そのうち何個か投稿していこうと思います
1話完結です
続きを読む
閲覧設定
名前変換設定
この小説には名前変換が設定されています。以下の単語を変換することができます。空白の場合は変換されません。入力した単語はブラウザに保存され次回から選択できるようになります
1 /
目次
Re:カイブツ
こんにちは~おとろみです
初ホラー
「|菊花《きっか》|咲舞《えま》です!東京から来ましたよろしくお願いします!」
温かい拍手に迎えられ、新たな場所で私の学校生活がスタートした。
---
「菊花さん!よろしくね!」
「うん!こちらこそ!」
こんな見ず知らずの私に話しかけてくれたその子は、"ゆわ"というらしい。
ゆわちゃんは一日中、一緒にいてくれた。明るいくて、すごく優しい子だった。これからもっと仲良くなれたらいいな♪
---
「ゆわちゃ~ん!おはよ!」
「あっ菊花さん!おはよ!」
「今日も一緒にいていい?」
「もちろん!」
「ありがとう!」
授業が始まり、静かになった教室には、先生の声が響く。
今日は天気が悪く、教室が少しだけ薄暗くなっていた。
「菊花さん!大丈夫?」
ウトウトしているといつの間にか授業が終わっていたようだ。
「うん!へーき!ちょっと眠かっただけエヘヘ」
「よかったぁ具合でも悪いのかと思ったぁ」
「アハハ‥‥あ、‥‥ト‥‥ト‥‥」
「ト?」
「トイレ行きたい‥‥」
「え行こ行こ!案内するよ!」
「ありがとう~っ!」
ゆわちゃんに案内してもらい、トイレへ駆け込んだ。
「ウソ!?めちゃ混んでるぅ」
「ホントだ‥‥菊花さん、別のとこ行く?」
「いや、4番目のとこ、空いてる!」
1つあいてるのになぜか誰も入ろうとせずに並んでいる。
「待って!菊花さん!4番目のトイレはだめ!」
「え?なんで!?」
「‥‥オバケが出るっていうウワサがあるの」
「それってウワサだよね!?もしいたら友達になっちゃえばいいだけっしょ!」
ウワサなんか信じてたまるか!そんなことより私の膀胱が破裂するってぇぇぇぇぇぇぇ!!!
何か騒いでいるゆわちゃんの声を背に4番目のトイレに駆け込んだ。
(なんだ‥‥なんもないじゃん)
用を済ませ鍵を開けようとした、その時だった。
背後から寒気と同時に不気味な音がしたので、振り返ってみるとお化けとも妖怪とも異なる形態の大きな怪物が、そこにいた。正直、気持ち悪い。
助けを呼ぼうと声を出そうとするが金縛りにあったみたいに身体が動かない。
(‥‥ゆわちゃん!助けて‥‥っ!)
怪物は何か言葉を喋っているようだ。でも聞き取れない。顔がどんどん近づいてくる。
(…やだ!やだ!来ないで!来ないでっ!)
`**「オ…オ…オトモダチ‥‥ダネ♡」**`
私の耳元で怪物はそう呟いた。
(と、トモダチ!?なんでっ!?なんでっ)
気付くと怪物は消えていて、私の身体も動くようになっていた。
外へ出て、ゆわちゃんの姿を見るなり私は全身の力が抜けていくのを感じた。
「菊花さん!大丈夫!?なんもなかった!?」
───どうしよう‥‥あのこと言った方がいいのかな‥‥でも、心配させたくない
「うん!全然なんもなかったよ!」
「そっかぁ!遅かったから心配したんだぁ!よかった!」
「教室戻ろっか」
「うん!」
これでいい…これでいいんだ
---
「え!?菊花さん!?大丈夫!?」
「あ、おはよ~ゆわちゃん。大丈夫~ただの寝不足~」
「そっか!すっごいクマだからビックリしちゃった!」
ほんと、迷惑な話だよね。昨日の夜、やたらと脳内をあの怪物がちらついて眠れなかったのだ。
「ねぇねぇゆわちゃん」
「なぁに?」
「4番目のトイレってなんでオバケが出るってウワサがあるの?」
「え?なんで知りたいの?」
「え、あ、その、ちょっと気になっただけ」
「そっか!あのね、あそこはね、昔ね、1人の女の子が自殺をした場所なんだよ」
「え!?」
「この中学校の教室棟2階女子トイレの4番目の個室はダメって先輩方から教わったの」
「そっか…そんなところに私は昨日‥‥」
「あはは!ビックリしたよ私!無事でよかった!」
ほんと、死ななくてよかった‥‥まじ怖すぎて萎える‥‥2度と行かないからぁ
---
だけど、本当に恐ろしいのはここからだった。
《《みえる》》ようになってしまったのだ。
あの怪物を。
トイレで見たあの姿。あれは一部分でしかなかったのだ。実際は、あの数倍もあった。
---
「菊花さん!荷物運ぶの先生に頼まれたんだけど手伝ってくれる?」
「もちろんいいよ」
ゆわちゃんはなにも変わらない。他のみんなも変わらない。私だけが《《みえる》》ようになってしまった。
どういうことかって?
