「女の子が女の子にガチ恋して何が悪いの?」
※本小説は実在する女性VTuberさんの夢小説となっております。
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目次
#0
※本小説は実在する女性VTuberさんの夢小説となっております。苦手な方はブラウザバックなどの対応をお取りくださいますよう、よろしくお願いいたします。
「#あなたの名前#! あんたはいつになったら優秀な子になるのかしら? 今回のテスト、また100点を取れなかったでしょ!」
「おい、#あなたの名前#! てめぇ少しは静かにしてろや! 父親に気を遣う事もできねぇのかよ!」
私が、まだ中学や高校の学生だった頃。私は家で、いつも親から罵声を浴びせられていた。時には暴力を振るわれる事もあって、まだ実家に居た頃の私は、毎日両親に怯えていた。家に居る時間は、苦痛でたまらなかった。
「ねぇ#あなたの名字#さん。今日の掃除変わってくれない? 私、友達とカラオケ行くんだよねー。どうせ、あんた遊びに行ける友達とか居ないでしょ? 予定ないならやってよね」
「クラスにお前がいるとさ、邪魔なんだわ。教室から出てってくんね? 俺らは、お前の事必要としてねーんだよ」
「ふーん、クラスメイトの皆さんからいじめねぇ……。#あなたの名字#さんに原因があるんじゃなくて? 今この時期にいじめはさ……。他の皆さんにも、将来があるわけじゃん?」
家だけじゃなく、学校も同じだった。生徒の人からはいじめられ、先生にその事を相談してものらりくらりとしていて、まともに対応してくれない。
どこにも味方が居なくて、毎日ごめんなさいとすみませんの繰り返し。他人に対してずっとそうやって謝っている内に、私はいつしか、自分にさえ、神様にさえ謝るようになっていった。生まれてきた自分が憎くて、こんな人生が悲しすぎて、一人の夜は涙が止まらなかった。
「ごめんなさい……。ああ……、もういやだなぁ」
毎日、毎日、毎日。ずっと悲しい気持ちで胸がいっぱいだった。苦しくてこのままじゃ押し潰されそうだった。救いが欲しくて、ずっと必死にもがいていた。
逃げ場の無い孤独でしょうがない日々。そんな日々の中で、私がした一つの出会い。そのたった一つの出会いは、私の人生を大きく変えた。
「どうも! 彗星のごとく現れたスターの原石! アイドルVTuberの、星街すいせいでーす! すいちゃんはー!」
「今日もかわいい……! すいちゃん……大好きだよ!」
数年前に出会った一人の推し。彼女は私の人生を一変させてくれた。
そしてこれは、そんな彼女と私が出会って、結ばれるまでのお話。
夢主ちゃんがすいちゃんに出会ったのは数年前という設定なので、すいちゃんの最初の挨拶は「バーチャルアイドル」ではなく「アイドルVTuber」となっております。今は違うんですけどね、こういう妙なリアリティ大好き人間なので、今回は前の挨拶を使用しています。
#1
※本小説は実在する女性VTuberさんの夢小説となっております。苦手な方はブラウザバックなどの対応をお取りくださいますよう、よろしくお願いいたします。
「……ん、うるさぁい……」
ピピピピ、ピピピピ。目覚まし時計が鳴る。寝覚めに悪すぎる大きな音が永遠に鳴り続けている。そして私はそれに必死に抵抗しようと、枕に顔をうずめ続ける。
「起きたくなーい、休む……。あ、でも今日必修あるんだ……」
今日は学校を休んでしまおうかと思うが、生憎無理そうな事に気付く。今日は休まずに行かないと、この先の生活が危うい。頭ではそう考えながらも、私の心はぐるぐると回る。
「起きたくない……。うぅ、でも学校。もう、あんな授業通信でいいじゃんかー……!」
ベッドの中で駄々をこねる。しかしそうしていると、また目覚まし時計がセットした時間に鳴った。
「……う」
