某MVを見て勝手に妄想したパロ系です。
クールだけど甘党さんな【最強の騎士】
×
人懐っこくてふわふわしてる天然さんな
【奇跡の王子】
そんなふたりののんびりとしたお話です。
続きを読む
閲覧設定
名前変換設定
この小説には名前変換が設定されています。以下の単語を変換することができます。空白の場合は変換されません。入力した単語はブラウザに保存され次回から選択できるようになります
1 /
目次
ユニコーン使いと騎士。
某MVを見て思い浮かんだファンタジー風のお話。
少し雰囲気が本人様と違うかもしれないです。
___北の大地に広がる、ネーヴェ王国。
王国の中心地に|聳《そび》え立つ、豪華な宮殿の庭に「奇跡の王子」はいた。
---
ネーヴェ宮殿、庭園にて。
「蓮、あまりユニコーンに近づきすぎるとツノで体を刺される」
「えー…危なくないって。だって俺、“奇跡の王子”だよ?あと体刺されるとか言うのやめて」
「そういう問題じゃねーし。…それに体刺されんのは事実だろ」
「…相変わらずひかるったら心配性なんだから」
はぁ、と俺はあからさまなため息を吐く。
今、俺の目の前にいるのはこの王国で「奇跡の王子」と呼ばれる21歳の若き王子、目黒蓮だ。
人前では静かで穏やかな癖して、俺の前だけ無防備で危なっかしい。
そして、そんな目黒に擦り寄るにしているのは「|一角獣《ユニコーン》」だ。
この一角獣こそが、目黒が「奇跡の王子」と呼ばれる理由。
この王国では、王族の血を引く男性は代々一角獣と会話ができ、「ユニコーン使い」となる。
しかし、現在の国王陛下(=目黒の父親)にはその能力が備わっていなかった。
国王陛下と王妃様の間に出来るのは王女様ばかり。
このままではユニコーン使いの滅亡が危ぶまれる…
そんな中生まれたのが、この奇跡の王子こと目黒蓮なのだ。
「おーい照、…ひかる?きこえてる?」
「…ごめんごめん。考え事してた」
「もー。ひかるったらなに…」
きらりと南方の空に光が見えた。
俺はばっと立ち上がり、目黒に覆い被さるようにして地面に伏せさせた。
“ズサッ!!!!”
さっきまで目黒がいた場所に、矢が突き刺さった。
「ひ、ひかる…っ」
「そこでユニコーンと待ってろ」
震える目黒をふわりと抱きしめた後、
懐から短剣を取り出す。
「チッ…【最強の騎士】がいたのかよ…」
「王子に指一本たりとも触れさせない。命が惜しいなら早く逃げるんだな」
「ここまで来て引き返す男がいるか‼︎」
其奴のがむしゃらな動きを読んで、俺は短剣を振りおろした。
男の体から真紅の飛沫が吹き出し、どさりと力なく倒れ込む。
「…」
「さっすがひかる〜‼︎ だいすき♡」
…顔が熱い。
「…ちかい」
「ごめんって〜。でも照、いつも守ってくれるから好き♡」
「……そういうこと急に言うな」
「…ひかる?顔真っ赤だよ?」
「ばか、うるさい…////」
「熱ある?ほっぺ、りんごみたい…」
真っ白な手が俺の頬を包む。
あーもう、どこまで天然なんだこの王子様は!!!
俺は頭を掻いた後、蓮の手を行くぞと言いながらひいた。
---
“岩本様って仕事人って感じよね〜”
“【最強の騎士】ですもの”
“でも愛想悪いわよね〜?”
“よく目黒様が懐いたと思わない?”
““そうよねぇ〜w””
短編集みたいにしようかなって思ってます。
結構短いものをたくさん上げてくので更新速度上げられたらな…なんて。
夜空。
夜。
目黒の部屋のベランダ。
俺は星空を眺めながら珈琲を飲んでいた。
熱い珈琲と冷たい夜風の温度差が丁度いい。
“星って綺麗だよね‼︎ 俺、星見てる時間が二番目に幸せ‼︎”
“お前子供の頃から星大好きだよな……って言いながら二番目なのかよ”
“うん!!!だって、いちばんはひかるといる時だもん”
“お前なぁ…”
懐かしいな、なんて笑いながら珈琲を啜る。
コンコンコン…
突然ベランダのガラスが叩かれ、無意識に俺のびくりと肩が揺れた。
振り向けば、うるうると目に涙を溜めた目黒。
「目黒?」
ゆっくりと目黒がベランダにやってきた。
蓮「あの…ね、こわい夢みたの」
「怖い夢?」
蓮「うん…しかもね、起きてもひかるいなくてさみしかった」
「ごめんな。…おいで」
珈琲の入ったマグを側に退け、手を広げる。
目黒がすぐに抱きついてきた。
蓮「ひかるっ、」
「ん、怖かったな」
蓮「こわかった…ひかるいなかった、」
「守れなくてごめん。ここじゃ寒いからお部屋戻ろ、な?」
蓮「うん、」
んしょ、と目黒をお姫様抱っこして部屋に戻った。
---
あったかい部屋に戻ると、目黒がいつものやつ、と手を合わせてお願いポーズ。
…俺は|これ《お願いポーズ》にめちゃくちゃ弱い。
俺はため息を吐きながら、部屋に備わってるキッチンに立った。
部屋中に充満する、甘いココアの香り…
目黒が目を輝かせながらキッチンを覗いてる。
---
「はい、できたぞ」
湯気がもくもくと立つマグカップ_____
