僕を庇って幼馴染が亡くなった。その幼馴染にもう一度会いに行くために、僕は唯一亡くなった人と会える場所を探す旅に出る。これは僕の後悔から始まる、奇跡の再会までのストーリー。
続きを読む
閲覧設定
名前変換設定
この小説には名前変換が設定されています。以下の単語を変換することができます。空白の場合は変換されません。入力した単語はブラウザに保存され次回から選択できるようになります
1 /
目次
1プロローグ
過ぎた時間は二度と戻らない
でももしもう一度会えるならば僕は君に伝えたい
ごめん と
---
半年前、僕は大事な人を失った
亡くなってしまった人は幼馴染で、いつも隣にいてくれた、大事な人だった。彼女にも友達はいたはずなのに、ずっと一緒にいてくれた。つらいときも、悲しいときも、嬉しいときも、楽しいときも。しかし、終わりは突然に現れた。僕は階段で誰かに突き落とされた。それを幼馴染の彼女が守ってくれたのだ。しかし、僕を守ったせいで、彼女は意識不明の重体となり、そして亡くなってしまった。
---
もともと僕はクラスに馴染めてなくて、いじめられていた。でも、彼女だけはずっとそばにいてくれた。そんな彼女を失ったとき、僕は絶望した。僕のせいだ、僕を、僕を守ったから…そう思った。もう学校に行く気なんて出てこなかった。もう嫌だ。彼女がいなくなった世界では僕の居場所はない、もういっそのこと、死んでしまえば楽になるのかな、、と考えているうちに、僕は半年ほど引きこもり続けていた。後悔して引きこもっても、何もできることなんてない。そう分かっているけど、悲しみと後悔と、色んな感情が身体の中をぐるぐる回っていて動くことができなかった。
2設定
こんにちは!「幼馴染の君と僕。」のプロローグを読んでくださった方、ありがとうございます!奏多の幼馴染、美咲です!私は物語の中では主に「幼馴染」とか「彼女」って言われてるよ!では早速、この物語の設定について話していきましょう!
・奏多…この物語の主人公。美咲とは小学校、中学、高校全てクラスが同じ。今は高校二年生で、高校一年生の時、いじめに遭っていた。美咲が亡くなって以来、一切学校に行っていない。誕生日は7月14日。自分の誕生日の一日前に幼馴染を失った。
・幼馴染…美咲。突き落とされた奏多を守って亡くなった。命日は7月13日。亡くなった時は高校一年生だった。誕生日は1月14日。
・彼女(美咲)の友達…瑠依、美那、彩夏。中学生からみんな仲良しの4人グループ。
※物語中の世界について
この物語では
・大陸は5つあり、国は全部で30国ある。
大陸は「アトランティス大陸」「パングラオ大陸」「ラエンサック大陸」「ヴェルヌイ大陸」「ロージナ大陸」の五つ
・仮想現実、つまりバーチャルで死者と会うことができるようにするための研究が行われている研究所が3つあるそのうちの1ヶ所の研究所だけ、仮想現実で死者と会うという研究に成功した。しかし、研究所の情報は全くと言っていいくらいに無く、世界中の人たちが探している。
・学校は現実と同じで、中学校までは義務教育、高校からは自由。そして高校からは授業をオンラインで受けることも可能である。
・一年間は365日。
・どの国も比較的仲良しで戦争はほぼない。
・身分制度はない。
・職業も大体は現実と同じ
・車、バスがない
<「また追加設定があったら説明出しますね。質問とかあったらメッセージください。あ、名前も書いてね!! こう」
〈美咲ちゃんの、ちょこっと雑談コーナー!!〉
ほんとに毎年クラス一緒なのね?もう奇跡としか言いようがなくない?てか毎年クラス一緒にする先生は頭大丈夫か?って疑っちゃうwwまあ、これからも奏多をよろしくお願いしますね。私は見守っとくことしかできないから。じゃあまた逢う日まで! by美咲
3不思議な夢
遅くなってごめんなさいm(__)m
風邪をひいた。医者に寝とけと言われて、言われるがままに寝た。すぐに寝ることができた。なんだか、とても久しぶりに寝たような気がする。
その夜、僕は不思議な夢を見た。その夢では彼女が生きていて、何ヶ所かに僕を案内してくれるのだ、空を飛びながら。彼女曰く、空を飛びながらのほうが効率がいいらしい。案内してもらった何処の街にも研究所があって、そこでは不思議な研究をしていると言っていた。どの街もあまり貿易が盛んではないみたいだ。どちらかというと森の奥にあるみたいなイメージのところに研究所があって、実際に行くにはとても時間がかかると言っていた。案内が終わって、彼女が何か話そうとしたとき、目が覚めた。気づけば朝になっていた。なんだかよくわからない不思議な夢だった。