私はそこでやっと目覚める。結局今ここで何言ったって学校の制度は変わらないのだから、もう今日は眠気に勝って行くしかない。たった一日の二度寝でこの先の数年間をドブに捨てたくはないし。私は必死に理性でそう考えながら、ベッドから起き上がった。
「はぁ……。おはよう」
他に人が居ない家に挨拶をする。これは私のルーティンというか、習慣のようなもので、かれこれ数十年間はずっとこうしている。おはよう以外にもそうで、ただいま、おやすみ、全て一人暮らしになっても言っている。
そして、これらの挨拶に誰も返答してくれない事に、私は寂しさを感じる事がない。むしろ、私は誰にも縛られていないんだと、うっとりしてしまうくらいだ。もうあんな家族は居ない、一人でなんでもできる世界。私はそんな世界が大好きなのだ。
「ふぅ、準備しなきゃ」
ベッドから出ると、私をいつも通りの朝が迎える。そして私はそれに応えるように、いつも通りの朝のルーティンを実行していく。まず顔を洗う。そしてその次に、朝食の準備をする。今日はトーストとジャムだ。そして次に、メイクをしたり服を着替えたり、身だしなみを外行き用にする。これが私のルーティンだ。そして今は、朝のメイクを終えたところ。
「よし、メイク終了! 今日のメイク、いつもより可愛いかも!」
今日はメイクのりが中々に良い感じ。その日のメイクが可愛いと、やっぱり私自身もテンションが上がるというか、いつもに増して声が可愛く高くなるような、そんな気分になる。乙女の気分はメイクと服で変わるもんだ。
「今日のメイクに合わせるならー、お洋服は……コレ!」
メイクの雰囲気に合わせて、私はお洋服を選ぶ。服も中々可愛くおしゃれなもので、今日センスの調子が良い日だ、と直感で感じた。笑顔で服を着替える。
「いやー、眠気の原因にもなったけど……。すいちゃんの配信の次の日は、もっと可愛くなれちゃうな」
途端に、そんな事を考える。そう、私が最初にベッドの中でぐずってた理由。それは昨日すいちゃんの配信があって、眠りにつく時間がいつもより遅かったからなのだ。
推しの配信というものは、やっぱりファンからすればリアルタイムで追いかけたいものだ。私も、すいちゃんの配信を追う時はその一心で、昨日も同じマインドで配信を見ていた。そしたら、配信内ですいちゃんがやっているゲームが思ったより白熱してきて、そしたらあっという間に時間が経った。その結果、昨日はド深夜まで起きてしまった。まぁ、今回の事を私は後悔も反省もしていない訳だが。
そんな感じで、眠気の原因も昨日の配信だったのだが、同時に今日のメイクやお洋服がいつもより可愛いのも、昨日すいちゃんの配信を見ていたからだ、と私は思うのだ。
一人暮らしを始めて、すいちゃんの配信をリアルタイムで見られるようになってから、これはずっと感じている。すいちゃんの配信を見た翌日は、やっぱりなんというか、私が普段より可愛い。メイクが可愛いし、お洋服が可愛いし、仕草が可愛い。
詳しい理由はもちろん知らないが、まぁこれは恋の症状か何かだろう。私は、すいちゃんに恋をしているから。
「……よし、お洋服も準備完了!」
なんて事を永遠に考えていると、いつの間にかお洋服の準備も終わった。全身鏡で自分を見てみても、やっぱり私は可愛い。そんな私を、今日も大事にしようと思う。
「いってきまーす!」
今日も自分のため、そして推しのために、私はなんとか生きる。そう思いながら私は、家のドアを開け、いつも通りの通学路を歩きに行った。
女の子のメイクやお洋服事情はあんまり分からないので、描写がまぁまぁぼかされています。夢主ちゃんの服装は想像にお任せ、という事です。可愛いの作り方、ワカラナイ。
ちなみにですが、夢主ちゃんは2021年からすいちゃんを推しているという設定です。2021年の時、夢主ちゃんは16歳、高校一年生でした。
#2
※本小説は実在する女性VTuberさんの夢小説となっております。苦手な方はブラウザバックなどの対応をお取りくださいますよう、よろしくお願いいたします。