わぁーともきゃーとも似つかない声を出してマグカップをそっと手で包み込み、ふーっと慎重に冷ます目黒。
「目黒、熱々じゃなくていいの?」
蓮「ココアってちょうどいい温度があるの。それが飲みやすくていちばん美味しいんだよ」
「へぇー…誰が言ってたんだ?」
蓮「……俺、」
「なんだ、目黒か……じゃあ参考にならん」
蓮「えーひどいっ」
ぷくっと目黒のほっぺたが膨らむ。
「嘘だよ、試してみるわ」
蓮「え、ほんと⁉︎嬉しいっ♡」
ころころと変わる表情に翻弄される。
これだから王子は…と呆れつつ一緒になってココアにふーっと息を吹きかけた。
---
「…ん、……ふぁ、」
ココアを飲み終えてしばらくしたら眠くなってきたのか、ふわりと可愛らしいあくびが聞こえてきた。
「眠い?」
蓮「…うん、」
「じゃあベッド行こうか」
蓮「…ひかるもいっしょ…?」
「一緒だよ」
蓮「んふふ、」
にこにこ笑う目黒から赤い顔を逸らしつつ、俺は目黒をベッドに横たえる。
ふわっふわの髪を撫でてると、目黒がぐいっと引っ張ってきて俺はベッドに倒れ込んだ。
そのまま、気づいたら添い寝する形になった。
蓮「いっしょにねる…」
「はいはい」
蓮「……ひかるってさ、夜はなんだかやさしいよね」
「…いつも優しくなくてすみませんね」
蓮「…ちがう。いつもひかるはやさしいけど、夜になるとなんだかやわらかくなる……」
「硬いとか柔らかいとかあるのか?」
蓮「……んー、なんだろ、説明しづらい……」
「まぁとりあえず寝よっか、目黒。」
蓮「………。なんかさ、ひかるっていつから俺のこと“目黒”ってよぶようになった?」
「…え?結構前からじゃねーの?」
蓮「違う…子供のころは“蓮”ってよんでた、」
「いやでもさ、…立場変わったんだから仕方ない」
蓮「なんで立場変わったら苗字呼びになるの?」
「えっ?…そりゃ、そう言うもんだから…だろ?」
蓮「なんかもーよくわかんない!二人きりの時だけでいいから蓮って呼んで」
「は?…いやだよ」
蓮「なんで…、そんなに蓮のこときらい…?」
「ちげーよ、…だってなんか恥ずいじゃん」
きゅるっと見つめてくるその瞳に負け、顔を逸らす。
「………わかったわかった。蓮って呼べばいいんだろ?」
蓮「…へ、」
「いいからさっさと寝ろ、“蓮”」
蓮「…⁉︎///」
さっきまでふてくされた顔してた癖に、今は真っ赤になって固まってる。
「おーい、蓮さーん????」
蓮「きゅうにはだめなの、///」
「なんで?“蓮”が呼んでって言ったんじゃん」
蓮「ほらまた…‼︎////」
「もういいからとりあえず寝な、明日会議あるんでしょ?」
蓮「…たしかにあるけど」
「だからさ、…おやすみ、“蓮”」
蓮「また急に…っ‼︎////」
「もういいから寝てください、“蓮”」
蓮「んもーっ、////」
…今夜はしばらく寝れなそうだ。
更新速度上げたいとか言いながら2ヶ月くらい空いてて意味わからないですね(?)
どうにか更新速度上げたい、、、
嫉妬。
“ねぇねぇ、貴方聞いた?騎士団長様の彼女さんのこと♡”
“聞いたわよ‼︎ 幼馴染の女性騎士さんなんですって?”
“あの二人、以前から仲良くてお似合いだと思ったのよね〜♡♡”
…彼女?
騎士団長様……つまりひかるに?
どくんどくん、と心臓が速く脈打ち始めた。
---
「ねーユニ……どう思う?」
宮殿のお庭。
おひさまの光が当たってキラキラしてるユニコーンに問いかける。
【その噂ってホントなの?】
「えー、だって宮殿に居る侍女さんとか執事さん、偉い人たちまでそう言ってるんだよ?」
【てかひかるの彼女さんって誰?】
「ほら、|雪音《ゆきね》さんって人。…てゆーかまだ一応噂だし‼︎」
【んー…蓮はなんでそんなにひかるの恋愛事情気にしてるの?あくまでも蓮専属の騎士さんってだけでしょ?】
「…っ⁉︎ それは、……」
【んふふ、やきもち焼いてるんだね】
「へぇっ⁉︎ ちがうちがうちがうってば…‼︎」
【そーゆーことでしょ?言い訳ある?】
「…ん、だってひかるは蓮だけの騎士さん、…だから………他の人守ってるのいやだ、」
【それをやきもちって言うんだよ】
「…///」
【とりあえずひかるに直接聞いてみたら?】
「⁉︎ それは無理っ、…嫉妬してるのバレちゃうかもじゃん、」
【んじゃー蓮はさ、付き合ってるのか付き合ってないのかモヤモヤしたままでいいってこと?】
「…だめ」
【でしょ?じゃあ聞きに行ってきな】
むすっとしながら俺は庭を出た。
---
お城の訓練所に着くと、一気に空気がピリッとしてきた。
岩「…訓練しないなら帰るか?」
「ひっ、…帰らないです団長、……でも休憩とか…」
岩「さっき休憩入れたばっかだろ」
「さっきって……もう2時間も前ですよ⁉︎」
岩「2時間しか経ってねーじゃん。それに俺に口答えしてる余裕があるならまだまだいけるってことだよな?」
「ひぃっ…‼︎」
訓練所の門からそっと覗いていると、そんな会話が聞こえてきて。
ひかるってこんな怖いの…?
