いろんなシリーズの主人公が、いろいろやります。
完全なる自己満。需要は多分ない。強いて言えば、むらさきざくらの作品を全部読破&むらさきざくらの熱狂的なファンに需要があります。
たぶんいない。
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目次
登場人物
通称:
年齢:
性格:
|sv《サンプルボイス》:
備考:
・|村作紫桜《むらさくしおう》
通称:紫桜
年齢:義務教育中
性格:一言多い。いつもボコられる。
|sv《サンプルボイス》:「紫桜だよー」「やめてボコらないでぇええ!!」
備考:どっかぶっ飛んでる
・|雪枝雪菜《ゆきえだゆきな》
通称:雪菜
年齢:不明
性格:しっかりしてる。ツンデレの極み(?)
|sv《サンプルボイス》:「わたしは雪菜、雪女よ」「凍らせてもいいのかしら?」
備考:凍らせ担当
・|桜井岬《さくらいみさき》
通称:岬
年齢:小6
性格:当たり障りのない性格。
|sv《サンプルボイス》:「わたし、桜井岬」「いや、なんかすみません」
備考:とくになし
・|小柴結月《こしばゆづき》
通称:結月
年齢:中1
性格:控えめで静か。このシリーズを極度におそれている。
|sv《サンプルボイス》:「わたし…小柴結月っていいます」「またですか?もう嫌です…」
備考:今はリア充
・|遊佐零花《あそされいか》
通称:レイ
年齢:不詳
性格:ミステリアスで不思議系。なんでも遊びに捉えるやべぇやつ
|sv《サンプルボイス》:「わたしはレイよ、よろしく」「遊びに誘ってあげるわ」
備考:高確率で紫桜を遊びに誘う(善意ではない)
・フーク
通称:フーク
年齢:不詳
性格:大人っぽい。本が好きで、読めぬ本などあんまりない。
|sv《サンプルボイス》:「わたしはフークっていうわ」「この本、もう読んでるのよ」
備考:本ばっか読んできてピー年
・|大橋結花《おおはしゆいか》
通称:結花
年齢:小6
性格:しっかりものだが恋愛に鈍感。
|sv《サンプルボイス》:「わたしは大橋結花、よろしく〜!」「ひぇ、恐ろし」
備考:たまに彼氏持ちなのを妬まれる。
・|歴暦《れきこよみ》
通称:暦
年齢:中1
性格:控えめでわりかし常識人。時々爆弾発言。
|sv《サンプルボイス》:「わ、わたしは歴暦です!」「歴女で何が悪いんですか!?」
備考:超歴女。歴史だけが生きがい。
---
皆「ちょっと待て」
雪菜「なんなのよ凍らせ担当って」
岬「特になしでよかった…あと性格になってないでしょ」
結月「なんかリア充で申し訳ない」
レイ「なんでわたしが やべぇやつなのよ!?」
フーク「年を伏せてるのは好印象ね」
結花「えっ妬まれてたの!?」
暦「もうちょい生きがいあるから!なんで爆弾発言!?」
紫桜「非難轟々〜…」
このシリーズのタイトル、誰か考えて(泣)
デスゲーム1 ゲームは突然に
「は?」
そう声を漏らしたのは、雪菜だった。
それに応じるように、次々と人が起きていく。灰色の真四角に、黒いモニターテレビ。
「雪菜…?」
見慣れたメンツ。
雪菜、岬、フーク、暦、結花、結月、レイ。
唯一違うのは、紫桜がいないことのみ。
『皆さん揃ってますね〜。雪菜さん、岬さん、フークさん、暦さん、結花さん、レイ、結月さん』
キレのある、凛とした声。その声は、どこか幼い。
「ここは?」
黒いモニターテレビから、声がする。
『今から皆さんには、デスゲームを開催しま〜す』
そう言われた時、空気が凍ったようにしんとした。
「デスゲーム?」
『はい、デスゲームで〜す』
「小6とか、中1にやらせるには酷じゃない?」
『いいえ?大丈夫で〜す。あ、呼び名がないと不便なので、あたしたちのことは〜マスター、とでもお呼びくださ〜い』
そういうことが問題じゃない、というツッコミをぐっと堪える。
『未成年もいるから、頑張れば全員生存できま〜す!だから、勿論全員生存を目指しますよね?能力がない人も、安心できるわけで〜す』
「全員生存」
そう結花が呟くと、「頑張ろう?」という暦の声がした。
『これは、特定のゲームをやるわけではございませ〜ん。〝投票式〟のゲームです』
「それは、誰かが死ぬってことじゃないの?」
『いいえ。まず、投票者は2つの権利が与えられま〜す。〝投票権〟と〝破棄権〟です。〝投票権〟を使用する場合、誰を殺すかを決めてくださ〜い。〝破棄権〟を使用する場合、投票せずに終了しま〜す。全員一致で〝破棄権〟の場合、誰も死にませ〜ん。ですが、一人でも〝投票権〟を使った場合、その〝投票権〟が優先され、誰かが死にま〜す。上限はありませんが、必ず1回は〝投票権〟を使用しなければなりませ〜ん。自分には使用禁止で〜す。全員が〝投票権〟を使い、一人も被らなかった場合、誰も死ぬことはありま〜ん。でも、投票に関わることは何も話せませ〜ん。もし話してしまった場合、その人が死にま〜す。計7回投票がありま〜す。10分おきに投票しなくちゃなので、頑張ってくださいね〜』
そんな軽い口調で、デスゲームはスタートした。
だいぶ酷
デスゲーム2 ゲームスタート
「…誰か、殺すってこと?」
『あ、言い忘れました〜。雪菜さんとレイは、すでに死んでますよね?その場合成仏して、この世に存在しなくなりま〜す』
「…」
不要すぎる付け加えに、会場は呆然とした。
「実力行使…しても無駄よね」
雪菜は手に氷を出現させ、それを砕いた。
「レイさんは、こういう遊びに参加したことはあります?」
「ないわ」
「なら、コツとかはわからないのね」
黙りこくったまま、何も進まず、10分後。
『そろそろ、投票で〜す。頭の中で、イメージしてくださ〜い』
---
数分後。
『結果が出ました〜』
『今回殺されるのは〜、結花さんで〜す』
「…そんな…?」
『では結花さん、遺言をどうぞ〜』
結花は絶望した顔で、言い放った。
「わたしが死ぬってことは、誰かが〝投票権〟を使った、ってことですよね?…死ぬなんて嫌です。絶対にやめてください。全員がわたしに投票して、もうずっと〝破棄権〟を使うことを願うばかりです。…こんな死に方、嫌だった」
そう言って、結花は消し屑のようになって消えていった。
「…本当に、死ぬのね」
「そうね、レイ」
自分の死に方とは、あまりにも違う。違いすぎる。そう雪菜とレイは考えながら、またどうするか考え始めた。
楽しみにしてポねユシ
デスゲーム3 次は誰?
