この世界には式神と魔力、というものがある。
可愛い式神、威厳のある式神…。
そんな世界の、ある女の子の話。
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目次
白龍…?
注意⚠式神は、この世界のどこにでもいますが、
一緒にいるには倒すか、仲良くなるしかありません。それか、式神召喚でつくるしかありません。
人の式神もつくれはしますが、ほとんどできません。なので、魔力が高くても、龍や虎などを呼ぶことが限界です。
|桜風 桜《おうかぜ さくら》は、明日、式神アカデミー|紫陽花《あじさい》校の入学式。
そして、家から旅立つ日だ。一生帰ってこないとは言わないが、寮生活になるので、あまり帰らない。
「えーっと、スマホに、水筒に、お弁当に、…」
大体の荷物はもう寮に送っており、あとは当日の準備だけだ。
「さくら〜はやく寝なさいよ〜。」
「は〜い!」
もう、寝ないといけない時間だ。
(楽しみ…私の式神、どんな感じなのかなぁ〜)
そして、入学式の日…。
「まず、魔力測定をしま〜す。」
魔力は人によって様々で、十五、二十三、などいろいろだ。
「桜風 桜さん。どうぞ。」
「はい。」
特殊な水晶に手をかざす。
すると…。
結果、四十六デス。
「桜風さん…あなた、とても、とても……た、高い、わね…?」
「そうですか?うちの家系、大体こんなもんですけど…?」
「そ、そうなのね…?」
「はい!では!」
う〜ん、前よりちょっと伸びてたな〜よかった!
__「おい、あいつが入学式で四十六だした新入生だぞ…!」__
__「まじかよ…!」__
入学して何日か経ち、食堂の料理が美味しく、食べ放題制なのに感動していると、そんな声が聞こえてきた。
ん?なんだろ?
この学校の制服、めっちゃ可愛いんだよね〜。
フリルのついたセーラー服(もちろんリボンもあるよ。)か、スッキリとしたリボンのついたブレザー。
私、基本私服フリフリの服だからすっごい嬉しい。
さて、今日は式神をつくる日。
「頑張るぞ!」
さて、はじまりました。
つくり方は、紙に魔力をこめながら文字を血で書いて、「クレアツィオ・クレアーティオ!」と、言う。
「クレアツィオ・クレアーティオ!」
そして、煙の中から現れたのは…。
白龍。白龍……デシタ。
まわりから歓声が聞こえる。
「我が主様。はじめまして、桜様。」
「こ、コンニチハ…?は、白龍…。」
「では。」
そう言って、白龍は私の体の中に吸い込まれていった。
「?」
ドウシテ?白龍?何故?
スマホから着信音が鳴る。
(あっ、ママだ!)
『どうだった〜式神。』
「実は…」
さっきまでの事をママに話した。
『あ〜、まあよくあることよ、気にしないで!』
「余計気にするよ!?」
『ま、頑張ってね〜!』
ブツリ。ツーツー…。
は〜…。
疲れたので、購買に行くことにした。
けど…。
「わっ!」
だれかとぶつかったようだ。
「ごめんなさい!私の前方不注意で…!」
「ううん。大丈夫。じゃ。」
ぶつかったのは、男の子だったみたい。
あれ、でも、制服が違うような…。
「式神アカデミー|秋桜《こすもす》校の生徒ですわ。」
「え、牡丹さん!」
牡丹さん、とは私のお向かいの家に住んでいる女の子。とってもお上品なんだよね。
「こんにちは、桜さん。今日もとても可愛い女の子ですね。」
「あっ、ありがとう!では!」
ぴゅーっとその場を立ち去った桜は、落とし物をしていた。
購買。
(パンでも買いましょ〜っと。)
すると、白龍がするんと出てきて、
「桜様、私も"ぱん"というものを食べてみたいです。」
「う〜ん、じゃ、メロンパン買ってあげるね!」
メロンパンを二つ買った。
(チャリーン)
「桜様、めろんぱんというものが美味しいです!」
「よかったぁ、美味しいよねぇ。」
「はい!」
そんなこんなで、白龍(?)が式神になったけど、学園生活、頑張っていきます!
おまけ・桜のプロフィール!
