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目次
死神と悪夢 1話
注意 最初からグロテスク、闇表現があります。
「グシャ」
それは、「かつて人だったもの」が、「人ではなくなった音」。周りには血が滴り、その「人だったもの」は、私の手の中で、生暖かい肉塊となしている。
仮にここに人がいたとしよう。この光景を見た人は、おそらくこう口にする。
「悪夢だ」と。
だが私はちがかった。
あぁ、なんて、なんて、
「…美しい…!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
当たり前だと思っていた。親が子を叩くのも。蹴るのも。学校に行けば笑われるのも。
いつも、人の背後に、何かがいるのも。
「はい、これね。」
彼はそう言うと、一枚の紙を俺に渡した。
「今回の仕事内容だよ。そろそろなれてきたでしょ、少しレベル高くしといたから。」
彼はそう言うと、俺の肩をぽんっと叩いた。シルクハットにスーツを着こなした彼は、どこからどう見ても紳士にしか見えない。
「まぁ、こんくらいできないとねぇ。」
…いまのはノーカンで。
「…女は無理って言いましたよね。どう考えても今回のタ―ゲット女…ていうか、少女ですよ。」
「だってなれとかなきゃぁ~」
「…」
よく煽るんだよなぁ、この人。それに随分と頑固。見た目とは裏腹に性格がゴミなんだよなぁ。
「…わかりました。いきます。ですからその上から目線を直してください。」
「うぉ、いうねぇ。」
まぁ…後輩の言うことなんて聞くわけねぇな。
早く終わらせて、飯でも食うか
俺は渡された紙をポッケにしまい、ニコニコしている先輩をおいて、ドアに向かった。
どうも、初投稿のしちお。と申します。
こういうのが好きなので、これからの内容もこんな感じになる可能性があります。
ちなみに未だストーリ―も全然考えていません。自分の好きなタイプの子を出しまくる小説を書こうとし、そして結果がこれです。すいません。
…長くなりましたね。ここまで読んで下さり、ありがとうございます。次回も楽しみに待っていてくれたら嬉しいです。
死神と悪夢 2話
地味にグロテスク 見る人によってはネガティブ
まるで自分を見下ろすような大きさのドアが、目の前に立ちはだかる。ドアに手を置くと、「ギシッ」と大きな音がなった。
そろそろ壊れそうな気がする。
扉においた手に力をかけると、
「ギシギシィ」と、赤子が泣くような、俺にとってはだいぶ嫌いな音がなった。
ドアを一気に開ける。
ドアを開けた先には、「何もない空間」があった。
吸い込まれるぐらい真っ黒なこの空間は、いつ見ても圧倒される。
慎重に進んでいくと、一つの台があった。そこに、先程先輩からもらった紙を置く。
「…ウィン」
機械音がなると、目の前に地図が現れる。ピカピカと光っているところをタップすると、あたりは真っ白な光に包まれた。慌てて目をつぶる。
次に目を開けたときには、細い路地裏にいた。
あたりをかるく見回す。周りに誰もいないことを確認してから、路地裏の奥へ進んだ。
結構厨ニ漂う服装だからな。見られたくない。
しばらく歩いていると、路地裏の終わりが見えた。そこが目的地だ。
俺は頭を少しだし、周りを確認する。どうやら奥は、家に囲まれた空き地のよう。
ふと、異臭がした。
慌てて空き地に入る。
薄暗い雰囲気と、嗅いだこともない異臭に吐き気がする。
「…あら、どうしたの?」
声が聞こえた。慌てて聞こえた方へ向く。
ーそこには、血まみれの少女がいた。
こんにちは、しちお。です。
出せるうちに出そうということで、2話書きました。少し雑ですね。ところどころ文がおかしいと思いますが、ご了承ください。
さぁ、一話最初の伏線回収(?)が無事できたところで、次号ご期待!
死神と悪夢 3話
ーそこには少女がいた。
ツインテールに真っ赤なワンピ。どこにでもいそうな、可愛らしい少女がそこにはいた。
ただ、普通の少女とは明らかに違う。
彼女の周りには、大きな血溜まりがあった。小さな肉塊などが少し見え、周り漂う異臭が鼻に来る。
だが少女はそこで、まるでお気に入りの人形を見る目でニッコリと笑っていた。
その姿が気持ち悪くて仕方がない。
「お兄さん?かなぁ。…あはは。顔がよく見えないや。」
彼女の声だって、とても可愛らしく聞こえた。
「お前は何だ。人か?」
気味の悪さを押しこらえ、そう問う。
「私が人じゃない…そうだなぁ、私は人じゃなかったらなんだろうなぁ…」
…確定した。
ここの空間に押し負けないよう、なるべく声を大きく出す。
「一つ訂正する。」
彼女がこちらを見た。
「お前は、もう人間じゃない…化け物だ。」
「…え?」
彼女は目を見開く。
なぜ彼女が化け物か。
自分には、いつも見えるからだ。
“黒いなにか”が。
厨ニ臭ぁぁぁい!