テレビをつけると、あるニュースが流れていた。それは、「どうしたら死者と仮想現実で会うことができるか」みたいな研究をやっている研究所が3ヶ所あるということだ。そしてそのうちの1ヶ所がその研究に成功し、その研究を発表した。発表したのは黒ずくめの男で、顔は見えなかった。そして、名前も偽名を使っていたようでいくら探しても出てこない。そしてその研究所以外の残り2ヶ所の研究所の情報は全くと言っていいくらいにほぼほぼなくて、場所がどこかさえわかっていない。研究をやっていること、そして1ヶ所の研究所で研究が成功したことを発表したという情報が奇跡だと言われるほどに。誰が探しても見つからない。まるで魔法で隠しているかのように、世界中のどこを探しても、どこにもいないのだ。死者と会いたい。という者は大勢いる。僕もその中の一人だ。でも、その「死者と会いたい」と言っている人々と僕はちょっと違うのだ。僕には『あるヒント』がある。あの、不思議な夢だ。彼女がヒントをくれた。彼女が夢で教えてくれたおかげで、だいぶ探しやすくなったのだ。僕を守ってくれて、そして僕にヒントをくれた。助けてもらってばっかりで、何もできない自分に腹が立ってくる。せめて、君に感謝を伝えたい。そのために僕は、なんとしてでも研究所を見つけてみせる。
4番外編 生前の彼女
※2年前・・・中学3年生のころの3月
2年前、僕はまだ中学生で、ちょうど受験が終わったころだった。追い込まれていてまともに学校にも行けていなかったから、久しぶりに学校に行ったのではないのだろうか。その時は幼馴染と「昨日の夜ごはん何食べた?」とか、「学校終わったら一緒に勉強会しよう」とか、何気ない会話をしながら登校していた。
高校に入学してからもう2ヶ月がたった。僕はクラスに馴染めなかった。いじめられていた。初めて、その2ヶ月が長く感じた。そんな時、ずっとそばにいてくれたのは幼馴染だった。彼女とは小学校、中学校、高校、全てクラスが一緒。僕にとって、彼女はいつでも隣にいるのが当たり前の存在になっていた。
ある時、彼女が「授業をさぼって散歩に行こう」と言い出した。「どうやって?」と聞くと、「体調不良で」と彼女は言った。僕はとっさに、「行く」と言った。自分でもなんでそう言ったのか分からなかった。今まで学校をさぼったことなんかなかった。別に授業に受けたくないというわけでもなかった。なのにどうしてか、「うん」と言ってしまった。そして見事に、授業を抜け出すことに成功した。幸い保健室の先生がいなかったから、保健室に行くふりをして外に出ることができた。
ゆっくり歩きながら、彼女と話していた。最初は普通の話だったけれど、徐々に「学校は楽しい?」とかの学校の話になっていった。その時の僕は「学校」なんて言葉、聞きたくなかった。でも、後から考えると、その言葉は彼女なりの気配りだったのだと気づいて感謝の気持ちと、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。その後も僕を心配した言葉を何個もかけてくれて、その言葉は全部当時の僕の心の支えになっていた。
彼女は周りを見ることが得意で、些細な事にもよく気付いてくれる子だった。少し体調が悪かったり、悩んでいることがあったりしたら、他の子が気づいていなくても、彼女だけは、気づいてくれる。僕はそんな彼女のことを尊敬していた。だから、そんな彼女が亡くなった時の悲しみは、だれよりも大きかったのではないか。もう何も考えられなかった。けれど、そんなことをしている場合ではない。彼女にもう一度会うために、僕はまた歩み進める。
5旅立ちと研究所
マップも入れた。必要最低限の水と食料も持った。簡単なサバイバルグッズも持った。ついに、研究所を探すための旅に出る準備が整った。準備を用意するのに、1週間ほど掛かった。彼女に会う前に自分が
死んでは意味がない。だから、出来るだけ準備は万全にして旅に出たかった。
---
もう旅に出てから1週間がたった。もう地元からは結構遠い、森の中にある集落まで来ていて、幸いにも親切な村の人たちが家に泊めてくれて、風呂まで使わしてくれた。もう旅に出てから4日間くらいお湯に浸かっていないのではないのだろうか。最近シャワーしか浴びないことが続いていたから、余計に疲れた体に沁みる。この村の人たちは、見ず知らずの僕にこんなに親切にしてくれて、本当に感謝しかない。
翌日、僕は村の人たちにお礼を言ってその集落を離れた。僕は近くにある村で、研究所の情報を何か持っていないかを聞いてまわっていた。すると、一人からこんな情報を聞き出すことができた。それは、「仮想現実について研究所しているかどうかはわからないけれど、この近くに研究所がある」というものだ。その場所を教えてもらって、明日その場所に行くことにした。幸いこの集落にはホテルがあったので、今日はそこに泊まることにした。
教えてもらった研究所はとても遠い場所で、森を抜けた先にあるため、迷わずに森を抜けなければいけない。大まかな地図を作って、買い出しをする。食べ物と水が切れかけていたから、買い出しができる店があって助かった。充分に休憩させてもらったし、出発するか。まっててね、美咲。必ず、研究所を見つけて君に会いに行くから。
※美咲→幼馴染。作中では「彼女」と呼ばれている
6幼馴染と、一人の少女
今回の小説は絶対に、前に書いてる設定を見てから読んでください。絶対に、ですよ?
