ほぼ毎日投稿する予定。ただし、まともなの書いたら次は私の友達にだけ伝わるおふざけ会です!
連作短編集です。
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目次
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今回のみ一日に二話投稿です。
この話はプロローグ的なやつです。
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その人物は、波打ち際に佇んでいた。そして固く握りしめた右手を顔の前に突き出す。それを振り上げ、その人物は夕日を反射してキラキラと輝く黄金のコインを海に投げ捨てた。
人魚姫
人魚姫
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彼女には名前がない。
海の底でひっそりと暮らしている。
彼女は毎日海底を散歩する。そしてある日、上からキラキラと光りながらゆっくり落ちてくる物を彼女は掴んだ。文字は掘られておらず、細かく美しい彫刻だけがあった。お金ではないけれど、間違いなく高価なものだ。
彼女はそれを持ち帰った。
毎日持ち歩き、日光にかざしてみることもあれば、ただただ眺めるだけの日もあった。
この彫刻は誰が施したのだろう。その人は、どんな事を考えながら掘ったんだろう。
彼女の友達は「よく飽きずにそんな物を見ていられるわね」と言ったが彼女は全く気にしなかった。
だがある嵐の日、王子が乗っている豪華な船が転覆してしまい、王子が落ちてきた。
彼女はその美しい容姿に一目惚れし陸まで運んだ。陸へ下ろそうとしたとき、王子が目を開いた。
「ここは、、、?」
そしてむせ返り、激しく胸を叩いた。人魚姫が優しく背中をさすってやった。
「ありがとう。ぜひ、海水ではない水とお金を恵んでくれないか。それと、君の連絡先も。」
そう言って舌鼓をコッ、と打つ彼を見てもドン引きしないのが世間知らずの人魚姫。
「ごめんなさい。水も電話も持っていないの。繋がらない電話ならあるのだけど。」
そこまで言ってひらめいた。あのコインがある。そして彼女はどこからかコインを取り出し、王子に差し出した。
「これ、お金になるかわからないですが、、、」
そう彼女が言うと王子は「もらっていいのかい?」と言いながら奪い取るようにコインを受け取った。
ここまでくれば間違いなく王子がクズなのは目に見えているはずなのに、「強引なところが素敵、、、」と思っている世間知らずな人魚姫。
こうして彼女の手から王子の手へ、コインは移動した。
よく考えたら人間にとって人魚姫のあの格好は刺激的すぎた。
ブライユ王子
ブライユ王子
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彼は、意地悪で女たらしな王子として知られていた。その一方で優しく、面倒見が良く頭もいい一面もあった。だが、そんな一面を知るのも王城で彼を慕う、ごく数人の者だけだった。
嵐の日、彼を嫌う親族から無理やり船に乗せられた。当然船は転覆した。
彼は、自分が死ぬ運命ならそれで構わないと思いながら沈んでいった。
そして、意識が途切れた。
目を覚ますと美しい|女神《ヴィーナス》のような女性がいた。とても寒そうな服装だった。しかし、海から陸へ急に移動し、風で体が冷えている王子は上着を貸してやれなかった。
彼女は、彼女程ではないが美しい装飾のコインをくれた。
城下町まで歩いていくと、町の人々は王子を避けて歩いた。王子は馬車を頼み、自らの体温をどんどん奪っていく上着を脱ぎ、バサバサと振って水気を飛ばそうとした。馬車が来たため、乗り込むがやはり寒い。御者に行き先を告げ、彼は疲れから深い眠りへ落ちた。
御者の「着きました」という声で目を覚ました彼は馬車を降り、上を見上げる。
そこには、親族が決めた婚約者の住む王城があった。
婚約者の名前はローズ。王子と、ローズの親族のみロージーと呼ぶことが許されている。
門戸を叩き、叫ぶ。
「ロージーいいいい!開けてぇぇぇぇぇ」
するとローズが顔を出し、「うるせぇ!帰れぇぇぇ!」と叫んできた。
無情だ、と思いながらコインをローズの方へ投げる。
ローズはそれをパシッとつかみ、部屋に引っ込んだ。
十分待った。二十分待った。しかし、ローズは開けてくれない。
「ぶぅえっくしょん!」