「…死ぬって、どんな感じなんだろう」
ふと、暦が呟く。
「わたしのときは、すごく寒かったわ」
「ああ…覚えてないわね、わたし」
「結花、どんな気持ちだったんだろう」
1番の後輩を亡くした気持ちは、大きかった。妹みたいに可愛がっていたから、尚更だった。
「次は、ちゃんとやりましょう…?」
「うん。やろう。絶対。結花のぶんまで生きる」
結月と、岬が言った。
『2回目の投票で〜す』
---
『集計結果で〜す。今回殺されるのは、岬さんで〜す』
「…は?」
岬の頭に、先程の会話がフラッシュバックする。
〝次は、ちゃんとやりましょう…?〟
〝うん。やろう。絶対。結花のぶんまで生きる〟
あれにみんな、賛同していなかったんだろうか。
『岬さん、遺言をどうぞ〜』
「許さないから。…みんな、ごめんね。人狼ゲーム、楽しかった」
そう言って、また消し屑のようにポロポロと消えた。
「岬…悲しいわ」
「そうね…」
そう雪菜とレイが言った時。
『ふ〜ん、本当、変わってるね〜』
『忘れたの〜?』
声のトーンが、フィルター越しに変わる。声色が変わる。さっきの明るい口調でも、軽い口調でもない。
「何?」
『___《《零花》》?』
デスゲーム4 その名前は
『__《《零花》》?』
声はあまりにも違っていた。今まで明るくてやわらかい、軽い口調だったフィルターを外したように。
「れい、か?」
そう結月が呟くと、レイは納得したように言った。
「__貴方は、わたしを殺す、いや、この世から消滅させるために、わざわざこんなのをしたってこと?」
『何か問題でも?』
何ら機械的な声が混じっていない、素の、人間の生声。幼い声なんかじゃない。明らかに、大人のものだった。
「貴方が、わたしを抹殺したくなる気持ちはわかるわ。でも、それは、結花や岬を殺して良い理由になんてならないでしょう?」
「レイ…?」
黒いモニターテレビに目が釘付けになっていたレイが、暦の一言で、振り返った。
雪菜を見て、暦を見て、結月を見て、フークを見る。
そして、ゆっくりと口を開いた。
「わたしが死んだ理由って、言ってなかったかしら?」
返事を待たずに、レイは続ける。
「いじめよ。飛び降りで死んだわ」
「わざわざ説明させるなんて、変わらないわね、《《佐奈》》?」
『…………チッ』
そんな舌打ち音が聞こえた。
「佐奈って?」
「わたしを殺したグループのリーダー。最近、わたしを殺した奴らの子供を行方不明にさせたの。それで精神を病んで、あの子達と同じ場所へ行くんだって死んだとか」
「だから、その復讐に?」
「多分」
そう言って、レイはさっと身構えた。
「下がってて。あのモニターテレビ、破壊させる。雪菜、お願い」
「なんで破壊をするのよっ?それじゃ、どうやって脱出させるのよっ」
そんなの問答無用で、
「氷攻『氷の札技』」
と雪菜がモニターテレビめがけて、氷の札を飛ばした。モニターテレビは呆気なく割れてしまった。
「雪菜っ」
「わかってるわよ。ちょっとじっとしててもらえる?遊符『あやとりの罠』」
レイの手から伸びた赤い糸は、結月たちを守るドームとなった。
「氷攻『アイス・ブリザード』」
「遊符『花火の吹雪』」
そう雪菜とレイが唱えると、あっという間に壁は破壊された。外はただの原っぱになっていた。
「結花と岬、返してもらえる?ほら、あなたには殺すことなんてできないでしょ?あの散り散りなんて、神様にうわべばっか言えばできるんだから」
割れたモニターテレビは、ずっと黙りこくっていた。その後、不利なのを感じたのか、結花と岬は現れた。
「うわっ!?」
「うおぉ。どっかに閉じ込められてたけど、戻れたーー!!」
そう言った後、パッとどこかから光が漏れ___
---
「あ」
気づけば、いつものところにいた。
竜頭蛇尾になっちゃった!許してね!!これで終わりだよ!次はいろはなのとこでやるよ!!
