ここは「ゲヘナ」
巨大な実験施設。実験の過程で死ぬ者もいて、生き残っても生を願う者は少ない。
そんな中、ゲヘナの脱獄を試みる者がいた。
その名は、被験体No.1
※人が死にます。無理な方は見るのはご遠慮ください
※一部、虫も出てきます。主に、ゴの付くアレです
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目次
被験体No.1設定
**ゲヘナ**
罪を犯して、投獄された者。捨て子、売られた者などが集まる巨大な実験施設。
実験の内容は無茶苦茶で、ほとんどは死ぬ。月一で新たな被験体が百人追加される。
**能力**
実験の過程で得た能力。実験の成功体として、当分は生かされるが、実験の段階2に入ると、ほとんどの者が死ぬ。実験の段階は5まである。5まで耐えきると、お偉いさんに飼い殺しにされるが、5まで生きた事例が一人しかいないため、詳細は分かっていない。
**ゲヘナの外装**
十階建てで、一階に十人が投獄されている。十階にはNo.1~10。九階にはNo.11~20。といった感じ。一階一階が広く、看守でもたまに迷っている。一階一階は階段で行き来できる。
**No.**
No.が小さい者ほどより危険な能力を持っている。
**看守**
ゲヘナの元被験体や、一般の自衛隊、警察などが、牢屋を監視している。警備はガバガバで、一階につき、三人が徘徊している。
**科学者**
頭がおかしい。ゲヘナには五人いて、どいつもこいつも戦闘能力がまぁまぁ高い。
被験体No.1テンプレート(被験体)
枠:
名前:(ふりがな付き。できれば和名がいいけれども、英名でもOK)
年齢:(十歳以上二十歳以下)
性別:(不明でも中性可)
性格:(できる限り正確に)
好き:
嫌い:
一人称:
二人称:
三人称:
身長:
容姿:(文章でもメーカーでもOK。メーカーな場合は永遠に見られるようにしてほしいです)
融合動物:(人間に実験の過程でなにかの動物と融合したって感じなので。なしあり)
能力名:(漢字一文字)
能力の説明:(できる限り詳しく)
被験体No.:(階に応じて変化)
実験段階:(4まで)
人を殺すとき:(躊躇するかしないかとか)
虫はいける?:(素手で触れる、見れる、見たら気絶など)
他キャラクター様の呼び方:(随時最新お願いします)
サンプルボイス:(五個以上。絡みも他キャラクターとの関わりが見たいので必須)
過去:(ここに連れてこられた理由など)
何派か:(逃亡派、逃げれればいい系か、破壊派、この施設をぶっ壊したい系か)
その他:
希望:
被験体No.1テンプレート(看守)
枠:
名前:(ふりがな付き。できれば和名がいいけれども、英名でもOK)
年齢:(二十歳以上三十歳以下)
性別:(不明でも中性可)
性格:(できる限り正確に)
好き:
嫌い:
一人称:
二人称:
三人称:
身長:
容姿:(文章でもメーカーでもOK。メーカーな場合は永遠に見られるようにしてほしいです)
人を殺すとき:(躊躇するかしないかとか)
虫はいける?:(素手で触れる、見れる、見たら気絶など)
武器:
他キャラクター様の呼び方:(随時最新お願いします)
サンプルボイス:(五個以上。絡みも他キャラクターとの関わりが見たいので必須)
過去:(ここに連れてこられた理由など)
その他:
希望:
元何?:(元から看守か、被験体か、警察か、自衛隊か)
元被験体のみ↓
融合動物:(人間に実験の過程でなにかの動物と融合したって感じなので。なしあり)
能力名:(漢字一文字)
能力の説明:(できる限り詳しく)
被験体No.1テンプレート(科学者)
枠:
名前:(ふりがな付き。できれば和名がいいけれども、英名でもOK)
年齢:(十歳以上二十歳以下)
性別:(不明でも中性可)
