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目次
小説ならば
「私たち、別れよう」
そう言い、去っていった君の後ろ姿が何故か滲んで見えた。
そんな日から約半年、僕はまだ、君のことを忘れられないでいる。
君の隣はまだ、空いているかな。
まるで君が目の前にいるようにただの空白に話しかける。
もちろん答えは返ってこない。でも、それでいいんだ。もし答えが返ってきたら、僕を終わらせてしまう可能性だってあるんだから。
君がお弁当を作って持ってきてくれた公園。君が号泣しているのを見て思わず笑ってしまったあの映画館。
どこもかしこも全部、君との記憶の中にある世界。随分と暮らしづらい街になったなぁ。
きっと僕たちの人生が小説だったなら、これは起承転結のどれかで。
最後には君と結ばれるエンドロールが待ってる、
わけがないのに
なんでもなくて、しょーもなくて、どうでもよくて。そんなことばかりが溢れ出してしまう。僕の記憶のどこを探しても、君がいる。栞を挟んだわけでもないのに、すぐに思い出せてしまう。
「さよなら」その言葉の意味なんて、当たり前にわかるよ。
それでも何故か、心は今日も、わかってないんだよ。
次の恋でもすればいい。そう思っているはずなのに、まだ君を探してる。
白線の内側で境目もなく並ぶ2つの影。その様子はいつかの僕らで、そっと、君のことを思い出す。
きっと僕たちの人生が小説だったなら、ここからが面白くなるはずで。
それなのに君は、こんな僕を尻目に前に進んでいく。
ずるいよなほんと
どうせなら上手いこと、君のことを嫌いにさせて欲しかったよ。僕はまだ、あの日の君の背中を追い続けている。
「終わりから学ぶ」なんていうけど、この先に君がいないなら、学びを活かすことなんてできない。それなら意味がないのに。
二度と書き足されず、振り返ることしかできない。そんな人生をあとどれぐらい続けていくのだろう。
あとがきと呼ぶには拙い言葉だとしても、
やっぱり君のことが好きで
なんでもなくて、しょーもなくて、どーでもよくて。そんなことばかりが溢れ出してしまう。僕の記憶のどこを探しても、君がいる。栞を挟んだわけでもないのに、すぐ思い出せてしまう。
「さよなら」その言葉の意味なんて、当たり前にわかる。
それでも何故か、心は今日も、わかってないんだよ。
次の恋でもすればいい。そう思っているはずなのに、
まだ君を、探している。
どーでしょーか?
未練たらたら男子の小説でしたぁ。
感想コメントくれると嬉しいです
片想い
「天才小説家と持て囃された澄野祐希の現在」
「澄野祐希、3年前の栄光は何処へ」
なんて見出しの記事が溢れるこの世界。
こんなチンケな記事で喜ぶ人間が一定数いるなんて、どれだけ日常が暇なのだろう。
俺、澄野祐希は、デビュー作「あの時の君の涙を拭えたとしたら」が映画化し、一躍有名となるが、デビュー作以降何作かが、不評だったことからか、スランプに陥っていて、小説の新作を書けていない、過去の人、らしい。
過去の人だなんだと騒ぎ立てられて入るが、俺は今だって生きている。
遠くで打ち上がった花火の音に焦ったり、過去の栄光に縋らないと、藻掻き、やるせない思いを抱えて生きている只の人間だ。
今日も今日とて、ネタが見つからない。気分転換に部屋の掃除をしていると、昔ボツにしたのであろう短篇を見つけた。内容は、生きるのが下手な主人公が心からやりたいと思うことを見つけ、ヘタクソながらも、奔走していく、という話だった。
なんでボツにしたんだろう、なんでこの小説の存在を忘れていたのだろう、そう思いながら再び掃除に取り掛かろうとするも、この短篇を、どうしても人に見てもらいたくなってしまった。
パソコンで昔、小説を投稿していたサイトを開き、新しいアカウントを作る。名前は「結城澄乃」。「小説新規作成」をクリックし、原稿用紙を見ながら文字を打ち、投稿した。