俺にはそんなでもないのに…
「あ、あれ‼︎ 団長っ、殿下がいらっしゃいます…‼︎」
やべ、バレた。
岩「…殿下?」
「ほら、門のところに…」
怪訝そうに振り向いたひかると俺の目が合う。
ひかるは嬉しそうな顔をするはず…と思いきや、怪訝そうな顔を変えぬまま、俺の少し上あたりを見つめてる。
??
とりあえず、ひかるに…
「ひかるーーーっ‼︎」
岩「蓮、動くなっ‼︎」
「んぇ、?……っわ⁉︎」
ひかるが珍しく自分から抱きつきに来たと思って両手を広げたら、ひかるは俺をぎゅっと抱きしめて倒れ込む。
ひかるが俺ごと2、3回転して受け身を取った。
顔を上げると、目の前には見知らぬ人が。
マントに見たことのない異国の紋様。
岩「…何しに来た」
「オウジを、…ヨコセ‼︎‼︎」
そう言って長く鋭い剣を構えて俺の方に突っ込んでくるので、びっくりして固まっていると…
速すぎて見えないスピードでひかるが懐の短剣を取り出し、相手の長い剣を防いだ。
「ひかるっ…」
岩「蓮はいいから動くな」
そのまま、目の前で火の粉が散るほど激しい剣の攻防が続く。
相手の剣を読んだかのように、当たるギリギリのところでひかるがかわし、次の瞬間ひかるが相手の懐へと入り込む。
ガンッ…‼︎
ひかるの短剣の柄が相手の剣を弾き、空中へと舞っていった。
気づけば、ひかるの短剣が相手の喉元に突きつけられていた。
岩「王子を|攫《さら》えるとでも思ったか?_____間違いだな」
「くっ、……」
どさりと崩れ落ちる侵入者。
騎士団の人たちが息を呑む。
その中には、顔を真っ赤にして見ている女性騎士、雪音も_____
なんだかもやっとしちゃって、いつもだったらひかるに飛びついていたのに今日はそんな気分になれなかった。
ひかるは立ち上がったあと、雪音さんの方へと歩いていった。
え、と思いながら無意識に服の裾を握りしめる。
岩「おい雪音、大丈夫か」
雪「えぇ、すごかったわ…」
岩「_____ほら行くぞ」
雪「え、別に……わっ⁉︎」
ひかるは雪音さんを軽々とお姫様抱っこし、訓練所の門をくぐっていった。
お姫様抱っこ、蓮だけにしかしないって前言ってくれたのに……。
涙がこぼれそうになったので、見られたくなくて俺も急いで訓練所から出ていった。
---
「ほら着いたぞ」
「…ハァハァッ、」
「雪音、とりあえずこの医務室で休んでろ。…ていうかなんで熱あんのに来るんだよ」
「…だってひかるが怒るじゃない」
「別に体調崩してる時まで来いなんて言うほど俺は鬼じゃないぞ」
「貴方は鬼なの。…そういえば殿下は?さっきの侵入者のことだいぶ怖がってそうだったけど、アフターケアはいいの?」
「鬼じゃねーし。蓮は大丈夫だろ、あー見えて抜けててあんま気にしてないだろうから」
---
どれくらい歩いたんだろ。
気づけば、中庭のその奥の回廊、人がほぼ通らない場所まで来てしまった。
_____“ほら行くぞ”
_____“え、別に……わっ⁉︎”
蓮にやる時と同じくらい、自然に、迷いなくお姫様抱っこしてた。
ーーお姫様抱っこは蓮にだけ、って言ってたのに。
「…うそつき」
岩「誰がだよ」
「………ひかるが。……ってうわ⁉︎」
振り向けば、嘘つきって言ったことに拗ねてるのか口を尖らしたひかるがいた。
今にも泣きそうな俺の顔を見られたくなくて、逃げようとしたらぎゅっと手を掴まれた。
岩「逃げんなよ」
「…逃げてない」
岩「嘘つくな」
そう言って俯いている俺の顎にそっと長い指が添えられ、強制的に顔を上げさせられた。
俺と目があった瞬間、ひかるは眉を寄せた。
岩「…なんで泣いてんだよ」
「…ひぐっ、……ふぇぇ、」
岩「…⁉︎」
「………だって、れん……にしかっ、お姫様だっこしないっていったのに…っ、」
「…ひかるのうそつきっ。雪音さんって人彼女なんでしょ…、」
岩「…え、は?」
「蓮だけの騎士じゃないの、…いやっ、」
岩「待て待て待て。なんで雪音が俺の彼女なんだよ」
「…え?だって、侍女さんとか、執事さんとか、みーんなそう言ってたんだもん。それにお姫様抱っこしてたし…」
岩「うーわまじか。……一応言っとくけど、雪音はただの幼馴染であって別に彼女じゃないぞ?それにお姫様抱っこしたのは雪音が熱出して倒れそうだったからだ」
え?