性格:(変人系で。できる限り正確に)
好き:
嫌い:
一人称:
二人称:
三人称:
身長:
容姿:(文章でもメーカーでもOK。メーカーな場合は永遠に見られるようにしてほしいです)
人を殺すとき:(躊躇するかしないかとか)
虫はいける?:(素手で触れる、見れる、見たら気絶など)
他キャラクター様の呼び方:(随時最新お願いします)
サンプルボイス:(五個以上。絡みも他キャラクターとの関わりが見たいので必須)
過去:(ここに来た理由など)
特に興味を持っている被験体:(No.で解答)
その他:
希望:
被験体No.1主人公
Picrewの「いいかもねメーカー」にて作成
https://picrew.me/share?cd=lCTvaMhega
枠:十階の被験体
名前:水仮 香澄(みずかり かすみ)
年齢:十三歳
性別:女
性格:優しい 仲間思い
好き:お饅頭 お友達 家族 虫
嫌い:実験
一人称:私
二人称:君
三人称:貴方
身長:158
容姿:まえがき記載
融合動物:なし
能力名:腐
能力の説明:触ったものを全て腐らせることができる
被験体No.:1
実験段階:3
人を殺すとき:少し躊躇する
虫はいける?:素手で触れる
他キャラクター様の呼び方:
サンプルボイス:
「私、香澄!よろしくね!」
「私は、ここの人達を助けたい!」
「抗って生きるか。諦めて死ぬか。答えは二つに一つだ!」
「私は、抗う事にした。貴方は?」
「虫ってかわいくない?えぇ?ひどっ!」
辛味(絡み)
「ですよね………。宋さんは優しいけど、多分、そんな事したらすぐに物理的に首が飛ぶので、やめといた方がいいと思う。自分の事を優先してね。」
「死ぬ、なんて、嫌だな。伊織さんにとっては、感情はノイズでしかないかもだけど、私は、全部、拾いたいんだ。伊織さんも、被験体全員………。我が儘で、ごめんね。」
「確かに~!でも、翠巒ちゃんの方が能力的にはいい、のか?うーん……なんで私がNo.1なんだろう?翠巒ちゃんの能力の方が強い気がするのに。」
「よろしくね。紫乃ちゃん!……紫乃ちゃんの能力いいなぁー。私は壊すしかできないから………。」
「椎羅ちゃんの顔見えない、!うっ、ちょっと、顔見せてくれない?」
「私も、ここから脱出して、みんなの幸せな笑顔を見たい!協力してくれる?有栖ちゃん。」
「後悔、か……。そうだよね。私も脱出するには、看守さんを殺さなきゃ、いけない……。私も連那ちゃんみたいに後悔しなければいいのに………。」
「久乃さんって裏切り者!?えぇっ!?そりゃまぁ、嬉しいけどさ!下手したら首が飛ぶんだよ!?怖く、ないの………?」
「
過去:貧乏で、十二歳の時に、売られて、ここに来た。
何派か:逃亡派
その他:被験体No.100と友達
希望:なし
被験体No.100
Picrewの「ななめーかー」にて作成
https://picrew.me/share?cd=A028Ov3Qcu
枠:一階の被験体
名前:ノルエ・ユリファセーラ
年齢:十三歳
性別:女
性格:冷静 狡猾 すぐに裏切る 煽る ウザい 現実を分かっている
好き:香澄(?)
嫌い:家族 虫 人
一人称:私
二人称:おまえ
三人称:あんた
身長:163
容姿:まえがき記載
融合動物:狼
能力名:なし
能力の説明:なし
被験体No.:100
実験段階:2
人を殺すとき:躊躇全くなし
虫はいける?:素手で触れるけど、すぐに殺す
他キャラクター様の呼び方:
水仮 香澄→香澄
(最も親しい。友達)
赤城 宋→十階の看守
(お人好しなのでからかいまくってるが、ほぼ会わない)
伏見 伊織→伊織
(ほぼ会わない)
東雲 翠巒→翠巒
(ほぼ会わない)
笹倉 紫乃→紫乃
(ほぼ会わない)
黒猫 椎羅→椎羅
(隣の牢なので、まぁまぁ親しい)
栗原 有栖→有栖
