140字とか詩とか短歌らしきものだとか
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目次
 
    
        星に
        
        
         捧げた心は、どこにも帰ってこなかった。星に果てたかどうかすら分からないが、月の傍で揺らめいているかもしれないと思うだけ。
 燃えていた火が消えたことを「どこかへ行った」と言わないように、移ろったのではないのかもしれない。
 それでも、湧き出る懐かしさには叶わずに。
        
    
     
    
        【写生文】照らされる言葉たち
        
        
         辞書には、言葉という言葉がぎっしりと詰まっている。その紙面を、机の上の照明が照らしていた。電光はページの中心まで届いていて、白と黒と時々赤で構成された紙面に、影を作る隙間を奪っていた。
 隣にはリングノートやシャープペンシル、ボールペンなんかが転がっていて、やはり紙面に影を残さないよう電光に晒されている。
 照らされる言葉たち。見開いたのは6ページ。始まりの言葉は、「相照らす」。互いに効果を与えあう、という意味。
        
            指示語があまりにも多いから修正しました。
        
    
     
    
        140字小説まとめ #1
        
        
        2023.10/9『星に』
捧げた心は、どこにも帰ってこなかった。星に果てたかどうかすら分からないが、月の傍で揺らめいているかもしれないと思うだけ。燃えていた火が消えたことを「どこかへ行った」と言わないように、移ろったのではないのかもしれない。それでも、湧き出る懐かしさには叶わずに。
2023.12/16『儀式』
煌めく。揺れる。何度も揺れる。息遣いに合わせて揺れる。雫形の赤い光が、闇の中を漂う。数個、端をちろちろと細かに揺らしながら、その場に鎮座した。微かな明かりを取り囲み、数人、儀式めいた唱歌を口ずさんでいる。それを終えた瞬間、静寂を飛ばす声がした。「お誕生日おめでとう!」
2023.12/17『いけないんだ、いけないんだ』
ずっと、ずっと、一緒だよ。大丈夫、怖くないよ。ここに居れば、温かいものが食べれるよ。お風呂もお布団だってあるよ。勉強だってしなくていい。お仕事だっていらない。それなのに、あの子はこう言ったんだ。「みんな、ここから出る方法が分かった」いけないんだ、いけないんだ。
2023.12/18『消える』
炎の中に、焼かれた鶏肉が吊るされている。脂が落ちて、炎がじゅわぁり燃え上がる。雪の降るような寒い夜でも、その灯りが美しい。仄かな心地が幸せで。漂う匂いを吸い込みながら、一口嚙り付こうとした。けれど、消える。だったら、もう一本。灯そうとしたのに。指先の震えが止まらない。
2024.2/3『オラクルカード』
「妖精よ、私の神聖なるスピリットを導いてください」海外の占いの道具。解説書を捲ると、こう唱えてくださいなんて書いてあった。正直こっぱずかしいので戸惑っている。もし日本でなじみ深い言葉にするなら、どうなるだろう。「お世話になっております……」私は考えるのをやめた。
2024.12/28『それはない』
才能がないと思う。ペンを置きため息をつき、天井を見上げた。私の世界はあまりにも狭い。それなのに少し目を下げれば世界中の才能が集まっている。それがどうしても許せなくて、腐った心が心臓にまで痛みを訴えた。泣きながら歪ながら、うんでいく。広がっていく。そして死んでいく。狭い世界の中で。
2025.1/6『止められない終わり』
死とは崩壊なのだと思います。永遠とは、壊れないものなのだと思います。ただ、続けてくうちに壊れる代わりに新しい芽が吹いて、緑を青々とさせているのだと思います。その壊れ方が壊死にならないように。新たなものが元あったものを壊さないように。私たちは、そう願うばかりです。
        
    
     
    
        書く習慣より #1
        
            「書く習慣」というアプリで書いたものです。
毎日お題が出されるので、それに沿って好きに文章を書こうというアプリです。
        
        
        2025.1/14『そっと』
触れる。
撫でる。
抱きしめる。
囁く。
愛でる。
口付ける。
応援する。
見送る。
独りごちる。
涙を流す。
---
2025/01/16『あなたのもとへ』
名前を書く。文章を書く。祈るように書く。一つ一つ、口にするのは照れくさい言葉たちを。
普段は言えないこと。振り返らないと忘れそうなこと。忘れたくないこと。大切に思っているという言葉。真っ黒なため息が染み渡る。
……。
しばらく余韻を置いて、私の名前を書く。色のない世界で彩る。そして香りで封をする。
直接じゃないけれど、消えない言葉たちが。今すぐじゃないけれど、ゆっくりと、ゆっくりと。あなたのもとへ駆けていくよ。
        
    
     