トイレだけじゃない、廊下にいたり、道端に突然姿を現したりする。
あの日から2週間ほどたった。日に日に出会う回数が増えているのだ。
前みたいに言葉を話す訳でもなく、ただただそこにたたずんでいるだけ。
最初こそ驚いたものの直接的に害はない。だから少しずつ慣れてきた。
このまま消えてくれたらいいなぁなんて思ったりする。でもその考えは甘かった。
「ありがとうね!」
「いいえ~役に立ててよかった」
荷物運びを手伝い終え、ゆわちゃんと話しながら教室へ向かう。
その時だった…
(また《《いる》》…っ)
廊下の壁際にたたずんでいる怪物。
いつもと同じかと思った。でも今回はガッチリと目があった。
それと同時に怪物は気色悪い笑みを浮かべ、口を開いた。
**`「オトモダチ…見ィツケタ♡」`**
背中に寒気が走った。変な汗がダラダラと出てくる。逃げたいのに足が動かない。
「どうしたの?菊花さん顔色悪いよ」
「えあ、そ、そう?だ、大丈夫だよ?」
(なんでこんなでかいのが見えないの!?おかしいっ!おかしい…っ)
`**「エマチャン♡ダイスキ♡」**`
(なんで私の名前知ってんのっ!?やだっ!きもい…っ)
「菊花さん?大丈夫じゃないよね…保健室行く?」
(それどころじゃないってば!!やだなんでこんな目に会わないといけないの…っ)
「菊花さん!どこか痛いの?そんなに涙出るくらい痛いなら保健室行こ!」
ゆわちゃんに手をひかれ怪物との距離が開く。
追いかけては来ない。よかった…
(ゆわちゃんナイス!)
---
「どこか痛い?」
「えっと…少し気持ち悪いだけです…」
「そっか。じゃあ少し様子見て、もしだめなら早退しよっか」
「…はい」
保健室の先生の優しい声が胸に広がっていく。その温かさに涙が込み上げてきた。
「菊花さん大丈夫?」
「はい、少し安心しただけです」
「ウフフそっか」
あぁ帰りたいもうダメ。もし気持ち悪いのが治っても具合悪いフリしよ。ふと顔を上げると目の前に怪物がいた。
(い、いつの間に!?やだなんで!?近い!!)
また目があう。視線から外そうとしたが、顔が動いてくれない。
(助けてっ!先生…っ!!)
声が出ない。首が絞められているみたいに苦しい。うまく呼吸出来ない。
(やだやだやだやだやだやだやだぁぁぁぁっ!!)
**`「エマチャン…遊ボ、遊ボ」`**
(…早く|保健室《ここ》から出ないと…っ!死んじゃう!ねぇ…助けてよ…っ‥‥)
「せん…せ‥‥い……たす…けて……っ」
絞り出した声はかすかすだったので先生には届かない。
(ハァハァハァ……もう…こんなのやだよ…)
(お願いっ!!私の体動いてよ…っ!!)
「菊花さん気分はどう?」
(せ、先生!)
気付くと怪物は消えていた。ついため息が出てしまう。
でも今はとにかく早く保健室から離れたかった。
「先生、だいぶ楽になったので教室戻っていいですか?」
「あら、本当に?まだ顔色が悪いようだけど…」
「はい、大丈夫です」
「そう?じゃあまた辛くなったらいつでもきてね」
「はい、ありがとうございます」
失礼しました、と言って地獄の保健室を去る。
(やったぁやったぁ乗り越えたぞ!!やっと保健室からでられた!!ホントはまだ気分悪いけど…)
あまりに嬉しく、スキップをしてしまう。
(授業サボっちゃったけど、次は6限目だし全然余裕!!)
