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目次
ハルヒ探偵事務所の日常 プロローグ
**プロローグ ハルヒ探偵事務所**
ある町の中心部に、『ハルヒ探偵事務所』という看板が掲げられている。
これは、探偵とその助手が、様々な事件を解決する物語である。
今日も2人は、依頼人が来るのを心待ちにしている。
「__ちょっとハル! ワタシのおやつ食べたでしょっ!」
「__違う違うっ! ボクは、えーとねぇ、そのー……」
「__ネタは上がってるんですよぉ! 覚悟してください!」
「__うわぁあああああん!」
ハルヒ探偵事務所の日常 #1
早速、第1話だぜぃ!
**第1話 ドーナツと喧騒**
今日も『ハルヒ探偵事務所』は騒がしかった。
「ハールーっ! またワタシのドーナツ食べたんですかぁ?!」
「へっ?」
探偵の|春日《かすが》メイが、その助手の篠原ハルに詰め寄る。余りの気迫にハルは間抜けな声が出てしまった。
(ヤバい。これはヤバいぞ……)
内心焦りつつ、一旦すっとぼけてみる。
「……いやぁー、ちょっとよくわから__」
「惚けてんじゃないですよ! バレっバレです!」
一刀両断された。言い終わることさえできなかった。
もーっ、と鼻息を荒くして、メイはまくし立てる。
「まず、第一容疑者はどー考えてもハルなんです! 常習犯だし、捜査線上に真っ先にあがる!」
「でも、ボクじゃない可能性だってあるのでは……? 猫とか鳥が盗っていった、とか」とハルが挙手をする。
「確かにそれも考えました。けれど、このドーナツの器を見て! 指紋がついてるでしょ? ここにはワタシと貴方しかいない! つまり、貴方しかあり得ない! というか、口元に欠片ついてますし」
「えっ、嘘」
ギクリ。慌てて口に手を当て、取ろうとする。
すると突然、
「__騙されましたね」
とメイが言った。顔を向けると、ニヤッと笑っている彼女の整った顔が目に入る。
「……へっ?」声が漏れた。
その腑抜け面を見て、メイの口角は更に上がる。
「ドーナツの欠片なんてついてませんよ。ちょっと鎌をかけてみただけです」
余りにも平然と告げられたので、余計理解に時間がかかった。
3秒ほど経ち、ようやく分かる。
(なるほど。コイツ、騙しやがったのか……)
悔しい。だが、それ以上にハルはこう思った。
(やっぱり、うちの探偵は凄いなぁ)
鼻歌を歌いながら推理小説を読み始めたメイを見て、そんな彼女の助手であることが嬉しくなった。
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↑2人のビジュです!
上から順にメイ、ハル。
ハルヒ探偵事務所の日常 #2
**第2話 リボンと|春昼《しゅんちゅう》**
春の昼下がり。天気は上々。子供なら、大喜びで公園にでも遊びに行っているのだろう。
一方、こちらは『ハルヒ探偵事務所』。
「暇ですねぇー……」
「だねぇー……」
メイ、ハルの順に小さく呟く。
2人して微睡みの世界を彷徨っていた。
なんせ、依頼人がちっとも来ないのだ。
つけっぱなしのテレビからは、犬特集なのか、忙しなく鳴く犬の声がする。
(犬飼いたいなぁ……けど、この建物ペット不可なんだよなー……壁が薄過ぎて近所迷惑になる、って前にメイに言われたっけ……)
ハルがぼんやりとそんなことを考えていると、ノック音がした。
睡魔を押し退け、凄まじい反射神経でメイが飛び上がる。
「はーいっ! どうぞお入りください!」
声を張り上げると、少女が入ってきた。
「……っし、失礼します」
声がやや上擦っている。緊張している様だ。
眠気が覚めたハルが「大丈夫よー、コイツはともかく、ボクは安全だからさ」と諭す様に言い、メイは「いやいや、ワタシこそ超安全ですよ。ていうか、盗み食い常習犯が何言ってるんですか」と反論する。
間の抜けた会話に緊張がほぐれたのか、ふふっと少女が笑う。
それに安心し、一旦「ワタシは春日メイ。探偵です」と言う。
次いで、「ボクは助手の篠原ハルだよ!」とハルが笑いかける。
流れを察したのか、「私は、|佳凪《かなぎ》|穂加《ほのか》です」と少女__穂加さんも名乗った。
「穂加さん、ですね。盛夏学園の、中等部の1年生ですか?」
「えっ? は、はい」
見事言い当てたメイに、穂加さんは呆然とする。それに気づいたメイが、
「えーと、まずこの辺りは盛夏学園の学区です。セーラー服を着ていることから中学生というのも分かる。あそこはセーラー服が可愛いことで有名ですしね。更に、リボンの色が学年別なんですよ。1年が臙脂色、2年が藍緑色、3年が山吹色、という風にね。貴方は臙脂色のリボンなので1年生なのだろう、といった具合です」
「な、なるほど……」
感嘆する彼女を見て、
(やっぱり、信頼してもらうには初めに何かを言い当てた方がいいですからね……流石に毎回はできませんが)
としみじみ思う。
ここぞとばかりにハルが促した。
「うちの探偵、凄いっしょ? ここに来たってことは何か悩みがあるんだろーし、とりあえず話してみてよ」
「は、はい」
小さく頷き、彼女はぽつぽつと話し出した__。
や、やっと書けた……!!
ハルヒ探偵事務所の日常 #3
**第3話 キーホルダーと愚問**
依頼人の彼女__|佳凪《かなぎ》|穂加《ほのか》さんは、依頼内容を話す。メイとハルは聞き役に徹することにした。
「__えと、私、実はキーホルダーを失くしちゃって……友達とお揃いの、大事な奴なんです。失くしたのは、確か3日前でした。水曜日は|陽毬《ひまり》__あ、私の友達です。その子が部活で一緒に帰る相手がいなかったので、1人で帰ってたんです。それで、信号待ちしてるときに、ふとキーホルダーのことが気になりまして。
前に一回、落としたことがあるんです。そのときはすぐ気づいたし、クラスメイトが拾ってくれてたみたいで、早く戻ってきました。
あ、話が逸れてしまいましたね、すみません……。それで、確認したら__なかったんです、キーホルダーが。慌てて来た道を辿ってはみたんですが、やっぱりなくって。親は仕事で家にいないので、一旦荷物を置いてからは宿題そっちのけで探しました……でも、見つからなくて。途方に暮れていたら、ここを見つけて。ダメ元で頼んでみよう、と思って入って、今に至ります」
そう締めくくり、|穂加《ほのか》さんは口を閉じた。メイは頭の中で情報を整理している。
沈黙を破ったのはハルだ。
「なるほどね! つまり、大切なキーホルダーを失くしちゃったから、探してほしいって訳だ」
ざっくりとまとめたハルに、|穂加《ほのか》さんはこくりと頷く。
「そんで、この依頼受けるー、メイ?」
ハルがメイを見やる。もちろん、メイの答えは決まっていた。
「愚問ですね。__受けるに決まっているでしょう? 第一、ハルヒ探偵事務所は年がら年中金欠ですし」
自虐するような笑みに、ハルは「その通ーりっ!」と楽しげに笑った。
|穂加《ほのか》さんは、そんな息ぴったりの2人を見て、もう完全に警戒が解けたみたいだった。
実は友達の名前勝手に決めちゃったんですけど、大丈夫でしたかね……?
嫌だったら教えてくださいm(__)m