村を出発して、また森の中をさまよっている。もう周りが全部木だからどこに行けばいいのかわからなくなる。
、、、あれ、もしかして、迷子?やばいかもしれない、どうしよう。そんなとき、一人の女の子が声をかけてきた。
「こんにちは、おにーさん。一人の女の子を見ていない?みさきっていう子なんだけど」
「え?」
みさき?あの美咲か?まあ、そんな偶然、あるわけないか。
話しかけてきた女の子は、僕よりちょっと背が低いくらいの女の子で髪が長く、年齢は僕と同じくらいだった。
どうやらその子はこの森に詳しいらしく、近くの村に案内してくれると言う。案内してもらうのに何もしてあげられなくて申し訳ないな...質問も分からなかったし。
そして女の子は、村まで案内してくれた。ありがたいな。完全に迷子になってたから。。
「お兄さん、旅してるんでしょ?私がついていってあげようか?」
「えっでも、、、」
「わたしこの森慣れてるし、使えると思うよ?」
「...お願いします。。。」
申し訳ないけど、頼るしか、、、ないか。
「そういえば、君の名前は?」
「私の名前は、瑠依。瑠依って呼んで。お兄さんの名前は?」
「僕の名前?僕は奏多。よろしくね、瑠依。」
「うん。よろしく」
こうして森の中で出会った女の子、瑠依が旅についてきてくれることになった。
7幼馴染と一人の少女2
僕は、さっき出会った瑠依に森を案内してもらっていた。
「ねえ、瑠依。今、どこに向かってるの?」
「近くにある集落。服ボロボロでしょ、君。買い替えなきゃいけないじゃん。」
「ありがとう、助かる」
瑠依はほんとに気遣いができる優しい子だな。
僕と同じくらいの年齢とは思えないくらいしっかりしてる。
「そういえば、誰かを探しているって言ってたよね?みさき、って子だっけ。探さなくてもいいの?」
「うん、大丈夫。ヒントは十分得られたし。」
「?まあ、ヒントが得られたんだったら良かった」
「ところで君はどこに向かってるの?」
「僕?僕は、、、幼馴染と会える場所を探しているんだ。場所はわからないから、ぜんぶ手探り。」
「そっか。」
ボソッ「やっぱり。だから、私は君についていったんだよ。目的は、、君と同じ。友達と会える場所を探す。」
「何か言った?」
「言ってないよ」
「ほら、着いた。今日はここの旅館で泊まるよ」
「うん。」
僕たちは無事集落に着き、寝泊まりできる旅館も見つけることができた。そして僕は、深い眠りについたのだった。
8森の中の村での僕らの休日
瑠依と奏多の休日です
翌日の朝。僕は朝早くに目が覚めた。
「こんなにふかふかなベッドで寝たの、いつぶりだろ、、、」
コンコンコン
「奏多、起きてる?」
「うん」
「朝食食べに行くよ」
「分かったー」
僕は改めて、今まで当たり前だったことが実は当たり前ではなかったことに気づかされた。
ボソッ「あったかいご飯が食べられるのも、当り前じゃないんだなぁ、、、」
「おーい奏多ー?早く来てー」
「はーい」
---
「奏多、服買いに行くよ」
「え?」
「服を買い替えに来たんでしょ。忘れたの?」
「あぁー!!そういえば!!」
「ww」
「初めて笑ったんじゃない?あってから」
「そう?」
「初めて見た、瑠依の笑ってる姿」
「・・・」
「www」
「ほら、行くよ!!」
「はいはい」
---
この後僕は、夕方までひたすら服選びをさせられていたのだった...
楽しそうで何よりですねwww by美咲
9番外編 買い出し
「奏多、この村にしばらく滞在するよ」
「え?なんで?」
「ここら辺の森のこととか、奏多の行きたい場所探しとか、色々情報を集めなくちゃ。」
「あーー、オッケー分かった」
「うん」
「瑠依、買い出し行ってくるね」
「分かった。非常食買ってきてね。あと、ナイフ。木の実とかがあった時に切れるやつ」
「分かったー!」
---
「えーと、非常食、って日持ちがするもの?だったら災害用の非常食とかかな?
