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目次
ユメ狂い-序章
"夢狂い"
其方の世界の住人で、此れを知る者は居ないだろう。否、存在すらしていないのかも知れない。もしくは、理解すらできない概念なのかも知れない。
物語に綴る前に、夢狂いについて説明するべきだろうか。いらないと言うなら一度この世界を離れるといい。いると言うなら、まだ居座ればいい。
選択は出来たようだな。では夢狂いについて話そう。
夢狂いとは、雑に言って仕舞えば病だ。病として全てを括っても、癌やその他数多くある、死に直結する物と夢狂いは少し違う。
其方の世界に合わせるのであれば、"精神病"と言われる物に分類されるのだろう。本質は違うが分類した方が分かりやすいだろう?
一度夢狂いを患えば、その者は夢に囚われる。何とも曖昧な表現だろう?しかしそうとしか言いようがないのだ。..唯一わかることといえば、夢狂いはその者の"夢"を体現することくらいだろう。
それは次に進めば分かるはずだ。言葉で言い表すよりも、実物を見た方が速い。...?向こう側が見えなくとも、君は見えるだろう?
まぁそこはどうでもいいことだ。時間がない、続きだ。
夢狂いについてだったな。この病は老若男女問わず、誰でも発症する。発症の原因すらも詳細な事は分からない。
何故、って..先程言ったはずだが。夢狂いを患えばその者は夢に囚われる。囚われるのだぞ?外から囚われている様子を、格子をどうやってみるのだ。
これで説明は終わりだ。聞きたいことがあろうとなかろうと、其方と此方で話せる時間は限られている。話せると言っても殆ど一方通行のような物だがな。まぁ何にせよ、物語はこれから綴られる。
ユメ狂いと言う物語がな。
1.夢の中
ユメは1人、目を開ける。
そこは真っ暗で、何かがあるはずなのにぼやけてそれが何か分からない。そんな、ふわふわとした場所。
体にはふかふかとした、布団の感触がしている。にも関わらず、ぼんやりと何かが目の裏にちらつく。
まるで夢のように。
2〜3分経った時だろうか。向こう側から誰かが歩いてきているような気がしてくる。
??「やぁ、ユメ。久しぶり」
くぐもった女性の声は、私に対して久しぶりと言ってきた。
その声に聞き覚えも、そのシルエットに見覚えもないはずなのに。
それなのに、どこか懐かしい。
??「君はもう高校生になるのかい?いやぁ、時の流れというものは非常に速いものだ」
確かに私は明日高校生になる。偶然の可能性もあるが、彼女の声は全てを見通すかのように頭に響いていた。
??「おっと、もう時間か。久々の再開ということでもう少し話したかったのけれど」
声が詰まる。喉が締め付けられているかのようだ。
それでも、掠れ声でこう問いかける。
ユメ「あなたは、誰?」
??「ユメ..君の、君だけの。あの日夢見た"夢"...名前なんて重要じゃない。いずれ皆、夢に還るのだから!」
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意識が現実に戻される。
それまでは動かなかった体が、段々と動かせるようになっていく。
ユメは1人、目を開ける。
ユメ「ここは、現実?」
見慣れた天井、窓から差し込む朝日。いつも通りの日常、のはず。
可笑しな夢に、知らない知人のフリをする女性。
きっと、夢特有のチグハグさが生み出した幻だろう。
ユメはそう思い、布団から出る。
夢から始まり、夢で終わる。ユメの1日が、今日も始まる。