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目次
 
    
        プロローグ。
        
        
        私は、愛菜。
いじめられている。それ以外は平凡な小学5年生…いや、新学期が明けたら新6年生。
私は、いじめのせいで、いつからか自殺とかを試みるようになっていた。
そんな私を救ってくれる、助けてくれる人は、誰一人いない。
生きる勇気、意味なんて、
___ひとつもない。ひとかけらもない。
そんな私は、これからどうなるんだろう。
きっと、結局自殺して、死んで、天国……いや、地獄にいるんだろうな。
だって、こんなみじめな自分が、天国になんて行っていいのか。
だめに決まってる。
自ら自殺を選んだ人間を、天国に通す人がいるだろうか。
あぁ、雰囲気が暗くなってる。
だめだめ。自殺なんて。
自殺した設定で考えてたよ…
でも…死にたいな。死ねるかな。
これからも、私に良い出来事は起こらないんだろう。
そう思っていた。
あの人に出会うまでは___。
        
    
     
    
        きっかけ。前半
        
        
        私、愛菜。
いじめられてる以外は平凡な小学5年生。あ、でも、新学期が明けたら新6年生。
私は、思い出していた。
いじめが始まったきっかけを___。
あの頃。小学4年生の半ばだったかな。
私の友達の有希ちゃんが、いじめられていた。
有希ちゃんとは一度クラスが離れ、また同じクラスになったんだけど…
有希ちゃんが、…今の私のいじめっ子のリーダーである、谷川梨々香ちゃんにいじめられていることを知った。
クラス全員で無視されたり。
変なあだ名をつけられたり。
陰口を言われたり。
そんな、今の私よりものすごくマシないじめを受けていた。
マシって言ったら可哀想だけど…言葉が見つからなかった。
それで、だんだん有希ちゃんへのいじめはエスカレートしていって…
小学5年生になったばかりの4月。
担任の先生が出ていって、みんなが外へ出ていく昼休みに。
先生が出て行ったのを見計らったように、また有希ちゃんへのいじめが始まった。
もうただ見ているのも辛くなってきた。
        
            後半に続きます!
        
    
     
    
        きっかけ。後半
        
        
        そんなとき。
たまたま振り向くと、谷川さん___そう、いじめっ子のリーダー的な存在の子が___
**___ガツッ!**
有希ちゃんの体を、思いっきり蹴った!!
「うぅっ…」
有希ちゃんはものすごく痛そうにして、うずくまって泣き出した。
私はもう許せなかった。
ブレーキは効かなかった。
**「やめて!!!」**
すると。
「やめて、なんて効かないよ。だって、私がこうしたいんだもん!人間ってのはね、勝手な都合で人をいじめるのが当たり前なんだよ。だから、あんたは入ってこないで!邪魔!これ以上入って来るなら、あんたもいじめるよ!いじめられっ子になりたくないなら、ここで退け!」
「…っ」
「でも!いじめなんてだめだよ!谷川さんでも、本当はわかってるんでしょ!?」
「それは弱い人間が言うこと!あんた、これからクラスで無視するから!」
「…っ!」
それ以上、谷川さんは何も言わなかったけど。
あ。有希ちゃんは!?
「うぅうっ…グスッ…痛い…」
「有希ちゃん!立てる?保健室、いくよっ…!」
「ふん」
なぜか谷川さんは私を意地悪な目で見下ろしていた。
でも私は、そんなの視界に入っていなかった。
「…うん。行く」
私は有希ちゃんを保健室に送った。
そして、次の日。
学校へ行くと、クラス全員から無視された。
本当だったんだ…
それからだんだんいじめがエスカレートして、今に至ったんだ___。
        
    
     
    
        新学期、クラス替えの不安。
        
        
        今日は、|しんがっき《うんめいのひ》。
谷川さんとまた同じクラスになるかもしれない。
逆に、別のクラスになって、いじめから逃れられるかもしれない。
どきどきする。
同じクラスになりたくない。
別のクラスになってほしい。
「行ってきます…」
「気をつけるのよー」
私は学校行く時、いつも元気ない。
だけど、ママはもう慣れたみたい。
まぁ、いじめが始まってから1年経つもんね…
うちの学校では、毎年昇降口が開くと同時に、クラス分けの紙が貼られたボードが出されるシステムだ。
少し早めに学校に着いてしまった。
まだ昇降口は開いていない。
_____すると。
「あ!ゴミクソ愛菜だw」
ぎくっとする。
うしろには、谷川さんと、他多数のいじめっ子たちが立って、気味悪く笑っていた。
「どーせ、また私たちと同じクラスになって、ひっそり泣いてるんだろ?ww」
背中がぞくっとした。
だって_____谷川さんが言った通りの未来が、見えてしまったから。
必死に頭を動かす。
あ、でも3クラスあるし、確率は3分の1…
でも……
悲観的な考えばかりが頭に浮かんでは消えてゆく。
_____その瞬間。
        
