桃源暗鬼に感化された。
______________
鬼。
それは世界に少人数しかいない特別な存在。
家系や行いは一切問わず、個体差も異なる。
幼い頃に出現する者や、死ぬ直前に暴走を起こす者。
過去の凄惨を乗り越え恨みがある者。
そう言った者にかつての鬼は取り憑き血を変える。
ある時、いきなり人を喰らい殺す衝動に見舞われ暴走を引き起こし、あたり一体を滅ぼした事件があった。
それまで鬼は特に警戒されているわけでもなく、隠れて生活する事もなかった。
だがそれを機に世は180度回転した。
「鬼は根絶やしにする」
日本どころか、世界までもがその事件をきっかけに協定を結んだ。
そして日本には各地に「鬼斬滅委員会」たるものが作られ、日々鬼の捜索をしていた。
それを知った1人の鬼が仲間を集め人に紛れて暮らす事を覚えた。
血を変え、姿を変え人に紛れた。
しかし角は消えなかった。
いつしか鬼は地下で暮らし、夜に行動を移した。
人を守るべく、「鬼斬滅委員会」には武士や刀鍛冶の末裔が集められていた。
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目次
#1 鬼の目覚め。
「…鬼ってまじでいるんだ…厨二病の考えかと思ったけどこんなもん見たらモノホンかぁ…私もこの鬼を滅ぼす事になるんだよね…」
帰り道、歴史書と睨めっこしてそう呟くのは成瀬中高一貫校の通う普通の女子高校生の豊臣神楽。
昔から父親に鬼の話をされていたがその度に嘘だと思っていた。
だが授業で習い、少しの興味で歴史書を借り中を覗けば鬼の存在がしっかりと記されていた。
ここまで記されているともう信じる事しか選択肢はなく、仕方なく信じる事にした。
歴史書を閉じ、スクールバッグに仕舞ってはスマホを取り出して通知欄を見る。
鬼に襲われた友人の桜舞がここに入院しているため何かあってはいけないので特別にスマホの持ち込みが許可されており、定期的に確認している。
「は~…桜舞早く退院してよね、あの病院苦手なんだから…」
神楽にとって近所にある大型病院、成瀬病院は苦い思い出があり近寄り難い場所である。
だが大事な友がいるので仕方なく近寄っているのだ。
気分が落ち込んでいる中、街に悲鳴が響いた。
声が聞こえた方向を見ると微かに炎が見えた。
病院だ。病院の方から火が上がっている。
嫌な予感が脳を刺激して気がつけば走り出していた。
無我夢中で走り続け着いた頃には病院はほぼ全焼に近しい状態だった。
「はぁ…っ、あ"………ッ…さくま‼︎、…」
友人の名前を呼ぶ。
だが普段返ってくるはずの落ち着いた声は聞こえない。
目の前の光景も相まって神楽は絶句していた。
しかしそんな彼女の隣にいた中年男性は焦った笑顔を浮かべ声をあげて笑っていた。
この街に住む人の大事な人が沢山いるのに何故この人は笑っていられるのだ。
どれだけの人の命が人の手によって奪われたのか。
考えが渦巻けば渦巻くほど神楽の心は黒く怒りに染まっていった。
「ねぇ…おっさん………なんでテメェは笑ってられるんだ?なんで?大事な人がいなくなってんだよ!?なんとも思わないわけ⁉︎冗談でも不謹慎だよ、常識の範囲外なんだよお前は‼︎へらへら笑って……この病院の先生や患者さん、看護師さんに謝れよ!患者さんのご親族に謝れよ…」
怒りをぶつけ、泣き崩れる。
もう周りを見れば犯人は一目瞭然だった。
神楽の声を聞いた住人は一斉にその中年男性を見つめた。
そんな中神楽の中にはただ一つ、「絶対殺す」。
その信念があった。
頭からはツノが生え、爪は尖り犬歯も鋭く尖った。
今の神楽の姿は歴史上に載る鬼そのものだった。
そこらに落ちていた石を拾えば大麻(おおぬさ)に変え、巫女そのものの姿に成り果てた。
街とか関係なく、上にあげた大麻を振り下ろす直前誰かに殴られたような感覚に襲われた。
鬼の力の制御が効かなかったせいかすぐに姿は元に戻り気を失った。
