この世界には、ノイズが存在する。
ノイズは人や生き物に感染し、感染したものを活性死者のような状態にする。活性死者、と言っても、人や生き物を襲うが原型は保たれないノイズやバグのような存在である。ノイズは、2か月に一度、満月の日に月を浴びた者が感染する。月光が原因であるのは確かだが、突然月光に悪影響が生まれた理由は、未だ不明である。
世界は今、大量のノイズによって脅かされている。
そんな世の中から人々を守るのが、ノイズ討伐部隊。
ノイズ専用の電気ショックを、「核」と言われるノイズ・バグの内側にある荒れた部分に当てることでノイズを消滅させるのが仕事。ノイズ討伐・人命救助など、それらを含めた仕事を熟すのがノイズ警察ことノイズ討伐部隊である。
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目次
情報「ノイズ」
ノイズには幾つかの種類に分かれる。
ノイズ|α《アルファ》…人が感染したノイズ。体長は人の成人と同じぐらい。戦闘能力・知力共に低く、検察対象になりやすい。群れで集まりやすい。
ノイズ|β《ベータ》…人が感染したノイズ。体長は2メートルから5メートル程。戦闘能力が高いが知力は低い。2,3体で固まりやすい。
ノイズ|γ《ガンマ》…人が感染したノイズ。体長は6メートルから20メートル程。戦闘能力・知力共に高く、ノイズの中では一番危険とされている。話す個体もいる。
バグ|Δ《デルタ》…人ではない他の狂暴な生き物が感染したノイズ。体長は5メートルから20メートルと様々。戦闘能力・知力は個体によって異なる。核が小さい。
バグ|ζ《ゼータ》…得体の知れないノイズ。どの生き物に感染したのかわからない程原型が崩れている。30メートルから60メートルと大型。戦闘能力は低いが知力が高い。核は大きく耐久性がある。
基本的にノイズに触れると感染するが、対ノイズ用スーツを着用すると、月の光の害を遮断し、スーツを着た状態でノイズに触れたり怪我を負っても感染することはない。
情報「ノイズ専用武器」
ノイズを討伐するには、ノイズ専用武器が必要である。
ノイズ専用武器には、電気ショック機能があり、それを使って討伐する。
武器はひとりひとりに合った物を使用することができる。
電気ショックにはチャージが必要。
主な種類は3種。
近距離武器…主にα・β・Δに使用。刀やハンドガンなど。すぐにチャージが可能。弱いノイズには出力15%~大きいノイズや強いノイズには出力30%~。
中距離武器…主に近距離の助っ人として活躍する。爆弾や槍など。近距離武器よりはチャージに少し時間がかかる。出力は弱いノイズには近距離武器と同様で、大きいノイズや強いノイズには出力50%~。
遠距離武器…主にγ・ζに使用。スコーピオンやマシンガンなど。武器によってチャージに時間がかかる。出力はγには70%~、ζは90%~。
ノイズ専用武器は、使用時以外はキーホルダーのように掌よりも小さくなっている。使用時は武器に付いたチェーンを外すと大きくなる。使用後は武器にあるボタンを押すと小さくなる。
電気ショックはノイズ専用なので、他の生き物には効果がない。
主人公ら(例)
名前:|宮鷹 小絵《みやおう さえ》
性別:女
年齢:16
身長:154
役柄:主人公
部隊:第零部隊
専用武器:未定
性格:天然、頑張り屋、感情豊か、明るい、ポジティブ精神