すいません。こんな厨ニ展開しかかけなくて…
ファンレターを届けてくれた方。
毎秒毎秒読んでます。ありがとうございます。
死神と悪夢 4話
日記を見てくれた方々へ
すいませんでした。
ー自分にはいつもなにかが見える
その正体は各々わかっていた。
そのナニカは、人間の憎しみ、怒りなどの負の感情。
何かは、どんなに聖人でも、誰でも必ずついている。
なにかが大きければ大きいほど、その人の負の感情は多く、そのナニカに取り込まれていく。
そのナニカに完全に取り込まれた瞬間、人の自我は崩壊し、ナニカ…つまり負の感情に乗っ取られる。
少女には今、そのナニカが全身を取り囲んでいる。なぜそこまでの正常心を保っているのかはわからないが、彼女の今の行動は、自分の負の感情に身を任せているのは確か。
なぜ少女一人で人間をここまで細かくできたのかも、このナニカが彼女に何かをしているからだ。
そんな彼女にわざわざ会いに来た理由。
「…お前を今から、殺す。」
本当にすいませんでした。
死神と悪夢 5話
…このシリーズを最後に投稿したのが10月ですね、すいません…
海音さんに紹介されてたらそりゃ書くしかないじゃないですか!(嬉しい)
「お前を今から殺す。」
「…ふーん。」
「私を殺せると、思ってるんだぁ」
彼女は想像したよりも酷く冷静でいた。
「たしかにお前は強大な負の感情が溢れかえってる。だが俺はそういう奴らを殺して、人間かを守るのが仕事なんだ。…たとえ死んでも、お前を少しでも弱らせたらいい。」
俺はそう言った。言い切ってしまった。
「へぇ…じゃあ、お兄さんもさっさと死んで。あなたのその温もり、私が大切にしてあげるから。」
彼女がニタァと笑うと、彼女の後ろから黒いなにかが出てきた。
黒い、黒い ー たくさんの触手。
触手は、俺にめがけて一直線に伸びてゆく。慌てて避けたが、いくつかが皮膚を、体を引き裂く。
「グッ…ぐぁぁぁ、あ"ぁ…」
声にならない声をあげる。
「ははっ!ヘーんな声ぇ!それにしてもお兄さん冷たいねぇ、ほんとに人間なの?」
少女は楽しそうに声を上げた。
「当たり前…だろ」
血が付いても、きつい異臭がしていても、相変わらず楽しそうに話す少女。その姿は自分が見てきたどんなも怖く、恐ろしかった。
(あの…糞上司め…)
慌ててその恐怖を怒りに変える。
後で一発ぐらい殴るか。
「おにぃさーん、どーしたのー?死んじゃったぁー??」
彼女はこちらへ手をひらひらさせる。
「…死んでねぇ…!」
「ふふっ、じゃあ良かったぁ!」
彼女はそう言うと、もう一度触手を素早くこちらへ伸ばす。
やはり強いと言っても知能は幼いままのようだ。攻撃が単純だ。
さぁこれをどう避けるか。短い時間で考える。いっそのこと避けずに当たるというのは、いや無理だ。彼女は力がつよすぎる、即死だ。そのまま避けるにももう時間がない。
唯一の選択肢を短時間で理解する。
『これは、たくさん使っちゃだめだよ。そうすると、君の―
君の記憶が、消えちゃうから。』
((つ≧\/≦)つコーイウノスキナノッッ
誤字ってたら教えてください
死神と悪夢 6話(前)
『君の記憶が、消えちゃうから。』
自分がそっち側だって気づいたのは、ついこのあいだのことで。
確か、暑い、暑い、…夏の日。
強く閉ざしていた目をそっと開けた。
何が起こっているのか分からなかった。なぜ自分は目を閉じていたのか、小さく、小さく膝を抱え込み座っていのか。
体中から汗がふきだしてくる。拳を強く握りしめ、大丈夫だ、と言い聞かせる。それでも状況が飲み込めなかった。
呼吸を落ち着かせてから、目線をそっと上に上げた。
自分が座っていたのは、道路の真ん中。
折れた電柱。崩れかけたマンション。怯える人々。
みんながみんな、自分を見ている。
咄嗟に自分が何をしたのかを思い出す。
交差点、交差点に信号無視をしたトラックが入ってきた。それで、そうだ、誰かが引かれそうになったんだ。
…誰が?