俺はメンタルが豆腐だから、当時投稿していたサイトは、閲覧数もランキングも出ず、コメントが来ることでしか人に読まれているんだということがわからない。当時は時々来るコメントだけで満足していたのに、数年で俺は随分と承認欲求が強まってしまったらしい。
朝起きると日課になっている、マイページ確認。一ヶ月続けているが、成果はまだない。どうせ今日もないだろうと開くと、「ファンレターが来ています」。そう通知が来ていた。
慌ててクリックすると、学生の女の子かららしいコメントが。
「私は、このお話の主人公みたいに、生きるのがヘタです。だから、この小説を読んだ時に、自分だけじゃないんだって、安心することができました。私もいつか、この主人公みたいに、心からやりたいことを見つけたい。という目標が見つかったので、それまで、もうちょっとだけ、頑張って行きてみようと思います。」
俺はずっと、これのために小説を書いていたんだ。賞を穫ることが無くても、大勢に読まれるベストセラーにならなくても。数人、いや、1人でもいいから、俺の書いた小説で、心が温まって、もうちょっと頑張って生きてみようって、そう思ってもらえる小説を書くために、俺は俺の人生を使いたい。
「澄野先生!準備できたので、セットの方来てください!」
「はい、今行きます!」
そう言い、セットの椅子に座ると、インタビュアーさんが口を開く。
「澄野先生、お忙しい時期にお時間いただきありがとうございます。今回は発売後即重版のヒット作『片想い』についてや、澄野先生自身について、お話聞かせてください」
「今回の小説は、前回の『あの時の君の涙を拭えたとしたら』とは違う印象を受けたのですが、執筆中に心境の変化があったのでしょうか」
「そうですね、前回の小説は無意識の中で賞を穫るために書いていたところがあると思います。でも、あまり、小説が書けなかった5年間のうちで、一番最初、小説投稿サイトで小説を書いていた頃の写真を思い出せたような気がします」
「なるほど。では、澄野先生の初心、とは何でしょうか?」
「僕、本当に生きるのがヘタなんですよ。学生時代とかは特に生きるのが辛くて、精一杯で、そんな時の唯一の救いが、僕みたいな生きるのがヘタな主人公が頑張る小説を読むことで。序盤は自分だけではないんだ、ということに安堵し、後半は自分と主人公を重ねて読んでいました。烏滸がましいかもしれないけど、僕も僕みたいな人のために、小説を書きたい。喜び、幸せになれないかな、と」
「素敵ですね。澄野先生は前回のヒット作から5年間、心ない言葉をかけられたこともあると思います。小説を書くことをやめなかった理由とは何でしょうか」
「単純に、小説が好きなのと、他にやりたいことがないからですね。他にやりたいことがあったら、例え小説から『逃げた』という形になれど、新しいことに対しては『進んで』いると思うんです。やりたいことがないまま、物事を放棄するのは苦しい、ということを学生時代嫌というほど感じたので。でも、逆に言えば、本気でやりたいことがあるのなら、学校でも、会社でも、辞めてもいいんじゃないかな、って僕は思っています」
「一方から見たら『逃げて』いるかも知れないけど、もう一方から見れば『進んで』いるというふうに映る、ということですね。では、最後に。澄野先生にとって小説とは何ですか」
「そうですね…『生きていくのに必要無いけれど、あったら落ち着くもの』ですかね」
「といいますと?」
「人間、最低限衣食住があれば生きていけるっていうじゃないですか。でも、あれって、体面、というか。メンタル度外視だと思うんです。それだけ、最低限だけでは、きっと、心が、ままならないと思うんです。無くても生きられるけど、あればちょっと微笑える。そんな存在ですかね」
結構長かったのに、最後まで読んでくれてありがとうございました!
どうだったでしょうか?コメントくれると嬉しいです!
