わないとね。ここは。………ってなんか教室の角から悠馬がこっちをめちゃくちゃ見てるんだけど!?怖いって。
(颯太と白石さんさっき何話してたんだ……気になる。俺も混ぜて欲しい)
こんな声が聞こえた。
「っえ!?」
「どうしたの!?急にそんな声出して。何かあった?」
こういう時に白石さんは優しく接してくれるんだよな。そこがいいんだよね。
「なんか…声が…」
「声?さっきは誰も喋ってなかったよ」
聞き間違い…なのかな?でも確かに…
(桜木くん…どうしたんだろう。調子悪いのかな…?)
また聞こえた!これは確かめてみるしかない。
「白石さん…さっき『桜木くん…どうしたんだろう。調子悪いのかな…?』って思ってた?」
「うん、思ってた。なんで当てれたの〜?すごい!」
もしかして…僕他の人の心で思ってることが聞こえるようになってる…!?
「あ、そろそろチャイムなりそう!席に座ろ!」
時計を見てみると…確かに。後1分くらいでチャイムが鳴る。僕だったら絶対見てなかった。
キーンコーンカーンコーン
「4時間目は体育だ!体操服に着替えろ!」
体育か…嬉しいけどめんどくさいな…
(体育か…嬉しい!)
今の…誰の声だ。多分白石さんだろう。
僕ら…男子はすぐに着替え終わって校庭へ出た。もう女子も着替え終わったみたい。
「今日は100m走をやってもらう!タイムは体育祭で使うからな。全力で走れよ!」
「桜木くん余裕ある?」
「う〜ん…全然ないね」
「出席番号1番から走れ!」
出席番号1番の浅野が立ち上がった。あいつ結構早いんだよな。
(うっわ1番目とかめちゃくちゃ緊張するじゃん。カッコつけないと)
………あ、今の浅野の声だ。カッコつけようとしてるな。そのうちカッコつけすぎてドジ踏むぞ。結構早いな。進み具合が。僕ももう少しで走る羽目に…でも先に白石さんが走ると思う。
「次!」
「あ、はい」
やっと白石さんの番が来た。早いんだよな。
「………13.14秒」
13.14秒!?僕よりも早い!
「次!…次!桜木!」
よく考えたら…出席番号的に僕の方が白石さんよりも早いはずなんだけどな…先生の読み間違いかな?
「桜木来い!」
「っは…はい!!」
先生言い間違えただろ!僕たちの順番逆!
(桜木くん…応援してるよ!頑張って!)
白石さんの応援いただきました!!頑張ろう!
「スタート!!」
頑張らないと……!!
「タイムは……13.42!」
13.42か……白石さんには負けたな…。
「桜木くん結構早かったじゃん!」
「え…?そ…そう?」
(結構桜木いい体してるじゃん)
今の……佐伯の声!?佐伯こんなこと思ってるの!?
「どうしたの?桜木くん」
「あ、別に何にもないよ」
あー、びっくりした。ちょっと落ち着こう。
佐伯が走る番になった。
「ひなちゃんー!頑張って!」
(佐伯…意外と足太いな…)
今の誰の心の声だ?………先生!?先生な気がするんだけど!?ちょっともう一回……
(佐伯…俺の恋人になって欲しいな…)
先生……変態じゃん!ていうか誰の心の声聞くか選べれるようになってる!なんかパワーアップした気がする。
「よし、これで全員のタイムは計り終わった!服を着替えて弁当の時間だ!今日は弁当食べたら帰るぞ!」
「桜木くん!やっとお弁当が食べれるね!あとお弁当食べたら帰れるの嬉しい!」
やっと弁当の時間か…と思ってたら後ろから声が聞こえた。
「俺のことも忘れてないよな!?」
「あ、悠馬か。忘れてた」
「俺のことを忘れるな!」
「どこでお弁当食べる?中庭に行く?」
天気が良くて風も少し吹いてて外に行っても良さそうだ。
「中庭でいいよ」
「早く行こうぜ!腹へった!」
中庭に出ると、誰も居なかった。逆に居ない方が良かったのかもしれない。
「やっぱり桜木くんのお弁当美味しそう!それ自分で作ったの?」
「こ…これはお母さんが毎日作ってくれてる」
「颯太の弁当めちゃくちゃうまそうじゃん!おかず交換しようぜ!」
「悠馬の弁当あんまり美味しくないから交換したくないね」
「俺の弁当も美味しいだろ!」
(やっぱり…男子は男子といる方が楽しいのかな…私も桜木くんとおかず交換したいな…)
あ…白石さんもおかず交換したいんだ……おかず交換!?
「白石さんもおかず交換…する?」
「え!?いいの!?」
「うん、いいよ。何が欲しい?」
「私はその…ふっくらして美味しそうな卵焼きがほしい!桜木くんは何が欲しい?」
「僕は…肉巻きが欲しいな…」
「いいよ!あげる。卵焼きくれる?」
「あげるよ!交換しよう。白石さんって弁当自分で作ってるの?」
「うん、私は毎日自分で作ってるの」
白石さんが箸で肉巻きを持ち、僕の弁当箱に入れる。そして僕も卵焼きを白石さんの弁当箱にのせる。
毎日自分で…すごいな…僕なんか料理できないのに。
「ふー、食べ終わったからそろそろ帰る?」
「そうだね、そろそろ帰ろっか。……あれ?悠馬は…?」
「星野さん?さっきからいなかったよ」
「トイレにでも行ったのかな…?」
中庭の木々が風でそよそよと揺れている。
「ごめんごめん!トイレ行ってて」
「悠馬はトイレ行きすぎなんだよ!で、悠馬は弁当食べ終わったのか?」
「いや、全然」
「でも僕たちもう帰るから。じゃあね」
「ちょっとは待ってくれよ!」
「僕たち用事あるから無理」
白石さんと2人で学校の門を出た後、同じ方向に進んで行った。
「白石さんってこっちの方向だったの?」
「うん、あんまり誰にも言ってなかったけど。あ、私の家ここなんだ」
「えっ?僕の家の近くじゃん。僕の家はここ」
「本当だ。結構近かったんだね。じゃあ準備したら来てね!」
「うん、わかった」
僕はこう言いながらうなずいて、自分の家の玄関の前に立った。