容姿:ピンクベージュのポニーテール。浅縹色の瞳。
好きな○○:スイーツ、鼻歌、恋バナ、スイーツを作ること
苦手な○○:お化け、別れ
一人称:私、稀にサエ 二人称:キミ、○○君、ちゃん
サンプル台詞(5つ以上。自己紹介は必ず。絡みありがたい。)
「私は宮鷹小絵、よろしくね!」
「本当はね、私パティシエになりたかったんだ。でもお店もノイズで壊れちゃったし、お母さんも…」
「コラ!慶!先輩には敬語でしょ!!」
「ノイズ討伐部隊に入ったからには、市民も守るためにも頑張らないとね!」
「えっ私恋バナ好きだよ!聞かせて聞かせて!」
入隊した経由:家と母をノイズに襲われ、慶賀と共に逃げていた時ノイズ討伐部隊に助けられたから。
その他:家がケーキ屋。慶賀と家が隣で幼馴染。
名前:|桐生 慶賀《きりゅう けいか》
性別:男
年齢:16
身長:173
役柄:主人公の幼馴染
部隊:第零部隊
専用武器:マチェテ、クラスター爆弾、ロケランなど
性格:口が悪い、大胆、勝気、柔軟、センスがいい、根は良い奴。
容姿:短髪の黒髪。菜の花色のツリ目。
好きな○○:戦い、モンブラン、
苦手な○○:なし
一人称:俺 二人称:お前、あだ名
サンプル台詞(5つ以上。自己紹介は必ず。絡みありがたい。)
「俺は桐生慶賀。けいかと呼んだらぶっ殺す!!」
「オメェそんな突っ込んで死にてぇのか?」
「フンッ及第点ってところだな。」
「サエお前マジでいい加減にしろヤァ…そういう意味じゃねーっての。」
「俺のロケラン、クソノイズ野郎をぶっ飛ばせェ!!」
入隊した経由:サエと共にノイズ討伐部隊に助けられ、借りを返したいから。
その他:小絵の幼馴染で家が隣。小絵を少し好意を抱いている。
名前:|一条 碧唯《いちじょう あおい》
性別:女
年齢:25
身長:162
役柄:先輩
部隊:第零部隊隊長
専用武器:遠距離武器は大抵
性格:クールな印象、高貴で献身的。
容姿:オリーブブルージュの長めボブ。濃い赤紫の瞳。
好きな○○:コーヒー、笑顔、
苦手な○○:虫
一人称:私 二人称:貴方、○○君
サンプル台詞(5つ以上。自己紹介は必ず。絡みありがたい。)
「第零部隊隊長の一条碧唯だ。よろしく。」
「貴女たちが襲われた通り、ノイズは危険だ。それでもいいか?」
「フッ期待してるよ。桐生君。」
「私の同期は翠凛だけだよ。他の人は皆ノイズに殺されてしまったんだ。」
「第零部隊隊長として、責務を全うさせてください。」
入隊した経由:?
その他:遠距離派の中で一番強い。
名前:|翠凛《すいりん》(本名不明)
性別:男
年齢:24
身長:177
役柄:先輩
部隊:第零部隊副隊長
専用武器:刀、薙刀
性格:優しい、穏やか、少し天然、心配性
容姿:瑠璃色のシースルーマッシュ。オランジュ エルメスの瞳。可愛い仮面を被っている。(╹꒳╹)みたいな仮面。
好きな○○:可愛い物、カフェオレ、プリン
苦手な○○:虫
一人称:僕 二人称:君、○○さん
サンプル台詞(5つ以上。自己紹介は必ず。絡みありがたい。)
「僕は翠凛って言うんだ。本当の名前は碧唯だけが知ってるよ。よろしく。」
「宮鷹さんは頑張り屋だねぇ。でも無理はダメだよ。実戦に疲れてたら意味ないからね。」
「僕が普段、遠距離派の人たちに危害が及ばないよう守るのが仕事。」
「プリンって甘くておいしいよね~。え、作ってくれるの?」
「碧唯だけが本名を知ってる理由はわからない。記憶がないんだ。」
入隊した経由:?