    
     
    
        新学期、クラス替えの結果。
        
        
        「_____わっ!!」
**_____ガツッ!**
よけられなかった。
また。
「うぅっ…痛いよ…」
私はその場に座りこむ。
「ほーら。赤ちゃん愛菜w」
「www」
周りの他のいじめっ子たちもくすくすと笑いだす。
すると。
「ガチャ」
昇降口が開いた!
私は蹴られた足を押さえながら、ゆっくりと立ち上がった。
ボードに近づき、まじまじと見つめる。
自分の名前を探す。
「…あ」
あった。けど_____
その「6-2」の紙には、「谷川梨々香」という名前もあった。
もちろん、自分の名前も。
「ほーらね。ざこばかあほゴミカス愛菜w」
「…っ」
私は靴箱にダッシュして、靴を木のロッカーに押し込んで、上靴を手で持って、階段を3階まで一気に駆け上がって、6-2の教室の扉をガララッと開けて、中に駆け込んだ。
まだ1〜2人しかいない。
私は、今度はトイレの個室に駆け込んだ。
トイレに行きたいわけではない。
いつもの奥の個室の扉を開け、入って鍵を閉め、便器に腰掛けた。
すると、「ここなら誰も来ない」という安心感が溢れてきた。
同時に、教室ではいつも我慢しているなみだが、どーーっと溢れ出した。
「うぅうっ…なんで、私だけこんな目に……死にたい、死にたい、死にたいよ…」
泣き疲れた頃には、目は腫れまくって、朝の会が始まる直前の時間だった。
「ちょっとくらいなら遅れてもいいよね…先生にはトイレ行ってたって言えばいいし…」
私はハンカチを濡らして、目にあてた。
しばらくして目の腫れが戻ると、私は教室へ向かった。
足が重い……
「ガラッ」
教室に入った。
        
    
     
    
        教室に着くと。
        
        
        「あ、村山。遅かったから、探しに行くとこだったぞ。何してたんだ?」
新しい担任の、竹田先生が言った。
村山というのは、私の名字だ。
「…トイレ行ってました…」
「どうした?声が小さいぞ?体調悪いならすぐ言えよー」
…まぁ、私の声が小さいのはいじめで嫌な気持ちになってるからだし、トイレに行きたくて行ったわけじゃないんだけどね…
キーンコーンカーンコーン……
朝の会では、竹田先生の自己紹介や、6年の主な行事の簡単な説明、親に渡すプリントを配ったりなどをした。
私たち6-2の生徒は、講堂…体育館に向かっていた。
始業式のためだ。
うちの学校では、着任式はなく、クラス分けの紙に担任も書いてあるシステム。
でも、新しく学校に来られた先生が担任につくクラスは、空いている先生が朝だけそのクラスを持つことになっている。
始業式では、校長先生の話を聞いたり、新しい先生の自己紹介を聞いたりした。
始業式が終わった。
クラスに戻ると、ちょうどチャイムが鳴った。
「あぁ…休み時間か…嫌だなぁ…」
また、嫌な日常が始まる予感がする…
        
    
     
    
        また、嫌な日常。
        
        
        |休み時間《いじめの時間》。
また嫌な日常が始まる。
始まってほしくなかった。
でも、時は止まらず流れていく。
私は、いじめからできるだけ逃れられるように、トイレの個室に駆け込んだ。
ここなら、鍵もついているし、静かで落ち着く。
そういえば、今日はずっと頭が痛いな…
まぁ、ちょっとくらくらするだけだし、別に大丈夫でしょ。
すると。
「絶対またトイレだよねww」
「逃れようとしても無駄だよ〜!ww」
谷川さんと他多数のいじめっ子たちの声が聞こえてくる。
せっかく落ち着けそうだったのに、このタイミングで来ないでよ…
「上靴隠してやろっかなぁ~w」
え。
聞こえてるよ、と言いたくなる。
でも返事はできない。
個室から出ることもできず、ドアに手を当てて固まる私。
「…」
しばらく黙っていると、3人ほどの足音が遠ざかっていくのが聞こえた。
よかった…
あ、でも上靴隠されたかも…
とりあえず出よう。
キィ……
こそっと個室から出てみると、いじめっ子たちはもういなかった。
そして、上靴が両方なくなっていた。
やっぱり、どっかに隠したんだ…
靴下で廊下を歩く。
すると___。
        