教室のドアに手を掛け、ドアをスライドさせる。
教室内を見て私は唖然とした。
(《《いる》》‥‥)
先ほどまでのルンルン気分はもうどこにもない。
怪物は大きかった。さっき保健室で見たときよりもずっと大きかった。
教室全体を覆うような形でそこに確かに存在している。
「なんで‥‥皆は見えないの‥‥?」
外は晴れているのに教室は暗い。なのになんで‥‥?皆が見てる世界は明るいの?私だけなの?
「あ!菊花さん!元気になったんだ!よかった!」
私に気が付いたゆわちゃんが駆け寄ってくる。
そんなゆわちゃんにイラついた。
全然元気じゃないし怪物いるしなんもよくないし怪物こっち見てるし足動かないし手汗やばいし。
「あんたに私の何が分かるの‥‥」
しまった。つい口に出てしまった。
「え…?」
「あ、これはその…えっと…」
(なにか、なにか言い訳ない!?‥‥)
「菊花さん…辛い思いしてたんだね。気付けなく
てごめん。」
「違う!ゆわちゃんは何も悪くない!…全部私のせいなんだ…」
「でも‥‥1人で抱え込まないでね。授業始まるから座ろっか」
「…うん」
席に座ろうとしてさっきより小さくなった怪物が私の席に座っていることに気が付いた。
(ウソ‥‥座れないじゃん‥‥)
周りの皆は見えてない。だから何もないところに座らない私をみて皆は気持ち悪がるだろう。座らないわけにはいかない。
(大丈夫‥‥落ち着いて‥‥深呼吸よ‥‥)
ゆっくりと怪物の膝の上に腰をかける。
首筋に怪物の生暖かい息が不規則にあたる。
(うぅ‥‥このままあと50分‥‥)
その授業はひどく長く感じられた。
幸運なことに怪物は授業中言葉を発したり、大きくなったりすることはなかった。
もし‥‥この怪物が自殺した女の子が変貌したものなのならば、友達が欲しかったのかもしれない。みんなと同じように、授業を受けてみたかったのかもしれない。
誰も入ろうとしなかったあの個室に私は拒むことなく駆け込んだ。そんな私に友達になって欲しかったんだ。そうだ。きっとそうだ。
授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。すると怪物は私の机の前に移動してきた。そして、机ひとつを挟み向かい合う形となった。
そうだ。友達は、授業が終わったら机に集まってお話をする。それをしたかったんだこの怪物は。
でもやはり怪物は怖かった。
仲良くなりたいという気持ちと逃げたいという気持ちが胸の中でせめぎあっている。
「菊花さ~ん!」
ゆわちゃんが近づいてきた。怪物は消えて、怪物とゆわちゃんが入れ替わるかたちになった。
「さっきの話の続き!」
さっきの話ってなんだっけ…忘れちゃった
「1人で抱え込まないで欲しい。これ、まじまじの本音だからね」
「ゆわちゃん…」
「いつでも相談してね!」
相談…しにくい。怪物のこと、いった方がいいのかな…でも今さらって感じだよね…
ありがとう、とだけ答えて返る支度を始める。
今日は家に帰ったらすぐ布団に潜り込んでそのまま寝よう。
とにかく怪物のことを忘れたかった。
早く寝て寝不足を解消したかった。
---
1人で帰路につく。
早く帰りたいという気持ちからか、無意識に早歩きになっていた。
タイミング悪く青信号がチカチカしはじめてしまった。
(はやくかえりたいのに‥‥!)
ふいに右側から怪しげな気配を覚え、嫌な予感がした。まさかと思った。
勇気を振り絞ってゆっくりと首をまわす。
そこにいたのは、
(なんだ…勘違いだった…)
同じ制服を着た人間だった。
久しぶりに安心した。安堵のあまり力が抜けて立つのがやっとだ。
怪物ではなかった嬉しさに右をもう一度確認したくなってしまった。
人間であると確信し、右を向いた。
「キャァァァァァァァァァァァ」
いうまでもない。怪物だった。
恐怖のあまり赤信号にもかかわらず飛び出してしまった。
幸い車が通らなかったので事故にはならなかった。
全力疾走で家へ向かう。
途中、怪物の声が耳元で聞こえた気がしたので、後ろも見ずに必死で走った。
家の中に駆け込むと、鍵をしめて、階段をかけあがり自室のドアを開け、──────
「…だからさ、なんでいるの……っ?」
**`「エマチャン♡待ッテタヨ♡オカエリ♡」`**
首をしめられてるのかと思うほど苦しい。うまく息ができない。
足が動かない。魔法をかけられたか、氷になったみたいに。
逃げたい。逃げたい。逃げたいのに。なんで動かないのっ!?