まあ、これでいいか。えーと、ナイフナイフ、、、」
「何を探しているの?あなた」
「ナイフ。。。って誰!?」
「美那。こんにちは、奏多君でしょ?初めまして。」
「なんで僕の名前を知ってるんですか?」
「んーまぁ、調べたから?かな。んで、ナイフ?え、誰か殺すの?」
「え、、、流石にやらないです」
「www冗談だよ」
怪しい人、、、じゃなさそうだな
「ナイフね。木の実とか取る時に使うんでしょ。こっちにあるよ」
「ありがとうございます」
「ん、大丈夫。」
「あ、私しばらくこの村にいるから。また会えるといいね」
「あ、はい」
「じゃあね、奏多君。また会えるといいね」
「ではまた。」
今からは美咲ちゃんのちょこっと雑談コーナー!!
あっはい、完全なる余談です。てかこう説明雑www
えーと、奏多は、、、なんか誰かと会ってるね。楽しそうだ、、w
~奏多、初めて(?)のおつかい~ www
最近ネガティブ表現が入ってる部分全然ないね。明るくなってきたようで何より。
たまにうなされているようですが、だいぶマシになったみたいだよーじゃあ、また逢う日まで!
10幻のクリスマス
一日遅れですが、、クリスマス編です。
「奏多ー!メリークリスマス!」
「メリークリスマス、美咲」
「あ!雪降ってる!あそぼ?」
「いいよ」
「おかーさん!奏多と雪遊びしてきていーい?」
「いいわよ。でも、見えるところでね」
「「はーい!!」」
「ねぇねぇ、何する?雪だるま作る?雪合戦する?」
「雪だるま作ろー!」
「うん!」
---
「「できたー!!」」
「ままっ!できた!」
「おかーさんできた!」
「あら、凄いわね」
「これ二人だけで作ったの?」
「「うん!!」」
「元気ねぇ、子供は」
「ほんとにねぇ。ケガしないようにねー」
「わかってる」
「あ、奏多、美咲ちゃん、ぜんざい食べる?」
「「食べる―!!」」
「じゃあいったんお家入りましょうか」
「はーい」
---
「美味しかったねー」
「ねー」
「美咲、そろそろ帰りましょうか」
「えーまだ遊びたいー」
「もう暗くなってきたから、ね?」
「はぁーい」
「またあそぼっ!」
「うん!」
「じゃあねー!」
---
はッ
奏多「夢…かぁ。懐かしいな」
奏多「美咲、メリークリスマス。」
奏多の幼いころの思い出を描いております。
11次の町へ
久しぶりに幼君投稿です…!!
今回超短いです
実質おまけって言っていいくらいの長さ
「ただいま~」
「おかえり。遅かったね」
「ちょっと話してて~」
「そう。奏多、荷物まとめて」
「え?もうこの町出るの?」
「うん。」
「わかったけど、なんでいきなり?」
「早く研究所の手掛かり探したいでしょ?」
「?うん」
---
「こっち行くよ」
「なんで早歩きなの?」
「分かったことがあるから」
「え、なになに?研究所のこととか!?」
__研究所のことだったらいいな…__
「…奏多には関係ない」
「えー」
「ほら、ついたよ」
「あーい」
「うわー服どろっどろ」
「洗ってもらいな」
「はーい」
---
「はーお腹いっぱい!」
「疲れた」
「結構歩いたもんね」
「宿取れてよかったね」
「そうだね」
「じゃあ私こっちの部屋だから行くね。早く寝なよ~」
「おやすみー」
「おやすみ、奏多」
毎度おなじみ〈美咲ちゃんのちょこっと雑談コーナー!〉
いぇーい(棒)
こう「はい、やってまいりました、毎度おなじみ美咲ちゃんの雑談コーナーのお時間でございます~!!今回は私も一緒に話していきます」
今回は、奏多について話していきましょうか
こう「はいっ」
奏多はですね、以前に戻ったというか…私のことは結構吹っ切れたというか?暗い感じが無くなったね
こう「そうですね。楽しそうだし」
お前は混ざりたいだけだろ
こう「イヤ、ソンナソンナ…」
…まあ、無理してないといいけど
こう「そうだね」
てか本文より雑談のほうが多い気が…
こう「アッ確かに」
次回はね、こんなに短くない…はずなんで!