じゃあ、今までの全部……
「勘違い…?」
岩「あー、まぁそういうことだな」
「えぇ…///」
岩「やきもち焼いてたのか?」
「……っ⁉︎ や、やいてないし、…」
岩「独占欲強い王子様なんだなw」
「からかわないでっ‼︎」
岩「ほらほら帰るぞ、俺の王子様♡」
ニヤッと悪い顔しながら俺を抱き上げ、お姫様抱っこするひかる。
「へぁっ⁉︎////」
岩「お姫様抱っこは蓮だけなんだもんね?」
「おろして〜っ‼︎‼︎//////」
_____この姿を目撃されて大騒ぎになるまで、あと5秒。
中途半端な終わり方しましたw
騎士。
「んん゛ー……」
さっきから執務室のゆったりとした椅子に深く腰掛け、眉間に皺を寄せている蓮。
「どうしたんだよ、蓮」
蓮「なんかさ、最近襲われないなって思って」
「……っは⁉︎///」
蓮「あ、変な意味じゃないよ?そのまんまの意味」
「変な意味じゃないにしろ何言ってんだよ」
蓮「んー…俺さ、俺を守ってくれてるときのひかるの顔が好きなの」
「は?」
蓮「だーかーら。俺が襲われた時にひかるが守ってくれるのが好きってこと」
「俺が護衛してる時が好きってことか?」
蓮「違うっ。守ってるのが“蓮”じゃなきゃだめなの」
……。
真剣な顔してこーやって可愛いこと言ってくるところが、蓮のいいところであり悪いところでもある。
よく、他人にもこういうこと言って勘違いさせてるから……困ったもんだ。
「蓮じゃなきゃだめな理由は?」
蓮「だってひかるは蓮だけの騎士でしょ?他の人守ってたらおかしいじゃん」
「別に蓮だけの騎士になった覚えはないが」
蓮「………えっ?違ったっけ?」
一拍遅れて蓮が目を丸くする。
肩書き上は最強の騎士。
確かに王子のただ一人の騎士ではあるが、別に蓮の専属ってわけではない。
蓮「そっかー………よし!じゃあ王子の権限使ってひかるを蓮だけの騎士にする」
「ちなみに俺の承諾がないとそれは無理だぞ」
蓮「へ?」
「そういう決まりがあるんだよ。別に騎士を選んで自分のものにするのは出来るが、自分専属にしたいとなると話が変わってくる。……てか知らなかったのかよ」
蓮「…いちいち覚えてないし」
蓮はむすっとして口を尖らせる。
…こうなった蓮は面白い。
「そうか…。もう何年も蓮の騎士として尽くしてきたつもりだったのに、蓮は俺に関すること何も知らなかったのか…がっかりだわ」
蓮「ちがうっ‼︎」
「ふーん…何が違うの?」
蓮「全部知らないってわけじゃないし…。たまたまこのことだけ知らなかったの」
「ほんとにこのことだけ?」
蓮「ほんとだもん!」
「絶対他にも知らないことあるでしょ」
蓮「ぜんぶ知ってるもん、」
「じゃあ今から法律全部言ってみ?そんなに多くないでしょ」
蓮「……っ」
「ほら言えないんじゃん」
蓮「〜〜っ‼︎ もうやだっ、ひかるのいじわる…‼︎‼︎」
「勝手に嫌になればいいじゃん。騎士がいなくなって困るのは蓮だし。」
蓮「別に蓮は困んないもん‼︎ 蓮だって自分の身くらい自分で守れるし」
「じゃあやってみれば?俺は騎士団の特訓に付き合ってくるからじゃーな♪」
蓮「……」
少しからかいすぎたか、と思いながら俺は執務室を出た。
---
「_____じゃーな♪」
何故だか楽しそう……いや嬉しそう?にひかるは執務室を出て行った。
……さっきはあんな風にひかるいなくても余裕、って言ったけど全然そんなことない。
本当は寂しいし怖いし、不安だし_____
「…ひかるのばか」
ぽつりと、声がひとりの執務室に響く。
「…ひとりでも大丈夫、…だし」
自分に言い聞かせるように震えた声で呟き、書類を抱えて大会議室へと向かった。
---
この宮殿の最大の特徴でもある長い回廊。
いつもだったらひかると横並びでここ通る、っていうのが俺は好きなんだけど_____
ひとりだと、この回廊は怖い。
右にはずらりと並んだ部屋、そして左には中庭。
この中庭は、実は一番侵入者が入ってくる傾向があるとか…
ーー蓮だって自分の身くらい自分で守れるし。
嘘だ。
自分の身が守れないから、ひかるがいるのに。
なんであんなこと言っちゃったんだろ…
__かたんっ__
「⁉︎⁉︎」
突然聞こえた音にびっくりして、俺はあとずさった。
後ろに、俺とは別のもうひとつ影ができる。
振り向く。
真っ黒な羽織り。
見たこともない紋章。
俺を見て、にたぁっと上がる口角…。
「王子サマ……ヒトリ?」
びくりと肩が震えた。
「ひ、ひとりじゃないよ…?ほら、ここ宮殿だし、すぐに騎士も_____」
「イナイ」
「…っえ、?」
「サイキョウノキシ、イマ、イナイヨネ」
なんでひかるがいないこと知ってるの…?