「お兄ちゃん」
声がした。
どこから聞こえたのか、声を頼りにあわてて目で探す。
「お兄ちゃん」
震えた声が耳にはいっていく。
後ろか。
ゆっくりと、後ろを振り返る。
自分より、3つは下だろうか。女の子が座っていた。
怯えた目をしてこちらを見ていた。服などがところどころ破れていて、長い髪はボサボサだった。
「君ー」
「お兄ちゃん…?」
「お兄ちゃんを…探してるの?」
女の子の喉から、ひゅっと音がした。
「なんで…なんで?私だよ?私だよお兄ちゃん。」
何がなんだか分からなかった。
頭の処理が追いつかない。視界がぐるぐる回っているような感覚がする。
だって、自分には妹なんかいないはずで。じゃあ、さっきからお兄ちゃん、お兄ちゃんと呼んでるあの子は一体なんなのか。
耳に残る救急車のサイレンだけが、鳴り続いていた。
はい、2ヶ月ぶりのシリーズです。主人公くん(名前決めないとそろそろやばい…)には辛い過去を背負ってもらいたいなと設定をねっていたら2ヶ月が過ぎてました。しゃーせん。
これが前編ということは、次は後編です。こんなに短いなら分けなくてもいいだろ…と思った方。残念もう気力がありません。
ということで、期待してる人がいるかわからないけど次号ご期待!!
死神と悪夢 6話(後)
人の声、足音、サイレン。
ぐるぐる、ぐるぐる、ぐるぐる。
気づいたら、病室のベットで寝ていた。
医者の声も、何も耳に通らなかった。
あの|女の子《妹》の声が、言葉が、頭の中を回る。
『お兄ちゃん、私だよ』
今にも泣き出しそうな、あの声。意味が分からなかった。自分は、父親と母親の三家族だ。妹なんていない。それだけなのに。
なぜ、こんなに呆然としてしまうのか。何かが手元から離れてしまった、手元にあったはずのものが、何処か遠くへ消えた感じ。こんなにも具体的に感じれるのが怖い。
だんだんと、医者の押しこもった声が聞こえてくる。
「…で、あり……妹…さ…は」
とぎれとぎれに聞こえる真剣な声は、今は子守唄のように、夢の中へ引き寄せる。
妹、へしゃげたトラック、分からない。分からない。
なぁ。
見てるんだろ。
他人のふりして。
「…つぅ。」
俺はゆっくりと体を起こす。
気付かないうちに、意識を飛ばしていたらしい。
あたりを見回すと、景色はさっきのままだ。
嫌な腐ったの匂いも、少女も、何もない。どこにでもあるような、静かな住宅街だ。
「…そうだ、任務。」
任務は成功した。俺は見事に、少女の中の“あれ”を消し去ることができたのだ。
任務が成功して、その後は、そう、先輩へ報告しないと。
俺は、西宮夜雨。16才。先輩からスカウトを受けて、一緒に仕事をしている。そう、変な力があるんだ。俺にも、先輩にも、他のみんなにも。
基本的な記憶があることを確認する。まぁ、何か忘れているとしても…この記憶さえ覚えていれば、俺は生きていける。
何か、悪い夢を見た気がする。
この力を使うと、大体こうだ。後味が悪い感覚が、背筋を伝う。何を見たのかは、わからないが。
どうやらこの力は、自分の記憶を代償に、負の感情をコントロールできるらしい。
「先輩にまた怒られるんだろうなぁ。」
ぼやぁ、とした独り言を吐いて、俺は仕事場へ戻ろうとする。
「死神サン、死神サン。」
聞きたくもない、機械のような声が聞こえた。
こいつの記憶も、しっかりある。
「お前、しつこいぞ。」
横に目をやる。
自分とは対象的に、真っ白いマントに包まれたアイツがいた。
「マダ、ソンナコトヲ、シテイルノデスカ。人殺シ、人殺シ。」
笑顔を貼り付けたままアイツが言う。
「違う、人殺しじゃない。俺は、俺は、彼女を救った。」
「少女ハ、消エマシタ。事実上ノ、死デス。アナタガ、殺シタノデス。マダ、ワカリマセンカ?」
「違う。少なくとも、“浄化”させる、なんて、まるで俺等を悪者呼ばりして、実際人情をなくす機械化をしてる、お前らよりかは、百倍増しだ。」