(ほぼ会わない)
鷲尾 連那→連那
(ほぼ会わない)
百合 崎久乃→裏切り
(ほぼ会わない)
亡姫孤棊擄 詩緒里→詩緒里
(ほぼ会わない)
亡姫孤棊擄 早樹饐→早樹饐
(ほぼ会わない)
サンプルボイス:
「私はノルエ・ユリファセーラ。能力はない。融合生物は狼だ。」
「家族なんていてなにになるってんだい?只でさえ、貧しい家。弱肉強食。弱いものは死ぬ。強いものは生きる。」
「私はこんなくそみたいな施設ぶっつぶして、嫌でも逃げてやる。」
「香澄は私の唯一の友達なんだ。優しくていい子だよ。あんたら手出ししたら承知しないから。」
「人ってのは、裏切る生き物だ。私も含めて、ね?」
絡み↓
水仮 香澄
「香澄は相変わらずいい子だね。ずっと一緒だよ。私が、なんとしても香澄のことを、守るから。」
赤城 宋
「ふぅ~ん。あんた前は警察だったんだね。ここはよくゴッキーでるけど大丈夫なんかい?そんなんじゃ簡単に逃げられちまうよ?あぁ、あんたは対話を試みてんだっけ?この理不尽な実験施設では、そんなもん無意味なんだよ。殺してあげた方が喜ぶかもね~。」
伏見 伊織
「あんたはいいね。そう、感情なんて一切無用。感情なんて持っていたら大切なもんはなんも守れりゃしないからね。」
東雲 翠巒
「あんた狂ってやがる。でも、残念だったね。あんたの能力じゃ嬲り殺しはできない。すぐに灰になっちまうからね。てか、香澄と能力クソ似てるやん。そういえや、香澄と同じ実験受けてたんだっけね。」
笹倉 紫乃
「この実験で性格が変わっちまう奴は多いからね。あんたは正常だ。香澄が異常なんだよ。十階の看守も、よく悲鳴を聞きながらもあの性格でいられるねぇ。」
黒猫 椎羅
「椎羅は能力強くていいねぇ。私は無いからね。こんなんじゃ香澄は守れないよね。後さ、あんたいい加減敬語外しなよ。」
栗原 有栖
「ふぅ~ん。あんたはここから生きて出られると思うんだ。私?私は、なにかを犠牲にしなきゃ出られないと思ってるよ。」
鷲尾 連那
「破壊ねぇ。あんたの能力では無理だな。有栖の能力の方が破壊には向いてるね。なに?あんた後世の心配してんの?自分だけ助かればいいじゃねぇの?」
百合 崎久乃
「へぇ。あんた潜入捜査?やるねぇ。あんたじゃねぇよ?政府がここの存在に気づいてるとは思わなかったからな。裏切りってのは、バレたらなかなか痛い目に遭うから気い付けい。」
亡姫孤棊擄 詩緒里
「亡くなる姫狐に……?あんた漢字むずいね。もっと簡単にしてくれよ。(作者が入力できないじゃないn((なんでもないです)てか、早樹饐と能力の漢字被ってんじゃねぇかよ。」
亡姫孤棊擄 早樹饐
「狐と融合ねぇ。なのに刀?狐って言うと……刀か。なんでもねぇよ。」
過去:両親を殺して投獄され、ここへ来た
何派か:破壊派
その他:香澄に一方的に好意を抱いている
希望:
prologue
『幸せは、きっと続いていく』
そう信じていられたのは、いつまでだろう?
---
『必ず、誰かが助けてくれる』
いつからだろう、誰も信じられなくなったのは。
---
無茶苦茶な実験。無意味な足掻き。諦めた方がいい。
それでも、私は足掻く。
やっと分かった幸せは、自分でつくるんだ。
---
こんな場所くそ食らえ。他人は信用できない。
なら、自分で動く。
諦めてたまるか。死んでたまるか。
こんな場所、ぶっ壊してやる。
---
狼は静かに息を潜め、喉笛を噛み切る。
一人の少女は、なにもかも捨てる決意をする。
---
すべてを腐らせ、破壊する。
一人の少女は、すべてを拾う決意をする。
---
諦めるな、抗え、抗え、動け、動け、戦え、戦え!
このくそみたいな場所をぶっ壊せ!
---
諦めない!絶対に、絶対に!
生きてここから脱出する!
---
幸福を願う少女達よ、地獄から這い上がれ!