今までのひかるとの会話聞かれてた__?
それとも…
そんなことを考えている間に、侵入者は長い剣を取り出して構えた。
「オウジのシンゾウ、イタダキマス」
「やっ…待って、来ないで…っ‼︎」
懐から短剣を取り出し、とりあえず応戦する。
_____カキィンッ‼︎‼︎‼︎
回廊に金属音が響いた。
びりびりっと腕に振動が走り、俺の剣が吹っ飛んでった。
…これ、俺じゃ無理だ。
一応、多少の相手と応戦できるくらいの訓練は積まされてるけど、相手が実力者だと俺じゃ無理。
……だからひかるがいるのに、………
侵入者は俺の心臓目掛けて剣を振り上げる。
ーー終わる。
そう思った瞬間だった。
「_____そこまでだ」
瞬きひとつした後に侵入者の剣が弾き飛んだ。
岩「お前、俺がいないとか言ったな。……俺は蓮から一瞬たりとも離れない」
そう言うと、ひかるは侵入者と数回攻防を繰り返したあと、侵入者を床に組み伏せた。
「……っ、ぐぅぅっ…‼︎」
苦しそうな呼吸の後、侵入者が気絶した。
岩「蓮、怪我は」
「…ない、けど……こわかった」
岩「ならよかった……」
ひかるはふっと微笑んで俺を抱きしめた。
岩「……さっきはからかいすぎた。ごめんな」
「ん、」
岩「…蓮の専属の騎士じゃないとか言ったが、訂正する。…俺は蓮だけの騎士だ」
「…えっ⁉︎」
岩「俺は蓮の騎士になるために、子供の頃からやってきた。……命令でもされない限り他人を守るつもりはない」
「…ほんと?」
岩「当たり前だろ」
「じゃあ……ひかるは蓮だけの…?」
岩「あぁ。……一生、俺は蓮だけの騎士だよ」
「ん、……約束ね」
ふたりの小指が絡む_____
やっぱ、ひかるは“蓮の”騎士じゃなきゃね。
市場。
早朝_____
ネーヴェ宮殿、最上階に位置するのは“奇跡の王子”こと蓮の部屋。
今日はそんな高い場所にさえ人々のざわめきが届いていた。
蓮「……ん、」
「起きたか?おはよう」
蓮「んぅ………おはよ、」
寝起きの蓮はばか可愛い。
とろんとした瞳にほんのり桜色の頬、ぴょんと跳ねた寝癖、着ているというよりかは着られているという方が正しいであろうもこもこのオーバーサイズのパジャマ。
これで可愛いと思わない人間は存在しない。
蓮「ひーくん……?どうしたの、そんなにみてきて」
……ただひとり、本人を除いて。
(あと何気に朝だけひーくん呼びなのも良い。by岩本)
「…いや、なんでもない。それより、今日は市場に行きたいんじゃなかったのか?」
蓮「いちば………???……あっ!!」
急に思い出したらしく、慌てて起き上がってベランダに出て、下を見下ろした。
蓮「もうはじまってる…‼︎‼︎ こんな朝からさむいだろうに」
白い息を吐きながら呟く蓮。
蓮「ひーくん早くっ!!着替えていくよっ!」
「…俺はもう着替えてる。人のこと言う前に自分のことやれ」
蓮「むー……外とおんなじくらい冷たいな」
「いいから文句言ってないでさっさと着替えろ、欲しいものがあるんだろ?」
蓮「……はーい」
なんか言いたげな顔していたのは気にしなかったことにしよう。
---
分厚いコートに深くまでフードを被り、度を入れていないメガネをかければ変装は完了。
…一応、市場に行くのは内緒にしておかないといけないらしい。
俺たちは城下町にある市場までやってきた。
蓮「いい香りっ…朝ごはんに何食べよっか?」
「俺はなんでもいい」
蓮「なんでそんな興味無さそうなの。美味しいものも甘いものもいーっぱいあるよ?」
「別になんでもいい」
蓮「あ、じゃああのサンドイッチ屋さん行こ!ハム&チーズが人気らしいけど、フルーツとかチョコレートとかの甘いやつもあるらしいよ」
「…チョコか」
蓮「あーっ。ひかるったら、チョコって聞いた途端に笑顔になったよ」
「あんま俺のことひかるって呼ぶな。変装の意味無くなるだろ」
蓮「はーい…」
蓮はとことことサンドイッチ屋さんの屋台に近づいて、白髪混じりの優しいそうなおじいさん店主の目の前に立って注文を始めた。
蓮「ハム&チーズふたつと、チョコレートマシュマロふたつお願いします」
「はーい、銀貨8枚だよー」
蓮「じゃあこれで」
どさりと銀貨がたくさん入った袋を置く蓮。