クリスマスの夜に
レイ**「ったく、なんでこんなことしなきゃなのよっ!!」**
怒りにまみれながら、レイは包装紙を切っていた。赤くて、ところどころ白い包装紙。100円均一はなんでも売っている。
雪菜「まあ、しょうがないでしょ。あんた、少女のフリした32さ」
レイ「ああん?あやとりの紐でぐるぐる巻きにしてやるわよっ!」
ちなみにレイは、少女の姿をした幽霊。12歳の時に死に、今の年齢は大体32歳になる。
レイ「そう言ったら、あんたもでしょ」
雪菜は、小5のときに凍死した。
雪菜「わたし?わたしはまだ16歳とかよ?」
レイ「フークは?フーク!」
フーク「え?わたしは…もう覚えてないわ、300は超えてるはずよ」
もうっと、レイは憤慨する。
レイ「みんな若いでしょ?フークはもうファンタジーよね、その歳は!でもわたしは32よ?アラサーよ?もうおばさんでしょっ!!」
雪菜「いや、それはアラフォーとアラフィフが怒ってくるわよ」
そうぶつくさ言いながら、年齢が《《比較的》》高いメンバーがせっせと包装紙をプレゼントにまとわせる。
結花「いや、そっちはいいじゃないですかぁ…」
結月「こっちは子どもなんです」
岬「しかも、小6と中1よ?16歳と32歳と300歳が大人しくやってよ」
雪菜「子どもは18歳未満、16歳も子どもよ」
暦「いや、ちびっ子ならわかるんですよ?でも…」
メンバーはサンタとなり、プレゼントを送る。
5歳6歳の子に…ではなく、小学6年生とその年上(一部小3)に、だ。同級生にサンタとなってプレゼントを送るようなもんだ。
暦「ええいっ、もう面倒くさいっ!」
ちなみに、メンバーはプレゼントを持ち寄ってきた。勿論自費だ。
そう言いながら、暦は自分の歴史ノートをぶち込んだ。
岬「あ〜…いいんですか?」
暦「いいよっ!!」
黄色とオレンジの中間ぐらいの色の表紙。歴史のノート。暦は歴史好きで、俗に言う歴女だ。ちなみに、歴女が過ぎてタイムスリップしてしまうとか…
結花「うい〜…は〜…」
そう言いながら、一通りプレゼントを詰め終える。
岬「これ、誰が届ける?」
結月「あ〜やば。家宅侵入罪とかあるじゃん、めんど」
フーク「わたしパスで。体力が全然ない」
レイ「一緒に動く?」
フーク「無理、年上を労って」
レイ「《《年寄り》》だからしょうがないわね」
フーク「うるせぇアラサー」
レイ「あ?」
火種がバッチバチに燃え盛る。あー、と一同は呆れの目で見つめていた。
結花「そういや、幽霊だから通り抜けとかはできないの?」
雪菜「あー、できないことはないけど。死んだら肉体は通り抜けられるけどね。わたしは今着てるのは幽霊用のじゃないんだ。わたし、ちゃんとした雪女じゃないから、支給されないんだよね」
岬「え、じゃあ」
雪菜「なんか今思考がなんとなく読めたから却下」
今、雪菜が着ている服は生前着ていたものをリメイクしたものだ。人間用で、通り抜けは勿論出来ない。
結花「いや、いけるんじゃない?」
雪菜「どうやってよ」
結花「ほら、全然更新されてない『異変解決!』とかに、境界の図書館から入る。そこに幽霊キャラはいっぱいいるわけだし、通り抜けできる服をもらってきたら?どうせ《《あの人》》、設定なんてそこまで深くいっぱい考えてないし」
雪菜「貴方頭いいわね」
岬「ああ、中学受験するんだっけ?」
結花「うん、まあ。それとこれとは関係ないと思うけどね」
結月「地頭が、もとがいいんだよ」
そう言って、火花を散らし散らかしているフークに声をかけた。
---
レイ「あーあー。なんでわたしまで行くのよ」
雪菜「だって、貴方も幽霊でしょ」
レイ「なら、あの世界から幽霊キャラを連れてこればよかったじゃない」
雪菜「巻き込むのは可哀想でしょ」
レイ「ならなんでわたしはいいのよ」
レイってアラサーなのか…
雪菜…若ぇな…もっと大人じゃなかったのかよ…
主人公交代
デスゲームが終わり、わたし・大橋結花は帰ることにした。
灰色の空間にある、7つのゲート。上には『雪女との物語』『レイとの遊び』などの、シリーズ名が書かれたカードがある。シリーズ名という名の、各々が帰るべき世界が。
『こちら、悩み委員会』のカードを確認して、わたしはゲートを通った。
--- * ---
わたしのゲートは、自宅にある。自宅の、自室。
「え?」
いつも通りの、白い壁だと思っていた。だが、そこはあろうことか、《《終末世界》》だった。ビルや建物が倒壊し、灰色っぽくなっていた。アニメや映画でよく見るタイプの世界だった。
「待って、ミスった?」
いや、確かに『こちら、悩み委員会』のゲートを通った記憶がある。ちゃんと確認した。戻ろうとして振り返ってみても、ゲートはない。