「ただいまー!」
学校帰り、午後の17時。あまりに暗く寒い外から、私はやっと自宅に戻ってきた。今日は用事があったので、学校が終わって直帰では無く、少し用事を済ませていた。
「あぁ疲れた。というか、寒すぎる……。エアコンつけよっと」
現在は十二月。この時期の外というのは、やっぱりどうも極寒だ。私の身体は芯まで冷え切っていて、今すぐにでも暖かくなりたい所だ。手洗いうがいの前に、リビングまで行ってエアコンをつける。やっぱりまだ、この部屋も寒い。肌が裂けそうだ。
「やっぱ最近の気候マジで終わってるわ……。こんな寒いとか思わなんだ……」
気温に対する小言を呟きつつ、洗面台で手洗いうがいを済ませる。流行り病がうつるのは本当に御免な話なので、やっぱり冬はこういう対策も重要だ。まぁ、冬じゃなくても一年中気を付けておくべきではあるのだが。
「ふぅ……。さて、着替えよう」
外行きの服を脱いで、適当に洗濯機に投げ入れる。あまりにも寒い。下着のみの一張羅になって、ひぃひぃ言いながらも服がある自室まで早足で行く。靴下も脱いだので、冷気によって完全に冷たくなった床に足裏を刺激される。もはや地獄かと思える具合の極寒に、私の肌は思わず鳥肌になった。身震いしながら自室に着く頃には、もう既にたじたじだ。
「ああ寒いー! 早く着替えなきゃ……」
早くこの寒さから逃げたい一心を覚え、全速力で服を着替える。ラフでありつつもこもこで暖かいルームウェア。そこに裏起毛のパーカーを羽織れば、先程まであった寒さは、完全に無くなっては無いが、多少はマシになった。少し落ち着きを取り戻す。
「はぁ……。死ぬかと思ったわ、本当に」
やはり寒さというのは、人間という動物にとって最大の天敵だ。玄関に置きっぱなしにしていたバッグを取りに行きながら、ふとそんな事を思った。そんな事を考えていながらも、この家の玄関は依然として寒い。服を着ていても多少は寒いし、靴下を履いていたって足も冷える。私はバッグを取ったら、すぐに駆け足で退散した。自室まで全力ダッシュだ。
「はぁ、寒いわ。……そろそろエアコン効いてきたかな」
ふと、リビングが全体的に暖まっている事に気付く。やっとエアコンが効き始めて、なんだかほっとするような気持ちになった。私が無言のままで居ると、エアコンのファンが回っている音だけが、部屋の中に溶け込む。その感覚が、どうにも懐かしいような気持ちになる。
「……ま、私に懐かしい日なんて無いけどね」
自室に移動しながら、寂しげな感覚に陥りつつ考える。
昔から家庭環境も、家以外の環境だって悪い中で生きていた私。そんな私は、ノスタルジーだとか、そういう気持ちを感じる事自体は出来るのだが、具体的にエピソードを思いつくという事が出来ない。だって、懐かしく温かい事だなんて、子どもの頃は全く経験していなかったから。まぁ、ここ数年は確かに温かいし幸せ。しかし、懐かしいという気持ちになるには、数年ぽっちではまだ早い気がする。そんなに懐かしくないのに、懐かしい思いなんてした事ないのに、懐かしいと思う。これはきっと、何者かに仕組まれた共通認識の思い出なのだろう。そう思っておく。
「……さてさて、暗い事考えちゃったわ」
いつも通りの自室に着いて、暗い考えを打ち消す。今日はそんな事考えずに、幸せを考えたい。
「ふふ、今日はせっかく……、これを買ったんだもん!」
じゃじゃん、と言わんばかりにバッグから物を取り出す。そう、私が取り出したのはすいちゃんのグッズだ。今日はすいちゃんの色々なグッズを買ったり受け取るために、寒い中外に出ていたのだ。
「はぁ、やっぱこのぬいぐるみ、グッズの中でもマジで可愛すぎる……!」
小さくて可愛いぬいぐるみ。本物のすいちゃんの可愛さとかがそのまま具現化されたような感じだし、何より実際にすいちゃんを抱きしめられるのが嬉しくてたまらないので、個人的にはすいちゃんグッズの中でもかなりのお気に入りだ。一年中売ってて、いつでも買えるのもポイント高め。
