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目次
説明書
作者 形師 カオル
ご覧いただきありがとうございます。
こちら、当店の〖説明書〗でございます。
ごゆっくりご覧になってくださいね
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1.世界観
この店はニホンのどこかにある村のひっそりとした森の中にございます。
開店日は―
そうですね……、1999年でしょうか…?
外の世界は分かりませんから…。
2.販売品
ビスクドール|$ 10500
マリオネット|$10500
オーダーメイド品 |$ 20500
ヌイグルミ |$ 5000
リアルドール|$ 10500
|仕掛組《カラクリ》人形|$ 15500
3.|人形《ドール》について
人形はそれぞれに意思や個性があります。
ヒドイ扱いをすると、今度はあなたがどうなるか分かりません…。
大切に扱ってください。
4.個性
ビスクドールやマリオネット、ヌイグルミは、あまり、意思を持たないものが多いです。意思とは人間のように動き、言葉を発することです。オーダーメイド品やリアルドールは意思を持ち、言葉を発する。
個性とは、持ち主に乱暴された際や、感情を表す時に出るそれぞれの性格や、表現のしかたです、
個性は、人形それぞれにより異なります。
詳しくは各|人形《ドール》の説明書をご覧ください。
5.最後に
この物語は人形たちの―
いや、貴殿方の物語です。
お忘れなさらず
episode1.人形師は知りたい
「……。何故、私は知らないことが多いのだろうか」
店の奥から男の声が聞こえる。
その男の名は
--- カヲル ---
名字は誰にも晒さない男。
「私は知りたい。知らなければならない。だが、知らないことが多い。」
そこで人形師____
カヲルは人形を作った。分身のような人形だ。
カヲルは世の中を知らない。
そこで買ってもらい、世を知ろう!
と。
カタッ
「…。起きたか。スワネ。」
「はい。カヲル様」
スワネと呼ばれた彼女はスワネ・スカット
。
ビスクドールであり、カヲルの召し使いだ。
ちなみに、彼女は試作品である。
彼女の眼球には宝石が埋まっている。
その宝石を特別な水晶でペアレントすることで、人形達の見ている景色を見れる。
「俺は仕事をする。お前は買い出しに言ってこい」
「はい。了解しました」
「さぁ開店だ。」
ギィギィ
「いらっしゃいませ。お客様。お求めの品はなんでありましょう?」
開店
episode 2 寄り添って欲しい客
カランカラン
そんな音がして、店に入ってきた少女。
「……。誰かいらっしゃいませんか?」
そうして、店の奥から顔を出したカヲル。
「いらっしゃい。お嬢ちゃんの悩みはなに?お人形さんで解決するよ」
「……。お父さんが厳しいの。それで寄り添ってくれるような人形が欲しい!」
「…!そうかい。それなら、お金はいくら持ってるのかい?」
「えっと……。500万…?」
そう。この少女は大手学習塾の社長の娘なのだ。
「WAO……。なら、5000円のビスクドールかな?」
カヲルが差し出した人形は
ビスクドール。
アンティークのようだが違う。
アンティークに《《見せている》》人形なのだ。結構手でやると時間がかかるらしい。
「おじさん!これ買うわ!」
「ブッフ( ̄∑ ̄;) おじさんじゃなくてお兄さんだよ~?んでお買い上げありがとよ」
カヲルが|珈琲《コーヒー》を吹き出しながらもお会計を済ませ少女は家へ帰った。
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「ふんふ~ん♪」
家に帰ってから少女は上機嫌だった。なぜならば、|寄り添ってくれるような人形《希望のドール》
を手に入れたからだ。
「あっ!そうだ!クミちゃん人形の服で着せ替えよう!」
そうして少女はビスクドールの着替えを始めた。
「―出来た!」
「あっ!名前決めてない…!この子の名前は―」
その時少女はこう思った。
(寄り添ってくれるようなビスクドールだから、ヨビ…!ヨビ!)
「よろしくね。ヨビ!」
ヨビと少女は一晩を過ごした。
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ある日、ヨビと遊んでいると父が部屋に入ってきた。
「おい!菜名!何故お前は勉強せず遊んでいる!?その人形は没収だ」
「えっ…?!父上!お待ちください。私は飾って―」
「もういい!!!こんな人形捨ててやるっ」
そして、少女の父は人形を捨てた
---
その晩。
少女の父は目が覚めた。ふと、娘を想い、寝ようとした。
《《その時だった》》。突然ドアが開いた。誰だろうと見てみると `《《あのビスクドール》》`だったのだ。
「うわぁぁぁぁぁぁあ!!助けてくれ助けてくれ!」
そう言ったときにはもう遅かった。
翌日、少女の父は遺体として発見され、ニュースにも取り上げられた。
でも、犯人はまだ逃走中とのことだ。
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水晶をみるカヲル。
「あ~ぁ。駄目でしたか。残念です。次は成功できる|呪法《まじない》かけときましょう。」
コロン
何かが落ちる音。
「今日は閉店。また開店までお待ちくださいね」
その言葉のみで店は跡形もなく消えてしまったのであった。