ゲートは|あいつ《作者》が集めると決めた時のみ存在する。もう|あいつ《作者》は、しばらくは集めようとは思わないだろう。
ってことは、どうやって行けばいいんだろう?終末世界が舞台のシリーズは、『雪女との物語』のはずだ。
「わ、誰?」
少し癖っ毛なボブに、オレンジのTシャツにデニムのズボン、スニーカーに灰色の大きなリュックサック。
「瑠芽、誰なのじゃ」
「知らないよ!ってか、雪菜は?」
「知らないのじゃ」
「雪菜っ」
もう確定的だ。わたしは、雪菜たちが存在すべき『雪女との物語』の世界に紛れ込んでしまった。
「わたし、結花っていいます」
「ユイカ…?なんて書くの?」
「結ぶに、花って書いて結花です。苗字はオオハシで、大きいに川とかの橋って書いて、大橋です」
「へえ、大橋結花。知らないなぁ。雪菜とは知り合いなの?」
「はい。えーと、名前は…」
「羽鳥瑠芽よ。羽に鳥に、瑠璃色の瑠に、芽が出るの芽」
「夜羽夢じゃ。夜に、羽に、夢で夜羽夢じゃ」
羽鳥瑠芽さんに、夜羽夢さん。わたしより年上っぽい。まあ、雪菜さんも16歳ぐらいだし、それぐらいの歳なのだろう。
「わたしは、雪菜さんと知り合いです。そもそも雪菜さんや瑠芽さん、夜羽夢さんたちは、『雪女との物語』というシリーズの中の登場人物です。『雪女との物語』は、|作者《むらさきざくら》が書いたシリーズです。|作者《むらさきざくら》は、他にもたくさんシリーズを作っています。わたしは、『こちら、悩み委員会』という、また違ったシリーズの登場人物です。『クロスオーバー作品』というシリーズがあって、そこで各々の主人公が交流する形になります」
あ、たぶんわかってない。
「まあ、簡潔に言うと、パラレルワールドみたいな感じです。絶対に交わらないけど、神様が世界を繋げると、交流できる、みたいな」
「まあ、なんとなくは」
「それで、各々の世界に帰る時は、ゲートを通ります。そのゲートにはシリーズ名が記載されてあって、ゲートを通って日常を過ごすみたいな感じ…まあ要するに、帰る世界を間違えちゃった、みたいな感じで」
「雪菜も、その…結花、か?の世界に迷い込んでしまった、のかもしれないのか?」
「うーん…よくわかんないんです。わたしも、自分がこの世界に迷い込んだ、ということしかわからなくって。|作者《むらさきざくら》が、集めると決めた時だけゲートが作られるんです」
「ああ…?」
うん、説明は難しいな…
「取り敢えず、わたしは自分の世界に戻りたいんです。雪菜さんも、そうでしょうし」
「まあそうだと思うよ。こんな終末世界、いたくないでしょ?」
苦笑いを浮かべることしかできない。自虐ネタなのかな。
---
「は…?」
中学校なのはわかる。坂白中学校、というのが校名らしい。
「八寺先生っ、なんか…」
うん、わかるよ、うん。
わたしは雪菜。先程、『雪女との物語』というゲートを通ってきてここに来た。
「なんか、桜井さんの席に…」
桜井?ってことは、ここは岬の世界・『リアル人狼』の世界か。
まあ驚くよね。同級生の席に、なんかめちゃくちゃ年上っぽい奴がいたら。しかも、制服なんて来てないし、白髪ロングだし、白い着物っぽいやつだし。ザ・雪女だもんね。
「…あはは〜…貴方誰ですか?」
「いや、わたしもよくわかんなくて…」
ああ、これはたぶん、アニメとかで良くある生徒指導室行って、話を聞いてもらうしかないよなぁ。
…面倒くさいなぁ。
---
「…えちょっちょちょちょっっと待ってぇええ!?」
待って待って待って、絶対おかしいよね?
わたし・桜井岬は、今、ピンチだった。あの人狼ゲームに参加したときぐらいピンチだ。
なんかめちゃくちゃ本が置いてあって、高い建物。ツリーハウス的な。図書館の貸出コーナーみたいなのがあって、わたしはそこにいる。隣にはなんか、ロボット。
「誰ダ」
「うわっ!?」
しゃ、喋った…
「また借りに来ましたよ〜って…だだだだだだ誰ぇええっ!?」
やばいって、戸惑ってる間に誰か来たって!なんかめっちゃ地味系図書室系女子なんだけど!?
「フーク…?じゃないよね」
「あ…桜井岬っていいま〜す…」
フーク?ってことは。
わたし、『境界の図書館』の世界に紛れ込んだ、ってこと?フーク曰く、「ログ(という名前のロボット)は頭がかったいのよねぇ〜。良美もいい子だけど、ちょっと融通がきかないのよね」とか言ってた気がする。
…やっばぁ…語彙力皆無のわたし、どうやって説明しよう…ハードモードすぎるでしょ…
---
「いやちょっと待って…」
辺りを見渡すとブレザーと学ラン。その中で1人、和風メイドっぽいコスプレイヤーっぽい変質者(←は?)