誕生日→四月十四日
容姿→スモーキーピンクの髪色に瞳。
髪は低めのツインテール。ベレー帽をかぶっている。制服はセーラー服のほう。
スマホケース→桜のおしゃれスマホケース。
実はうさぎが隠れているらしい。
1話でのお小遣い(最後までの)→6500円
身長→146cm
体重→…乙女にそんなことっ!聞かないでくださいっ!
好きな科目→美術。
性格→まぁまぁパワフルな乙女。おっとりしてる事が多い。
はじめてのバトル!
注意⚠初めて読む方は1話から読むことを、
オススメします。
「…………ほぇ………、…。」
ーーピピピッ!ピピピッ!
「……はっ!」
「…?桜様……?」
「ね、寝坊した〜!」
身じたくを整えて、朝ごはんを食べに、食堂へ向かう。
「さくらちゃん、今日はお寝坊さんだねぇ。
今すぐサンドイッチ作るからね〜。」
「ポテトも!」
「はいはい。」
そんなこんなで、朝食を食べ、教室に行く。
(私は1ーA)
ちょうど授業がはじまるところだったようだ。
「おはようございます。今日はみんなでバトルするぞ〜!」
「「「は~い!」」」
(バトル、かぁ…)
勝てるかな…楽しみっ…!
そして、グラウンド。
「まずは、凛花さんと、柊真さんから!」
「は、はい…」「はい!」
バトルの仕方は、まず、相手に一礼。
自分の式神を呼び、式神に指示を出す。
で、式神がボロボロになり、消えてしまったら
その人の負けである。(注・式神は専用の道具を使うと、負けて消えてしまっても戻せる。)
ーー勝者、二宮 凛花!
そうして、バトルはすすんでいき…。
「次は、凛花さんと桜さん!」
「は、はぁ〜い…」「はい!わかりました!」
凛花さんに一礼、
「白龍。来なさい。」
「はい。仰せのままに。」
巨大なオーラと共に、白龍があらわれる。
「白龍。吹雪!」「虎吉、噛みつく!」
凛花さんはどうやら、虎吉という、虎のようだ。
「っ…」
白龍は、虎吉のダメージをしっかりと受けた。
少し、胸が痛む。ダメージを受けると、体が薄くみえるのだ。
(負けられない。)
式神は、自分が生んだ、子供のようなもの。
それが、消えていく、というのがそもそも嫌なのだ。
全力でぶつかる。それ以外、なかった。
ーー勝者、桜風 桜!
(か、勝てた…)
その後も勝負は続き、私は学年の中で1位に、なった。
「桜風。こんどな、秋桜校の一年の学年トップと戦うんだが…いいか?」
「あ、はい!わかりました!」
そして、秋桜校の学年トップは…。
「|堀川《ほりかわ》、|俊利《すぐり》?」
「よろしくだべ、桜。」
身長が同じくらいの、男の子だった。
おまけ・牡丹のプロフィール!
誕生日→二月二十日
容姿→朱色の瞳にストレートのハーフアップ。
髪色は茶色。緑色のリボンで結っている。ブレザー。
スマホケース→牡丹柄のスマホケース。
ザ・和風!みたいな感じ。
身長→152cm
体重→教えませんわ。
好きな科目→国語、家庭科、音楽。
性格→お上品で、でも…勝負好き。
夏祭りでの幼き頃。
幼き頃。
ーーわいわい、わあわあ……。ドンドン…。
お祭りの音はとっても楽しそうだった。
父に連れられてとても幼い頃に来た、カミイノリ祭。
遠い地方の、知らないお祭り。
最初は不安でしかなかったが、私より小さそうな男の子が一緒にお祭りの屋台をまわってくれた。
お礼は、できなかったけど。
そんな日の懐かしい夏の思い出。
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20××年 7月5日
「お父さん、ここどこぉ……。」
父に連れられて来た桜は、早速迷子になっていた。
涙でいっぱいの瞳から、ぽたぽたと雫が落ちていく。
「大丈夫?」
「?」
視界が少し暗くなったと思ったら、目の前に男の子がいた。
「あ、えっと…おれの名前はすぐり。」
「すぅくん……?えっと、わたしの名前はさくらっていうの…」
勝手にすぐりをすーですぅくんと呼び、桜は自己紹介をした。
「えっと…さくら…?……迷子になったんだべ?」
「うん…お父さんとはぐれちゃった…」
「おれは、お祭り、一人でまわってたんだけんど…、
一緒に、来るか?」
「………うん!」
「まずは、射的だべ…。」
「スグリくん、1回百円ねぇ。」
屋台のおばちゃんがそう言って、スグリは四百円渡した。
「すぅくん、4回やるの?」
「2回はさくらだべ。」
「わかった!頑張ってね!」
その様子に気づいたおばちゃんが、
「あらあらスグリくん!可愛いガールフレンドを連れてるのねぇ。」
「べっ、別にそんなんじゃねぇべ!?」
顔を真っ赤にしたすぅくんがそう慌てて言った。
「??すぅくん、がーるふれんどって何?」
「し、知らなくていいべ…。」
そして、すぅくんは振り向いて、こう聞いた。
「さくらは何が欲しいべ?」
可愛くニコニコしながら。
「うーん…」
ーー猫のぬいぐるみ、熊のおもちゃ、笛ラムネ、
ドロップ……。
「桜味のドロップ!」
桜味のドロップは、右下にあった。
「うん、わかった!やってみる!」
すぅくんは狙いをしっかりと定めて…
ーーパァン!