「やっぱこれいつ買っても可愛い! もうこれでぬいは七体目だけど、可愛いし自分のお金なんだから良いよね! よし、早速すいちゃん専用の祭壇に、これ飾っちゃいまーす!」
推しのグッズというものは、やっぱり買うとテンションが上がってくる。私はずっと作っているすいちゃん専用の祭壇に、今持っているぬいぐるみを優しく置いた。こうやって優しい力でそっとしないと、ぬいぐるみのすいちゃんが痛がっちゃう。ぬいぐるみにも、その子の魂が宿っているのだから。八百万の神みたいな思考だ。
「ふふーん、やっぱ可愛い! すいちゃん可愛い!」
時間とお金を掛けて作った、渾身の祭壇。そこには可愛かったり、かっこよかった、美しかったり、様々なすいちゃんが存在している。それを目の前にすると、私の語彙力はいつも大きく下がり続ける。すいちゃん可愛い、これぐらいの言葉しか出てこないのだ。それぐらい、すいちゃんは尊くて可愛いし、私はすいちゃんを愛している。
「よーし、今日はあとすいちゃんのペンでしょ、それに……アクスタも買っちゃった! ふふ、これが給料日直後の力よ……!」
バイトを何個も掛け持ちしたり、日々のポイ活を頑張ってやっと得た沢山の給料。こうやって得たお金は、大体自分磨きか、こうやってすいちゃんに対する推し活で使われていく。私はそれに満足していて、これからも最大限、この生活を続けていきたい。たまに私のお金の使い道について、金の無駄だと批判する奴も出てくるが、私はこれで実際に日本の経済を回しているし、税金に関する所とかだってきっちりやっているし、他人にどうこう言われたくない。人の事についてどうこう言う奴に対しては、いつも虫酸が走る。
私は、私の好きなように生きるし、私の物も努力も全部、好きな人に捧げていたい。
「……邪魔されなきゃいいな!」
さっき暗い事は考えないと決めた手前、私はネガティブな話題を振り切った。今は、すいちゃんのグッズの開封をして、幸せに浸っていよう。
「よし、まずはペンから!」
私事なのですが、今回は初めて予約投稿を使って小説を投稿してみます。この文章を書いている時は予約投稿の前、生活の中では就寝前です。そして次の午前9時に、予約投稿で小説が発射されます。なんだか楽しみ。投稿される時間に私は起きていませんから、同じ作品を掲載している他サイトには起きてから投稿しますね。
すいちゃんとの恋愛、いつになる事やら。私だってすいちゃんと恋に愛したくて夢小説書いてるんでね、その内この夢主ちゃんとすいちゃんは恋愛をしはじめます。まだまだ先は遠いように思えますが、どうかお楽しみに。
#3
※本小説は実在する女性VTuberさんの夢小説となっております。苦手な方はブラウザバックなどの対応をお取りくださいますよう、よろしくお願いいたします。
「ふぅ、開封会終わっちゃった……。やっぱりすいちゃんは尊いなぁ……!」
数十分後。一人の開封会も終わり、私は目の前の大きなすいちゃん専用の祭壇を眺めていた。やっぱり、すいちゃんは可愛い。そして可愛い物はあればあるほど良い。同じ物がいっぱいあったって、可愛いのだから問題はない。むしろ、可愛いの面積が増えてハッピーだ。そう考えながら、すいちゃんの可愛らしくかっこよく、そして何より美しいグッズ達を眺めた。
「……よしよし、明日からも推し活頑張ろ!」
バイトもポイ活も頑張るぞーと息巻きつつ、私は部屋を出た。すいちゃんへの貢献のため、自分がもっともっと愛を育むため、これからも推し活を頑張る所存だ。|星詠《ほしよ》みとして、すいちゃんの事をもっともっと応援するぞ。
「よし……。あ、そろそろ夜ご飯の時間」
ふとリビングで時計を見ると、時刻は午後六時。夜ご飯を作って食べるには充分な時刻だ。最近買い物に行けてなくて、冷蔵庫に食材が無い事を考えなければ。