こう「はい。多分もうちょっと長いと思いますー」
こう「はい、では、ここまで見てくださった皆さん!ありがとうございました~!!」
ばいばーい
12研究所と謎の人物
奏多「おはよ」
瑠依「奏多、今日はちょっとあるところに出かけようと思うんだ~だから荷物まとめて?必要なもの以外は宿に置きっぱなしでいいから」
奏多「どこ?」
瑠依「森」
奏多「え?」
・・・
奏多「こんなところを歩くの…?道もないじゃん…」
瑠依「ほら、行くよ」
---
ゼェゼェ
奏多「いつ着くのこれ…」
瑠依「ほら、見えてきた」
奏多「なにこれ…研究所?…もしかして…」
瑠依「そう、見つけた」
奏多「なんでもっと早く教えてくれなかったの!?」
瑠依「確証がなかったから」
奏多「それでもっ…」
瑠依「仕方がなかったんだよ、ほら、入ってみよう」
奏多「…うん」
・・・
瑠依「誰もいない…それに埃が…」
奏多「もしかして、もう誰もいない…?」
__おーい__
__おーい__
__ねぇ、聞いてる?__
奏多「うわっ誰?ねぇ瑠依見て!誰かいる…」
瑠依「え、どこ?」
__私は君意外には見えてないよ__
__ここで話すのも都合が悪い__
__いったん夢の中に入ってもらうよ__
奏多「え?」
意識が…
---
よし、入れたかな
おーい
おーい
ねぇ、早く起きて
ねぇってば
はやく!
奏多「…え?」
あ、やっと起きた
寝すぎ
奏多「…誰…?」
あぁ、あの研究所の研究員
奏多「え!?」
奏多「じゃあ、亡くなった人と話せる…っていうのを開発した!?」
んー開発した…まあ、そんな感じだね
奏多「え…?そんな感じ、って?」
厳密にいうと、試作段階。
結局完成はしなかった
奏多「え?じゃあニュースでやってたのは…?」
ニュースの人たちがいろんな人の目を引こうと話を盛ったんじゃない?
奏多「え、じゃあ…」
実際には、”完成していない、試作段階”
奏多「完成させることはできないの!?」
残念ながら。でも、会いたい人と会わせることはできるかもしれない
奏多「どう、やって?」
それは教えられない
けど、成功するかわからない、命がけの方法だ
それでも、やりたい?
奏多「もちろん」
そう…わかった
じゃあ、二日後にまたここにきて。
奏多「わかった」
じゃあ2日後にね
---
「おーい奏多?」
「おーい、おーい」
「あっ起きた」
「どーしたの、いきなり眠り始めて」
「そんな眠かった?」
「いや…」
「もう遅いしいったん今日は帰ろ」
「わかった」
〈美咲ちゃんの雑談コーナー〉
はい!こんにちは、美咲です
ついに物語も終盤に差し掛かってきましたね
こう「そうですね」
まあ、本編ってだけです
こう「うんうん…美咲ちゃん、いったん黙ろうか」
ゑ?
こう「ってことでー(?」
今回の雑談コーナーはここまでになります!
こう「珍しく短くなったね」
いや、いつもが長いだけでしょ
こう「いやいやいや…」
はい!では、また次回お会いいたしましょう!
こう「勝手に終わらせないでよぉぉ」
ばいば~い
13約束の日
2日後。約束の日がやってきた。
ハァ、ハァ
奏多「大丈夫?」
瑠依「うん、だいじょう…ぶ」
ピピッ
奏多「38.5度もあるじゃん、熱。お粥食べてゆっくり休んでな。ここにいるから」
瑠依「でも…ほんとは奏多研究所に行きたいんじゃないの…?」
奏多「…でも」
瑠依「私のことはいいから行ってきな。行かなきゃならないんでしょ?ほら」
奏多「わかった。ごめん、瑠依」
瑠依「いいよ、けど、美咲と彩夏によろしくって言っておいて…」
奏多「?わかった」
瑠依「ありがと…行ってきな」
奏多「行ってくる」
---
奏多「遅れた」
最後に聞きたいことが何個かあるんだけど、いい?
奏多「なに?」
じゃあ一つ目
彩夏って知ってる?
奏多「えーっと…確か、美咲の友達の名前だったような…」
じゃあ二つ目
あいたい相手は、誰?
奏多「美咲」
…そう
じゃあ、最後
一昨日話したことをやってたとえ自分が後悔することになったとしても、会いたい?
奏多「もちろん」
そっか
じゃあ、始めようか
奏多「ちょっとまって。もしかして君は、彩夏さん、じゃないの…?」
…そうよ、なんでわかったの?
奏多「前に美咲に聞いていたから…」
__よかった、”あの事”は思い出していないみたい__
そっか
奏多「瑠依が、彩夏さんに、よろしくって。」
そっか、瑠依が…
そっか。
じゃあ、始めようか
__ばいばい、奏多くん。__
今回は美咲ちゃんの雑談コーナーはおやすみです。
14番外編 夢と現実
ある方に作っていただきました✨
幼馴染の君と僕。番外編!
どうぞ!