被験体No.1スタート。!多いな………。あっ、テンプレート埋まってない人ヨロシク
十階編①
登場キャラクター
水仮香澄、ノルエ・ユリファセーラ:主
赤城 宋:ABC探偵 様
藤咲 雷:柳田風雅 様
神我廻 蒼:碧隠 様
佐々倉 碧:MinoruMiu 様
三辻 大輝、音桐 湊:マツタロー 様
「ねぇねぇ、虫さん。ここから、出られると思う?」
短めの黒髪に、宝石みたいな水色の目の少女。|水仮 香澄《みずかり かすみ》は牢屋に入ってきたゴキブリに話しかける。ゴキブリはカサカサと牢屋を歩き回った後、どこかへ行ってしまった。香澄は溜め息をつき、壁にもたれかかる。ここから出ることは「できる」と思う。でも、私が出て行った後、みんなはどうなるんだろう?香澄はそう考えると出られなかった。
「香澄、実験の時間です。」
牢屋の鍵を看守の|赤城 宋《あかぎ そう》が開ける。少し長めの髪に、落ち着いた茶色い目の優しい看守さんだ。香澄は床に手をつかないようにして立ち上がる。
「分かった。」
実験は嫌だった。でも、私は看守さんは好きだった。
「宋さんってなんで虫嫌いなの?」
香澄は宋に何気に聞いてみる。宋は顔をしかめた。
「逆になんで好きなのかよく分かりませんよ………あの多数の足が蠢いてたりすると、もう視界に入れただけで………。」
相当苦手ならしい。香澄はちょっと躊躇った後、足元を指差す。
「えぇっと、そこにゴッキーくんがいるんだけど………。」
「………。」
なにも言わずに宋は倒れる。気絶しちゃったみたい。
「………雷さ~ん!」
香澄は大声で、|藤咲 雷《ふじさき らい》を呼ぶ。すぐに淡い緑色の髪に、右目が緑色、左目が水色、瞳孔が右目が白で、左目が黒の星形の人が走ってきた。
「あ、No.1じゃん!やっほー、!」
ぶんぶん手を振る雷。香澄は床に倒れている宋を指差す。
「あれ?宋さんまた倒れたの?」
「あ、はい。」
「仕方ない!宋さんはおいてく、!僕が代わりに実験室まで連れて行くよ、!」
「あっ、ありがとう、ございます。」
取り敢えず感謝しておく。香澄は雷と一緒に実験室へと向かった。一階にある実験室へ向かう途中の牢屋。
「ノルエちゃん!」
銀髪のボサボサの長い髪に、鋭い黄色い目。頭に生えた銀色の狼の耳の少女、ノルエ・ユリファセーラは香澄に気づくと、顔を上げた。
「香澄?今から実験?」
「う……うん………。」
ノルエは心配性だからあんまり言いたくないんだけどな………と思いつつ、香澄は気まずそうに言う。
「じゃあ、またね!」
「香澄。香澄のことは、私が守るから…………。」
言われた言葉に、香澄は頷けなかった。ノルエには実験で得られるはずの、能力がない。既に、実験段階2まで進んでいるのに、能力が発現する事はなかった。私の能力は「腐」。手で触れたものをなにもかも腐らせる能力。科学者さん達が言うには、両手に毒物を注入し、細胞が毒物と適合するかの実験をしたらしい。香澄の実験段階3。どこまで、強化できるか、だ。実験は実験段階があがるごとにより無茶苦茶になっていく。だから、今回も………。
「香澄、聞いてるかい?」
ノルエに聞かれ、香澄は曖昧に頷く。
「じゃ、じゃあね!」
香澄は逃げるように、雷について行く。ノルエが見えなくなり、実験室の前まで来た。
「雷さん、待っててくれてありがとうございます……。」
「あ~……ちょっと待って?鍵失くしたかも……。」
「あっ、またですか?」
雷はよく物を無くす。また他の看守さんに怒られちゃうよ?と心の中で思いつつ、も
「ノックして見ればいいんじゃないですか?」
と提案する。
「確かに……!」
雷がノックすると、返事の代わりに怒鳴り声が聞こえてきた。雷がドアノブに手をかけると、鍵は開いていたみたいで、すんなり開いた。
「ちょ、!おい~!なにしてくれてんだよw」
「あぁ~ごめんごめん~。」
