廃工場に呼び出された男女達。
そこで待っていたのは1人の「道化師」だった。
その道化師は言った。
「僕から逃げてみてよ。僕から逃げ切れたら願いを1つだけ叶えてあげる。なーんでもさ。富、名声、なんでもいいよ。…でも逃げ切れなかったらそこでおしまい。この世とおさらばさ。残忍な「拷問」でね…」
妨害あり、裏切りあり、拷問ありのピエロと鬼ごっこのはじまりはじまり____
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目次
PROLOGUE
「郵便でーす」
十数人の男女達に突如届いた一通の手紙。
______________________
〜招待状〜
■■■様
ゲームのご招待
日時 2025年11月04日
場所 ■■県●●市1-1 ▲▲スーパーの裏の廃工場
ゲーム 鬼ごっこ
条件 絶対に誰かと来ない
誰にもこの事を教えない
条件を破れば生命の保証はしかねます。
皆様の参加、お待ちしております。
道化師くん
______________________
裏にはこう書いてあった。
『`生き残れば絶対に願いを叶えてあげる。でも負けると■■■`』
負けるとの次は赤で塗りつぶされている。
これはどこかでひっそり行われた道化師くん達の鬼ごっこのお話。
ー廃工場の道化師くん 開幕ー
ボロ工場
2025/11/4 廃工場にて
---
廃工場には多くの男女が集まっていた。
外国籍のような人、優しそうな人、無表情の人などいろいろだ。
誰も話すことはなく、しかしとてつもない殺気を放っている。
そろそろ誰かがキレ出しそうだ…
そんな時、突然電気が消えた。
どよめく男女達。すると廃工場の2階、1階が全て見下ろせるような場所にスポットライトが当てられた。
???「やあやあ皆さん、ようこそお越しくださいましたぁ〜⭐️」
やたらと明るい話し方に服装は|道化師《ピエロ》だ。着ぐるみを被っているのか、体が膨らんでいる。
「僕はどこにでもいるピエロくん!なんとでも呼んでね〜⭐️…で、ここにいる皆さん、"あのお知らせ"を見て来たっていうことでいい〜?」
全員が無言で頷いた。
「じゃ〜あ、自己紹介から始めてもらおうか!では、そこのお嬢様から時計回りで〜!」
「アタクシはフォンデ・オア・シュチュロアートよ。」
「俺は袋小路 災無。適当に呼べ。」
「こんにちは…真珠です…」
「自分は凪依宙と申します〜。お見知り置きを〜」
「わは、ワタシ飛龍ネ、よろしク!」
「初めまして。私は風祭樹里。よろしくねっ。(ニコッ」
「よっ!俺は金成コインだよ〜よろしく」
「私?已儚深環だよ!よろしくね~!」
「始めまして。僕は響夜···。よろしくね。」
「俺は魁見宵〜。あは、よろしくねぇ♪」
「私はアーサー・ブレイクウッド、よろしく頼むよ」
「…ああ僕?僕はそめだよ~!」
「ミカなのさー!頑張るさー!!」
「俺は東雲透だ。どうもよろしく。」
「俺は立宮符良音だ!よろしく頼む!」
「金堂です、よろしくお願いします」
「こんにちは。私は蛙咲詩穂。」
「みんな終わったかな⭐️じゃあ、ルール説明をします⭐️」
ピエロは全員を見回して言った。
「僕から逃げてみてよ。僕から逃げ切れたら願いを1つだけ叶えてあげる。なーんでもさ。富、名声、なんでもいいよ。…でも逃げ切れなかったらそこでおしまい。この世とおさらばさ。残忍な「拷問」でね…」
中々台本的な言葉だ。実際台本だろう。
「はぁ?!」
声を荒げたのは凪依だ。
「いきなり死ぬ程遠い廃工場に呼び出されたかと思えば、知らんピエロと鬼ごっこしろだぁ?自分そーいうの無理です。」
「まあまあ、大丈夫さー!ミカは頑張るけど、あんたは違うのさ?」
「わは、大丈夫ヨ!」
2人に諭された凪依は宮野と李を見ると、小さく舌打ちをして前を向いた。