じゃらっと硬貨特有の擦れ合う音が聞こえてサンドイッチ屋の店主さんが驚いた顔をする。
「⁉︎」
蓮「これ全部あげる。いつも朝からありがとっ♪」
「…おい、蓮。流石にそれは……」
蓮「ん?サンドイッチ分のお金と幸せをくれたお礼ね?」
「…こんなに頂いていいのかい?」
蓮「うん‼︎」
「じゃあ……ありがたく頂戴するよ」
数分後、店主さんはサンドイッチを持ってきた。
「すぐそこのピクニックベンチで食べるといいよ。…あ、それと」
俺に近づいて耳元で囁いた。
「騎士さんにはチョコレートを少しだけおまけしておいたよ」
「…はっ?」
「楽しんでね〜」
「……////」
…なんでバレたんだ。
蓮「早くして、熱々のうちに食べたい‼︎」
「はいはい」
---
蓮「はいっ、ハム&チーズとチョコレートマシュマロ」
「蓮も俺も組み合わせ同じじゃねーか」
蓮「うん。…だって、お揃いにしたかったんだもん」
「…」
唐突に可愛いこと言ってくるから思わず黙ってしまった。
蓮「とりあえず食べよ?」
「はいはい、いただきます」
二つのサンドイッチをそれぞれ半分に割ると。
ハム&チーズからとろっとしたチーズが、もうひとつからはたくさんのチョコレートと蕩けたマシュマロが溢れてきた。
蓮「…えっ、ひかるのサンドイッチ、チョコレートが蓮のより多い……」
「…たまたまじゃないか」
蓮「まさかひかるがお願いした?」
「注文したのは蓮だろ」
蓮「まぁそっか…」
蓮は首を傾げながらもハム&チーズに齧りついた。
蓮「ん!!おいしいっ♡」
「それはよかったな」
俺もハム&チーズを口にした。
香ばしいハムととろとろのチーズが美味しい。
蓮「あれ、ひかるはチョコレートからじゃないの?」
「好きな物は最後に食べる派なんでね」
蓮「じゃああとで、蓮にちょっとチョコレート分けて?」
「は?自分のあるだろ」
蓮「だってひかるのだけチョコ多いんだもん…蓮もチョコレート好きなのに」
「わかったよ。あとでひとくちあげる」
蓮「やったー♪」
全く、世話が焼ける王子だ。
---
サンドイッチを食べ終え、俺たちは再び市場を歩いている。
蓮「あ‼︎ ねぇ見て、射的があるよ‼︎」
“射的 -Shooting-”と書かれた屋台に子供やら大人やら、とにかく人がたくさん集まっている。
「…やりたいのか」
蓮「うん、あのくまのぬいぐるみ可愛くない?欲しいっ!」
真ん中の棚にちょこんと座る、愛らしい瞳とダークチョコレートのような茶色のくまを指差す蓮。
「じゃあやってこい」
俺は懐から銀貨を一枚取り出し、蓮に渡した。
蓮「これで何回できますか?」
「5回だよー、はいこれが銃。コルクを底に入れて、…そうそう!それで欲しいの狙って撃つんだ」
蓮「ひかる、蓮頑張るから見てて?」
「はいはい」
1回目_____掠りもせず。
2回目_____耳を少し掠める。
3回目_____当たったが少し揺れるだけ。
4回目_____隣のキャラメルが倒れる。
蓮「…ねぇひかる、蓮苦手かもしれない」
「苦手だな」
蓮「もう無理っ!!ひかるが代わりにやって」
「誰がやりたいって言ったんだよ」
蓮「…それは蓮だけど。」
「それなら最後までやれ」
蓮「でもせっかく来たんだからくまさん欲しいっ!!」
「蓮ならいつでも買えるだろ」
蓮「違うっ、あのくまさんじゃなきゃだめ!」
「……仕方がねーな、貸せ」
蓮「…‼︎」
蓮は嬉しそうに目をキラキラさせ、俺に銃を渡した。
その銃を受け取り、構える。
あんな感じのぬいぐるみは落としづらいから、大体一人が当てて揺らして、もう一人がそこに追撃すると落としやすいんだけど…
まぁそんなことは気にしない。
俺はコルクを銃に入れると、ぬいぐるみの中心…より少し上のところを狙って撃った。
蓮「………あっ!!!」
コルクがぬいぐるみに当たり、ぬいぐるみはぼてっと落ちた。
「兄ちゃんすごいね、はいぬいぐるみだよ」
「ありがとうございます。……はい、蓮」
蓮「…もらっていいの?」
「いいに決まってんだろ、蓮が欲しかったんじゃないのか?」
蓮「でも、取ったのはひかるじゃん」
「取った俺が蓮にあげたいんだよ」
蓮「……じゃあ欲しい」
蓮にくまのぬいぐるみを手渡す。
蓮がくまのぬいぐるみを抱きしめるとちょうどいいサイズ感で可愛らしい。