「おめでとう!猫のぬいぐるみだよぉ!」
「うん…思ってたのと違うべ…」
またもや、狙いを定めて…定めて…?
ーーパァン!
「おめでとう!ペアキーホルダーだよぉ!」
「うん…違うべ……」
せっかくとれた商品を見て、すぅくんはがっかりしていた。
「でも、すぅくん!」
「なに、さくら?」
ペアキーホルダーを指さして、
「それ、おそろいに、しよっ!」
猫と、うさぎのペアキーホルダー。とっても可愛くて、
夜空モチーフ。
「えっ、さくらがいいなら…。」
「うん、そうしよっ!じゃあ、すぅくんは猫ね!」
「さくらは、うさぎだな…!」
「うんっ!」
にひひっと、ふたりは笑いあった。
「スグリくん、まだまだ2回あるよぉ!」
「あっそうか…さくら、よろしくだべ!」
「うん、頑張るね…!」
初めての射的でドキドキしたが、しっかりと桜味のドロップを見て…。
ーーパァン!
「おめでとう!桜味のドロップだよぉっ!」
「「わぁい!やった〜!」」
謎にハモってしまった事に驚き、そして、二人でくすくすと笑った。
その後も、カミイノリ祭恒例の踊りをして、
わなげをしたり、かき氷を二人で分けたり…。
そして、カミイノリ祭も終わりという時に花火があがった。
ピンク、紫、赤、黄色…。
「綺麗だねぇ……!」
手をあわせてキラキラと目を輝かせている桜を見て、
すぐりはにっこり笑った。
「うん、そうだべ。」
はしゃいでいる桜の横顔を見て、すぐりはあることを
思いついた。
「さくら、こっち来て!」
「?…うん!」
来たのは屋台の方で、『りんご飴』と大きく書かれていた。
「カミイノリ祭最大イベント…りんご飴を渡すと、相手との恋が…」
「鯉が?」
「み、みみみみ…。みのる、らしいんだべ…!」
「鯉が実る?」
そんな事を考えている間に、すぅくんはりんご飴を2つ買ってきた。1つのりんご飴を少し舐め、深呼吸をして私に話した。
「さくら…好きだべ…!」
「うん?私もすぅくんの事好きだよ?」
「へっ?」
すぅくんは顔を真っ赤にして、「わやじゃ……。」と、
倒れてしまった。
「すぅくん!?りんご飴食べないの!?私食べちゃうよ〜!」
「…か、間接キスだべ…!?わ、わやじゃ…!?」
余計に顔が真っ赤になってしまい、私は「起きて〜!」とすぅくんの体をゆすった。
とりあえず、すぅくんを公園まで連れていき、ひざ枕をした。
「んっ……。?」
「あっすぅくん起きたぁ!よかったぁ…!」
「ひ、ひざ枕…!」
すぅくんは顔を手で隠した。
そして桜はすぅくんのりんご飴を渡した。
「一緒に食べよっ!」
「う、うん…!」
りんご飴を食べ終えて、ゴミをゴミ箱に捨てたあと、
すぅくんとバイバイをした。
私の父が見つかったからだ。
「すぅくん、ありがとう!また会えるといいなっ!」
「そうだべ…また、会いたい。」
「うんっ、約束ねっ!」
ーーゆーびきりげんまん、嘘ついたら針千本のーます!
ゆーびきったー…。
こうして、幼い二人の約束が結ばれたのだった。