雨に打たれ続け、風邪を引いてしまったようだ。ローズもなかなか意地悪で、誘惑してきたかと思えばあっかんべーしてくるのだ。コインを取られてしまった事と、寒いことで落ち込んだ彼はトボトボと帰ろうとした。どこからか風に乗って
「ちょっと待って。ストップストップ!」
と聞こえた気がしたが雨の音にかき消され、彼の耳には届かなかった。
そうして、王子の手からローズの手へ、コインは移動した。
ハーマイオニー登場してて草w
ローズ
ローズ
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彼女は背が高く、頭もいい。そして、名前の通りの美しさを持っている。ブライユ王子とは「ぜっそう」している。彼が「絶交」を言い間違えたのである。あくまで親族が決めた婚約者だから絶交しようが仲良くしようがあまり関係ない。
だが、誕生日が一緒だったり、彼は覚えていないかもしれないが小さい頃遊んだことがあったりする。好きではないけど、王子が甘えてくると冷たい顔をしながらも内心ちょっとだけ嬉しい。
しかし、ローズの家系では「利用できるものはとことん利用する」という家訓がある。
つまり、王子から金や宝石を搾り取れ、ということだ。
高い場所にある王城の自分の部屋から外を見ると、海が荒れていた。
「大丈夫かしら、、、?」
思わず呟いてしまいあっ、と口を抑える。
家訓に反した発言などしてこの城にいさせてもらえるわけがない。王の娘とはいえ、追い出される。
誰も聞いていないか周りを見回し、息をつく。
それと同時に、部屋の戸を叩く音が聞こえた。
聞かれてしまったか、と不安になりながら「はい」と戸を開く。
そこには一歳しか違わないのに自分と比べて、とても背の小さな妹がいた。
「お姉様、海が荒れております。本日はお義兄様が船で外へ出る予定の日ではございませんでしたか?」
「そ、そうよ。まあ、彼が死ねば遺産の半分ほどは|私《わたくし》のもとへ入ってくるのだから、心配しなくてもいいでしょう」
そう言うと、妹のマリアは苦しみと、悲しみと、哀れみの混ざったような顔をした。
まさか、聞かれていた?
そう思ったが、平静を保ち
「まあ、私たちにはどうにもできないことよ。さあ、自分の部屋に戻りなさい」
「はい。…お姉様、どうか無理はなさらないでください。困ったときは私も力になりますから」
嘘だ。どうせ最後は|私《わたし》を裏切るんだ。そんな思いを抱きながら、ローズは無言で戸を閉めた。やけにバタンという音が大きく響いた。
その数十分後、外から「ロージーいいいい!開けてぇぇぇぇぇ」と聞こえた。
窓から下を見下ろすと、あんなに遠い海からどうやってここまで来たのか、びしょ濡れのブライユ王子がいた。ローズは「うるせぇ!帰れぇぇぇ!」と叫んだ。すると、彼は何かキラリと光るものを投げてきた。彼女は器用に片手でキャッチする。それは細かい彫刻が光を乱反射し、静かに輝いているコインだった。
ひと目で高価なものとわかった。だが、彼女は彼を城に上げようとは思わなかった。それは、家訓が染み付いているからではない。彼の身を心配したのと、これ以上関わると自制心を失うかもしれないという恐怖があったからだ。
窓を閉め、コインを見つめる。冷たい雨に打たれながらも、必死に握りしめた彼の温度がまだ残っているそれを見ていると、吸い込まれそうだった。
彼女は意を決し、天蓋のついたベッドのヘッドボードに置いてある彼女にとって大事なものや、気持ちを閉じ込めた小箱を手に取る。その中に、そっとコインを落とした。涙も小箱に入ってしまった。
彼から見えないように窓の外を見る。彼はまだ待っていた。申し訳ないと思うが、ぐっと我慢する。
三十分ほどしてやっと彼は帰った。その後ろ姿が惨めで、哀れに感じるのはびしょ濡れだからではないだろう。
布団に潜り、枕に顔を押し付けて嗚咽を漏らす。枕が湿っても喉が枯れてもずっと。
何分経っただろうか。目は真っ赤に腫れ、声はかすれている。
そして、気づけばあのコインを小箱から取り出して見てしまう。
こんなものがあるからいけないんだ。そう思った彼女は妹の部屋へ行った。妹に無言でコインを渡すと、マリアはローズの真っ赤な目とコインを見比べ「本当に私がもらってもいいのですか?」と言った。ローズは頷き、逃げるように自分の部屋へ戻った。
こうしてローズの手からマリアの手へ、コインは移動した。
唐突に長えし相変わらずネガティブな話になったな、、、
長いと読む気失せる、、、
次回は短めにならん予定やしネガティブというか人間の闇を書きまくる予定だからなあ、、、
どこにおふざけ要素を入れるかな、、、
…! サイコパスにしよう!