「……ここじゃ人目につく、…ど…しよ………れ、玲央奈ぁ~…」
「その子連れて早く戻るよ、私達はもう既にバレてるから学校に預けたらすぐ拠点変えるよ。いいね、明羅」
「は、はぁーい…」
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目を覚ませば見覚えのない天井。
意識が少し曖昧な中、体を起こし周囲を見渡す。
中は病室のようだが微かに不気味な雰囲気を纏っており、体が強張る。
ガチャ
乾いた木の音が気持ちを和らげる。音の方向を向けば神楽とはまた違う垂れたツノを生やした気怠そうな男性が入ってきた。
起きている神楽に気付けば落ち着いた低い声が少し漏れる。
「あぁ…起きたのか…回復早ぇなぁ…まぁ、血のおかげだろ…よかったなぁ、命が尽きなくて。下手したらお前死にかけてやがったからなぁ?鬼の血に感謝しとけぇ…」
「鬼の血…?命が尽きる…?何の話?あとここどこ!?あんた誰なの、そのツノ…」
「順を追うから落ち着けぇ…俺は話すのは得じゃねぇんだ、こいつらに任せるけどよぉ…」
ギシ、と軋んだ音のする椅子に腰を掛けカルテの様な物を見つめる。
無言で数分見つめれば机の方を向きペン立てにあるペンを取って何かを書き込む。
疲れているのか、書き込みが終われば机に突っ伏してしまい「あ"ー…」と低い唸り声を出す。
老人の様な動きを見つめていれば丸い木の音が数回聞こえる。来客が来た様だ。
「彗月崖せんせー、入っていい?あ、玲央奈だよ。明羅も連れてきたよ~!」
「彗月崖でいいって何回言ったら分んだぁ…?まぁ…入れ、豊臣に話しとけ…俺はまとめておくからよぉ…あと豊臣ぃ…説明が終わればお前に質問があるからよぉ…?」
ドアが勢いよく開けば悪魔の様にピンと立ったツノを生やし少女と怯えてヤギの様なツノを生やした少女?少年?が立っていた。
部屋に入れば神楽の座っているベッドの近くに椅子を引いて座り込む。
彗月崖と呼ばれた男と数回話せば目線はすぐにこちらを向きまじまじと見つめられる。
ゆっくり見つめればまた彗月崖と話し、目線を戻す。
「えーっと、君が『鬼斬滅委員会』会長の豊臣尽央の娘さん、豊臣神楽ちゃんであってるかな?まぁあってるんだけど、鬼の話するね。私は鬼の力に詳しいだけだから明羅、任せたよ。大丈夫、緊張しないしない」
「ふぇぇ…玲央奈いきなりすぎるよぉ…あ、ぁ…えっと明羅…です…。
お、鬼の話…って言っても授業で習ったよね…?暴走をきっかけに存在しちゃいけないって言われてるんだけど…ここはその鬼達の隠れ家みたいな場所…過去を乗り越えた人、望みが低い人…すごく大きく分ければこの二つの人に昔存在した鬼は血に取り憑くんだ…君もその1人だよ…家系も何も関係ないんだ、武士の家系でもなるからね…」
「は、話がよくわからなさすぎてやばみ…とりあえず私は鬼の子なんだよね?そこはわかった…でも何でここに運ばれたの?」
「あ、それは私が話すよ。その前に私は玲央奈、鬼の確保と育成、保護を中心にしているよ。
さっそく運ばれた理由から話すけど、神楽ちゃんの住んでいた街の病院。あの近くにいたおじさんが原因で燃えたんだよね。人の怒りや大事な人を失った恨みで中に取り憑いた鬼の血が暴走を始めたの。個体にも寄るんだけど生まれてすぐ発動する人もいれば死ぬ直前までわからない人もいる。神楽ちゃんはさっき明羅が言っていた過去を乗り越えた人に分類されるの。
そして鬼にはそれぞれ自能力と言って自分だけの能力を持ってる。神楽ちゃんの場合は多分祓いの巫女だろうね。それか変化自在。まぁ…前者だと思うよ、見た限りね。
力を使うには息を殺して手に力を込めて念じないといけない場合がほとんどでね、例外もあるんだよ。部隊にいる人がそう。あとそこの彗月崖先生も。
暴走状態は恨みの念が強すぎて自我が保てなくなった。だから人々を巻き込み掛けたんだよ。…明羅が幻痛を感じさせたからよかったけどさ」
「長いな…とりあえず能力ね…にしてあのおっさん…」