人目のない、屋上へとつながるところの階段の踊り場。
「昨日のご飯何食べた~?我が家はオムライスだったけどね!」
そう楽しそうに美咲が話していた時
ドン
変な音がした
そう、まるで何かを突き飛ばしたかのような…
「え?」
パッと前を見ると
驚きと恐怖に満ちた顔で、美咲が飛んでいた
どうしよう
考えている隙はない
僕は美咲の腕を取った
---
「ねぇ、ねぇってば。奏多~」
僕は美咲に話しかけられていた
「どうして奏多はあのとき、私を助けてくれたの?」
どうして__
どうしてって、
「美咲が幼馴染だから。」
「はぁ!?どういうことよー」
そういう彼女がもし僕を助けたら何て言うんだろう
なんとなく、とか、幼馴染だから、とかしか言えないだろ、美咲は
「あと。」
「美咲ならどうするかって考えた。」
「美咲なら、自分が死んだって僕を守ってくれると思ったから
それに
美咲は僕をいっぱい守ってくれたから。だから、僕も___恩返しがしたくなったんだ」
というか助けないと彼女が死ぬ
それだけは、嫌だったんだ
もしも美咲が死んだら______彼女がいなくなった世界では僕の居場所はない、もういっそのこと、死んでしまえば楽になるのかな、、とか考えていそうで怖いんだ
「ありがと」
突然美咲から褒められた
そして頭をなでられた
そうか
いじめられるのは嫌だけど
僕はこんな日常大切な人がいる世界を失いたくない
だから、美咲を___大切な人を守ったんだ
今度は僕からも守っていかないとなぁ
そう固く決めて、僕は美咲の手を押し返した――
___
「みさき_____」
夢だった
そうだ。
階段から突き落とされたのは僕だった
どんよりしながら布団に籠る
ちがう。つぎは美咲に、謝りに、会いに行くんだ
そう思って僕は布団から出た。
end
15幼馴染の君と僕。
奏多「美咲…!?」
ふふっ
また、会えたね
奏多「美咲…泣
ごめん、ごめん、あの時僕を庇ったせいでこんなことに…」
いいよいいよ
私は全然気にしてない
奏多「でも…でも僕のせいだよ。僕のせいで美咲は…」
私は奏多のせいで死んだんじゃない
奏多は何にも悪くないよ
奏多「でも…」
ほら、でもでも言わない!
奏多のせいじゃないしもう終わったことなんだから、ずっとネガティブでも何にもならないでしょ?
奏多「そう…だね」
---
私がいない間、どんなことしてたの?
奏多「…ずっと、美咲に会いたくて、謝りたくて、会う方法を、探してた」
そっかぁ
…ふふっ嬉しいなぁ、会いに来てくれて
そういえば、さ。奏多はどうしてここにいるの?
奏多「彩夏さんが、研究の、未完成のやつを、できるかどうか、わかんないけど、ってやって、くれた、の」
彩夏…?
研究…未完成…?
ってことは…
奏多「どう、したの?」
いや…なんでもない
ふと美咲を見ると、その体は消えかけていた
奏多「美咲、体が…」
あ…もうそろそろ、時間だ
これ、はい、あげる
じゃあ奏多、ばいばい
そう美咲が言うと美咲が消え、元の研究室に戻っていた_
奏多「あれ…もとの研究室…?」
奏多「美咲からもらったこの封筒、なんだろ…?」
パサッ
その封筒の中には、一枚の手紙が入っていた
---
奏多へ
奏多、元気してる?
ちゃんとご飯食べてる?
無理してない?
体調管理はしっかりしてね?
それと、奏多。
辛かったら、いっぱい泣きなね
無理して笑ってたの、知ってるから
あとね、私あの時、奏多を助けたの、後悔してないから
助けてよかったって、心の底から思ってる
だからそんなに思いつめなくていいよ
私の代わりに、生きてね
今までありがとう。
奏多と過ごしてる時間が人生の中で一番幸せでした。
出来ることならいつまでも一緒に過ごしたかった。
これからもずっとずっと、奏多のことが大好きです。
またいつか、絶対に会おうね
美咲
そしてその手紙には、五本のバラとマリーゴールドが描かれている一枚の栞が添えられてあった__
16別れ
瑠依「おかえり、奏多。やりたいことは、できた?…美咲とは、会えた?」
奏多「…知ってたの?」
瑠依「そら…なんとなく予想はついてたよ」
奏多「会えたよ、ちょっとだけ、だけど」
瑠依「よかった」
奏多「瑠依、体調は?」
瑠依「だいぶましだよ」
奏多「よかった」
瑠依「ねぇ、奏多。もう、この旅はさ、終わりにしよう?」
「もともと旅に来たきっかけは、美咲と会うためでしょう?」
奏多「でも瑠依は…」
瑠依「私の希望も叶った。だから、もう大丈夫」
奏多「わかった。」
---
奏多「今までありがと、瑠依」
瑠依「ちょっとまって、これ、彩夏から。また、読んでね」
奏多「わかった。じゃあ…ばいばい」
瑠依「ばいばい、今までありがと」
---
やっと村まで戻ってこれた…
奏多「お母さん…」
お母さん「お帰り、奏多。やりたいことは、ちゃんと終わった?」
奏多「…うん…!!」
お母さん「ほら、疲れたでしょ?ご飯にしましょう」
奏多「はーい!」
奏多さんへ
お元気でしょうか、奏多さん。
美咲とは、会えましたか?