    
        書く習慣#2
        
        
        2025.1/17『透明な涙』
 濁ったものから流れているのに、どうしてこんなにも透き通っているのだろう。何も無いと思っていたはずなのに、こんなに塩っぱいものが零れ落ちるのだろう。
 空っぽだと思うことすら贅沢だと叱るみたいに、「何も無いなんてことないよ」と慰めてくる。放っておいてくれと頼み込んでも、ただ苦笑いを浮かべるだけで。「傷つく心があることは、空っぽじゃないんだ」と笑いかけてくる。
 何も無いと思えた方が楽なのに、苦しくて正しい道を進ませようとしてくる。
 大嫌いだよ、お前なんて。
 偉そうなんだよ、傷付いてる時にしか出てこないくせに。
 贅沢なんだよ、俺より綺麗な名前しやがって。
 クソ、クソ。
 お前のお節介のせいで、変にスッキリしちまうだろ。
 クソッ。
 明日からまた飯食っちまうだろ。
---
2025.1/21『明日に向かって歩く、でも』
 一歩一歩歩く。水溜まりに長靴が入る。ぱしゃん、ぱしゃん。アスファルトの穴ぼこに、昨夜溜まった雨水が。泥混じりになって跳ねていく。
 楽しそうに歩く。もう一度跳ねる。水溜まりの映していた空はまだ灰混じりの青。
そうして遊んでいたけれど、駄菓子屋に行くことを思い出して。それと喉が渇いたなあと思って、自販機までぺたぺたと走っていく。
 ちゅんちゅんと鳥が鳴く。ふと後ろを振り返る。まだ羽根が濡れている雀が雲の中へと。
 一歩一歩歩く。水溜まりに革靴が入る。じゃぶ、ちゃぷ。スマートフォンから目を離して眉間に皺が寄る。泥の混じった革靴が水たまりから離れていく。
 疲れきって歩く。靴下がほんの少し濡れている。水溜まりの映していた空は星よりも街灯の色。
 昔は遊んでいたけれど、今はもうすっかり忘れてしまった帰り道。はたと立ち止まってはまた戻って、水溜まりを覗き込んだ。
 夜のチャイムが鳴る。もうすっかり遅い時間だった。泥混じりの水たまりが、また少しずつ辺りの景色を映し出し始めた。
 ぱしゃん、ぱしゃん。
 一歩一歩歩く。明日に向かって歩く。でもほんの時々は、楽しかった昨日のことも忘れないように。
        
    
     
    
        君の声がする
        
            ざかざか一発書きするのが一番楽しい
        
        
        「大丈夫?」
 懐かしくも吐き気を催す声に、私は息を詰まらせた。苦しみが襲い掛かる。心臓が早鐘を打つ。
 暗闇の中に縮こまり、目を瞑る。両手で耳を塞ぐ。涙が瞼の隙間から流れて、膝に落ちた。
 駄目だ。安心してはいけない。分かっているのに胸を締め付けられてたまらない。
「怖かったね」
 囁くようなのに、耳を塞いでいるのに、微かに聞こえるあの人の声。私の前に現れるはずもない声。扉越しにカリカリと引っ掻く音。
「迎えに来たよ」
 縮こまって震える。神様。神様、神様。喉の奥ですらバクバクと音が打ち付ける。
「ね」
 ――私の名前。私の名前が聞こえる。何度か呼んでくれた記憶の中ですら聞いた事のないような、ほんの少し甘い意味を持った呼び方だった。
 私は思う。……この声は、本物のあの人かもしれない。
 それと同時に否定する。本物なら私の目の前に居るはずがない。あの人は……あの人には。
 私が好きになるより先に、あの子が居たもの。
「ねえ」
 また名前を呼ばれる。私を連れて行こうとする声部屋の本棚から一冊落ちる音。カリカリ引っ掻く音。
「早くおいで」
 優しい声。本物のあの人よりも。
「会いたいよ」
 心臓が逸る。逸ると同時に私は落ち着き始めていた。そして少しずつ、思い出す。……そもそも、怖がることなんてあっただろうか。
 だって、私は。私は。
「ねえ」
 耳を塞ぐ手を退けて、問い掛ける。引っ掻く音が止まる。
「そっちに行ったら、どんなこと、してくれる?」
 喉が渇いている癖に汗が噴き出す。少し笑うような声がして、彼が答えた。
「なんでもしてあげるよ。君が望むこと、全部ね」
 夢でも見ているような心地に陥りながら、私はドアノブへ手を伸ばす。
「…………嘘でしょう?」
「……嘘じゃないよ」
 一拍して答える声。私は笑いかける。幽霊だってなんだって良かった。
 「嘘でもいいの」恐怖が収まる。どころか涼やかな風になだめられるような心地すらある。手の震えが収まって、息が漏れた。
「連れてってくれるなら……何も感じなくなるなら……なんだって」
 あの人の傍に着いていくのを止められるなら、死んだっていいって思ったから。むしろそれが正しくて、だからここへ来たんだねとすら思う。私を迎えに来たんだねと。
 もう、邪魔にならないねと。
「迎えに来て。――」
 あなたの名前を呼ぶ。目を瞑るとあの横顔が強く思い浮かぶ。口角が上がる。涙が流れる。大丈夫だと思う。幻だとしても。
 立ち上がる。ドアノブに手を掛ける。
 よくよく聞き慣れたキィと押し出す音が、スローモーに。
『君の声がする』
        
            正式なタイトルは『君の声がする』です。最後に書いてあるものは描写ではなくタイトルとして記載した感じ。
書く習慣というアプリからいただいたお題をそのままタイトルにしました。