説明を受け、頭がパンクし掛けている神楽。
もう夢なのか現実なのかわからなくなっていた。
今いる場所は鬼の隠れ家。そしてそれぞれ個体によって能力を持ち念じる量で暴走状態に入る事ができる。
そこまでは神楽の頭の中でまとめられた。
それ以上は順を追って理解していくしかない。国語どころか勉強が苦手な神楽にとって聞き取ってまとめ、その日のうちに全て記憶するのは至難の業であり感覚で覚え火をかけて理解していく体質だった。
明羅、と名乗った中性的な子が「…追記、なんだけど…」と声をあげた。
「鬼…には鬼祖って言う特殊な血を引く子もいるんだ…鬼祖の血はあまりにも強くて、寿命が少ないの…長生きするのは難しいんだ。長くて4年、短くて1週間も持たない。しかも鬼祖の血を引くのは1人しかいない、引いている子が死んでしまえばまた別の子に取り憑いて寿命を失う代わりに強力なものが手に入る…」
目を見開き、唖然とした。
寿命が短くて1週間も持たない鬼祖の血。
誰が継いでいるのかもわからないがもしかしたら自分なのかもしれないと言う恐怖に苛まれていた。
これからの生活、何があるのかもわからないのに別の恐怖を植え付けられるこの世界に神楽は今にでも逃げ出したかった。
でも今逃げ出せばあの時近くにいた人は神楽を殺しにかかるだろう。「鬼斬滅委員会」にでも通報されたら父親に殺される、それだけは勘弁だった。
#2 誰かの決めつけを覆したいという執念。
「…っと、これで説明は終わり!あ、神楽ちゃん息してね?ツノ出たまんまだからさ。彗月崖先生も、だから寝不足なんでしょ~?」
玲央奈に言われはっとする神楽。体が一気に疲労感に浸り、息をしていなかったのか咳き込んでしまった。
数分で落ち着きを見せれば、その場にいた神楽を除き全員が驚いた表情を浮かべ唖然としていた。
なぜなら鬼になった際、ツノを仕舞う時一気に酸素が体に入ってくる為処理が追いつかなく大抵の人は2時間~1時間、早くて40分くらいは咳き込んでいるからだ。
「えぇ…どんだけ化け物なのこの子…ねぇ彗月崖先生、もう部隊所属いけるんじゃない?」
「訓練も何もしてねぇバカは足手纏いだろぉがよ…はぁ…お前苦しくねぇのかぁ?」
「え、いや…普段運動してるから何とも…あ、それか運動している人でも遅いんですか…?」
「大抵の人は長時間咳き込んでるよ…喉の炎症が酷いから彗月崖蓮司先生が毎回治す羽目になってるけど…」
慣れていなさそうに目線を逸らし、続ける。
化け物と言われたことに結構なダメージを食らうも、状況が状況なのであまり表情には出せない。
ずっと顔を壁に向けていた彗月崖が神楽に視線を合わせ、バインダーを持って何かを探す様に見つめた。
「えー…質問してくぞ…はい一つ。年齢と学歴…能力名は決まり次第教えろぉ?二つ、何であの病院にいたんだぁ?用がねぇなら行かねぇよなぁ?…三つ、鬼の説明を受けてどう思った。これだけ答えぁ十分だ」
「え、えっと…豊臣神楽、15歳…まだ小卒…中高一貫校にいるから…病院にいた理由?…鬼に襲われた友人が入院してて…ってはや、ど、どう思った?えっと…まだ教えられたばっかだし、信用しきれないとこもあるけど正直な感想…暴走した経緯があるとはいえ駆除される意味ないと思う…息をすれば抑えれるのか分からないけど何と言うか…その…と、とにかく話し合えば鬼も安心して地上で暮らせるんじゃないかなって!」
「…誰と話し合うの?」
「えっ…鬼斬滅委員会に決まってるでしょ…」
「そう、今のままであっちは話を聞くと思う?」
「……お、押し切れば…」
「無理だよ。あっちは国自体が作り上げたもの。それに比べてこっちは個人が集まって立ち上げたものだから人手不足だし弱すぎる。大型の争いになれば人数不利で確実に負ける。話し合いの場すらないんだよ、私達鬼には人権がないと言っても過言じゃない」
「そんなの誰が決めつけたんですか‼︎」
立ち上がり、そう叫ぶ神楽の声が部屋全体に響く。