一生に一度っきりの恋
高校生活も残り2日。
だからといって私の生活は変わらない。別れを惜しむ友達だって、惜しんでくれる友達だって居ないし。1人を除いては。
ホームルームが終わったあと、誰とも話さずにそそくさと帰ろうとすると、後ろから、横の横の教室まで届きそうな大声で「鈴花!」と叫ばれる。
こんな風に私に話しかけてくるのは1人しかいない。振り返るとそこにはやはり、幼馴染の大倉新太が居た。
「俺、今日お前の家行くから!」
さっきと同じぐらいの声で話し続けるから、みんなに、特に新太のことが好きなのであろう女のコからの視線が痛い…。
「今日か、忘れてた。あ、この前貸した漫画返してね!」
忘れてたなんてウソ。「楽しみにしてるね」なんて言ったら、周りの女のコになんて言われるかわからない。これが、新太との幼馴染生活で身につけた自分を守る方法。
教室を出ると後ろから、「おぉ!」という大きい返事がくる。
新太は昔から友達に囲まれているのに、「幼馴染」だから、と私みたいな「陰キャ」とも、高校生まで家族ぐるみで仲良くしてくれる。
そんなところに気づいた頃には惹かれていた。
一生に一度の高校卒業だから、と親は、奮発して良いお肉を買ってくれた。
そう、今日の夜は大倉家と焼肉パーティーだ。
6人分の箸やコップの準備をしていると、ピンポーンと、チャイムが鳴る。
インターホンに出ると花香さんが、
「肉買ってきたぞー!!」
とカメラに向かってビニール袋を見せている。
「はーい」とインターホン越しに返すと、玄関に向かう。
鍵を開け、扉を開くと、花香さんはするする〜っと入ってきて、もう手も洗わずにリビングに「朱美〜!!」と言いながら向かっている。
「手洗ってから入ってください!」
なんて叫んでいると、新太は申し訳なさそうに口を開く。
「悪ぃ。母さんもう酒入ってるみたいでさ。父さんも止めてくれよな」
なんて、考さんの肩をパンチしている。
「俺が帰ってきた時にももう、あんなだったんだよ」
と、申し訳無さげに肩を竦める。
「まぁ高校卒業は一生に一度のことだしね。今日ぐらいははっちゃけさしてあげるか!明日からは厳しくするけどね」
なんて笑いながら言うと、新太も「そうだな!」と笑ってくれる。
こんな何気ない話でも、幼馴染の私だけが出来る会話なんだと思うと、学校での陰口や痛い視線がどうでもよくなってしまう。
最初はみんなでダイニングでご飯を食べていたけれど、時間が経つにつれて親たちの飲み会になってきたため、私と新太は2人で、リビングのソファでお菓子をつまみながらアニメを見ている。
「あ、漫画持ってきてくれた?」
不意に思い出し聞いてみると、新太は「何を言ってるんだ?」という表情をしたあと、ハッとほぼ寝っ転がっていた体をガバっと起こす。
「悪ぃ!忘れてた!今から取ってくる!」
そう言い、猛ダッシュで外に出ようとする新太を花香さんが止める。
「外出るならおつまみ買ってきてよ〜」
と酔っ払いながら言う。
新太が「良いよ」と言うと、ここぞとばかりにお母さんが新太に声を掛ける。
「新太くんが行くなら鈴花もつれてってくんない?最近外に出ないからどんどん丸くなってきちゃってさぁ」
「はぁ!?丸くなってなんかないしぃ。はいはい行きますよーだ。新太!準備するから待ってて!!」
「、おぉ」
お母さんのバカ!なんで新太の前で、そんな事言うの!!私太ってないし!…でも一応細く見える服着よ。
部屋から出ると先に準備が終わったであろう新太がみんなに何がほしいか聞いていた。
「父さんは柿ピーでしょ?」
「そー、良くわかってんじゃん。2袋買ってきて」
「じゃあ、僕も柿ピーで」
「太一さんもね、1袋でいい?」
「孝太じゃないんだから、1袋で十分だよ」
「そっか、父さんがアレなだけか。朱美ちゃんは?何欲しい?」
キッチンで洗い物をしているお母さんに聞く。
「私もいいの?じゃあ、枝豆欲しいなぁ、お願いして良い?」
「はーい。じゃあ、朱美ちゃんの手伝いもせずイケメン見てる母さんは?何がご所望で?」
「うーん、じゃあ焼き鳥!いつも食べてるスーパーのやつ!」
「はぁ?あそこ遠いじゃん!近くのコンビニにあるやつにしろよ」
「やぁだ。絶っ対スーパーのが良い!」
そう言いながら花香さんは私に向かってコッソリとウインクをしてくる。
なぁんだ、バレてんだ。私の新太への気持ちに。なるべく2人でいられる時間が長くなるようにあんなワガママ言ってくれたんだな。不器用ったらありゃしない。
「まぁまぁ、その時間で四人で積もる話もあるんでしょ」
花香さんが作ってくれた時間、めいいっぱい使ってやる!