「どうしよ、宅配するかな……」
ちょっとお金はかかってしまうけど、あんな寒い外になんか出てられない。むしろそれで風邪でも引いてみようもんなら、もっとお金がかかるだろう。
今日の夜ご飯は宅配にしよう、そして明日こそ食材のお買い物に行こう、そう思いつつ、私は何かしら頼むためにスマホを開いた。
「えーっと…………ん?」
適当に宅配アプリを開いて、何かしら頼む。それだけすれば良かった。だがしかし、スマホを開いて私は見てしまったのだ。
「は……? え、なんで……?」
SNSのおすすめ通知。私が普段見ているからって、勝手に通知された一本の動画。それを見て私は、一瞬で情緒をずたずたに切り刻まれた。
そこには、すいちゃん推しの人の動画が通知されていた。
「マジでさぁ、マジでこれなんで……!」
ふわふわとした編集に載せられる、投稿者が推し活している写真達。それを見ていたら、投稿者がすいちゃん推しである事は明らかだった。私にはそれが悲しくてしょうがなかった。ずっと同担拒否でやってきているので、急に見せつけられると悲しい。
「……ブロック、しなきゃ」
それでも私は、自分自身の中にある攻撃性を必死に押さえつけた。ブロックして、見えないようにすれば良いんだ。おすすめ通知はこれからOFFにしよう。そうすれば、もう誰も見なくて済む。私は震える人差し指で、ユーザーブロックボタンを押した。そうすると、動画は見えなくなった。
「ふー……」
辛い、悲しい。怒るわけでもなく、ただひたすらにそんな感情達が脳内にて循環した。もうこれからは、絶対にこんな投稿見ない。そう考えながら、私は苦し紛れに他のSNSを開いた。
「……」
スマホキーボードで、たったの数十文字を打ち込んだ。投稿ボタンを押して、鍵垢の中で素直な自分の気持ちをつぶやいた。
『私が一番であってるよね。私だけを見てくれてるよね。信じてるからね。』
重苦しい言葉だが、今はこうでも書かないと自分の気持ちが分からなくなりそうだった。鍵垢なので誰にも迷惑はかけていないし、誰かを攻撃していないだけ、おそらく私はまだマシだ。そう思い込んで、必死に耐えた。
「はー……。ご飯だ、夜ご飯頼まなきゃ」
ご飯くらいは喉通るよな、と少しばかり心配になりつつ、宅配アプリを開いた。
暗い気持ちを吹っ飛ばすように、その日の私は頼んだご飯を食べて、その後お風呂に入って、身支度したらすぐに眠りについたのだった。
知らない人が居るかもしれないので説明しておきますが、途中で出てきた「星詠み」とは、すいちゃんのファンネームです。めっちゃおしゃれですよね。綺麗だ。
夢主ちゃんはすいちゃんガチ恋同担断固拒否勢という設定ですのでね、ちょっと重苦しくしてみました。でも私自身が同担大好き人間ですので、ちょっと感覚が違うかもです。もしかしたら解釈違いかもしれません、ごめんなさい。
#4
※本小説は実在する女性VTuberさんの夢小説となっております。苦手な方はブラウザバックなどの対応をお取りくださいますよう、よろしくお願いいたします。
それから、何週間か経った時の事だ。
「はぁ、寒い……」
手袋とマフラーをしていても冷える東京。息を吐くと少し白いもやが溢れていて、今は十二月なんだなと実感する。とんでもなく真冬だ。
「えーっと、お店は駅前……」
私は今日、誕生日が二日後に迫った友達のお誕生日プレゼントを買いに来ている。プレゼントするのはおしゃれなスノードーム。お店まで買いに行くため、極寒の休日に東京まで繰り出した次第だ。
「どこ、だっけ……?」
方向音痴気味なので、少し道にも迷う。その度に、早くこの寒さから解放されたいのになと思いつつ、早足で駅構内を早足で通り過ぎた。
「…………やめてください、放して……!」
しかし、その時だった。その時私の目の前に、運命が現れた。
「お姉さん、ちょっとお茶しない?」
「やめてください、本当に……」
