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目次

    光の当たる場所で〜いじめられていた``オタク‘’を、俺は見捨てなかった〜

    光の当たる場所で 2話

    光の当たる場所で 3話

    光の当たる場所で 4話

    光の当たる場所で 5話

    光の当たる場所で 最終章

    エピローグ:あの日、声をかけてよかった  春の匂いが風に混じっていた。  俺は、駅前のカフェに向かって歩いていた。スマホの通知には一通のメッセージが残っている。 --- From:佐倉ユウト 《大学、合格したって聞いた。会える? ちょっと話したいことある》 ---  あれから3年。  俺たちはそれぞれの道を歩いていた。  ユウトは美術系の高校に進学し、漫画・イラストの道を本格的に目指し始めた。  俺は普通の進学校で受験勉強に追われながらも、たまに連絡を取り合っていた。  今日、久しぶりに会う。  カフェに入ると、角の席にユウトがいた。  黒縁メガネはもうかけていなかった。髪は整えられ、雰囲気も少し大人びて見える。  「よう、久しぶり」  「……うん、マジで久しぶり」  少しの沈黙のあと、ユウトはニコッと笑った。  「いろいろ話したいことあるけど……まず、これ見て」  そう言って、カバンから一冊の薄い本を取り出した。  表紙には、あのときの少年キャラが堂々と立っていた。背景は光の射す空。  「——初めて、自分で描いて出した同人誌。イベントで完売したんだ」  俺はページをめくった。  その絵は、昔のスケッチブックよりもずっと力強くて、感情が伝わってきた。  「すげぇな……これ、プロでもいけるだろ」  「そう言ってもらえると、ちょっと自信つくよ。  あのとき——助けてくれたこと、ずっと感謝してる。  でも最近、やっと思えるようになった。  “自分で立ち上がった”って。あのときの俺、逃げなかったからって」  俺は静かにうなずいた。  「うん。お前が立ったから、俺も動けたんだよ」  あの日、声をかけてよかった。  あの日、動画を出してよかった。  あの日、「見てるだけ」をやめて、本当によかった。  ユウトの描くキャラクターは、もう孤独じゃない。  光の中で、まっすぐに剣を構えている。  それは、まるで——あいつ自身の姿だった。  店を出ると、空は春らしいやわらかな色をしていた。  進学、夢、未来。  俺たちはもう“過去”にはいない。  これからの時間を、自分で選べる場所にいる。  光の当たる場所で、今、ちゃんと生きている。 【本当に完】 --- 向日葵柚子月さん。感想、リクエストありがとうございました。向日葵柚子月さんが思ったとうりの小説になりましたか?なってれば嬉しいです。 --- この小説が、いじめに関わっている人の心に響きますように。 彩り豊かな小説を。