**`「エマチャンハ私ノ、オトモダチダヨネ…?」`**
「ち…違う!!お前なんか友達じゃない!!」
友達なんかじゃない!!友達になんてなってたまるかよ!!
**`「ソ、ソウナノ…?私タチハ、オトモダチジャナイノ?」`**
「そんなわけないじゃんっ!!あり得ない!!お前なんか、避けられて当然なんだよ!!消えろよっ!!」
**`「ソッカァ…オトモダチジャナカッタンダ…ジャア食ベテイイ??」`**
私…食べられるの?やだやだやだ!!死にたくない!!あいつに取り込まれてたまるか!!
恐怖に怒りが混じり、身体が引きちぎれそうだった。
殴りたいという気持ち、逃げたいという気持ち…
すると、怪物は私の立っている方向に歩を進めた。
**`「ネェ…ネェ…ナンデ私ハ、イツモイツモイジメラレルノカナァ…カナシイヨ…見捨テナイデヨ…"お前"ジャナクテ"あゆみ"ッテ呼ンデヨ…」`**
私は怪物が近づいて来るのが気色悪くて仕方がなかった。だから、バタン!と部屋の扉をしめ、階段をかけおり、ドアを開け、外へ駆け出した。
ちらっと後ろを振り返ると、ものすごい剣幕で怪物が追ってくる。
足がちぎれそうなほど、肺が潰れそうなほど、必死で走った。無我夢中だった。周りなんて見えていなかった。
私は気付くと、カンカンカンカンと鳴る踏切の上にいた。そこでちょうど怪物に追い付かれ、思いっきり抱きつかれた。
目一杯の力で抜け出そうとしたが、身動きが取れず、ついに電車にはねられた。
薄れていく意識のなか、怪物の声が聞こえた気がした。
**`「アリガトウ、エマチャン♡♡♡私ノタメニ死ンデクレテ♡♡♡♡」`**
以後、その踏切からは、カンカンカンカンという音に混じって、少女たちがはしゃぐような、悲鳴を上げるような、そんな声が聞こえるようになったとさ──────
呪いって怖いね
これ最後まで読んでくれる人いるんかな
意味が分かると怖い話
意味怖、いわゆる、意味がわかると怖い話をかくの初めてでっす
だっけ下手だしどっかで聞いたことあるかもしれんけど最後まで付き合ってくんなせ((殴
「ねぇ聞いて最近ストーカーされてる気がするの」
私の友人で、一人暮らしをしている|音環《ねわ》にそんな相談をされた。
「あのね、大学に来るときも帰るときも誰かに見られてる気がしてて…」
あとね、と言って音環は言葉を繋いだ。
「|家《アパート》に帰ると、机とかゴミ箱の位置がずれてるの」
音環は声を震わせながらそう言った。
「でも証拠がないから警察にも相談できなくて…」
いつも天真爛漫な音環の姿は、今はない。
「じゃあさ、部屋に監視カメラでもつけてみたらどう?」
私がそう言うと、音環はホッとした表情で、それいいね、と言った。
「やっぱり、|風芽《ふめ》に相談してよかったぁ」
*
~翌日~
「風芽!昨日さっそく防カメ設置したよ!」
昨日とは見違えるほどの明るい声で駆け寄ってきた。
「えっはや」
「ふふん!でしょ?一刻も早く犯人をとっちめたいからね!」
「犯人、写ってるといいね」
「うん!あ、そうだ風芽、ひとつだけお願いがあるんだけど───」
*
『風芽~今から見るよ』
「おっけー」
音環から頼まれたお願いというのは、防カメを1人で見るの怖いから、電話したいというものだった。
もちろんオーケーした。
『うーんなかなか来ないなぁ────あっ!男の人が部屋の中に入ってきた!しかも包丁もってる!』
「えっまじ?こわぁ」
『なんか私の服を着はじめたんだけど…うそでしょゴミ箱の私が鼻かんだティッシュ食べてんだけど………』
「は!?なにそれ、普通にきもすぎ」
『あっクローゼットの中に入った…また私の服着るつもりかなぁ………あれ?でてこないぞ?』
『あ!また誰か部屋に入ってきた!あれ違う、私じゃん!……あれ?──────』
友人の声はそこで途切れた。
【解説】
包丁を持った男は、音環が帰ってくるまでにクローゼットからでてきていない。つまり、男はまだクローゼットの中にいる。