人がなだれ込んでいる駅構内。そこで目に留まった一つの風景。男が一人の女性をナンパしていた。
「いいじゃん、マジでちょっと。三十分だけ!」
「嫌です、本当に……」
男はチャラそうな見た目をしていて、同時に女性の腕をがっちりと掴んで放す気配がない。女性の方はすごく嫌そうな顔をしていた。
「……」
本当なら、他人の事象に首を突っ込む必要も無いはずだった。そのままスルーもできたのだ。それでもなんだか、私の足はあの二人の方向へ向いていて、気付いたら冬の冷たい空気を大きく吸い込んで、次の台詞に口を向かわせていた。
なんだか、止めたくなったのだ。
「……あの! そういうの良くないと思います。この人から離れてください!」
男の腕を鷲掴みにして怒る。周りの人々も一斉にこっちの方を向いて、明らかに悪者であるナンパ男の方を見た。
「え……、なんかヤバそうじゃない……?」
「あの青髪の人がナンパされてたのかな……?」
「ああいう男ってマジ迷惑だよね……」
周囲のくすくすとした声が響く。決して耳心地の良いものでは無かったが、それはこのナンパ男にとっても同様。
「う、うわぁ!」
男は周りの目線に耐えかねて、一目散に逃げ出した。その様子は愚かでしょうがなかった。全く、あれだからナンパ師は男女関係なく嫌いなのだ。
「あ、逃げたね……」
「逃げ方ダッサ……。まあいいや、ほら行こー……!」
ナンパ男という一難が去ってくと、周りは一気に自分達の日常を取り戻していった。さっきの事を完全に無視して、日常を謳歌している。しかし、ここに居る私達だけは、そうもいかない。
「あの、大丈夫でしたか? お怪我とかは……?」
「あ……はい。ありがとうございました」
私が心配して声をかけると、女性は控えめに頷いた。とりあえず、あの男に危害は加えられていないようだ。私は一安心と胸を撫で下ろす。
「じゃあ良かったです!」
女性はさっきと全く変わらず、依然として下を向きながら小さくはいと言った。顔も隠しているし、なんだかミステリアスな人だなと思う。
「……じゃあ、私はこの辺で。気を付けてくださいね」
でも、そんな事私には関係ない。私はこれから友達のために、おしゃれなお店のおしゃれなスノードームを買うのだ。私は女性に気を付けてとだけ言い残し、後を去る……。
「……あ、あの待ってください!」
はずだった。私がさてお店に向かおうと踵を返した瞬間、突然女性側から声を掛けられた。しかもちょっと大きい声量で。
「ん? どうされましたか……?」
思わず私が振り向くと、女性は少しだけ照れ臭そうにもじもじした後、私に向かってこう言った。
「あの、お礼……お礼したいです……!」
その言葉は、予想はしていたものの予想外といったものだった。そりゃ想像自体はしていたが、それはあくまでもフィクションのあるあるで、まさか現実でお礼をしたいなんて言われる日が来るなんて、普通は思わない。
「え、お礼ですか……?」
私は彼女の言葉に思わずたじろぐ。お礼自体は別に構わないのだが、お礼なんて言われても何をしてもらえば良いのか、それが中々思い浮かばない。別に困ってる事なんて無いし……と思う。
「えぇ……」
「ダメ、ですかね……?」
私が困ってわたわたとしていると、女性が少し上目遣いで私の方を見てきた。
「……」
その瞬間、私は何かを感じ取った。この女性の上目遣いが、どこかの誰かに似ていると思ったのだ。誰だったかはちょっと忘れてしまったが、私が可愛いと思っている誰かに似ている。そうお思った。そしてなんだか、この女性にお礼されたい、という謎の欲求も増した。
「……そうだなぁ」
私は口を開く。今の所は、特に何もされなくて良いなと思った私は、とりあえず……から言葉を始めて提案をした。
「とりあえず……、連絡先交換しませんか?」
本当はもっと終わりは後の方にする予定だったんですが、長さ的にちょうどいいのがここだったので止めました。次の回で色々書く予定です。