蓮「くま可愛い……ひかる、ありがと‼︎‼︎」
「どういたしまして」
にこにこしてる蓮の頭をそっと撫でた。
---
夕暮れ_____
射的の後も色んなお店を回り、今は城へと戻っている最中。
蓮「今日楽しかった」
「それならよかった」
蓮「蓮は飴細工が好きだったなー。ひかるは?」
「朝食べたサンドイッチかな、チョコレート美味かった」
蓮「ひかるは食べ物大好きなんだね」
「飴細工だって食べ物だろ」
蓮「あれは芸術的だったから好きだったの‼︎」
「作ってくれてる時“早く食べたい”しか言ってなかった癖に」
蓮「…いじわる」
「事実だろ」
蓮はむすっとしてそっぽを向いた。
すぐこーやって拗ねるんだから…
「蓮〜、前向いて歩け、でないと転ぶ……あっ」
言うのが遅かったらしい。
石畳が少し浮き上がってるところに引っかかって転びそうになる蓮。
俺が抱きとめて間一髪だった。
蓮「…」
俺が言ったこと通りになった上、俺に抱きとめられたのが気に入らないのか、俺の腕の中で頬をぷくっと膨らませている。
「だから危ないって言っただろ」
蓮「ひかるがいじわるしてくるのが悪いんじゃん」
「別に意地悪してないだろ。それに前向けって言ったのに前向かず転んだのは誰だよ」
蓮「……」
「分かったなら早く歩け」
蓮「……もう嫌だからひかるが抱っこして」
「は?」
蓮「だって歩いたら転ぶんだもん。転んだらひかるに色々言われて嫌だからだっこ」
「……お前さ、何歳だよ」
蓮「…21歳」
「わかってんなら歩け」
蓮「いーやーだぁっ!!もう歩けない!!」
「それ5歳とかが言うやつな」
蓮「じゃあ蓮5歳っ!5歳なら抱っこしてもいいでしょ」
謎の理論をドヤ顔で言ってくる蓮。
「……どう言う理屈か知らねーけど抱っこすればいいんだろ、抱っこすれば」
俺は蓮の膝裏と背中に手を差し込み、抱き上げた。
蓮「…⁉︎⁉︎ お姫様抱っこはいやだっ!!!」
「なんでだよ、抱っこって言ったのはお前だろ」
蓮「言ったけど…でも違うの、普通のやつがいい」
「わがままなお姫様にはこれがぴったりだ」
蓮「蓮はお姫様じゃなくて王子様ぁーっ!」
「うるさい、周りにバレるぞ」
蓮「もーおろして!!!ひかるはすぐ蓮のことお姫様抱っこする!!」
「いちばんやりやすいからだよ」
蓮「んもー!!!!」
夕日が俺たちの背後に影を作る。
なんやかんや今日も楽しかったな…なんて思ったり。
「……__今日も楽しかった。ありがとう、蓮__」
蓮「…へ?なんか言った??」
「なんでもねーよ、帰るぞ」
ついに5大ドームツアーもオーラス、そしてめめがカナダへ行ってしまいますね……
寂しいですが応援します‼︎‼︎
風邪。
「…けほけほっ、」
広い部屋に乾いた咳が響く。
「ほら、とりあえずジンジャーティー用意したから飲め」
ジンジャーティーと少しのお粥、そしてブドウ味のゼリーが載ったお盆を持って蓮の方に行く。
「はい」
ジンジャーティーを手渡すと、蓮はなんだか落ち込みつつジンジャーティーを受け取った。
蓮「……ん、あったかい」
こくりと一口飲むと、蓮の顔がふにゃっとゆるんだ。
「よかった。今日は大人しくしてろよ」
蓮「…」
さっきまでふにゃっと笑ってた癖に、俺がそう言った途端にしゅんとしてしまった。
…なんかまずいこと言ったか?
「…蓮、俺なんかしたか」
蓮「……へっ?」
「いやだってさ、さっきから何か落ち込んでるような…」
蓮「…なんでもないから大丈夫、」
「…ならいいが。……おかゆ食べるか」
蓮「…うん、たべる」
レンゲでおかゆをひとくち分掬い、蓮の口元に運ぶ。
蓮の口がうっすら開いて、ぱくりとおかゆを口にした。
蓮「………ん、…ひーくんの味」
「そんなの分かんないだろ」
蓮「ひーくんのおかゆは優しいけど、ちょっぴり塩の味がして卵がふわってしてるの。蓮は、ひーくんのがいちばん好き」
「…」
見事に俺のおかゆの特徴を全部言い当てられた。
蓮「……ひーくん…?」
「あごめん、ぼーっとしてた」
蓮「………おかゆ作らせちゃってごめん、」
「え?」
蓮「……なんでもない」
「…そうか」
思わず聞き直してしまったが、「おかゆ作らせちゃってごめん」って言ったよな。
…なんで蓮は謝ったんだ?