「そうかもな、会話の時間作ってやるか」
スーパーで言われたものを買い、帰路につく。
2人の話題はもっぱら卒業に関して。
「俺らももう卒業なんだな」
「ね。2、3年前が小学生ぐらいの気持ちだったのになぁ。もう6年前なんだよね〜」
「ホントにな。もうちょっとしたら、大学生とか意味わかんねー」
なんて話をしていると、ある曲を思い出し、口ずさむ。
「流れる季節の真ん中でふと日の長さを感じます」
「「せわしく過ぎる日々の中で私とあなたで夢を描く」」
…
「え?お前歌い始めたくせにこのあと知らねぇの?」
「知らないよ?新太の聞いたらわかるかなぁって」
「俺だってそうなんだけど」
思わず2人で顔を見合わせ笑う。
2人から発される音が無に等しくなったとき、先に口を開いたのは新太だった。
「俺、実はずっと、鈴花に言いたかったことあって」
下を向きながら新太は言う。
「何、?」
いつもよりうんと真剣な新太の態度に思わず背筋が伸びる。
30秒程経っただろうか。ずっと俯いたままだった新太が、決心がついたかのように顔を上げる。
だが、新太の視線は私より奥に向かい、だんだんと恐怖に満ちた表情になる。
なんだろう、振り返ろうとした私に新太は「鈴花!」と叫びながら私に駆け寄ったと思ったら突き飛ばされた。
なんでだろう?良くわからないまま姿勢を崩した私は暗くなった空を見ていた。その時にキー!という音がしたのは私の耳鳴りの音か、周りの音かわからない。
そのまま尻餅をつき少し頭を打った私は、新太の方に目を向ける。が、そこに新太は居なかった。いや、新太は居た。だけど、私が知っている新太とは似ても似つかない形をしている。
そこで私の頭はシャットダウンした。
---
目が覚めると見慣れない白い天井。
私が横たわっているらしいベッドの周りには、私の両親、そして新太の両親が居た。
なんで花香さんと孝さんまで?そう思ったとき、今までの、記憶が蘇り、ガバっ!と効果音がつきそうな勢いで起き上がる。
「新太は!?無事なの!?」
そう聞くと、穏やかだった4人の表情が一気に強張る。4人の表情を見ると、もしや…と最悪な想像をしてしまう。
言いづらそうな顔をした花香さんが口を開く。
「実は新太はね、この世から、消えてしまったの」
頭の中が真っ白になる。ついこの前まで笑いながら話していた、隣りにいた新太がこの世にいないなんて。そんなの信じられなかった。
私がそんな事を考えている間にも花香さんの話は続く。
「車を運転してた人が、飲酒してたらしくって…。それで新太は犠牲になってしまったの」
私があの時一緒に行っていなかったら、新太は無事だったかもしれない。
そう考えたら涙が止まらなくなり、花香さんに抱きついて泣いてしまう。
「ごめっ、なさい"ぃ!私がぁ、居たっ、せいでぇ!新太っが、死んじゃ、ってぇ!」
とめどなく涙があふれてしまう。私が泣ける立場じゃないのに。花香さんはきっと、もっと泣きたいはずなのに、私のことを優しく抱きしめてくれる。
ひたすら泣き続ける私に花香さんは、一通の手紙を差し出す。
「鈴花、良かったらこれ、読んであげて。新たな気持ちが全部ここに詰まってるから」
そう言われ手紙を受け取ると、4人は病室を後にした。
『鈴花へ
この手紙が鈴花の手に渡ってるってことは俺がすげぇヘタレだったってことだな笑
自分の口から言えてることを願うけど、ムリだったときのために一応手紙を書いてます。』
どういうことだろう?いつの新太が書いた何のための手紙?