その他:ある日を境に記憶喪失となった。碧唯の同期。近距離派で一番強い。
⒈ハジマリ
この世界には、ノイズが存在する。
ノイズは人や生き物に感染し、感染したものを活性死者のような状態にする。活性死者、と言っても、人や生き物を襲うが原型は保たれないノイズやバグのような存在。ノイズは、2か月に一度、満月の日に月光を浴びた者に感染する。感染した者はノイズになり、何関係なく生き物を襲い始める。
まあ、私たちの町のみんなは対策をちゃんとやってるから、まだ身近なモノとは言えない。
ニュースでもノイズについて放送してるけど、この目でノイズを見たことがないせいで、本当に存在するのかも疑問に思う。
『速報です。現在__市__町でノイズが発見されました。現在犠牲者は十七名となっており、直ちに避難を呼びかけています。…あっ丁度今、ノイズ討伐部隊の出動命令が出されました。第零部隊が__町に向かっています。』
外はすっかり日は落ちている。
夕陽が窓から流れ込み、ショーケースに並ぶ多種多様なケーキたちが茜色に色付く。
お客さんの来店もお昼に比べると段々減っていき、いつも暇な時間を使っていち早く一流のパティシエールになるために、中学の頃から練習をしている。
今は、お隣に住む幼馴染の|慶賀《けいか》に味見をしてもらってる。
「どう⁈」
フォークでモンブランのパイ生地を掴み、口に頬張った後、慶賀は言った。
「フンッ及第点だな。」
「えー慶の好きなモンブランでも⁈」
「もっと俺が満足できるモンブラン作りやがれ。」
そうは言うけど、美味しそうにモンブランを頬張る慶賀は素直じゃない。
慶賀の食べる顔をこそっとスマホで写真を撮っていると、後ろからお母さんが来ているのに気が付かなかった。
「わっお母さん!」
パティシエの服から普段着に変わっていた。
「今日はもうお店閉めちゃったから、慶賀君もいつもありがとね。」
「だから慶賀呼びはやめろっていつも言ってんだろがァ。」
お母さんと私はいつものように笑いあう。
「慶今日はもう帰る?」
「あーそうする。」
慶賀が立ち上がると、「ごちそー様」と言って机に500円を置いた。
「受け取れないよ!私の我儘付き合ってくれてるだけだし。」
「それじゃあ俺が許さねぇ。」
「|小絵《さえ》送ってあげたら?」
「隣だから要らねーよ。」
「良いの良いの。じゃあ送って来るねー!」
慶賀の背中を押しながら店の外に出る私を、お母さんは笑顔で手を振りながらショーケースのケーキを片付け始めた。
店を出ると、慶賀は不満げな顔をしながら私の手を離す。
「もうすぐそこだ。じゃあな。」
「えー家の前まで送らせてよ!」
「あんま変わんねーって!」
そう、ごちゃごちゃと他愛ない会話をしている時だった。
慶賀が急に口を閉じ、驚いた顔をしたと思ったら、私を庇うようにして慶賀ん家の報告に飛び込んだ。同時に、後ろから爆発音と建物が壊れるような音がした。私は恐る恐る振り返る。
「ハッ……」
家に巨大な何か、いや、ノイズが突進して入り込んでいて、入り口は原型が無い程ボロボロだ。
沢山の色が細かくありすぎて、灰色のように見える。ヒト型ではあるけど、腕が異様に太く、足が細い。目が3つあって、そのうちの2つがこっちを向いた。
「コ…コンバ、ンハ?コン、ニ…二チハ?」
「ヒッ」
体が震えて上手く声が出ない。
すると慶賀が立ち上がり、私の手をとって慶賀ん家にあったバイクに乗った。
「け、慶…お、お…お母さんが…」
慶賀は黙って私にヘルメットを被らせ、私を後ろに跨がせてバイクを走らせる。
恐怖と、不安と、お母さんが無事なのかという思いで、声の代わりに涙が出てくる。
「……おめーの母ちゃんの事も心配だけど、まず自分の安全の方が優先だ。」
そのまま慶賀はバイクを走らせ、町を周った。
私たちは気づいていなかったけど、町はいつの間にかノイズが占領していた。
走り逃げる人々には、周りのノイズに触れられ感染していく人や、諦めたのか嘆く人もいる。
「クソッどこにも逃げ場がねーな…」
真っ直ぐバイクを走らせていると、後ろからドスドスと重い何かが歩いていくる音がした。
慶賀がちらりと振り返ると、マズイと小声で言い、バイクのスピードを上げた。
「さっきの奴だ…ついて来てたのかよ…」
ノイズは普通に走ってはいず、足はほぼ使わずに太い腕で走っていた。
