平和なある日、人間や妖精が活発になり、戦闘を挑まれることが多くなった。それだけならまだしも、家や自然がめちゃくちゃになったりと被害が大きくなったため、6人は立ち上がることになる。
由有と紅の『なんでも魔法チーム』、文と花音の『クリニックチーム』、ムーンとサニーの『天気と夜空チーム』で異変解決に挑む。
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目次
準備
「も〜っ!」
わたしはいらついていた。まーた柿の木がめっちゃくちゃになってる。
最近、人間や妖精、妖怪とかが活発になってるけど、なんでかしら。
「お、由有。これはひどいな」
「そうでしょ!?もういい!異変解決するわよっ!なるべく手短に、2人で」
「…由有、それマジか?絶対、今回の異変は只者が手を出してる気がしないんだけれど」
「ふーん」
まあ、紅のカンは十中八九当たるし。
「じゃ、2人1組。わたしたちがペアで、あとは花音と文、サニーとムーンを誘うわ」
「それがいいと思う」
---
「__っていうことなの。お願い、真守。通信機能があるお守り、作ってよ」
「えー!むちゃだなぁ。じゃあ、通信機能は萬に頼んでよ」
「よ、ろず?」
3組が別行動で異変を解決するから、通信は絶対。
でも、小心萬に頼めって言われてもなあ。めんどくさい場所に、めんどくさい方法で、めんどくさいやつに頼み込まなきゃいけないのに。
「小心真守、あんたの技術力は確かよね?ならお願い」
「無理!いくらいとこでも」
「いくら!?」
「うーん…萬に頼み込むしかないから、500円?」
「あんたは萬と違って融通がきくから助かるわ」
500円、か。前の異変でかなり稼いだしいいかな。
「あ、あとなんの異変を解決するの?ひょっとして、活発異変?」
「まあ、それ」
「え、そうなの!?」
きらりんと、真守の目が輝く。
「なら、わーしゃが払うよ。せっかく作った勾玉とか、お守りが壊されちゃうんだもの。萬だってきっとそう思ってるから、うまいこと騙しとくね」
「言い方が悪いけど、いいわ」
真守は萬を呼び込み、通信機能を作らせた。そして作った6つのお守りに通信機能のこんぴゅーた?というものを埋め込む。
「これでどう!?」
「ありがと。ちなみに、解決料はいくら?」
「うーん、いまの持ち金が200000なんだ。だから、1万は払うよ」
「オッケー!」
1万!!
「いつごろ?」
「午後11時にはできるよ。200円くれたら探知ライト機能付き」
「払う!」
探知ライト、とはライトを付けながら人の気配があったら知らせてくれる代物だ。
「じゃあ、月日が変わる時に出発するわ。真守、頑張ってね」
「ふふ、御礼も弾むと言ってもらわなきゃ。じゃ、頑張って」
さすが、萬と違って真守は人がいい。
出陣と三妖精
「さあ、行くわよ。サニー、ムーンのチーム、いいわね?」
「「うん」」
「文、花音のチーム」
「オッケー」「いいわ」
「わたしと紅のチーム」
チーム確認をする。日付が変わったら、わたしは西に回り込み、サニーたちは東へ、文たちはまっすぐ北へ。
「出発!!」
---
「妖精たちは凶暴になってるわ、妖精だからって油断しないで」
「わかってるって」
ったく、紅を誘ったはいいけど、やっぱりめんどくさい。
「ふっふっふー!!アタイはコンだーっ!」
「あ、コン」
ぴゅっと、小さい妖精が飛び出してきた。
「コン!何出てきてんのよっ」
「チリぃ、そんなにアワアワしないでもぉ」
チリコンカンだ。
「さあ、そこの奴ら、しょーぶだっ!ふっふっふ、アタイ・コンの力をなめんなっ!」
「あ、いいわよ、別に」
弱いからねぇ。
「こちら、チリコンカンに遭遇」
〝あら、そうなの。サニーとわたしは今、丈六喜楽里と戦っているわ〟
〝奇遇ですね!わたしと花音様は、一本木ゆりゑさんと戦ってます〟
「オッケ」
チリは乾燥技が厄介、カンは湿気技が厄介、コンは…自爆してくれるからいいわね。
「いける?」
「こんな雑魚三妖精、0.2発でいける」
「そ」
ムーンが操っているのであろう、星空が吸収されていった。
「魔符『ライディング・スターバスト』」
「うわぁん、強いよぉ!」
これでカンコンを撃退。
「飛符『天駆ける一撃』」
なんとか連続したらいけるかな?