これは余談ですけど…
美咲は、いつも貴方のことを心配に思って、ずっと見守っていた。
ずっとずっと。
そんな彼女を、安心させてあげてください。
あの子はずっと、苦しんでいた。
それを君は救ってくれた。
ありがとう。私には、どうにもできなかったから。
ありがとう、奏多くん。
’あの時’も、今も。
ほんとうに、ありがとう
ばいばい
彩夏
---
奏多「そうなんだ…美咲はずっと…」
奏多「ねぇねぇお母さん。彩夏、って子てさ、知ってる?」
お母さん「知ってるわよ。ほら、ちっちゃいころ一緒に遊んでたじゃない。覚えてない?」
奏多「あ…あの子が彩夏さん…だったんだ」
お母さん「知りたいことはわかった?」
奏多「うん」
お母さん「それならよかった。
…美咲ちゃん、お空で元気に暮らしているかしらねぇ…」
奏多「きっと…きっと美咲は空で楽しく暮らしてるよ__」
お母さん「そうね___きっと、見守ってくれているわね」
奏多「うん、そうだね…!!」
17最終話 拝啓美咲へ
拝啓美咲へ
美咲、元気ですか。
僕は元気です。
この手紙が、美咲に届いていますように。
あの日、あの時、僕を助けてくれてありがとう。
僕に話しかけてくれてありがとう。
ずっとそばにいてくれてありがとう。
僕に生きる意味をくれて、ありがとう。
もう、大丈夫。
もうあのころのような、弱い僕じゃないよ。美咲が、僕を変えてくれたから。
ありがとう。
君と出会えて、ほんとによかった。
美咲といた時間が、僕にとっての一番の宝物です.
もう泣かないように。今度会ったとき美咲に楽しかったことを沢山話せるように。
僕は美咲から貰った人生を、幸せに生きてきます。
だから美咲、もう少しだけ、空の上でまっててね。
あなたに4本のガーベラを、そして溺れるほどに深い愛を。
[完]
幼馴染の君と僕。本編完結です…!
ここまで読んでくださり、ありがとうございました!!
3月中に過去編や番外編も出させていただこうと思っておりますので、
どうかもう少しだけ付き合ってくださると幸いです!
完結後番外編 彩夏の事情
彩夏side
私は小さいころ、ある2人の子達と毎日のように遊んでいた。
おいかけっこをしたり、かくれんぼをしたり。
でもある日、そんな当たり前のようなことが、糸がプツッっと切れたかのように、突然、終わった。
---
お母さんが、今まで一緒に遊んでいたあの子達と遊ぶのはダメって言った。
なんで?
って聞いたら、あの子達はお父さんとか、お母さんがいないから、って。
こっそり遊びに行こうとしても止められて、遊ばせてくれなかった。
それからは話すことは徐々に少なくなっていった。
中学に入る時、美咲という子が話しかけてくれた。
話していくうちに徐々にその子が小さいころ遊んでいた子の一人だということが分かった。
私はもう会えないと思っていた子に会えたのが嬉しくて、沢山話しかけるようになった。
思い出話や、小学校の頃の話。奏多君の話も耳が痛いくらいに聞いた。
それほどに、美咲ちゃんは奏多君のことが心配なのだということが、痛いほど伝わってきた。
でも私はあの子の心の中に、踏み込みすぎてしまった。
そのせいで私は避けられるようになり_ついには話さなくなってしまった。
私も美咲ちゃんも、別の友達とばかり話している。
ほんとは美咲ちゃんと話したかった。
でも、
あの時もう少し考えていれば…
とか
嫌われていたらどうしよう。
とか
陰愚痴を言われていたらどうしよう
とか。
私はそう自分に言い訳をしてばかりいて、いざとなったときには行動しない。
今考えると本当にバカだなとしか思えない。
結局は自分が傷つきたくないだけ。
そんな自分が嫌でしょうがなかった。
美咲ちゃんと話せないまま
私は交通事故に遭って、意識不明となってしまった。
---
体が軽い。
あぁ、私は死んだのか。そう思えるほど、びっくりするくらいに体が軽かった。
幸いまだ死んではいないようで、今の姿はまるで幽霊。体と分離しているため、この姿で動いてもばれていないようだった。
何日も暇な日々が続いた。
一つ研究をしてみることにした。
それは、
”死者と会える空間”を作り出すことだった。
興味本位で始めたことだった。
思いのほか楽しくて、学校を休んで研究所に籠って毎日研究ばかりしていた。
そしてできるはずもないと思っていた研究は、完成直前まで近づいていた__
---
美咲ちゃんが死んだ。奏多という子を庇って、死んだ。