少しボサボサな茶髪のショートに光のない黒っぽい紺色の目。シワのできた白いYシャツを着て、なんか色々入ったポーチを腰に付けた少年が、藍色で、所々水色の入ったツインテールに光のない茶色い目、スーツ姿の人を怒鳴っている。少年は|神我廻 蒼《かがね あお》。もう一人は|佐々倉 碧《ささくら あおい》。手元にお茶で濡れたパソコンが置いてある。大方、碧が蒼のパソコンにお茶を零して、怒られているのだろうと予想する。
「あっ、香澄君。こっちこっち。」
そうちょいちょいと手招きをするのは黒髪で、眼鏡をかけている白衣の不健康そうな男。彼は|三辻 大輝《みつじ だいき》。ここの中で最も古参で、ゲヘナの創作者らしい。はっきり言うと、私は嫌いだ。
「もしかして、今日の担当って、大輝……さん?」
香澄が聞くと、大輝は頷く。………一番、最悪………。香澄は苦虫を噛み潰したような顔で実験室へと入った。
---
「ゲホッ………ガハッ………。」
香澄は激しく咳き込む。少し血の混じった痰がでてくる。大輝って加減しないからやなんだよ………。はっきり言ってしまうと、本当に人間なのか疑ってる。
「あれーもうリタイア?これからが面白いのに。」
いや、体に毒物何回も入れられたら普通は死ぬよ。私は耐性あったから軽減してるけど。
「うーん。じゃあ、今回はお終いにしようか。」
ホッとする。しかし、それは間違いだった。腕にチクリと痛みが走る。
「!?」
見ると、注射器を持った大輝。
「これで、お終い。」
「う゛あ゛ァぁァ゛¿な゛にこ゛」
傷口が焼けるように痛く、皮膚が爛れている気がする。見えないから分からないけど。上手く呼吸ができなくて、喉から風をきるような音がする。
「カヒュ……こ゛レは゛¿」
声を絞り出す。大輝はそれに答えなかった。
「あぁ、その毒には耐性がないんだ。じゃあ、もっと注入しようか?」
「う゛あ゛や,やめ゛でアァ……ガッ…………。」
香澄はそのまま気を失った。
---
目を覚ましたのは夜だった。静まり返った夜。香澄は夜が嫌いだった。
「こんばんはー差し入れ持ってきたよー。」
そう言って、牢屋の前に立ったのは|音桐 湊《おとぎり みなと》。白っぽい緑色の短髪に、瞳孔は蛇のように縦に長い朱色で、瞳は黄色い。青色の無地の着物を着ていて、腰に刀という大分和風な格好だ。
「あ゛、ありがとうございます゛。」
まだ、声がちょっとおかしい。
「三日も目覚めなかったから心配したよ。」
「み、三日!?私、三日も寝てたんですか……ゲホッ…ゴホッ!」
食べながら喋ったため、弁当が喉につっかえる。
「大丈夫?」
「あっ、はい。」
「なんかあったらすぐに呼んでね、じゃ!」
湊がいなくなると、夜は静けさを増した。香澄は闇の中で決心した。ここを、脱獄する、と。
考えもしなかった。**`《《あんなこと》》になるなんて`**
次回予告(っぽいなにか)
?「なにをしているんですか?」
香澄「!?」
新キャラクター登場。脱獄に仲間か!?
あとがき(っぽいなにか)
作者「ちわーす!」
香澄「こんにちは!」
作者「始まりましたねー!」
香澄「ですねー!」
作者「香澄ちゃんかわいいねー!」
香澄「ですねー!って、ん?」
作者「次回も見てねー!」
香澄「よろしくね!」
十階編②
登場人物
水仮香澄:主
New登場人物
笹倉 紫乃:MinoruMiu 様
綴木 舞:甘味ルタ 様
東雲 翠巒:奏者ボカロファン 様
「はぁ~………。」
夜の静けさに、香澄の溜め息がこだました。脱獄するとは言ったものの、なにをすれば…………。ウロウロと歩いていると、声をかけられた。
「なにをしているんですか?」
「!?」
少し幼さを感じる声。すぐそこにあった牢屋にその少女はいた。二つに結ばれ、編み込みされた藍っぽい紫色の髪に、少し不審がるように睨む紫色の目。
「君は……紫乃ちゃん!」
紫色の目の少女は、No.3の被験体|笹倉紫乃《ささくら しの》だった。
「水仮さん?」
「そう!会えて良かった!」
香澄は喜んでぴょんぴょんと跳ねる。
「ところで、水仮さん、ここでなにを?」
「脱獄するの。紫乃ちゃんは逃げたい?」
紫乃は固まる。それから、少し迷ってからハッキリと言った。