    
     
    
        あれ、私___。
        
        
        突然、体がくらっとした。
頭もズキズキと痛みだした。
足がふらつく。
地面がぐにゃっとする感覚がした。
「…!」
体のバランスが取れなくなる。
「なに、これ…」
「え、愛菜ちゃん!?」
なぜか遠くで有希ちゃんの声がした。
きっと、たまたま廊下に通りかかったのだろう。
バランスを保とうとしても、倒れていく体。
「このままじゃ、、たお___」
**___バタン**
私の意識はそこで…途絶えた。
        
    
     
    
        保健室にて。
        
        
        「ん…あれ、ここは?」
気付くと私は、白い天井を見つめていた。
「あっ…!愛菜ちゃん!大丈夫だった!?急に廊下で倒れたから、びっくりしたんだよ!?」
「ゆ…きちゃん…?」
緊迫したような有希ちゃんの声。
「ここは…?」
ようやく少し意識が戻ってきた。
「保健室。今、保健の先生は、職員室で愛菜ちゃんのお母さんに電話してるみたい」
「それって…早退?」
「うん。」
すると。
『ガララッ』
保健室の扉が開く音。
「あら、愛菜ちゃん目が覚めたの!?」
有希ちゃんが慌てて状況を説明する。
「えっと、さっき先生が電話に行った少し後目が覚めて、今は意識も戻って話せる感じです」
「ありがとう。愛菜ちゃん、体温測らせてね」
『ピピピピ ピピピピ』
体温をメモする保健の先生を横目で見た。
なんだか、おおごとになっちゃったな…
すると、
『ガラ』
今度は事務の先生。
「愛菜ちゃんのお母さん来られましたよ」
「お、早かったね。愛菜ちゃん、先生ランドセル取ってくるから、ちょっとお友達と待っててね」
『ガララ』
また保健の先生は慌ただしく出て行った。
事務の先生も、お母さんのところへ行ってしまった。
多分、状況を説明しに行ったのだろう。
すると…
『ガララッ』
え?誰だろう。
振り向くとそこに立っていたのは___
        
    
     
    
        「大丈夫?」
        
        
        クラスメイトの、北内冬馬くんだった。
冬馬くんとは、何も関わりはない。
関わりはないけど、みんなが冬馬くん冬馬くんって呼ぶから、私も心の中では冬馬くんって呼び捨てで呼んでいたんだけれど。
しかも冬馬くんは、クラス1のイケメン男子で、女子に人気。
6年生になってから、まだ数日なのに、もう告られたという噂があるほど。
そんな冬馬くんがなんで、ここに…?
有希ちゃんも、目を見開いて、驚いていたけど、何も言わなかった。
「大丈夫?」
冬馬くんの口から突然出た言葉に、私はとても驚いた。
驚きすぎて何も言えなくなった有希ちゃんと私。
すると、「あ…ごめん、俺なんかが…」と言って、冬馬くんは一歩下がった。
すると。
『ガララッ』
冬馬くんがいる扉とは反対側についている扉が開き、保健の先生と事務の先生が入ってきた。
冬馬くんは、無言で戸惑いながらも教室へ戻って行ってしまった。
「ランドセル持ってきたわよ。お母さん来てらっしゃったから、愛菜ちゃん帰ろうか」
すると事務の先生も小さく、「事情は説明しておきました」と保健の先生に行った。
「愛菜ちゃん上靴置きに行ってね…ってあら、上靴どうしたの?」
あ。そういえば上靴…谷川さんに隠されたんだった…!
「え、えっと…わす、忘れました…!持ってくるの」
もつれながら言う。
「あら。じゃあ玄関行こうか」
保健の先生は特に気にする様子はなかったので、私はほっと息を吐いた。
「有希ちゃん、付き添ってくれてありがとうね。授業戻って良いよ」
「はっ…はい!戻ります!失礼しました」
有希ちゃんも教室へ向かって行った。
そして私は、お母さんが迎えに来ている正面玄関へ向かった。
        