ふざけないでもらいたい。
たぶん、ここは中学校だ。周りは幼さと大人っぽさを兼ね備えている。ちなみにわたしは300歳を超えているから、だいぶ年下。赤ん坊同然だ。
近くにあった地図みたいな掲示板で確認をする。なるほど、この中学校は『楠木山中学校』か。ここは楠木山中学校が目の前にある、柵を超えたところ。下校中みたいだ。
楠木山中学校…結花は楠木山小学校だから、暦か。確かに、ときどき暦は同じような制服で来る。
「あれ…暦ぃー?」
暦の名を呼ぶ人がいた。
「暦を探しているのかしら?」
「うわ…」
面倒くさい奴に絡まれた、とでも思っているのだろう。まぁ当然だろうな、こんなオタクっぽいやつ。
「わたしはフークっていうの。貴方は?」
「え…橘紫」
むらさき…?|あいつ《作者》の手先でもあるのだろうか。
「橘は一文字で橘。紫も普通に紫で、橘紫です。暦は後輩だけど…」
「暦、知らない?」
「知らないから探してます」
---
ちょっと違う、というのは容易にわかる。第一、制服が違うのだ。
大崎中学校らしい。わたし・歴暦は、今ちょっとだけ戸惑っていた。別に偉人にタイムスリップするほど大ピンチではない。
ただ。
わたしは、楠木山中学校に通っている。大崎中学校は無縁…でもない。繋がりがふたつある。
まず、橘先輩の知り合いの…あっそうそう、田町彰子が通っている。
そして、知り合いの小柴結月が通っている。
というのはわかる。結月が言っている優恵もいるみたいだ。わたしは、たぶん結月の席にいる。
「わたし、今優恵の隣の席なんだぁ〜」と言っていた記憶があるから。
「…誰?」
「あっえーと…歴暦です」
「れきこよみ…?」
「歴史の歴に、暦は暦です」
「結月は?」
「わたしも探してて…」
あーもう、どうやって言おう。切り口が見つからない。とにかく、授業が始まる前になんとかしなければ。春原先生だったか?あの先生、結月の口ぶりからすると、割と理解がありそうだったはずだ。
---
「わ〜…」
ここ、どこだろ。なんか遠くに小学校が見える。
わたし・小柴結月は、学校に向かって歩いてみた。そもそもわたしは、大崎中学校に通う中学1年生なのだが…
「待って、何ここ?」
『遊ヶ丘小学校』
…めちゃくちゃ遊んでそうな小学校だな。苦笑する。
すると、記憶がフラッシュバックする。
〝いやぁ、遊ヶ丘小学校に遭遇するとは思わなかったわ〟
確か、レイはそう言っていた。
ということは…
わたし、レイの世界に異世界転移しちゃった!?他のシリーズと違って、固定メンバーいないし、やばくない!?超ハードモードじゃん、やだぁ!
---
はい。遊びじゃない感じがして、今わたしはちょっとだけピンチ。
「誰?」
いやまあそうですよね、としか言いようがない。
「えーと、わたしはレイっていうの。一応…」
あぁやばい。
確か、この子たちは小6、結花の友達だ。本読み女子が鈴原心葉、男子が彼氏(早くね?)の足立宙。
ちなみに、わたしは一応小6だ。正確には、20年前に死んだ小6だが。肉体は小6だが、中身は…はいそこ、それ以上言わない。
「結花の友達よ」
「結花の?いたっけな」
「あ…ここって、『むらさきざくら』って奴が書いた、『こちら、悩み委員会』っていうシリーズ…世界なの。貴方たちは、そこに住む人。わたしは、『むらさきざくら』って奴が書いた、また別の世界の人。『クロスオーバー』ってところで、各々の世界が交わるの。パラレルワールドって感じ」
「ああ」
流石です、本読み女子。その後、心葉は宙に淡々と説明をしていった。
たぶん、この様子だと、他のメンバーもやられちゃってるんだろうな。そう思いながら、心葉の力説を軽く耳で流した。
---
「まあ、やるにはやる方法はあると思う」
「え?」
良美が言った。ログも頷く(ふりをした)。
「どうやって」
「いや、この境界の図書館って、本を貸出できるの。その本に入ることもできるから、本に入って色々すれば…」
「でも、|あいつ《作者》って、ネット公開でしょ?」
「いや、パソコンでもなんとか行けたと思うし…それに、フークはネットで公開されたやつに許可取りして書き起こすから。気に入ってなかったとしても、主人公に抜擢されたことに浮かれてると思うよ」
意外だ。
「『リアル人狼』の世界線だっけ?」
「うん」
「ログ、検索、『リアル人狼』」
そう言うと、「『本探知機』ヲ使エヨ」と言った。「ああそうね」
『本探知機』という機械的なもので、検索したようだ。すると、手書きと思わしき『リアル人狼』が運ばれてきた。ふわり、ふわり。
「あ、これか」
「やっぱり。作者検索でもして、かき集めときましょ」
「うん」
6つの手書き本を集め、並べた。
「まずどこ行きたい?」
「『リアル人狼』に行く。そこにフークがいたら、交換されている可能性が高い。そこに違う子がいたら、ランダムの可能性が高いと推理できるし、説明だってしやすい」
あそこに雪菜かフークかレイがいることを祈るしかない。あそこのメンツは人生経験豊富だろうし。えーと、引く確率は2分の1、50%か。とんでもないギャンブルだな。
「ま、取り敢えずやってみるっきゃないでしょ」
そう言って、わたしはばたん!と入っていった。
---