謝ることなんて何もないはず…。
「とりあえず、俺は医者に蓮の薬貰いに行ってくるわ。なんかあったら部屋の外にいる侍女を呼べ」
蓮「……ひーくっ、」
「ん?」
蓮「…………なんでもない」
…やけに今日は“なんでもない”が多いな。
俺は蓮の頭を軽く撫でて部屋を出た。
---
「…………なんでもない」
なんでもなくないけど。
ひかるが出て行った扉をしばらく眺めたあと、俺はサイドテーブルに置いてあるカレンダーに目を移した。
黄色で塗りつぶされた星形の印が付いてあるのは今日、5/17。
…ひかるの誕生日。
「……なんで風邪なんてひいたんだろ…、今日までいっぱい用意してきたのに…っ」
熱くなった目頭から雫が落ちて、布団にシミを作る。
今日のために、ひかるの好きなものをさりげなく聞いて買ったり取り寄せたり、会場を手配したり。
騎士団の人や侍女さんたち、お城中の全ての人といっても過言ではないほどたくさんの人に協力をしてもらった。
完璧な計画だったと思う。
…俺が風邪をひくこと以外。
こつんこつんっ
斜め後ろにある窓が叩かれる音がして、俺は振り向いた。
「…ゆに、」
ユニコーンのユニだった。
【どうしたの?元気ないじゃん】
「体調悪いから…」
【ううん、それだけじゃない顔してる】
「…わかる?」
【当たり前じゃん】
「…今日さ、ひかるの誕生日……なんだけど」
【言ってたね】
「……風邪ひいちゃった」
【うんうん…】
「せっかくいっぱい準備したのに……お祝いもできないし看病してるから拘束してるみたいで……」
【たくさん準備してたもんね】
「うんっ….いっぱい準備したのに…蓮がぜんぶ台無しにしちゃったよ……」
【台無しにはしてないんじゃない?準備してきたことは実行できないかもだけど】
「台無しだよ……?だって誕生日なのにひかるがやりたいことやれてない…」
【それはどうかな?】
「…えっ?」
【ふふっ、まぁもーすぐひかるも帰ってきそうだし、直接聞いてみることだね♪】
「え、あ、ユニっ!!!」
キラキラとした粉を纏いながらユニが帰って行った。
…ほんと気分屋さんなんだから………なんて思ってたら急にしんどくなってきた。
「はぁ、……けほけほっ、けほっ、」
岩「蓮、しんどいか?」
「うん………ってえ、ひかるもう帰ってきたの?」
岩「…今の話全部聞かせてもらった」
「………え」
心臓がどきりと跳ねた。
岩「嘘をついてごめん。…蓮の元気がなかったから何があったのか知りたかった」
「…ごめんなさい、」
岩「なんで蓮が謝るんだよ」
「…だって、」
岩「だって?」
「ひかるの誕生日……台無しにしちゃった、」
岩「どこがだよ」
「…っ、ぜんぶ、」
岩「…」
「一年に一度だけの大事な日なのに、……蓮が風邪なんかひいちゃったから台無しにした……せめて看病なんかしないで自分のやりたいことやってほしかったの…」
岩「…」
さっきからひかるは黙って聞いている。
それがなぜだか怖くて、でも申し訳ないしで大粒の涙が再び落ちてきた。
「でもさ、全部蓮がわるいんだよね、」
「ひかるの誕生日ぶち壊して、勝手に泣いて、看病させて迷惑ばっかりだよね………蓮なんていなきゃよかった、笑」
岩「おい」
鋭い声が飛んできて、反射で肩が震える。
「…ひっ、」
岩「“蓮なんていなきゃよかった”?………冗談でもそんなこと言うな」
「…ごめんなさいっ、」
岩「いや、その謝ってほしい訳じゃなくて…。そもそも、俺の誕生日台無しになってねーしなんも迷惑なことないんだけど。強いて言うなら今の発言ぐらい」
「…え、」
岩「あのな」
ひかるはベッドの横にあるスツールに腰掛け、俺の頬をそっと撫でた。
岩「……俺にとっては。“蓮が俺のそばにいる”ってことが最高のプレゼントなんだよ」
「…っ」
岩「毎年毎年、危ないこともいっぱいあって、言い合いして、仕事に追われて、体調崩して。……色々あるけど、5月17日を迎えるたびに俺は思うんだよ。…あぁ、今年も隣に蓮がいる、って」
鼻の奥がツンとして、視界がぼやけ始めた。
岩「そもそも。同じ時代に生まれて、同じ国、場所に生まれて、出会えた事。それ自体がすごく奇跡で、これが起こるのにはとんでもない確率なのに、こうやって今も隣にいられる。蓮を支えられてる。………当たり前じゃないからこそ、この瞬間は奇跡なんだろ?そんな“奇跡”の中で誕生日を迎えられて俺はすごく幸せなんだよ」
「……ひぐっ、ぅっ、」
あまりにもひかるの話が心に刺さって、俺は涙をぼろぼろこぼし始めた。
岩「…泣くなって」
そう言いつつ、ひかるの眼差しがめちゃくちゃ優しい。
「じゃあっ、ひかるの誕生日……だいなし、じゃない、?」
岩「ああ。……むしろ幸せだよ」
「ひぅぅっ、…ふぇっ、」
もー、咳出るし鼻水出るし泣くなよって文句言いつつ、涙と鼻水でぐちゃぐちゃな俺をひかるは全く気にせず抱きしめてくれた。
---
「ひかる…?」
「なんだ」
「………たんじょうび、おめでと」
「……今更かよ。………でも、ありがとな」
Snow Manに出会ってから、“当たり前”について深く考えるようになりました。
世の中は当たり前のことばかりのように見えて、当たり前のことなんて実はひとつもない。
全部、奇跡。
9人に教えられたことを、今日も噛み締めながら生きています。