    
     
    
        学校、休みたい
        
        
        正面玄関へ向かうと、お母さんが立っていた。
「愛菜…!」
お母さんが少し声を大きくして言う。
「大丈夫?心配したのよ。帰って休もう」
お母さんのこんな様子が少し珍しくて、私は驚いた。
家に着いた。
お母さんに、今日は部屋で休んで、と言われた。
取り敢えずベットに寝転び、ぼーっと宙を見つめた。
---
「…あれ」
うっすらと目を開けると、風でふわっと漂ったカーテンが目の前を通りすぎた。
「寝てたの…?」
呟いた。
もちろん返事は無い。
「ご飯できたわよー」
お母さんの声。
「はーい」
適当な返事を返しながら、体を起こす。
目を擦りながら、階段を降りる。
---
「ん…あれ…」
耳元でスマホがアラームを鳴らしている。
「ん…朝?」
「起きなさい、学校よ」
『ガチャ』
そう言いながらお母さんが部屋のドアを開けた。
あれ…?ん、あれ…。
「お母さん…私、階段降りてたはずじゃ…」
「何?夢での話?」
「夢だったのかな…倒れて、早退したの…」
「何?昨日のこと?」
「いや…お母さんに、ご飯だよーって呼ばれたところらへんまでしか記憶がなくて………何でもない」
「え?」
「あ…あと、あの…」
「ん?」
「学校…休みたい」
不思議なほどすんなり口から出ていたその言葉。
後から私はハッとして、慌てて「あ…え…」と変な言葉を続ける。
「…まだ体調も心配だし、1日くらい休む?」
「え…」
お母さんにそう言われた。
「…うん」
答えた。
…でも、心配かけちゃうから、いじめのことは言わなかった。
言おうかなと少しは思ったけど。
突然何でもない日にそんなこと言ったら…と思って、やっぱり、やめた。
明日からも、心配かけちゃうから学校、行かないと。
休めるのは、今日だけ。今日だけ。今日だけ…。
自分に言い聞かせるように、頭の中で「今日だけ」を繰り返す。
胸がぎゅうっと痛んだけど、何でもないふりして、お母さんに"嘘の"笑顔を向けた。
        
    
     
    
        ひとり泣く朝。
        
        
        そのあとは、部屋でただひとり過ごした。
とりあえずベットに身を預け、ぼーっと考え事をしていた。
---
暇なだけの一日が終わった。
でも、いじめられるだけの一日よりはマシだった。
「明日から、また学校かぁ…もう、やだなぁ…」
ひとり呟く。
もちろん返事は無いけれど。
「…もう寝よう」
ベットに寝転び、少しぼーっとしていたら、いつの間にか眠りに落ちていた。
---
『チチチッ…ピピ…』
窓の外の鳥のさえずりが私の耳に飛び込んできた。
「あれ…?ん、アラームは…?」
スマホの画面を付けると、シンプルなピンク色の壁紙。
ピンクが好きな私が付けた壁紙だ。
その上には、白い文字色で、今の時間が書かれていた。
「…まだ5時半…」
二度寝しようとも思ったが、何故かその気になれなかった。
なので、スマホで適当に動画でも見ようかなと考えて、スマホを手に取った。
___すると。
「え…?」
スマホを開くと、変なサイトが出てきた。
どうやら、ニュースの記事が書かれているらしい。
「え…『女子高生が自殺』!?」
見たら辛くなると分かっていながらも、何故か指は画面をスライドしていた。
目も、頭も、指も、何故か見たがっている。
記事によると、自殺した女子高生は、"いじめで"自殺したらしい。
手がぐっと握られて、額には汗が滲んで、目には涙が溜まって、身体は震えだした。
「私も…この人みたいにっ…、楽に、なり、たい…のにっ…」
言葉が溢れ出した。
「そうだね。自殺すれば、楽に、なれるんだよね…。うぅっ、ひっく…でも、やっぱり、そ…んなことする、勇気、私には…ないよ…」
言葉は止まらなかった。
「でも…死にたい。死にたい。死にたい。死にたい…!ううぅっ…ぐすっ…」
ようやく言葉は止まってくれた。
静かな泣き声だけが、部屋を重く包んだ。