「___というこt「ったぁ…っ!」
どすん、と思いっきり打ちつけてしまった。続いて、良美とフークがどんどんっと。
「きゃああっ…って、桜井さんじゃ」
「ああそうです、桜井岬で…っしゃっ!」
目の前にいたのは、滑らかな白髪ロングに長身の、この学校にはとてもじゃないけど合わない着物っぽいものを着た、雪女。雪菜。
「あ、50%に勝ったんだ」
「うふふ、うふふ、うふふふふ。やっぱ勘ね!」
「何?どういうこと?」
取り敢えず、語彙力が高い良美にまかせておいて、と。
「さ、桜井さん、どうしたんですか」
「あ、あはは〜。えーと、雪菜から来ちゃったこと聞きました?」
「ええ」
「わたしも雪菜と同じい環境で、どうにかして自分のところへ帰ってきたって感じですね」
「ええええ?どういうことどういうこと??」
もう面倒くさそうだ。
「雪菜!世界線に帰るよっ」
「え、どういうことよ、まだ説明もろくに理解していないのにっ!」
「取り敢えずもう面倒くさいし、えーと誰だっけ?ルリだっけ?ルリさんに会いたいでしょ!」
「ルリじゃなくてルメ、瑠芽よ!」
そう言って、良美が広げてくれた手書き本に、状況が飲み込めない先生を置いて飛び込んだ。
---
「あだっ」
「あら、慣れていないの?」
「2回目だよ」
ふわりとわたしは着地して、ゆうゆうと飛んでみた。するとやっぱり、瑠芽はいた。
「あ、ここは結花なのね」
こんな終末世界に紛れ込まされて、可哀想に。
「結花ー?」
「あ。雪菜さん!この乾パンおいしいですよ」
あ、そうか。瑠芽も夜羽夢も何も食べなくても生きられる肉体になったけど、結花はなってないのか。めちゃくちゃ遅かったら、結花は飢え死にするとこだった。危ない。
「うん、そうそう。ほら、雪菜も飢え死にしないとはいえ、なんかは食べたいでしょ?」
降り立って瑠芽がくれた乾パンを食べると、意外と美味しかった。
「最近、備蓄もおいしいですよね〜」
「え?もう数年前からこうなっているのじゃ…ああ、お主の世界はこうなっていないのじゃったな」
もそもそと乾パンを食べ終えると、良美と岬とロボットがよろよろで走ってきた。
「飛ぶのはっ…反則っ…」
「ごめんごめん、幽霊になると色々と感覚がズレるのよ」
「ひどいっ…あ、ここは結花なんだ、行く?」
「待って、乾パンだけ食べさせて」
「貴方よく食べるわね」
「せっかく冬期講習とか勉強とかしなくていいチャンスだから」
もぐもぐと結花は乾パンを食べていた。
「あ、もう行かなきゃじゃないかしら?元の世界に戻るために」
「ああ、もうやっといたよ。面倒くさいし、そろそろダレてきてる頃合いだろうし、飽きてきてるだろうし?」
「それもそうね」
そう言って、もそもそと乾パンを口に入れ込んだ。
1回データ吹っ飛んだので最後雑☆
一応 主人公→世界
結花→雪女との物語
雪菜→リアル人狼
岬→境界の図書館
フーク→偉人に転生なんてできません!
暦→不登校の日常。
結月→レイとの遊び
レイ→こちら、悩み委員会
初詣
1月2日。
「正月は好きに過ごして、2日に会お!良いお年を〜」
そう紫桜が言っていたのを思いだす。
「ほら雪菜ぁ、みんな来るんでしょ?」
「わかってるわよ、でも…」
ホウキを動かす手を止める。
「わたしだってこんな寂れた神社の掃除なんてしたくないわよ!!」
わたしが住む世界は、『雪女との物語』。地球が隕石により滅びた中、奇跡的に生き延びた(いや、わたしは死んでるけど)このメンバーで過ごしている。
「何なの?ここ、絶対人間来ないじゃない。第一、胸を張って人間って言えるのは瑠芽と夜羽夢だけじゃない!」
「何なのじゃ?本当に」
「ほら、早く!」
ちゃきちゃきとしたルナの声に押され、わたしは手を動かした。
その瞬間、ぽわんとゲートが開いた。刹那、雪崩のごとく人が押し寄せる。
「うっ…あ、明けましておめでとうございま〜す…」
最初に声を上げたのは結花だった。まだパジャマ姿だ。
「あ、明けましておめでとうございます、今年もどうぞよろしくお願いします」
かたすぎる始まりは暦。
「明けましておめでとう、今年もよろしくお願いするわ」
余裕を見せつけるのはフーク。
「あけおめことよろ〜」
若い感じの挨拶は岬。
「明けましておめでと〜!今年もよろしくっ」
元気な口調の結月。
「久しぶり。今年も色々遊びましょ」
ずいぶん変わっているものの、ちゃんと挨拶をするレイ。
「明けましておめでとう、今年もよろしくね」
そう言って、わたしはホウキをもたれかけた。
「明けましておめでとうっ、今年も色々よろしく」
最後に、紫桜が飛び出してきた。
「ったく、貴方のせいで掃かなくちゃなったじゃない」
「え〜、だって神社といったらここ!小町神社じゃん」
「まあ、利用客が増えるのは嬉しいことよ、ね?ラグナ、夜羽夢」
「そうなのじゃ」
能天気な神を置いといて、わたしは気持ちを切り替える。
「さっ、夜羽夢、お御籤ちょうだい。わたし、お御籤好きなのよ」
「あ、わたしも好き。ちょうだい」
紫桜が真っ先に、御籤箱に手を突っ込む。そして勢いよく手を掲げた。
「40番、大吉〜っと!えへへ、8年連続大吉なんだ〜(ガチ)勉学もいけるっと」
「あ、じゃあわたしも。3番、吉。よしっ、勉学イケる!」