バイクのスピードは上がったものの、ノイズの足が想った以上に速く、バイクに突進し、乗っていた慶賀と私は吹き飛ばされた。
バンッ
建物の壁にぶつかる。
背中が今まで感じたことないぐらい痛い…。
幸い、ノイズには触れていなかったようで、私も、ぼやけてはいるが視界に映る慶賀も感染はしていない。
耳鳴りがする中で、私はふらりと立ち上がる。
何とかして、逃げないと…。
ノイズが近づいてきながら慶賀の方へ向かう。
「慶ッ…!」
「…サエ⁈」
目を覚ました慶賀は私の肩を組んで近くの川に飛び込んだ。
足は底付くけど、流れは速い川の橋の裏に隠れる。
流されないよう必死に川の淵を掴む。
「よく感染してなかったな…。」
「運が良かったんだよきっと…」
息を潜めていると、またドスドスとノイズの歩く音がした。
必死に息を潜めるが探知能力が高いようで、橋の横からギョロリと目玉を動かしながら覗いてきた。
「コンバァンハァ」
不気味な電子音のような声で途切れ途切れに話している。
ノイズの太い腕が私たちに近づいてくる。
もうダメなんだ。
そう悟り、目を閉じる。
でも、いつまで経ってもノイズには触れなかった。
肩をトントンと叩かれ、目を開いた。
目の前には、あのノイズらしきモノが、塵というかバグがバラバラになっていくように消えていっていた。
「どういうこと…」
急な消滅に驚いていると、さっきノイズが居たところから声がした。
「ノイズγ討伐完了しました。怪しげに橋の下を覗いていたので確認します。」
人の声だ。多分誰かと通信してる。
「あ、子供だ。」
そう聞こえ、橋の横を見る。
仮面を被った瑠璃色のマッシュの多分男の人が覗いていた。
仮面の人は橋の下に降りてきて、軽々と私たちを背負って橋の上に上った。上ったというより、一回のジャンプで橋の上に上がったんだけど。
仮面の人は両腰に二本の薄黄色く光る刀を差す。耳に付いた機械のような何かを押しながら話し始めた。
「子供を発見しました。多分高校生ぐらい。男女2人で共に感染してはいないみたいです。」
それから、「はい、はい」と何回も通信の会話を肯定していると、私たちに近づいてきた。
「君たち、あのバイクで逃げてきたの?」
横に倒れボロボロになった私たちが乗ってきたバイクを指したので、頷く。
「家は?」
「…|サエの家《こいつんち》はさっきのノイズに破壊されて、中に居た母ちゃんはどうなったかわからねえ。俺ん家はどうなったかわからねえけど、俺の母ちゃんは出張行ってっから多分無事。」
「…わかった。じゃあ帰る場所はないってことだよね?」
「まあ。」
「じゃあ__」
仮面の人が何か言おうとしたとき、仮面の人の後ろからさっきのノイズよりは小さいけれど、大きく鎌を持ったノイズが3体近づいてきた。
「おっと…取り込み中なんだけど、邪魔しないでくれる?」
私たちが気付いたときには、仮面の人は既にその場から離れていて、素早い動きでノイズに近づく。
二刀流の刀を腰から取り出す。
「出力40%、|雷交錯《フォルクロス》__」
まるで獲物を狙う獣のようにノイズ達の荒くなっていた体の部分を連続的に切っていった。
本当に一瞬だった。
消えていくノイズを見ることはなく、そのまま私たちのところに戻ってきた。
「速え…」
上手く言葉にできない仮面の人の動きを慶賀はただ「速い」としか言いようがない。それは私も同じだ。
「ごめんね、途中で止めちゃって。僕はノイズ討伐第零部隊副隊長、翠凛って言うんだ。」
「あ…私は宮鷹小絵です。こっちは桐生慶賀。」
「宮鷹さんと桐生君ね。」
「…おい、」
慶賀が急に口を開いた。
「どうしたの?」
「俺を討伐部隊に入れろ。」
「へっ慶何言って_」
「今の俺じゃ、サエや自分すら守れねぇ。俺は……誰かに守ってもらうより自分で守った方が性に合ってるんだ。」
「慶…」
「討伐部隊に入るための試験を受けなきゃだけど…大丈夫そう?」
「ああ、なんだってやってやるよ。」
「宮鷹さんは?」
「えっ私ですか……」
人を助ける仕事はしたい。でも、いつもケーキばかり作ってた私に何ができるのか…。体力もないし、すごく運動できるわけじゃない。慶賀みたいに、すぐに頭が回るかわからない。それでも…
「やりたい。」
「本当に良いの?」
「はい。私、根性だけはありますので。」