「逃げたいですよ。自由に、生きてみたい。」
「じゃあ、逃げよう。」
香澄は手を差し出した。すると、紫乃は困ったように眉を下げた。
「水仮さんの手を触ったら僕の手が腐ってしまいます。」
「あっ、そうだった……。うっかりうっかり!」
香澄はテヘペロのポーズをする。正直、自分でも自覚するほど気持ち悪いものだっただろう。しかし、紫乃は嫌な顔一つせずに、牢屋の鍵を創り出し、香澄にあげた。紫乃の能力、「創」。なんでも創り出せるが、乱用すると最悪の場合死ぬという代償付きだ。しかし、香澄は受け取らず、というか受け取れず、牢屋を能力で腐らせ、紫乃を外に出した。
「よし、行こう!」
そう言って、走り出そうとした途端に、後ろから声をかけられた。
「これは規則違反という事で問題ないですよね!水仮さん!笹倉さん!」
後ろを振り返ると、黒いショートヘアにエメラルドグリーンの瞳。片手にはパン。もう片手には欠けたマグカップ。十階の看守、|綴木舞 《つるぎ まい》の姿がそこにあった。
「舞さん………朝ご飯の、途中………?」
「えぇ!今日も素晴らしい朝ですね、水仮さん!笹倉さん!」
ちょっと不思議な方で、パンとドリンクさえあればどんな朝でも素晴らしいと思える、らしい。確か、スラム街出身だとか、なんとか。にしても、彼女に会うなんて最悪の朝だな。香澄は苦笑い。紫乃は警戒して、手には能力で創られた拳銃を持っていた。ここは、穏便に………。
「罪は重いですよ!今すぐ牢に戻ってください!さもなければ、殺します!」
明るい声で告げられた死の宣告。多分、彼女なら本当にやるだろう。でも、今回は退けない。
「ごめんなさい、舞さん。今回は、退けないの………紫乃ちゃん!!」
期待通り、紫乃は動いてくれた。舞の脳天に向けて発砲する。普通の人なら、それで死ぬだろう。普通の人なら。しかし、相手は舞。素早い身のこなしで、しゃがみ、更に発砲してきた。香澄は前に行き、目の前に手を突き出した。銃弾は香澄の手に当たり、腐った。というよりか、蒸発したようにも見える。
「流石です!」
次々にくる銃弾を必死で防ぐ香澄。紫乃が発砲しているのにまるで当たらない。だが、多分大丈夫。少しずつ、後ろに下がっていた。ここまでくれば、きっと聞こえる。
「翠巒ちゃん!」
香澄は大声で彼女の名を呼んだ。
---
__「翠巒ちゃん!」__
誰かに名前を呼ばれた気がした。誰だかは知らんが。どうせまた実験だろうと、僕は舌打ちをした。ところが、そうじゃなかった。
「翠巒ちゃん!」
すぐそばで聞こえた声に僕は顔を上げた。黒い髪に僕を射抜くような真っ直ぐな目。香澄の姿がそこにあった。
---
古びた牢屋に、彼女はいた。半分は焦げ茶色で赤い目。もう半分はオレンジ色でオレンジ色の目。なんとなく恐ろしい雰囲気を纏った彼女は、|東雲翠巒《しののめ すいらん》。被験体No.2。彼女なら………。
「ちょっと今、説明無理だけど。取り敢えず助けて!」
「ふーん………取り敢えず、アイツは殺していい系?」
「はい。」
返事をしたのは香澄じゃなく、紫乃だった。翠巒は顔に笑みを浮かべたそして、牢を掴んだ。牢は灰になった。翠巒の能力、「灰」。触れたものを全て灰にする。しかも、一部とかもできる、らしい。まぁ、翠巒の融合生物は毒を持っていて、口から火を吐く(?)ファイアサラマンダーだからね。でも、ちょっと離れてる。
__「あんまり殺さないでよ………。」__
香澄の蚊の鳴くような声はもちろん翠巒には届かなかった。
「あらあら!東雲さんが出てきてしまいましたか!みなさん、罪は重いです!大人しく捕まってください!」
舞は忠告するが、そんなのを翠巒が聞くわけも無かった。
「全部、灰にして消してやる………。」
火の付いた翠巒を止めることが出来るのは、この場ではただ一人だった。そう、唯一No.が低い香澄だけが、翠巒を止める術を持っているかもしれなかった。
次回予告(という名のなにか)
?「こりゃあどうなってんだろう?香澄さん。」
香澄「○さん!どうしてここに!?」
看守側に仲間!