「つ、強いね。うぐっ…」
あ、いける。弱ってる感じがする。
「小技で決めて!」
「オッケー!魔符『ヘブンズブレス』」
光が全体を包み込む。
「ぐえー!」
よしよし、チリも撃退っと。
「こちら由有。チリコンカンを撃退」
〝OK。こちらも頑張るわ〟
でも、やっぱりチリコンカンも少しばかり強くなっている。気をつけなくちゃ。
顔無しお化け
「花音さまぁーっ、疲れましたよ」
ほんと、花音さまはなんで空を飛ぶ薬を作ってくれないんだろ。他のメンバーは空飛べてるのに。
「こうしてレアな薬草を摘みたいのよ」
「ったくぅー。あ、花音さまっ、来ましたよ!」
ゆりゑさんだ。そのとき、プルル、と通信機能が鳴った。
〝こちら、チリコンカンに遭遇〟
〝あら、そうなの。サニーとわたしは今、丈六喜楽里と戦っているわ〟
「奇遇ですね!わたしと花音様は、一本木ゆりゑさんと戦ってます」
ったく、なんでこんな奇跡が起こるのか。
「ゆりゑさん、ですよね?」
〝そーだよー。あーしゃ顔無しお化けの一本木ゆりゑ。さあさ、なんか勝負したくなったから勝負しようじゃないか!〟
ゆりゑさんの言葉が脳内に直接響く。普通の顔立ちのメイクをしているから顔が見えるのであって、本当は顔無し。視覚ははんてんに盛り込まれている目玉模様で見て、しゃべるのはこうやって、御飯いらず、聞くのはスピーカーという。なかなか興味深い人で、いつか取材しようとしている。
「じゃあ、ゆりゑさん。勝負に勝ったら、取材していいですか?」
〝いいよ!あーしゃ目立ちたいんだけど、全然影薄いんだ。勝負とかじゃなくて、取材して!〟
よしよし。
---
「文、切り替えて。行くわよっ!」
〝えー、取材してくれないんですかぁーっ〟
「してあげるから。でも、そこが通れないのよ」
「そうです!わたしが勝ったら、取材はさせません!」
〝えーっ!〟
あれ、契約逆に…いや、別にいい。
「文符『天翔書物乱舞剣』!」
〝ふっふっふーっ、このはんてんをー舐めないでねーっ!〟
舞う本が全てかわされてしまう。
〝あつい戦闘にーなりそうねーっ!〟
「はいはい、自慢のはんてんを脱がしてあげるわ。熱いんでしょ?あなたの力はあなたのものじゃなくて、はんてんの力なんだから」
そういうと花音さまは
「医符『千本桜衝撃』!」
と叫んではんてんをびりびりに破いてしまった。
「さあて、とどめをさしましょうか!文符『天翔書物乱舞剣』!」
「うわーっ!やーらーれーたーっ!」
見事に投げた本が的中して、ゆりゑさんはよろよろと倒れてしまった__
幽霊の2人
チリコンカンを撃退したあと、わたしたちはまた敵を見つけた。
「あ、由有さんと紅さん」
最近、出会ったような顔たち。
「闇!」
闇と空だ。
「すみません、通したいんですけど、戦闘欲にはあらがえないんです。お願いします、たたかってください!」
「以下同文」
闇と空が話す。
「分かったわ。さ、闇に包まれた夜はわたしたちが目を覚ます時。わたしたちの力、見せてあげるわ。空符『風刃』」
「闇符『闇の連撃』」
ごおおおおっ、と闇をも切り裂くような轟音が響き渡る。ところどころ闇のボムが飛んできて厄介だ。
「魔符『ビーム・シールド』!」
ぴったりと、わたしと紅にバリアがひっつく。
「飛符『天翔ける一撃』!」
「魔符『ハイパービーム』!」
紅の魔鏡からばっと光の筋が飛び出す。これこそ、彼女が得意とする放ビーム魔法。
「きゃっ!空さん、あとはよろしくお願いしますっ…!」
「分かったわ。空符『濃度乱』」
すっとつぶやく声が聞こえたかと思うと、息苦しくなってきた。
「っ!!」
バリアを貫通する__
「魔符…『ハイパービーム』」
「空符『空気の守護神』」
「飛符『天翔ける一撃』っ」
紅の秘技でおとりをしかけ、一気に畳み掛ける。
「うっ…」
よろよろと、空は倒れていった__
エルフの姉妹
明るい、姉さんが操っているであろう月と星が輝いていた。