『俺実は、幼稚園の頃から鈴花のことが好きです。良かったら、付き合ってください。』
っえ、?これ、本当に新太が書いたの?新太が書いたとして、私宛であってる?…うん、鈴花って書いてるもん。私宛だ。
『言葉では十何年も言えなかったのに、文章だとこんな一瞬で言えるのな。もっと早くにこうしとけば良かったよ。
いい返事があれば嬉しいです。
新太より』
ホントに早くこうしといてよ。
なんて、私も言えないな。私だって十何年、ずっと言えなかったんだもん。
新太の葬式の日。
家族だけの内輪の中に私たち家族も入れてもらえた。
それは、花香さんが
「新太もきっと、最後ぐらいは自分の思いを届けた相手に見届けて欲しいはずだから。辛いかもしれないけど、来てくれたら嬉しい」
そう言ってくれたから。
新太がこの世界から居なくなってしまって、枯れるほど泣いた。これからもきっと泣く。この傷を痛いと思えるうちはたくさん泣いていたい。傷が痛いって思えるのは、生きてる人間の特権なんだから。
だけど、今日だけは、この瞬間だけは、笑顔で伝えるんだ。
「ずっと好きだよ!今までも、これからも。だから、そっち、で、待っ、てて、ね!」
棺の上に一つの雫が落ちる。
でも、決して表情は崩さない。
これからしばらく、新太と会えなくなるんだから。新太が一番最初に思い出す私は笑顔でいないと。
「浮気、し、たらぁ、絶対、ダメっ、だ、から、ね!約束、だからっ!」
ここからは補足なので、見ても見なくてもどっちでも良いです。
新太は、大人4人に「鈴花のことが好き。まだ付き合ってすらいないけど、将来的には結婚したいと思っている」と言うところまで伝えています。
鈴花が部屋で外行く前に準備してる時も、5人で作戦会議したりしてます。可愛い。
そこで、4人に背中を押され、ここで告白することを決意。
お祝いが前日だったのは、子どもたちには「同級生と遊ぶだろうから」と親たちは言っていますが、実際は、付き合い始めた2人を心置きなく遊ばせてあげるため。
一応書いておくと、
羽山家
太一
朱美
大倉家
孝太
花香
です!
朱美と花香は、高校の同級生で、そこからずっと仲良しで、朱美が結婚して家を建てた横に、花香も家を建てたことから、ずっと家族ぐるみで仲良しです!
純愛ってのは良いもんですよ。
鈴花は知らずのうちに、死ぬまで恋人作らないっていう枷を自分につけてんだから。
長くなりましたが、感想書いてくれると嬉しいです!
恋愛小説なのかしら?
いつもよりちょっと、
何も普段と変わったことはなかった。
いつもよりちょっと、私がオカシかっただけで。
朝目が覚めた途端に分かった。「オカシな日が来てしまったんだ」と。
何故かわからないが、1日中、心が痛くて苦しい、そんな日が時々来る。
ベッドから出るにもいつもの倍以上の時間がかかる。
やっと出られたと思ったら、次は洗面所までの道のりが遠く感じる。往復してる間に弟の蒼太がご飯を食べ終わるぐらいには時間がかかる。
制服のブラウスのボタンを閉める手、スカートのチャックを上げる手。まるで重りでも付いてるかのように動かない。普段はカップラーメンが出来上がる前にできるようなことに10分も時間がかかる。
その時点で自分のことが嫌になる。なんで早く動けないんだろう、と。
「結!まだそんなことやってんの?もう蒼太家出たけど、大丈夫なの?取り敢えずご飯食べなさい」
ガチャと扉が開くと同時にお母さんが話し出す。普段は何とも思わない「?」がついてるけど質問の時間をよこさないしゃべり方にもイライラする。
「わかった。先ご飯食べる」
そう言うと、お母さんはブツブツと「蒼太はあんなにできるのに、結は大丈夫なのか」と言いながら階段を降りていく。
私の弟の蒼太は、何でもできるクラスの中心的立場で、私が幼稚園受験で落ちた難関校に難なく合格している。
親が蒼太のことを贔屓するのはいつものこと。きっと当然のこと、誰だってするだろうに、今日はいつもより胸が苦しくなる。
「結、おはよー!」
肩を叩かれ振り返ると、友達の柚が居た。
「おはよう、柚ちゃん」
2人で話しながら学校へと向かう。
「あたし今度、北海道行くんだぁ!」
「旅行いいね。いつもの女旅?」
「そう!夏休みめっちゃ楽しみ!」
「楽しそー!でも、この季節に北海道って珍しくない?冬のイメージある。柚ちゃんみたいな旅行通はあえて真夏に行ったりするの?」
我ながらいい質問だと思った。自分の疑問と相手への尊敬を込めた。
なのに、柚ちゃんの顔色は暗くなってしまう。
「ホントは冬行こうとしたけど、ホテルとか飛行機とかいろいろチケットとるの難しかっただけだよ」
