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コンテスト用小説を集めてみた。
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目次
秋の紅葉とかつての君と再会した君
「もう、秋か〜」
秋は、私にとって別れの季節。
私を、好きだと言ってくれたあの子の命日。
結局、私がそれに答える前に亡くなってしまった。
今でも、後悔している。
なぜ、もっと早く答えなかったのか。
自分の気持ちに整理はついていたじゃないか。
もっと、早く。
せめて、想いを伝えてから。
そしたら、あの子も…
ああ、また。
いつも、何も、上手くいかない。
後悔しか残らない。あのとき。
ああしていれば、あのとき、こうしていれば。
私は、後悔しかしていないのではないか。
いつも、いつも、いつも。
後になって、後悔する。
うじうじして。
泣きそうで。
本当、なんであの子はこんな私を好きになったのか。いまだに分からない。
はらり、と紅葉が落ちてきた。
儚く、でも美しく。
役目を終えて、解放されたとばかりに。
紅葉の赤。
あの日も。
たくさん、紅葉が落ちていた。
私は、髪についた紅葉を手で払った。
*「ずっと、好きでした。今も、これからもずっと」*
*そう言って、彼は笑った。*
*私よりも若いはずなのに、まるでとてつもなく長い人生を歩んできたように見えた。*
告白は、ずっとされていた。
でも、最期に聞いた彼の言葉は、なんだか切ないもののように思えた。
「好き」と。
言われて。
「私も」と、言えばよかった。
秋は、別れの季節だった。
「あ、紅葉だ!綺麗…」
やけに心地よい声が聞こえた。
知らない誰かの声のはずなのに、彼を思い出させた。
ああ、私は、彼に恋をしていたのだ。
私は、振り向いた。
彼なはずは、ない。
もう、彼はいない。
何もかも遅いのは、理解していた。
理解していても、希望を探したかった。
そこには、知らない人がいた。
確かに、知らない人だった。
見たことのない顔だった。
知らない声。
背の高さも違う。
ああ、彼だ。
「久しぶり」
私は、気付かないうちにそう言っていた。
秋は、別れの季節だった。
秋は、再会の季節になった。
久しぶりに会った初恋のクズ
ジャンル:恋愛
ずいぶん前に出会った、初恋の人が女の人に平手打ちされていた。
「最っっ低」
バチン、と良い音が鳴っていた。
---
私が、中学生の時。
同じクラスになって一目惚れした。
クラスでも、学年でも、後輩にも人気者。
優しくて、気遣いができて、紳士で。
あだ名が、「王子」だった。
そんな彼に初恋をした。
告白して、振られたけど。
「あー、ごめん。俺、面食いだから」
最後、ちょっと「面食いだから笑」だった。
クズだ、と一瞬で察した。
で、激冷めた。
---
「……………」
彼は、しばらく立ち尽くしていた。
………………相変わらずクズだ。
なんとなく、何を言ったのかは想像がついた。
気づかれないように、そっと去ろうとした。
のだが。
「あれ、ユキ?」
…………………くっっそ、気付かれた。
「……………………エッ、人違いでは…?」
「や、絶対ユキだ。俺が振ったユキだ」
「喧嘩売ってんのかな??」
「やっぱりユキだ」
彼は、そう言ってふわりと微笑んだ。
中学生のときよりも王子度が高まっている気がする。
性格はクッッッソ、なんだが。
「……………何」
「………久しぶりに会ったのにひどくね」
「いや、こちとらお前にゃいい思い出なんかねぇんだが??」
「わーほんと久しぶりー、このユキの毒舌も。告白してきたときは、なんか女子ってかんじだったけど」
久しぶりに会った彼は、相変わらずだった。
そんな彼でも、いつも人気者だった。
なぜに?こんなクズなのに?
あのとき、まじでフィルターかかってたからまじで分かんなかったけど。
クズだから。まじで。
「ほんと、あのときは忘れられないわ〜。『好きです…!』って言って俺が『面食いだから笑』って言ったときの顔」
彼は、あのときの私の顔を真似した。
眉を寄せて、心底軽蔑した目。
「そう、その顔。てか、あれから俺に話しかけられたときいつもその顔してるよな」
「当たり前だろが」
「ひど〜」
だいぶ、面倒臭くなったので私は彼を無視して歩き出した。
「…どこ行くの?」
「…帰るだけなんだが」
「えー、なんで。俺もついてく」
「…いや、ついてくんなよ」
私は、彼を無視して歩き続ける。
が、彼はどこまでもついてくる。
私は、我慢できなくて声を荒げた。
「だから、ついてくんなってッ!!」
---
どうしてこうなった。
なぜ、彼は私の家に、部屋にいる??