さっきみたいに飛んでると、また敵が飛び出してくる。
「自分はメロ・アスメル。お手合わせ願うわ!」
「お、お姉ちゃんっ、叶うわけないよっ…」
耳がとんがった、色白の姉妹。
「姉妹対決ってわけね。いいじゃない」
「ちょっ、姉さん。いくら弱めの姉妹だからって…」
あーあ、メロも姉さんも、挑発されてバチバチじゃん。わたしとメル、めっちゃ困ってるのに。
「後悔はしない主義よ。それはメルも同じ」
「あら、そうなの。後悔はしないで?でも反省はしなくちゃよ。さ、サニー、行くわよ」
「えっ!?あ、うん…」
ってか、姉さんやる気凄すぎ…
「星符『ミッドナイト__」
「おらっ!」
「きゃあっ!!」
ぐわああん、とメロの手が飛んでくる。
彼女の能力は手足を自由に動かす程度の能力。秘技は習得していないけど、体術は十二分、いや、十九分にあるのだ。
「え〜、お姉ちゃん、やめてよ!…もうカンでいっちゃうね?勘符『インスティンクル・アサルト』!」
「あっ!?天符『天象の吟遊詩人 守護の竜巻』!!」
メルの能力は勘がよく当たる程度の能力。…よく当たる?
勘だけをもとに素早く攻撃してくる。これじゃあ、バリアも低火力だから無理。
早く始末しなきゃ!!
「天符『天象の吟遊詩人 轟く稲光』!」
「あ゙っ!?きゃあああっ!」
なんとか雷攻撃で倒した…
「星符『夜空の魔法姫 スター・サファイア・アタック』!」
「ふんっ、そんなんじゃへこたれないわよ!」
「きゃあああっ!!」
「姉さん!!」
メロのパンチで姉さんがっ…!
「天符『天象の吟遊詩人 轟く雷光稲光』!!!」
「ああああっ!?」
よし、なんとか撃退っと…
「ふ〜。疲れた疲れた」
「姉さん!どう?すごかったでしょ!?」
「はいはい。というか、この異変の犯人、分かるわよね?」
「え?」
ったく、姉さんは素直じゃないなあ。素直に「頑張ったね〜」って言ったらいいのに。
「欲賀みつ。彼女こそが、異変の犯人なのよ」
「…誰?」
「え?知らないの?」
ぜんっぜん知らない。
「ぷっ、知らないなんて〜!」
「ひっ、酷いってば、姉さんッ!」
ろくろ首との戦闘
「ねえ、サニー。わたしを飛ばせてくれない?」
「まずいよ、姉さん。これはちょっとなぁ」
わたし・サニーはちょっとためらった。
わたしは今飛んでいるのだけれど、これは小さな竜巻を浮かべて、その竜巻の上にバランスをとって乗っているだけ。姉さんはバランス悪いし…
「じゃ、この雲に捕まって。天符『天象の吟遊詩人 灰色の雲』」
「あー、楽だわ。ありがと、サニー」
ふぅ、この姉さんは楽したがるんだから。
「やんばりやんばり、大ろくろ首様のお出ましじゃあーっ」
「あ、丈六喜楽里」
こんな雑魚敵が、わたしの前に来るなんてね。プルルル、と通信機能が鳴った。
〝こちら、チリコンカンに遭遇〟
「あら、そうなの。サニーとわたしは今、丈六喜楽里と戦っているわ」
〝奇遇ですね!わたしと花音様は、一本木ゆりゑさんと戦ってます〟
チリコンカンは雑魚の三妖精、ゆりゑは顔無しお化けだ。
通信機能を切って、喜楽里を睨む。
「ったく、こんな雑魚敵に1厘分だってかけられないわ」
「1厘…?」
姉さんは時々、こういうことを言うんだよなぁ。
---
「お前らはー、サニーとー、ムーンだなーっ」
「ええ、そうよ?さっそく、1厘分でキメさせてもらうわ。サニー、わたしは下がるから、秘技解除してくれる?」
「オッケー、姉さん。解除『天象の吟遊詩人 灰色の雲』」
姉さんはふんわりと地上に降り立つ。
わたしは接近戦で勝負をかけることにした。
「いくよっ!!天府『天象の吟遊詩人 警戒の雷』」
ゴロゴロゴロッと、黒雲が立ち込めてきて、雷が落ちる。
「星符『夜空の魔法姫 ミッドナイト・シールド』」
紺色でできた薄い膜がわたしを包む。姉さんの秘技だ。ちなみに、多少の反撃機能も合わせている。
「じゃー、こっちもーっ。首符ー『舞桜連撃』ーっ」
「っ!!」
しまった、連撃は聞いてないっ…!!