柚ちゃんは無理に笑っています!という顔で話を続ける。
「そういう疑問は、黙って聞き流せばいいの!ホント結ってばそういうとこだよ!」
なんで私がそんな風に言われないといけないんだ。
その言葉が最初に出てきた自分に嫌気が差す。
でも私は黙ってる時間が苦手な柚ちゃんのために、興味ない旅行の話聞いてあげたのに。
体育のバスケの授業。今日、1番憂鬱なこと。
運動ってニガテ。球技なんて特に。
でも、勉強できないから。体育での「積極的な行動」である程度いい成績取っておかないと。私は蒼太みたいに出来ないから。
「こっち!こっち!」
必死にボールを追いかけ声を出すが、いっつもみたいにパスをくれない。なんで?私こんなに頑張ってるのに。なんでなんでなんでなんでなんで。
次第にどれだけ走ってもボールに追いつけなくなる。
こんなに頑張ってるのに。みんな私を見てくれない。
そんな事を考えながら走っていると、頭に酸素が回らなくなる。
ヤバい。これ、ちゃんと死ぬやつかも。
そう思うが走るのをやめられない。今日のオカシな私が思いついてしまったから。
このまま走り続けて倒れたら、みんな私を見てくれる、心配してくれるって。
だから走った。途中で意味わかんない加速と減速を繰り返したりもしてみた。
2、3分もすると視界が狭くなっていく。
もうそろそろ大丈夫かな。ドン!と派手な音を立てて倒れ、目を閉じる。
案の定みんなが私の方に寄ってくる。「大丈夫?」「誰か保健室連れてって!」とか。
みんな見てくれて嬉しい。
そこで私は眠りについた。
目が覚めると保健室の天井があった。
誰かが運んでくれたんだ、ありがとうって伝えないと。
外を見るにもう夕方。倒れたのは4時間目とか。思ったより寝ちゃってたんだな。
しばらくぼーっとしていると、養護教諭の杉野先生がやってきた。
「あ、起きた。おはよー。まだしんどいとかある?」
「いや、無い、です。ありがとうございました」
早く一人になりたい、そうじゃないと誰かにこの感情をぶつけてしまうから。
カバンを持ち、素早く帰ろうとするも、杉野先生の「待って待って!」という声で立ち止まる。
「何か?」
苛立つ気持ちを必死にこらえる。でも、ちょっと言い方きつかったかも…。
「昼過ぎてもなかなか起きなかったから、さすがに親御さんに連絡させてもらったの。そしたら、お母様が起き次第迎えに来るって。今から電話してくるからちょっと待ってて」
そう言い杉野先生は、職員室へと向かった。
こんなに寝るつもりじゃなかったのに。
いつもよりちょっと、みんなに見てほしかっただけなのに。
思ってたより、代償が大きかった。
ベッドでひとり反省会をしていると保健室の扉が開き、お母さんの「結〜!」という声が聞こえ、リュックサックを背負い、仕切りのカーテンを開ける。
「あんた倒れたんだって!?大丈夫なの?なんで倒れるまでやるわけ?蒼太みたいに何事も器用にやりなさいよ」
「まぁまぁ、おか母さん。結ちゃんも頑張ったんですから」
あまりに語気が強いお母さんの言葉に杉野先生がフォローしてくれる。
「…うん、ごめん。これから気をつける」
杉野先生に感謝を込めてお辞儀してから保健室を出た。
お母さんの車の助手席に乗ったが、会話は無い。
気まずさを紛らわすためにスマホを開いてみるとみんなからのメッセージが目に入る。
これを求めていたはずなのに、なぜか嬉しくない。
スクロールしていると、うっかり誤タップで柚ちゃんのメッセージに既読をつけてしまった。
それに気づいたのか柚ちゃんが電話をかけてくる。
出ればいい。そうすれば気まずさを紛らわせることができる。
それなのに、出る気にはなれず、切ってしまう。
そんな自分にまた自己嫌悪する。
走ってる車から飛び降りたらどうなるんだろ。死ぬのかな。
今の私はオカシイから、そんな事を考える。
だけど、考えるだけ。さっき、思ったより代償が大きかったから。それに、さっきのより簡単に死にそうだから。飛び降りるほどオカシくはない。中途半端なオカシさ。
それから夜ご飯食べてる時も、お風呂に入ってる時も、勉強中も、好きなものを見ていたって気持ちは晴れなかった。
「明日には治っていますように」
一言呟き目を閉じた。
なんか、碧さんにしては暗いお話ですね。
あたしよくあるんですよ。
普段は気にしないような言葉も、気にしてしまったり、そのせいで注意力が散漫になってしまって、相手を傷つけるようなことを言ってしまったり。
それを、結ちゃんにぶつけてみました。
みなさんはそういうのありますか??