3人は腑抜けた顔をしてただ呆然と見つめる。
「鬼には人権がないだとか、話し合いの場がないとか…誰が決めたの!鬼にも人権はある。この国で暮らす全員に人権はあるんだよ!話し合いも…今はなくてもいつか叶うこと、いつ叶うかなんて私には分からないけどさ…でも可能性を捨てるのだけは私絶対に嫌だ!どれだけ低い可能性でも私は賭ける。希望のある方に賭けるよ!無理だと言われても曲げない。意思は曲げない。それが私、豊臣神楽だから」
真剣な眼差しを向け、そう述べる。
彼女の目は本気だった。
まっすぐな希望と光が生み出した様な存在感の強い宣言。
小さな事にも賭けるその根性に神楽に関わる全員が心が揺らいだ。
無理だと分かっていても、それでも可能性があるなら倒れてもなんども立ち上がるゾンビの様にしつこいその執念は玲央奈達の心を貫き、同時に動かした。
一気に希望が与えられた様に目を見開けば口元に弧を描き、「じゃあ、神楽ちゃんのその執念を応援しなくちゃね」と告げた。
黙って聞いていた2人も笑顔を浮かべ、神楽を見つめた。
神楽は今日から世と戦う事になるのだ。
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鬼について軽い説明。
個体差はあるが大抵の鬼が高校生くらいからツノを出現させる。そして自能力と言うものを持ち、それを使っている間は呼吸をしない為どの鬼にも必ず使用時間制限ある。なお肺活量などを鍛えればその制限は上がっていく。
鬼は大体が地下で暮らし、訓練などをし鬼斬滅委員会に対抗する力をつけるが地上で隠れて暮らす鬼も一定数いる。家族を持ったり、親の介護だったり学校に行ったり。
死ぬ直前になると必ずツノが出現し、鬼としての生涯を過ごした証として腐敗のスピードが人間よりも10倍くらい遅い。
回復が人間よりも早くそれが影響しているらしいが根本的な要因は不明。
まだ判明していない点が多く、捕まえられた鬼は生態調べのために実験に使われるケースもある様でどうなるかは遭遇した鬼斬滅委員会の役員次第。
そして鬼の祖、鬼祖は恐ろしいほど短命である。
話でもあった様に長くて4年、短くて1週間以下。
短命の要因としては膨大な力があげられる。鬼祖の魂が入り込む事によって膨大な力を手に入れる代わりに体の負担がとてつもなく掛かるので短命になるのだと思われる。また、傾向として鬼祖は暴れるのが好きらしく発達障害や不良などどこかに不備がある者や短気の者に取り憑く傾向が見つかっている。
鬼斬滅委員会について。
鬼を抹消する為だけに作られた国公認の団体。
現在は神楽の父である豊臣尽央(とよとみじんおう)が会長を務めており、今までよりも活発的に動いている。
主に大きく、研究隊、戦闘隊、探究隊の3つで構成されており街中で遭遇しやすいのが戦闘隊である。その他の隊も遭遇したり戦えたりするものの外に出ることは基本なく室内にての隊になる。
委員会の役員は武士家系の傾向が高く、平民家系の方が数えるほどしかいない。
(豊臣や織田と戦国時代や江戸時代の大名の名字がつくものは必ず武士の血を引いている)
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一通り終えた後、部屋に通され一時的な宿泊となった。
今の状態では絶対に街に帰っては行けないようで外に出るにも引越しが余儀なくされるようだった。
様々な出来事にどっと疲れが出てきたのか部屋に入った瞬間神楽はベッドに倒れ込み、足をバタバタと動かした。
あの病院に居た友人の安否、その他諸々…とにかく心配事が多かった。
複雑な心境を無視するように時間は段々進み、止まる事を知らず残酷なほど不安を募らせる。
「…桜舞の安否、聞けばよかったな」
そう呟く彼女の声は空気のように薄く消えっていった。
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ゆっくり白い引き戸を開ければ一つ、ベッドがぽつんと置かれておりそこには毛先をピンクに染めた少年が横たわっていた。