「星符『夜空の魔法姫 スター・サファイア・アタックッ!!』」
「あーっ!?」
姉さんっ!?
「やーらーれーたーっ」
あの秘技を受けたらちょっとやばかったかも。威力が低い連撃でしょ?反撃機能は高火力のやつにしか効かないから。
「もう、サニー、危ないわよ」
「ごめん、姉さん」
「だいたい、あの警戒の雷?とかいうやつ、ろくに役立ってないじゃない」
「はっ!?」
ひ、ひどいっ。
「次行くよ、姉さん!」
「はいはい」
ったく、姉さんはひどいんだから。
異変の元凶
「あら」
みんな、集合した。わたしと花音さまのところは1匹だけだったけど。
「ただならぬ雰囲気が感じられるわね。わたしとサニーのところはまあ、順調だったわ」
「わたしと由有のチームもよかったよ」
確かに、ちょっとおぞましい感じの雰囲気だ。
「やあやあ、皆さんお揃いで」
「!?」
「もうすぐ夜が明けるねぇ。あたしは欲賀みつ。さあ、夜明けまでにもう一暴れしようじゃぁないか」
みつ、さん…?
「あんたか…そうか、わかった!ね、姉さんも分かったでしょう?」
「え?あ、うん」
「だよね」
すかさず、紅さんが相槌を打った。
「空と闇が言ってた。欲にはあらがえない、って。薄々気づいてたんだよね」
す、凄すぎ…
「欲こそが人の原動力。欲が何もなかったら始まらない。あたしはこの世界がつまらないなと思って、ちょっと欲を植え付けてみただけよ」
「そうなの。じゃあ、今わたしはあなたを討伐する欲に抗えることができないわ。どんな意味か分かる?つまりは、あなたを絶対に倒すということよっ!!」
いくよ!という紅さんの合図が入った。
「文。共同秘技いくよ」
「はいっ!」
「「医文『医書練武』!!」」
みつさんに狙って、連撃を繰り出す。
「「天星『スター・ウェザー・ボール』!!」」
「「飛魔『飛翔ビーム』!!」」
これで決まるでしょ…
「そんなわけないよ、これでやられるなんて。欲符『抗えない欲望の連鎖』!」
あっという間に紅さん、花音さまがやられてしまった。
「は、花音さまの敵っ!!」
「いいね、いいねっ!あたしの秘技の効果も忘れてる。それだけあたしを倒したいっていう欲望が強いんだね。ふふふ、あたしもその欲望に忠実に、あなたの相手をしてあげるよ!欲符『抗えない欲望の連鎖』!」
「きゃああーっ!?」
ど、どうしよう、もうやられちゃうっ…!
「「飛魔『飛翔ビーム』!」」
「うわあっ!?」
---
「大丈夫!?」
「花音さま…」
意識を失ってたんだ。
「大丈夫、もうみつは倒したわ」
「そ、そうなんですか、ムーンさん」
ふふ、とサニーさんも笑った。
「ったく、今回の異変はなかなか手ごわかったよね。なんせみぃんな立ちふさがってくるんだもの」
でも、6人相手にみつさんもなかなかやるよね…
「さ、帰りましょ。宴でもしましょうよ」
「そうだね、姉さん」
「えー?また後片付け?」
「いいじゃんか、由有!手伝うからさ」