あとがき(という名のなにか)
作者「翠巒ちゃん視点こんなんでいいかなぁー。」
翠巒「テメェの書く話なんか興味ねぇわ。」
作者「!?なぜ翠巒ちゃんがここに!?」
翠巒「知るかボケ。テメェがやったんじゃねぇのか?」
作者「………作者が創ったキャラクター以外はここにはこれないはずなのに……。」
香澄「………(私が呼んだなんて言えないよ)」
十階編③
翠巒は舞に飛びかかった。まず、最初に狙ったのは目だった。舞は交わす、毛の先が灰とかした。舞は素早く、翠巒の足に蹴りを入れて、倒そうとするが、翠巒は飛び跳ねてそれを交わした。一進一退の攻防戦が繰り広げられているのを、香澄と紫乃は物陰に隠れて見ていた。なぜかって?だって怖いんだもーん!
「おぉー!流石ファイアサラマンダー翠巒ちゃん!」
「ファイアサラマンダーの正式名称はマダラサラマンドラです。水仮さん。」
「えっ!??ファイアサラマンダーが正式名称じゃないの!?(実際作者もそう思っていた)」
「いえ、マダラサラマンドラです。黒と黄色のトカゲみたいな見た目です。」
「知ってる!なんか見たことある!可愛いよね!(作者も可愛いと思う)」
謎のファイアサラマンダーもとい、マダラサラマンドラの話題で盛り上がる二人をよそに、翠巒達は戦っていた。しかし、そこに思わぬ敵が現れた。
「こりゃあどうなってんだろう?香澄さん。」
「湊さん!どうしてここに!?」
湊の登場に驚く香澄。
「ほい、弁当。」
床に置かれる弁当。わぁー今日はハンバーグ!
「じゃなくて!」
自分で自分にツッコミを入れる香澄。漫才のようになってしまった。
「これ、どういう状況?」
湊の瞳孔が更に細くなり、刀に手をかける。それを見て、香澄は青ざめた。翠巒は舞の相手をしている。ならば、自分が湊の相手をしなければならない、と。しかし、難しかった。なぜならば、湊の能力「生」は他者の能力を無効化するという、チートみたいな能力だったからだ。香澄はチラッと紫乃を見る。紫乃の能力はさっき使ったし、極力使いたくない。となると、自分が素手で刀と戦わなければならないと。脳内に流れる曲のサビを口ずさんだ。
「お亡くなりー………。」
となると、すべき事は一つ!
「にっげろー☆」
香澄は紫乃を連れて逃げ出そうとした、その時だった。湊が凍ったように固まった。
『逃げろ逃げろ。翠巒を連れて今のうちに』
脳内に直接響く声に香澄は耳を塞ぎ、うずくまる。香澄の異変に気づいた紫乃が駆け寄ってきた。
「水仮さん?」
ぼわんとたわんで聞こえる紫乃の声。目をギュッと瞑る。現実から遠のき、そしてまた現実に戻ってきた。
「今のは……?」
香澄は振り返った。そして、大きく目を見開いた。ゲヘナの色々なところがボロボロになってるのだ。そうだ……翠巒。
「翠巒ちゃん!撤退!」
しかし、翠巒は止まらない。香澄はなにかに突き動かされ、翠巒の元へ音もなく近寄った。
「翠巒。私の目的は看守の皆殺しではなく、脱獄だ。」
自分の口から発せられたとは思えないほど、ぞっとする声で、香澄は囁いた。それから、香澄は舞と湊を鋭く睨んだ。
「動くな。」
誰もが、その命令に従うしかなかった。誰もが思い出した。圧倒的な力の差を持つ被験体No.1は香澄であると。
「翠巒ちゃん!行くよ!」
いつもの調子に戻った香澄は翠巒と紫乃を連れて、階段を目指した。
「驚いた。僕が少し《《憑いた》》だけで僕の能力を使うなんて。」
男性は顎を撫でた。それから、笑って、思った。
`**この子は自分の血筋じゃないかと**`
次回予告(のふりをした違うもの)
雷「宋さん!舞さん!戦うから手伝って!」
香澄「階段までたどり着く!鬼ごっこ開始だ!」
十階編最終ラウンド!香澄達は逃げきれるか!?
あとがき(のふりをした違うもの)
作者「よしよし!うまーく伏線ができたぜ!」
香澄「ですねー!」
作者「彼は○○編での登場です!お楽しみに~!」
香澄「(彼って誰なんだ?)」