「貴方ハ、マダワカラナイノデスネ。」
「分からなくて結構だ。」
「貴方ガコチラ側へクレバ、今ヨリモ、モット、人ヲ救エマスヨ。救エルノ二。」
「変な交渉しやがって。」
「貴方ハ、騙サレテル、トハ感ジナイノデスカ?」
「…誰にだ。」
「ワカルデショウ?、本当ハ、ワカッテイルノデショウ?」
…先輩のことか、まさか。
「先輩は、俺を、助けてくれた。救ってくれた。先輩が、騙すなんて、そんなこと、絶対にない。」
心臓が大きく鳴っている。
「フフフ、フフフ、面白イ。面白イ。ソウヤッテ、イツマデ自分ヲ、正当化サセルコトガデキルノカ。」
「馬鹿なこと言うな。」
「コレダカラ貴方タチハ、
死神、ト呼バレルノデスヨ。」
「…うるせぇ。お前らも、天使、なんて馬鹿げたこと言われるのは、今のうちだぞ。」
「ソウデスカ、ソウデスカ。」
アイツ…天使の言葉を無視して、俺はまた歩き出す。
数歩歩いて、後ろを向く。
天使はもう、居なかった。
どうもどうも、しちお。です。
死神と悪夢。なんとなくタイトルの意味は分かっていただけたでしょうか。うん、まぁ、分からなくても読んでいただけた時点で舞い上がりますので。前回と比べれば、文章力上がったのではないでしょうか、どうでしょうか…いや無いですねぇすいません。次回もまた一ヶ月後かな…。また気が向いたら書きます。(オイ)
死神と悪夢 7話
『西尾家』
そう書かれたプレートがかかったドアを開けた。
「…今帰りました…」
声が沈みまくっているのは自分でも分かる。今まであの能力を使うたびに、散々な目に合ってきたからな…いやまぁ先輩に嫌われたくないとかあるけどさぁ、同居してるし。怒られた後に顔合わせるの気まずいし。
「おぉ、お帰りー」
…あれ、こんな声のやつ家にいたっけな。いや、居たんだろうけど、記憶がない、ということは、そこまで意識してなかったのだろうか。
すると、奥の部屋から、ヒョコっと黒い頭が覗いた。
「西宮くん」
柔らかい声が耳に入る。
「っあ、はい」
急いで返事をした。
「…おかしいな、いつもの西宮くんなら、冗談とみせかけた皮肉と罵倒を一つ言うのに」
「あぁ、えぇーと、はい」
俺のおろつかない返事に、彼は何かを察したようだ。先程より低くなった声で彼は言う。
「…使った?」
あぁ、コレを知っているということは、自分より先輩なんだろう。簡単に言うと、終わった。
「あ〜〜〜〜〜〜っすねぇ」
俺が言い訳を考えているうちに、彼は俺に抱きついてきた。
「そんな頻繁に使ってはダメって言ったじゃんか!西宮くん、いっつも使ったあとは俺のこと忘れるんだからさぁー本当になんで⁉」
待て、テンションが違いすぎる。俺にとっては初対面なんだぞ…。
彼が顔を上げる。
「あぁ、名前がまだだったね。俺は荒川楓。西尾くんと同僚。ほら、あそこの部屋で色々やってた、覚えてない?」
俺が首を横に2回振ると、勘弁したように荒川でいいよ、と荒川さんは笑顔で付け加える。吸い込まれそうな黒の、襟足が長い髪型。そばかすが子供っぽさを出している
荒川さんをいそいそと剥がし、靴を脱いで部屋へ歩いていく。その時、自分がとてつもなく疲れていることに気づいた。足がなかなか上がらない。自室に入ったときには疲労が限界に達し、そのままベットに崩れ落ちてしまった。だが、眠りにつくことはできず、その場でグッタリとしている。目を少し開け、あたりを見回した。ベッドとタンス、少しの本と机、殆どものがないこの無機質な空間に、少し安直する。
「西宮くん、開けるよー」
軽々しい声が、部屋にこもって聞こえた、と思うと、ドアが静かに開く。人影が2つ入ってきた。
「うぅ…先輩、と…」
「荒川だよ、忘れないで」
「荒…川、さん」
かすれた声をなんとか絞り出す。
「あらあら、カーテン開けなよ昼なんだから。」
先輩がシャっとカーテンを開ける。刺す様な日差しが体を当てた。
「ほら、コートも脱いで」