ぜひ教えてほしいです!
明日私が消えたとしても
たまには時事ネタで書いてみました。
「明日どうなるんだろ」
帰り道、ポツリと呟いた。
「あぁ、巨大地震が来るってやつ?」
一緒に帰っていた幼なじみの菜津が聞いてくる。
「そう」
「信じてんのー?ガキだね」
「だって、1回聞いちゃったもんは怖いだろ?」
「…死ぬのが怖いの?」
「うん。それ以外怖いことあるか?」
「好きな人が死んじゃうかも!とかさ。1番に自分が心配なんて、そんなこと思うから優弦はモテないんだよ」
「へぇーへぇー。自己中ですいませんね。菜津さんは死ぬのが怖くないんで?」
不貞腐れて菜津に質問を返す。
「うん。怖くないよ」
間髪入れずに答えてくる。
「なんで?」
「だって、もっと怖いことがあるから」
「もっと怖い、こと?」
「うん。もっと怖いこと」
「それ、何?」
聞いても良いのか、少しの間考えたが、やっぱり気になってしまう。
「…それ聞いちゃう?」
「ダメだったか?」
「いや、別にいいんだけどさ」
菜津は一呼吸置いて口を開いた。
「…優弦の声が聞こえなくなることだよ!バーカ!」
「俺の声が聞こえなくなる?俺が死ぬこと?」
「ん〜、そうだけどそうじゃない!鈍感!」
「は?じゃあ、なんで俺の声が聞こえなくなるんだよ」
菜津の言う事が全く分からない。どうせ俺は鈍感非モテ男ですよ。
「だぁかぁら!そのまんまだよ!あたし、耳聞こえなくなんの!」
菜津は言ってしまった、というように顔をしかめる。
「は?耳が聞こえなくなる?」
「…そう、突発性難聴ってやつ。あたしの耳は、今もちょっとずつ、耳が聞こえなくなってんの」
身体の中を衝撃が走る。
耳が聞こえなくなる?なんだよそれ。今まで1回もそんなこと言ってなかったじゃねぇか。
「…それの方が、死ぬことより怖ぇの」
「うん」
「なんで?」
「だって、今死んだらさ、最新の優弦に声が付いてるんだよ。このまま耳が聞こえないままズルズル生きたら、死ぬ時に優弦の声がもう思い出せないの。思い出せたとしても、きっと、声なんて年取ったら変わってる。そんなのヤじゃん」
「…なんで死ぬ時に俺を思い出すんだよ」
笑って茶化そうとするが、
「そんなの決まってるじゃん。優弦のことが好きだからだよ」
本日2度目の衝撃。
そんなことを当たり前のように言ったアイツは、「なんで今日は色々言っちゃうんだろ。明日死ぬかもしれないからかな。他の子にはヒミツね」と笑っている。
「これでもし、明日あたしが死んでも、優弦の記憶には残るね」
「は?」
「明日で死ぬかもしれない…!そんな日に告白してきた幼馴染、なんて走馬灯に出て来てもオカシクない濃いエピソードでしょ」
そう言って笑う菜津にだんだんイラついてくる。
「…なんでだよ」
「ん?なんて?」
「なんで俺は、お前を忘れる前提なんだよ!」
「え?」
「俺だって、明日、お前と会えなくなるのが怖ぇんだよ!」
「…え、それって、あたしのことが、好きだ、ってこと、?」
「そうだよ!ずっと前から好きだったよ!こんな時じゃねぇと言えねぇヘタレで悪かったな!」
そう言うと、菜津は笑う。
「は?なんだよ」
「だって、そんなのずっと前から知ってたし。そういうヘタレな優弦くんが菜津ちゃんは好きなんですよーだ」
帰り道。家まであと少し。2人の距離が少しだけ縮まる。
自然と2人の手が繋がれる。
「明日、会えるかな」
「どうだろうな」
今日、日記見てたら、みんなこの話題だったので、そういえば明日かぁ、みたいな感じで。
最初は日記書こうと思ったんですけど、自分の感想書くの得意じゃないので、それなら小説書いてキャラに言わせちゃおう!的な。
いっつもは、書き始める前にオチまで全部決めて、1回方眼用紙に書いたりしてるんですけど、今日は、ここに初めて直書きしまして。
なので、ちょっとおかしいとこあるかもしれませんが、まぁ御愛嬌的な感じで!