ここは静寂と孤独の世界。
私たちが調査する世界の行先は?
続きを読む
閲覧設定
名前変換設定
この小説には名前変換が設定されています。以下の単語を変換することができます。空白の場合は変換されません。入力した単語はブラウザに保存され次回から選択できるようになります
1 /
目次
調査へ.
「天音、行くぞー」
しんみりとした世界。
何もない世界。
自然に帰った世界。
生き物が少なくなった世界。
そんな世界で晴は私を呼ぶ。
「うん、今行くから待ってて」
ディスクに置いてある事前に用意していた探索用の道具を持って入り口へ向かう。
「お待たせ、行こうか」
開きっぱなしの自動ドアを潜り抜けて今日調査するところに向かう。
世界は、あの日に全てが壊れた。
沢山の自然災害に見舞われ、
各地で次々に人が死んでいった。
残ったのはほんの数千人。
しばらくは食料や仮説住宅を用意するのに苦労した。
そこからだんだん落ち着いて、この世界の調査をすることになっている。
今、世界はいくつかに分かれている。
食料課、生命課、情報課、学習課、そしてこの廃都市総合課だ。
「晴、私達以外の課って何するの?」
詳しく私も知らなかったから、晴に聞いてみる。
話によると、食料課は主に食料の運搬、栽培をする課らしい。別名は農業課だとか。
生命課は主に生きていく上での仮説住宅の管理を主にする課らしい。他にも日用品を揃えたりする。(この課には別名がない)
情報課は主にネットの回線を繋げたり、SNSで広報をする課だ。別名は広報課らしい。
学習課は、世界の人と情報共有をしやすくするために、翻訳をしたり、外国の言葉を勉強をしたりする課。コミュニケーション課とも呼ばれる。
そして廃都市総合課は、廃都市の探索、レポート、そして各課の管理や申請。学校で例えるなら生徒会らしきものだ。世界中をとびまわるので、結構な体力が必要だけど。
「天音、この船に乗るよ」
「うん、わかった」
今日は、水没都市を見にいく。
調査することは主にこんなことだ。
まずその町が機能しているかを調べる。
次に安全な食料はあるか、使える日用品はあるかを調べる。
写真もしっかり撮らないとレポートが書けないので写真も撮る。
機能していなくて、危険な状態の場合はその都市は閉鎖する。
場所によってはビルの頭しか水から出ていないところもあるし、緑で覆い尽くされたり瓦礫だらけのところもある。
今回は水没都市なので、船というわけだ。
もちろん都市に向かう最中で沢山の廃墟を見る。
でももうこれも当たり前の光景だからなれてしまった。
「天音、そろそろ見えてきたよ」
「ほんとだ。よし晴、調査頑張るよ」
「私たちでなんとかしないんだから当然」
私たちは船から降りてビルの頭に降り立った。
1.水没都市
調査カルテ No.1 水没都市
辺りは水でいっぱいだった。
ビルは水面から頭しか出ていなく、
水中を覗くと、そこはもう魚の棲家になっていて、
綺麗に道路やビルが残っていた。
確かここのビルはかつての人々が仕事をしたり、
交流の場として有名だった場所だ。
周りは山に囲まれており、幸いその都市から水は漏れていない。
ここは人は住めなさそうだが、農業の発展や歴史資料館に渡しても良さそうだ。
---
「晴、カルテ書いたよ。」
「よし、もどろっか。」
「うん。」
2.植物都市
調査カルテ No.2 植物都市
全てが緑に覆われている都市。
食べられる植物も多く、緑豊かな都市だ。
後にそこは栽培区域になるだろう。
だがその反面、苔や棘のある植物も多く、
未知の微生物も住んでいることがある。
そこは重機などを使い、平面にすることがある。
植物都市の多くはかつての公園や、
栽培地だったりするケースが多かったのではと見られている。
「天音、書いた?」
「うん、行こうか晴」