先輩がコートをせかしく脱がそうとしてくる。
「先輩…そんな急がなくても脱ぎますよ…」
「そうだよ西尾、そんな親じゃないんだから」
荒川さんが先輩の腕をぐいっと引っ張る。
「フフ、俺にとっては夜雨は子供同然なんだよなぁ、ついつい色々言っちゃう」
「彼女いないくせにぃ」
「やめろよぉ」
目の前でいじり合いされても困るんだよなぁ…。
いじり合いでにやにやしていた先輩が、俺の姿を確認するようにみた。
「荒川から話は聞いたよ」
あぁ、やっぱり…。
「嘘だと…言ったら?」
「荒川の能力を話したら、そんなこと言えなくなるだろうね」
先輩の言葉に、荒川さんがふん、と自慢気に鼻を鳴らす。
荒川さん…どんな能力なんだろか。見た感じ、戦闘枠じゃないのはわかるんだけど…ヒョロいし。
先輩はニヤニヤを超えて…にんまり、にっこりしていた。先輩が嫌なことを考えている証拠だ。
「夜、雨?」
「あ…はい…」
うわ…終わった…なんか、本能的にそんな感じだ…。
「俺と約束したよね?能力は使うなって」
「…はい」
「約束を破ったときのことも、決めたよね?」
「は…え?」
まてまて、それは記憶にないぞ。先輩のことだから勝手に付け加えてるだけかもしれないけど。
先輩がいきなり俺の腕を引っ張った。
「ということで、夜雨は罰として〜?」
「夜雨くーん、晩飯できたぁ?俺もう腹ペッコペコだからさぁ」
…なんで、こんな事になった。ただでさえ家事は当番制なのにほとんど俺に押し付けるくせに。家事は全部やれ、だとか。いや、罰だけど。俺に改心してほしい、とか、絶対そんなんじゃないだろ、これ。ただたんに自分たちが楽したいだけだろ。
「夜雨〜、今日のメニューは?」
先輩たちの陽気な声が聞こえてくる。
「お好み焼きです…材料なさすぎなんですよ。」
へへ、と、昨日買い物当番だったはずの先輩が笑う。本当に他人事すぎるんだよ。
プレートで焼いていた生地を、頃合いを見計らってひっくり返すと、いつの間にか横にいた荒川さんが「おー」と歓声を上げた。
「荒川さんも、先輩も、待ってないで手伝ってください」
「それじゃ今夜雨がやってることに意味がなくなるじゃないか」
「やっぱ楽したいだk」
ギィィィ
嫌な音が鳴った。びっくりして、どこから出たか探ってみると、この家に強盗が入るぐらい珍しく、リビング(と言えないまでに狭いが)にあるドアが開いていた。荒川さんが嬉しそうに口を開く。
「青葉、珍しいね、自分からこっちに来るなんて。」
「ひえぇ…眩しい…えと、流石にお腹ペコペコですぅ…」
ドアからのそのそと一人の女性が体を覗かせた。
「あっあ、そのぉ、お好み焼き…夜雨さん、が、作ったん、ですか?」
「うん…そうだけど、食う?」
うまく作れたお好み焼きを、皿の上に乗せる。
「はい…」
青葉は、ひょろひょろとリビングに入っていく。リビングが、騒がしく見えてきた。
…先輩が楽してるのは…まぁ、今じゃなくて、いいか。
「青葉が部屋から出るなんて何日ぶりだろうね」
先輩が冗談っぽく笑う。
青葉は、数少ない俺の同僚の一人だ。極度じゃ言い表せないぐらいの引っ込み思案で、ほとんど部屋から出なかったりする。
熱い、と小声でつぶやきながら、ホクホクとお好み焼きを食べる青葉を見る。
案外お叱りが軽めに終わったことに感謝して、今、平和だな、なんて思った。
きゃらいっぱいふえた💮
誤字脱字があったらお知らせください。
死神と悪夢 8話
オリキャラ募集の子たちを早速活用しています。本当に扱いやすい良いキャラで…
「西宮くん」
平和な空間に溶け込まれながら、先輩の声が聞こえる。それをやんわりと聞いていた。
「次の任務のことなんだけどさ、」
やんわりとした言葉の中、任務…という、今一番聞きたくない言葉を、この耳はしっかりと捉えてしまった。平和ボケがグワンと飛びだっていく。
