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目次
 
    
        あやかしの森
        
        
        深い霧に包まれた不気味な場所。
此処はあやかしの森。
魔物の住む森。
助けを呼ぶ者を助ける森。
おいでおいで、助けを呼ぶ者。
あやかしの森へ。
待ってる、早く早く。
おいで。
君の望みを、叶えてあげる。
        
    
     
    
        あやかしの森の番人
        
            ここに出てくる精霊は実在する事がありますが、容姿、性格、特徴などは作者の想像です。けして、鵜呑みにはしないでください。
        
        
        『う~ん………。』
しばらくして考えた後、私はノミザカギの実をすりつぶして入れることにした。薬ができると、家を飛び出す。裸足であっても、緑のこけが足の裏にあたるだけ。苔はくすぐったくて気持ちがいい。
『近道しよう。』
私は谷に生えている背の高い光るキノコの上を歩く。落ちたら谷底に真っ逆様だ。キノコの上を渡り終えると、目的地が見えてきた。私が通ると木々がざわざわと揺れる。
「番人さんだ」
「本当だ」
「小さいね」
「でも、年齢はーーー」
笑い声のようにも聞こえる木々のこすれあい。
『ツリーさん達。聞こえてますからね。』
私がそう言うと、木々のざわめきがぴたりと止んだ。目的地は、小さな木の家。
『オトロスさん。持ってきましたよ。』
できる限り小声で言う。私の普通の声量で言ったら彼らの耳は壊れてしまう。
「おや、メイラさん。すきませんねぇ。ありがとうございます。」
出てきたのは小さな指一本分ほどの小人。赤い帽子に紫色の服。茶色いズボンで、髭が立派だ。彼らはノーム。四大精霊、土の精霊だ。温厚な性格で、争いを好まない。そして、彼はオトロスさん。身長はあれだけど、れっきとした大人だ。妻が風邪をこじらせてしまったらしいので、薬を持ってきてあげたのだ。
『いえいえ。相変わらず立派な髭ですね、オトロスさん。』
「それほどでもねぇ。」
そう言うオトロスさんの顔は嬉しそうだ。ノームは自らの髭に自信を持っているので、褒めてあげると喜ぶ。
『それじゃあ、私はこれで。奥さん、早く治ると良いですね。』
私はぺこりと頭を下げると、オトロスさんの家を後にした。行くときの谷まで戻ると、キノコの所で寝ている少女がいた。私は少しため息をつくと、少女の元へ向かった。
『ジェアリーさん、起きてください。また、お母さんに起こられてしまいますよ?』
「ん………。ふわぁ~………。」
少女が目を覚ます。サラサラで艶のある金の髪に、新芽を思わせる綺麗な緑色の目。透き通るような白い肌に、ふわふわとした白いワンピースがにやっている。そして、目をひくのは、背中の大きな二対の白い翼だ。その白い翼は彼女がアネモスであることを意味する。アネモスはシルフのような風の精霊ではないが、精霊と同じくらい聖なるものとして扱われている。噂好きな種族としても知られている。そんなアネモスのこの少女はジェアリーさん。よくここで昼寝をしているが、毎回、母親に怒られるのがオチだ。
「うん………。そろそろ帰る~。じゃあねぇ、メイラさ~ん。」
ジェアリーさんは手をひらひらと振ると、下へと飛んでいってしまった。
『やれやれ、私の名前はメイレーラなのになぜ、メイラなのだろう?』
ぶつぶつと言ってるこの少女は、メイレーラ・ポリマテース。白髪に満月を思わせる透き通った瞳の持ち主だ。彼女はエルフ。ここ、あやかしの森の番人。