中学受験勢は、喜びに満ちあふれていた。
「じゃあわたしももらうわ」
「あ、わたしもー」
「タダでいいよね」
「お御籤なんていつぶりかしら」
そう言って、各々お御籤を引いていく。
「じゃあ、わたしも引くわね」
そう言って、ガサゴソと箱の中を漁る。
『7番 小吉 仲間とともに過ごすと吉』
ネットインター
「ネットー?」
「ああインター、おはようご$’(#”…」
「おかしくない!?大丈夫!?」
「いえ、そんな&$’#”(”ことござ&”(!)ません…」
寝覚めが悪い。ネットが起こしてくれないからでしょ、と思っていると、何故かバグっていた。喋るたびに何故かノイズが聞こえ、歩くたびにギシギシと鳴る。
「そんなことないでしょっ」
そう言って、ネットに触れる。
「きゃっ、熱い。何なのこれ?熱?あんたアンドロイドでしょ?」
「知りませ$”’。人間のDNAが作動&#)”!!#’」
「えぇ?ちょっとっ」
「%’”)!&%8!”#$%&’()#&」
もう会話にならない程度だ。
「とにかく寝ててよ!いま治すから!」
「無理です、私には((#”(仕事$$’”!%”#$%&」
強制スリープモードはどうするんだっけ…
ネットのいる書斎は、技術本とパソコンと、充電用のコンセントのみ。ここは熱がこもるし、早く取り敢えず濡れた冷やしタオルでも持ってこなくちゃ…
ドアノブに手をかけようとしたその時、
「駄目&#$すっ!」
バッとネットが来る。
「きゃあっ!?」
勢い余って、倒れ込む。ネットがふらふらなせいで、余計に。
ドアが開いてすーすーする。
「いやああごめんネットッ!!病人…?アンドロイドだから違うの!?もうわかんないっ」
ひゅうひゅう言っているネットに馬乗りになっちゃったどうしようっ。この前感情機能とかをアップデートしたせいで、汗とか出てるし、めちゃくちゃ熱い。顔が真っ赤っ赤じゃん。
「ごめんいまどくっうわあああ!?」
どこうとしても、なんだかうまく行かない。どうしようあっついし!!ああ義足だからか!?本当不便すぎる!!
--- * ---
「ネット寝てて!!」
しばらく使っていなかったソファの埃をぱんっぱんと落とし、そこにネットを寝させる。問答無用。おでこに水で濡らしてしぼったタオルを畳んで置く。
「あとはえーと、何がいるの!?バッテリー!?えーとえーとえーとっ!」
「…不安で&#(す…」
と、取り敢えずバッテリー、接続コード?どこに繋げるんだっけ?あんま使ってないから…
「接続コード4AWは…背な&#)につ’”)!」
「背中!?」
4AWは、確か一時的にオーバーヒートをしずめるやつでっ。
「8QUは’”)!」
「なんてっ」
「おな’)かで)!!6’」
「お腹!?」
ああどうしよ、なんかアンドロイドでも服をめくってコードさすのはちょっとなぁ……
「えーと、どうやってさせばいい?自分でさす?」
「え……」
--- * ---
なんやかんやあって、ネットの熱はふつうに引いた。一旦落ち着いてもらって、コードを直してノイズも除去。すっかり元通りだ。…ちょっと心配だけど。
「大丈夫、ネット…」
「はい、大丈夫です」
「…ほんと?いっつも立って寝てるからじゃない?今日わたしソファで寝るから、布団で寝なよ」
書斎に布団を敷きながら言う。晩御飯はスーパーのお惣菜を食べた。
「大丈夫です。いつも慣れてるほうがいいです」
「いや、やめときなって」
「寧ろ、インターの体調が心配です。今日だって朝食と昼食を抜いて、お惣菜だけだったでしょう」
「本当っやめときなよっ」
「…大丈夫です。ならソファで寝ます」
「やめてって!」
しばらく押し問答が続いていた。
「……あ」
「え?」
ネットが黙り込み、少しだけ顔を赤くした。その後、耳元へ顔を持ってきた。
__「一緒に寝ますか」__
「え?」
…え?
**「えぇええぇえええ!?!?」**
「いいくらあんたが最っ高で最っ愛で世界一の相棒で4年一緒に歩いてきた相棒だろうとそれはどうかと思うけどっ!?」
「だから小声なんです…私だって譲れません」
でもあんた少しだけにやってしてるじゃん。
「…ああそうっ」
---
昨日はなかなか寝付けなかった。覚めたときにはすでに「インター、朝ごはんです。ピザ風トースト、たまごサラダ、それからケーキです」と言っているネットがいた。…昨日のこと忘れたのか?
「うん…いただきまぁす…え、トースト?たまごサラダ?」
いつもなら『鮭のお茶漬けとたくあんと野菜サラダです。トーストは栄養が偏っています。たまごは1日1個…』とか言ってるじゃん。
並んでるのは紛れもなくそのメニュー。赤いケチャップが塗られ、ハムとチーズがのっているトーストと、マヨネーズで混ぜたらしいたまごサラダ。
「今日はわたし、誕生日でもなんでもないよ?それに…」
トーストを齧って、たまごサラダをたいらげる。
最後の一切れまで食べた後、濁した語尾を言った。
「ケーキ?」
「ケーキです。作りましたっ…」
なんでそんな顔赤くなってんだよ。熱?そんなわけないよね?
「…いいから食べてください。生チョコケーキです」
「え、ほんと?」
禁止される前まで月1ペースで作ってくれてた、生チョコケーキ!