「待って、待ってください先輩。俺、今日任務してきたんですよ。休みもくれないなんて飛んだブラック企業…」
あたふたしながら慌てた声をだす俺を見て、先輩は違う違う、と、こちらもあたふたした声を出す。
「明日じゃないから、ね?まぁ、次の勤務の話なんだけどさ」
「やっぱりそうじゃ」
「いやいや、話を聞けって夜雨くん…。」
いきなり先輩のことが甘くなり、息を呑む。
「次の任務ねぇ、まだ結構大丈夫そうだから、先になるんだけど。合同任務にしようっておもってるんだよ」
「合…同」
「うん。夜雨のことだからね、変なことしかねないって、みんなが」
みんな…恐らく組織の骨組みのところだろう。
名前もない、ただ目的だけの組織。組織という場がある以上、ある程度の役割もある。
組織の輪郭、骨組みと呼べる、6人。その6人目が、先輩だ。
先輩が率いる第6部。俺はここに所属している。
いくら能力を使ったからって、輪郭にまで話が出るとなると、なんか嫌だ…。
「まさか、ちょくちょく来てる2部とかですか?あそこ、肩苦しそうで嫌なんですけど…」
「俺のところが緩すぎるだけだよ、良かったねぇ緩くて。」
ニヤニヤとこちらを見ている先輩に、ため息をつく。呆れた。
「3部だよ、3部。夜雨くん、初めてだよね」
「あー、初めてっすねぇ…」
俺の言葉を聞くと、先輩は良かった、とつぶやいた。
え、待って怖い。嫌な予感しかしない。
「ほら、俺らの部もそうだけどさぁ、ヤバ…個性的な人たちが多いんだよ」
「先輩、俺めっちゃ心配です」
「まぁまぁ…。だからさ、
3日間ぐらい、友好を深めてもらおうと思って」
「…はぁ?」
情報が理解できない。どういうことか、と口にしようとした時に、ガチャ、と乱暴に開くドアの音がなった。グッドタイミング、と先輩が呟く。
「へーいやってるー!!?」
甲高い音声が、耳を通り過ぎていった。
「ちょっとまってね、今こっちに連れてくから」
そういって先輩はぐんと立ち上がる。
まさか、先輩が今日いつもの任務衣装なのってそういう…。
それにしても訳がわからなかったので、周りに助けを求めても、荒川さんが笑ってるぐらいだった。
困惑が収まっていけばいくほど、こちらに向かう足音は大きくなっていって
ついに、バン、とリビングの扉が開かれた。
「西宮夜雨って奴はどこだぁ!!」
まずその声が聞こえて、次にようやく姿が見える。一人はフードを被り、パーカーにスカートを着て、やけに身長が小さい。もう一人は白髪に白いシャツを着ていて、青い目が浮いている。そんぐらいのことしかわからないうちに、さっきの甲高い声がまた響いた。
「僕は|姫奈篠《ヒメナシノ》!西宮夜雨ってのは君か!?」
やけに声がうるさい、と思って横を向くと、目の前に顔があった。甲高い声の正体はコイツか、と思う。
「…ぁあ、あ」
あまりの迫力に両手を上げてしまう。
「やめなさい、姫奈。相手が怯えているのに気づかないのですか?」
もう一人の白髪の男が、眉をひそめながら言った。
「いいじゃん慈愛!合同だぞ?任務だぞ!?仲良くしないと元も子もない!」
元も子もあるだろ。
男が、わぁわぁとうるさい姫奈をつまみ上げる。空中でジタバタしているのを見ながら、口を動かした。
「初めまして、僕は|四乃蝶慈愛《シノチョウジア》です。……えへへ」
明らかにえへへって言う状況じゃない。
「ということで、この二人と一緒に任務することになったから、それまで仲良くしてやってね、夜雨」
無理だ。
「なぁ青葉…俺の代わりに」
「青葉なら逃げたよ」
「青葉ぁ‥」
唯一の同僚が消え、残るは生意気な先輩達と3部の二人。元々友達作りは無理な人間だって、先輩は分かってるはずなんだ。それなのに、これは煽りか。効いてんぞ、バカほど効いてんぞ。
「が、頑張ります…」
ようやく絞り出せた声は、酷く弱々しくなっていた。
キャラ募集の内の二人を出させていただきました。キャラブレが大分酷い…(^^;)
相田さんは…次回で