沢山の管を体につけられ、呼吸器で呼吸し切られたような跡が痛々しく残っていた。
「早く目、覚ましてあげてね。あの子心配してるから…ほんと、鬼に襲われたって言ってたから人間だと思ったけど…襲われる直前に鬼が取り憑いて回復が追いついてるなんて奇跡、見た事ないよ。桜舞君」
「…鬼祖…?」
「違うでしょ。痣の形が違う。鬼祖の一つ下、鬼天だろうね」
「後々から変化する事例もあるから…鬼祖も視野に入れた方がいいんじゃない…?」
起こさぬよう、小声で話す玲央奈と明羅。
眠っている桜舞を目の前に手を出し息を殺す。そして管に続いている液体の袋などに触れば緑色の光が手から生まれ、尋常じゃないスピードで体に流れていく。
鬼だからこそ出来る特殊な治療法なのだ。
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自能力
「流動覚醒剤(スティルズウェアード)」
手に触れた液体の威力や効果を上げる能力。訓練すれば操ったり別の物体越しでも発動することが出来る。
また、量を減らしたり増やしたりなどができるので必要に応じて調整を行う。
だが欠点として血など人体に流れる液体や水分は発動するのが不可能な為水地が少ない場所での戦闘になるとすぐに圧倒される。
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「えぇ、!?それ使っちゃうの…!?大丈夫なの、?」
「だい、じょうぶ…いけるっ、!」
数分、かざせば手を離し呼吸をし始める。
息を止める時間が長ければ長い程、落ち着くまでの時間は比例して伸びていく。
鬼が能力を発動する条件は主に2つ。
1つはどの鬼も最初に行う「念を込め息を止める」こと。
死への直結の可能性は低めでまだ安全性がある為大抵の鬼がその方法を選ぶ。
そして2つは部隊…要するに訓練を受けた者だけが出来る技法といえばいいだろう。
個体により条件こそ違うものの、一般として「能力との相性の良い場所」だと念を込めなくても発動出来る。
また場合によっては「恨みを糧に自身の血を使って無理矢理発動」させるものもいる。
だが、どちらも死への直結の可能性が極めて高く鬼祖はどちらを選んでも短命な為死への直結の可能性が非常に高い。
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「…んん、………通知…あ、お父さん…」
『お前、なぜ鬼機関にいるんだ。お前は鬼斬滅委員会に入るはずだろう?…まさかだと思うが鬼が取り憑いたのか。そうか、そうならば俺はお前を娘とじゃなく敵としてみよう。』
スマホを覗けば一つの通知。
内容を見れば今まで育ててくれた父からの別たれの言葉。
だがそれに大袈裟な反応をするわけでもなく、ただ静かに見つめる。
《意思は曲げない。それが私、豊臣神楽だから。》
そう宣言した言葉が脳裏を過ぎる。
スマホをベッドに置けばクローゼットに入っていた服を着て部屋を出る。
玲央奈達の元へ向かおうとすると、ある一室から声が聞こえる。
緊急処置室だ。
足を止め、静かにドアへ耳を当て精神を研ぎ澄ませて盗み聞きをする。
「…………なんて奇跡、見た事ないよ。桜舞君」
「…!」
中から聞こえたのはずっと心配していた友人、桜舞の名前。
話し声を出す人物は気付いていないのか、何の反応も示さない。
安堵と疑いが同時に来るも今は安堵が勝ち扉の前で座り込んで涙を流す。
無事だったのだろう。
あの巨大な炎に包まれたと言うのに「奇跡」と言うのは生きていたからなのだろう。
しばらく扉の前で泣いていればガチャリと開かれる。
「わっ⁉︎か、神楽ちゃん…どうしたの!?ってその服…」
「あ、あ、…えっと鬼管養成学園に…入るんだね…?じゃなくて、あの…えっと!さ、桜舞君は生きてるよ!だい、大丈夫!」