あのあと、彼はストーカー並みに脅威的なしつこさでついに私の家までついてきた。
そして現在。
「ッああ〜、うま」
私の部屋で酒を飲んでいる。
「お前まじでなんなんだよッ!!!」
「え、別に良くね。…はい、ビール」
「あ、ども。………じゃなくてッ!」
彼は、酒を片手に柿ピーをぽりぽり。
「まじで、良い加減にしてよ!ソラ!!」
私は、怒鳴っていた。
彼は、一瞬目を見開いてから微笑んだ。
「…やっと俺の名前読んでくれた」
どきっ、と心臓が鳴った。
…いや、どきっじゃないから。
こいつに、ときめいたら終わりだから。
私が、こっそり彼を見つめていると、
「…いる?柿ピー」
「…いる」
いや、それ私の金で買ったやつだから。
「いる?」じゃねぇわ。
でも、まあ別にいいか。
いや、よくねぇわ。
これは、だめだわ。だめなやつだわ。
また、好きになる。
儚く消えていく美しいモノ
ホラー・意味深……だと思います!
あるところに、少女がいた。
その少女は、周りに虐げられていた。
なぜなら、
周りの人は皆、黒髪・茶髪に黒瞳・茶瞳だったから。
少女は、異質な雰囲気を放っていた。
なぜなら、
少女は白髪に赤瞳だったから。
罵声を浴びせられ、石を投げられ、気味悪がれ、少女の心は壊れかけていた。
---
あるところに怪獣がいた。
その怪獣は、元は人間の青年だった。
彼を疎ましく思った者に呪いをかけられ、怪獣となった。
彼は、遠ざけられていた。
人間の頃も、怪獣になった今も。
疎ましく思われ、投げられる罵声は彼の心を傷つけた。
---
少女は、息を切らして走っていた。
まるで、何かから逃げるように。
少女の頬には、血が滲んでいた。
必死に、走っていた。
そこは、森の中だった。
木を素早く避けて、必死に走っていた。
「あっ」
少女は、ツタに足を引っ掛けて転んだ。
ぽた、と一つ雫が落ちた。
ぽた、とまた雫が落ちた。
少女は、自分が泣いていることに気づいた。
「っふぅ、……う、あ………うぁ」
声が漏れる。
涙を手で何度も払った。涙は止まらなかった。
「うああああ……あ、ひっく、う、あ……」
地面に大きな影が差した。
少女がゆっくり振り向くと、そこには少女より遥かに大きな怪獣がいた。
---
「ねぇ、怪獣さん!見て、お花のかんむり!」
少女は小さな花の冠を怪獣の頭に乗せた。
「きれいだ」
怪獣は、低い声で言った。
---
「そのきずは、なにがあった」
怪獣は、少し強い声で言った。
「…これ?…これは、ただ…転んだだけ。大丈夫だよ」
少女の顔には、とても転んだとは思えない傷があった。
まるで、何かをぶつけられたような。
---
「怪獣さん!私ね、クッキー作ったの!食べてみて!」
少女は、小さなクッキーを怪獣に渡した。
「おいしい」
怪獣は、低い声で言った。
微かに、笑ったように感じた。
---
「ねぇ、怪獣さん。どうして、私は一緒に遊んじゃダメなのかな」
少女は、悲しそうに言った。
「私は、何も怖いことなんてしないのに。この髪と眼のせいだ」
少女は顔を、抱えた膝にうずめた。
「__……こんなもの、なければよかったのに__」
---
怪獣は、振り向いた。
今日は、少女がいない。
何か、楽しいことでもあったのだろうか。
今日も、少女がいない。
何か、悲しいことでもあったのだろうか。
今日も、
今日も、
今日も、
今日も、
何度も繰り返して、怪獣は異変に気づいた。
少女が、来ない。
今まで、ほぼ毎日のように来ていた少女が、来ない。
怪獣は、少女がとても身近な存在になっていたことに気づいた。
怪獣は、立ち上がった。
---
怪獣は、少女が住む街に来ていた。