「ホール作りました」
ちゃんと円柱型の生チョコケーキが、目の前にでてくる。
「わぁ、ありがと。なんで?」
「…最近禁止していた分食べてもいいだろうと判断しただけです。貴方が好む味付けの傾向を分析して、配合を計算して作りました」
生チョコケーキを切って、フォークを入れる。うわ、濃厚ででもこってりしてないでめちゃくちゃ美味しい。甘い。でも甘すぎず、苦すぎずない。下のタルト生地も、バターが効いてて美味しい
「うん、美味しかった。ありがと。あとの分は10時のおやつとかに回すね」
「はい」
「なんでそんなしてくれるの?」
沈黙が流れ、ネットの顔が悪戯っぽくなった。
「貴方にとって私は、《《最っ高で最っ愛で世界一の相棒で4年一緒に歩いてきた相棒》》だから当然ですよ」
からかうような口調。
「そんなこと言ったっけ?」
「昨日の9時13分19秒から言いました。しっかり記録されています。いつも並べ替え機能で、1番上に来るようにしています」
「…へ!?」
途端、顔がかあっと熱くなる。
追い打ちをかけるように、言う。
「いま、貴方の体温と心拍数はともに…」
「やめてやめてやめてよっ!!そんなこと言ってないよ!」
「きちんと記録されています」
すると、昨日みたいにネットは耳元に顔を近づける。
「は!?」
「わあ、すごく熱いですね。アップデートしてくれたので、体温も伝わります」
「なっ…」
アップデートしなきゃ良かった。
「さて、次は何します?なんでも良いですよ。一緒に手を繋いで公園でも歩くとか、ピクニックに行くとか、一緒にショッピングするとか。夜はどうします、また一緒に寝ます?」
「ネット、あんたいい加減にしてよっ!」
「ふふ、冗談半分です」
え、冗談半分?
「嘘です、いま一瞬だけ落胆の感情がありましたよね」
「あーあーあー!!もうネット、一体わたしの遺伝子どこにあるの!?もうやめてよっ!」
ふふっと笑う彼女の目には、確かに人間の瞳が宿っていた。
---
また寝不足だ。昨日も結局、一昨日と同じように眠った。朝はもういつも通りのきゅうりスティックとかだった。でも大丈夫、まだ残しといた生チョコケーキがある。
「あ、仕事どうしよ…」
「大丈夫です。上の人に1週間有給をもらいました。別に仕事はないだろうし」
「え、使っちゃったの!?」
「駄目でした?」
ネットが台所から生チョコケーキを出した。置いて、わたしに近づく。
「今日は一緒に買い物しません?アップデートの影響で、私も汗をかいたりするので、換えの服が必要なんですよ」
「…最近距離感バグっていない?」
「残念、今回はそう簡単には解決できないんですね」
「…服、何買うの?」
「貴方に似合うと思ったものを少し。予算は大体8000円ぐらいあります。それと、今日は服を交換していきません?」
「え、同じじゃん、殆ど」
「したいんです」
…本当、最近のネットはちょっとだけおかしい感じ。ま、いいんだけど。
書斎で各々着替える。なんか、ちょっとだけネットのきつい?
「いえ、おそらく貴方は」
言わなくて良い。
--- * ---
「手、繋ぎますか?」
「みんな見てるんだからさ…」
でも、意外と女友達どうしもしてるっぽい?
「好きにやりなよ…」
「そうですか」
右手に手が触れた。なんかめちゃくちゃ強くない?気のせいか。
ショッピングモールは意外と広く、服屋さんもあった。いつも行ってるアパレル系じゃなく、ちょっとだけ流行りのやつ。デザインがおしゃれだったはず。
「私のはいいですから、貴方のを買ってください」
「え?」
「その代わり、いま私が着ているものを貸してください。少しゆとりがあって着やすくて」
「いいよ」
試着室で着替える。
「裾のレースと白いニットが合っていますし、デニムスカートも良いです」「ブラウンのジャンパースカート、似合っています。中に着ている水色のシャツも明るくて良いと思います」「その白いシャツはシンプルなので、こういった少しワンポイントのあるネイビーのジャケットや、パンツスタイルも似合います」と、とにかく事細かに褒め始める。なんか照れる。
「素が良いので何でも似合うと思います。予算も大丈夫です」
「えー。何がいいと思う?」
「それはもう、何でも。どんな貴方のコーデも素敵です。好きになりますから、私に選択権はそれほどないです」
「そう?わたしも」
「なら、ずっと着れるものを」
そう言って、ニットは傷みやすい、スカートは引っかかりやすいと言い、最後の白いシャツとネイビーのジャケット、灰色のパンツになった。
「良かったの?自分の買わなくて」
「はい」
話題のクレープを食べた。イチゴ生クリームのやつだ。「私は食べても…」と渋るネットを説得し、チョコバナナを買った。少しだけもらった。
その後、材料調達。成分表とかを素早く見ていたから、少しだけ嬉しかった。自分のために考えてくれている気がした。
--- * ---
「今日はありがとう、楽しかった」
「次はどうしますか。外食しますか。それとも、映画鑑賞ですか」
「あ、そうだ。好きなアニメの無料配信してたから、見よう。あと、映画も見たい。明日は一緒にゆっくり過ごそう」
「そうですね。それでは私は身体を拭きますので、お風呂でも入ってきてください」
「あ、もうこんな時間?わかった、ありがと」
入浴した後、キーマカレーを食べた。ぴりっとしていて美味しかった。
個人的にネットが攻めのほうが好き。
ネットインターじゃん。