その日、高校生の男女二人が同時刻、別々の場所で頭を打って倒れる。
目が覚めると、二人は入れ替わっていた。
二人はそれぞれ退院し、高校へ行く。
果たして、そこで待ち受けるものは何か、
そして、二人は元の体に戻れるのか―――
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勝斗視点 目を覚ますと別人になっていた #1
これが私の初作かぁ、と思いつつ書いてます。
一応R18にしてます。主に暴力描写です。苦手な人は回れ右。
それでは、どーぞ!
俺、|佐藤勝斗《さとうかつと》は世間一般的に言うヤンキーって奴だ。
その日も俺は他校の奴と喧嘩をしていた。
理由は、グループの奴がそいつらに随分と可愛がられたらしく、お礼をしに。
一応、腕っぷしは強かったから、そのグループでは俺は上の方だった。
だから、こんなしょうもない喧嘩に駆り出されたのだ。
正直、弱い者いじめみたいで気乗りしない。
が、ひと度、人を殴ればぱっと世界に色が付く。
悲鳴、闘気、血。これを感じるとあぁ、生きてると思う。
何も無い世界が輝いて見える。
ものの数十分で相手のグループを殲滅した俺はぐるりと首を回す。
ようやく片付いたか、と思っていると、目の前にいた俺のダチが目を見開く。
「っ!?勝斗、後ろ!」
その叫び声に慌てて振り向くが、遅かった。
ゴッという音と共に俺の頭に硬いものが振り落とされる。金属バットだ。
薄れゆく意識の中俺は、殺す気か。素手でこいよ。と、思った。
---
目を覚ますと、白い天井が目に入った。
そして、ベッドを仕切るようにカーテンで覆われている。
病院か、とぼんやり思いつつゆっくり体を起こす。
「いっ!?」
頭に激痛が走った。あの野郎まぁまぁ強めに殴りやがったな?
と、思ったが、はたと気づく。俺の体、こんなに細かったか?
それに声も⋯
「美春!?大丈夫!?良かった⋯目を覚まして!!」
俺が起きた音がしたのか40代ぐらいの女性が入ってくる。
女性は俺を抱き寄せ泣いている。
⋯が、残念ながら俺の記憶の中にその人物はいない。
「あんた、誰だ?」
呟いた俺の声はやっぱり高い。女みたいだ。⋯ん?女?
言葉を失っている女性を尻目に俺は近くにあった手鏡を手繰り寄せて⋯
俺も言葉を失う。写っていたのは、クマこそあるが、かなり顔の整った女子の顔だ。
もちろんだが、俺の顔ではない。どうなってやがる?
一旦鏡を置いて目を閉じ、また鏡を見る。やっぱり、女子だ。
頬を引っ張ると鏡の女子も頬を引っ張る。ふつーに痛い。
「記憶喪失⋯。」
ポツリ、と女性が言う。顔は真っ青だ。
多分だが、違う。が、それを言う前に女性は病室を出ていってしまった。
一体何が起きているんだ?とりあえず、夢かもしれないので、寝ることにした。
---
もう一度目を覚ますと、急いで手鏡を見る。
やはり、変わっていない。女子の顔だ。
すると、シャッとカーテンが開く。白衣を着ているから医者だろう。
「君、名前言える?」
「⋯美春、だったか?」
「苗字は、思い出せる?」
思い出せるも何も、知らねぇよ。
首を横に振ると医者が険しい顔をした。
あぁ、これ、記憶喪失扱いだな。
読んでくださりありがとうございます!
かなり低浮上なので次いつ書けるかわかりませんが、見守ってくださると嬉しいです。
勝斗視点 記憶喪失扱いされている #2
二話です。一話を見てない人は先に一話を読んでください。
自殺描写があります。
苦手な人はUターンでお願いします。
「記憶障害ですね。一時的なものかはまだわかりませんが。明日、検査してみましょう。」
「⋯はい」
「娘を、よろしくお願いします」
いくつかの質問をした医者は淡々と診断をした。
正直、釈然としないが正直に言ったとして、果たして誰が信じるだろうか?
俺は大人しく頷く。女性―――この体の母親が深々と頭を下げる。
質問をされてわかったことがいくつかある。
この女子の名前は|小林美春《こばやしみはる》。年齢は俺と同じ17歳。
父、母、の三人家族。いわゆる一人っ子ってやつだ。
性格はかなりおとなしいらしく、俺とは正反対なので少し母親に驚かれてしまった。
医者が「うーん」と唸りながらカルテをじっと見つめている。
「まぁ、自殺未遂をしたようですし、もしかしたら精神的なものかもしれませんね。」
医者が言った言葉にサッと空気の温度が下がった気がした。
今、なんて言った?自殺未遂⋯?
この体、美春は自殺未遂をしたのか?
「なんで、自殺未遂を⋯?」
思わず呟いた声はひどく掠れていた。
喉がカラカラになる。
自殺。それはどれほど怖くて、どれほど怖いことがあったらできるのだろうか。
医者は自分の失言に気づいたのかチラチラと母親を見ている。
母親は固い顔で頷くと、ぽつり、ぽつりと話し始めた。
---
その日、美春の母親宛に警察から一本の電話が届いた。
「近くの廃ビルで、娘さんが自殺未遂をしたようです。まだ息があったので病院へ搬送しました。」
自殺未遂⋯?昨日、大好きなハンバーグを美味しそうに頬張っていたあの子が?
今日だっていつものように明るく「いってきます」と家を出たあの子が?
それは、何かの間違いじゃないか。
そう警察に言ったのだが、なんでも服の中から遺書が出てきたのだそうだ。
嘘だ。そうに決まってる。そう自分に言い聞かせてなんとか平然を保つ。
震える足を叱咤しつつ母親は病院へ向かった。
病院には二人の警官がいた。
警官はツカツカとこっちへ近づき、母親に一つの紙を渡す。
「これが、遺書です」
母親は震える手でなんとか受け取り、その内容に絶句した。
『 遺書
私は、いじめを受けていました。
私は、なんとか自分だけで解決しようとしました。
しかし、どうにもなりませんでした。
だから、先生を頼りました。けれど、「それはいじめじゃない。遊びだ。」と、取り合ってもらえず。
どこかから先生を頼ったことが漏れ、いじめがひどくなりました。
家族を頼ろうかと思いました。けれど。
もし、先生のように真面目に取り合ってもらえなかったら?
そう考えるともう、誰のことも頼れなくなりました。
人の目が怖い。もう限界。辛い。
家族へ。親不孝な娘でごめんなさい。でも、私にはもう耐えられそうにないの。ごめんなさい。
できることならもっともっと生きたい。生きたいよ。
最後に。私をこんな目に合わせた奴らを呪いながら死のうと思います。さようなら。』
ところどころ涙の痕がある遺書は間違いなく娘の字で書かれていて。
頼ってくれなかったやるせなさと、娘がひどい目にあっていたのに気づかなかった悔しさで。
感情がぐちゃぐちゃなまま、母親はその場に泣き崩れた。
反応が来たことへの嬉しさでもう一話書けました。
応援は偉大ですね!次の話はまた今度。