時刻は夕方。
夕陽が辺りを橙色に染めた。
人はまばらだが、いないわけではない。
怪獣は、建物の影に身を潜めながら少女を必死で探した。
---
「見つけ、」
少女の白髪があった。
「た」
路地の奥のゴミ置き場。
夕陽が、赤く少女と怪獣を照らした。
少女の赤瞳に光は入っていなかった。
ゴミの上、力なく少女は横たわっていた。
辺りは赤に染まっている。
怪獣は、息もできずに固まっていた。
突然、胸に衝撃が加わった。
激しく血を吐いて怪獣は倒れた。
何が起こったのか、分からなかった。
後から、激痛が走り意識が朦朧とした。
「……は、ぐ、なに…が」
怪獣は、うめき声を上げた。
「……はっ、本当に来たぜ。バカだな、こんなやつ放っときゃいいのに」
「まっ、これで俺たちが英雄になることは確定したな」
「楽勝楽勝」
男たちが、背後に立っていた。
その手には、赤く染まった剣が握られていた。
彼らは、足早に去っていった。
怪獣は、最期の力を振り絞って少女の方を見た。
少女は、うっすら笑っているように見えた。
聞き覚えのある|鼻唄《はなうた》が聞こえた。
---
「北に森があるだろ、そこに怪獣がいるらしいんだってよ」
「へぇ〜」
「なんかさ、討伐依頼出てたんだよ」
「まじか、いくら?」
「━━」
「うお、まじ?高っ」
「しかも、これ終わったら俺ら英雄だぜ?」
「……それって危ないんじゃ」
「ばかか。お前、人襲うなんて噂本当に信じてるのか?」
「え、襲わないのか?」
「そんな事例、今まで一回もないらしいぜ」
「それなのに討伐依頼きてるのか?」
「ああ。どっかの心配性がほざいてるんだろうよ、知らんけど」
「はー、なるほどな。………で、どうやって殺す?」
「………それなんだよなぁ」
男たちが話していた。
それをこっそり聞いている人影があった。
「__………はぁ……はぁ…はぁ…__」
ころ、す?
怪獣さん、を?
それは、
絶対に、ダメ。
私の居場所がなくなっちゃう。
少女は、飛び出した。
---
「怪獣さんを殺すなんて、ダメ!!!」
「あ?なんだこのガキ」
「怪獣さんは、人を襲うなんてしないよ!とっても優しい人なんだよ!!」
「「「……………」」」
男たちは顔を見合わせて、ニヤッと笑った。
「へぇ〜、そうなんだ〜」
「ありがとね、嬢ちゃん」
「教えてくれて」
少女は、ぱっと顔を輝かせた。
「……それじゃあ…!襲っちゃ、」
少女は、膝から崩れ落ちた。
「?」
大きく血を吐く。
「?」
少女の顔は痛みに苦しんで歪み、それと同時に困惑の表情が浮かんでいた。
「……なんて言うと思ったか?嬢ちゃん」
「襲う襲わないなんて関係ないんだよ」
「ありがとね、嬢ちゃん。良い餌になってくれて」
「………こんなやつのために本当に来るのか?」
「知らねぇよ。来なかったら来なかったときに考えりゃいいだろ」
「…そうだな」
少女の瞳には、もう光がなかった。
---
*少女は、鼻唄を歌っていた。*
*「それは、なんのうただ?」*
*「これはね、お母さんがよく歌ってくれたの」*
* 少女は、鼻唄を続けた。*
*「お母さんがね、死ぬときに歌っていたの。…だから、__私も死ぬときはこの歌をうたっていたい__」*
*怪獣も、まだ音程がはっきりとは合わない鼻唄を歌い始めた。*
---
2つの亡骸があった。
夕陽が差して、辺りを赤く染めた。
2つの亡骸は薄らと笑っていた。
彼らは、1人だった。
罵倒され、石を投げられ、遠ざけられ、差別された。
彼らは、1人だった。
どこからか、かつて2人が歌っていた鼻唄が聞こえた。
2つの亡骸は、薄らと笑っていた。