静かになると、1人が口を開いた。
「質問はいいか?」
アーサーだ。
「どうぞ⭐️」
「本当に願いは叶うのか?後から嘘だなど言われたら余りに|コストが大き《ハイリスク》すぎる」
「本当だよ〜⭐️僕は嘘を吐かないんだ⭐️」
ニコニコ笑顔で肯定するピエロ。正直ちょっと怖い。
「なんでも…なんでも、叶えてくれるの‥?本当に‥?それなら、あの子ももしかして…。
__……どんな手を使ってでも、生き残ってやる‥!!__」
「………、ピエロね。__死んだら、解放されるのかな。__」
「····クリアすれば、どんな願いも叶えてくれるんだよね。············分かった。」
「それぞれ思いはあると思いますが〜、鬼ごっこを始めま〜す⭐️じゃあ定番の30秒数えるから、みんな逃げてね〜⭐️」
そう言ってピエロは柱の方に向き、30秒数え始めた。
「…逃げるか。」
そう言ったのは誰だったか。
その言葉を切り口に、全員が走り始めた。
解釈違いなどありましたらご連絡ください。
未知と道
コロコロコロ…カツン。
無造作に蹴った小石が何かに当たる音がする。
金成こいんは工場内を探索していた。
どうやら服を作る工場だったらしく、そこらに布が散らばっている。
中には不気味な物もあり、静かな工場内とマッチして怖さが倍増している。
バサッ…
いきなり目の前に白い何かが現れた。
「ひゃああああああああああ!お化けぇ…ってただの布かい!」
どうやら風に吹かれた様だ。
すると、布の裏からぬっ、と人影が現れた。
今度こそ本物か…と身構えるが、出てきたのは幽霊でもお化けでもなく、参加者の人間だった
東雲透である。
「おお、こりゃびっくりした」
声に出してオーバーに驚く透に声をかける。
「おお、透さん。さっきぶりです。」
「敬語は使わなくていいよ。こっちも落ち着かなくてね。」
「そう…すか。じゃあ遠慮なく。」
少しだけ体の力を抜くこいんに尋ねる。
「お前さん、順調かい?」
「まぁ…ちょいホラーなところが多いかな。」
少し考えてから答えたこいん。
「へぇ。そりゃどっちも気をつけにゃね。じゃ俺行くわ。」
手をひらっと振って歩いていく透を見送ってからこいんも歩き出した。
---
そしてまた暫く歩くと、タッタッタッ…と一定のリズムで刻まれる足音の様なものが近づいてきた。
後ろを振り返ってみると…
ピエロが居た。
迫ってくるピエロ。正直めっちゃ怖い。
「おっ、居た居た〜⭐️」
「う、うわぁぁあ!」
今日はなんだか矢鱈と悲鳴を上げる日だ。
場に合わない呑気なことを考えながら、こいんはダッシュで逃げ始めた。
ピエロはどうやら走るのが苦手らしい。ただ、気配を消すのが上手い。足音がなければきっと気づかなかった。
スピードを少し上げて角を曲がると…
朝景響夜がいた。
「響夜サン!ピエロ来てる!逃げよう!!」
響夜は驚いた様に目を見開いた後、頷いた。
「えっ…!…わかった。……こっちにバレにくそうな部屋があったから、そこに行こう。」
「わかった!」
その部屋までダッシュで向かい、廊下から見えない場所で息を潜める。
心臓の音だけが大きく聞こえる。もう聞こえているんじゃないかというぐらいだ。
てく…てく…てく…
足音が遠ざかっていく。
「ふぅ…行ったみたいだな…」
「……そうですね。……なんで、僕を助けたの?……言わなければ、……自分の願いを叶えられるかもしれないのに。」
こいんは突然の問いに少し考えてから言った。
「俺は…人の為に尽くすと決めた。晴奈はそう願ってるはず…」
「……?…晴奈って、誰?」
本当に純粋な疑問の様に尋ねる響夜。
「……はっ!なんでも無い!忘れてくれ!」
こいんは焦る様に訂正した。顔色が真っ青だ。
「……わかった。……じゃあ、行こうか。」
「あ、ああ」
こいんは深呼吸をすると、前を向いた