そんな情報が耳に入ってきたのは、研究がもう完成直前、というところだった。
結局私は、何もできなかった。
___だったらせめて、この研究を完成させよう。
完成させて、美咲ちゃんが庇ったあの子に、美咲ちゃんと会わせてあげよう。
けれど、そんなに上手く物事が進んでいくわけでは勿論なくて、一向に研究は完成しないままだった。
そんな時、一人の少女と一人の少年が、この研究所に入ってきた。
あの子だ。美咲ちゃんが庇った子。
その子は小さいころに遊んでいた、あの男の子に似ている気がした。
話しかけてみた。
少女には聞こえないように、少年にだけ聞こえるように。
やっぱり、その少年は小さいころに遊んだ、あの男の子だった。
奏多君は、美咲ちゃんと会いたいと言った。
それがたとえ危険を冒すことになるとしても、会いたいと言った。
正直研究は完成していなかった。
このままだったら、間違いなく失敗するだろう。
そして、最悪の場合奏多君も私も、死ぬ。
そうなってしまっては、美咲ちゃんに申し訳なさすぎる。
どうせ今後生きれるかどうかもわからない身。
それならば、私の命を犠牲にして、奏多君を美咲ちゃんに会わせてやればいい。
覚悟を決める時間を、2日だけもらった。
瑠依にも会えたし、もう私は十分幸せだった。
この命は、奏多君に引き継ごう。
天国に行ったらまた、美咲ちゃんの話を沢山聞かせてもらおう。
もう、いいんだ。
奏多君、行ってらっしゃい。
美咲ちゃ__と___
プツッ
---
ここは…公園…?
なんか見覚えがあるような…
あ、ここ、小さい頃よく遊んだ公園だ
よく砂場で遊んだりしてたっけ…
懐かしいなぁ
そういえば、私どうしてここにいるんだろう
…あ、私、死んだのか
二人は会えたかな
会えてるといいな
あの二人は…瑠依と美那は、元気かな
話さないまま、こっちまで来ちゃったなぁ
死んだってことは、美咲ちゃんと会えるのかな
_久しぶり
_そうだね
_ごめんね
_うん
_ありがとう奏多君とは、会えた?
_よかった
_やっぱり、命を捨ててでも、やってよかった。
_ふふっ
_いいんだよ
_これが私の選んだ_人生だから_
_それに二人が会えただけで私は__
_うん
_美咲ちゃんに出会えて、ほんとによかった___
_うん
_またいっぱい、話、聞かせてね
_うん
_そうだね
_行こうか__
本文1980文字
いや~凄いっすね
こんなに行ったの初めてかもしれない()
いつも短かったから…
あ、皆さんに一つアンケート取ってもいいですか?
あの、今後の幼君なんですけれども
番外編、作ろうと思ったら作れるんすけど読みたいですか?(((
ファンレターで送ってくださると嬉しいです
一件も来ていない場合は
気分で決めますはい(((
期限はー
2025年3月3日23時59分59秒まで
宜しくお願いします
あなたに一つの贈り物を、そして溺れるほどに深い愛を。
これは本編とは少し違う、また別の世界線の物語__
夏ちゃん、美那、瑠依…
もう話せない
話したい
けど、こわい
今まで
『優等生』
『接しやすい女』
を演じてきた。
何を言われても平気で、笑っていられるように。
でも
夏ちゃんに
答えにくいことを聞かれて
答えられずに、とっさに逃げてしまった。
そこからは
気まずくて、美那とも瑠依とも話せなくなって。
ただただ、時間だけが過ぎていった。
いつしか、学校で顔を合わせるのさえも嫌になって
引きこもるようになってしまった。
ある朝
思ったんだ
生きる意味 ってなんだろう、って
考えてみたら、思い浮かばなかった。
いくら悩んでも、いくら考えても
生きる意味 だけは思い浮かばなかった
思ったんだ。私は結局、嫌われないように愛想笑いを浮かべてた、ただそれだけなんだなって。
生きる意味もなく、友達も失い、帰ったら帰ったで親に八つ当たりされる。
正直もうしんどかった。
貼り付けていた笑みさえも
はがれかけていた。
そんな時
奏多が私に言ったんだ。
「生きる意味がないなら、僕が作ってあげる。泣けないなら、ここでいっぱい泣けばいい。しんどいなら、いくらでも、いくらでも話を聞く。
美咲と過ごす、一秒一秒が僕にとっての宝物。美咲と話す時間が、僕の生きる意味。
美咲は、今までどんなことが楽しかった?どんなことが辛かった?全部、僕に吐き出しちゃいな」
って。正直すこしためらった。
奏多に知られたらどう思われるかなって想像して怖くなったのと、単純に奏多に心配掛けたくなかったから。
けど奏多は
「遠慮しなくていい
言いたくなかったら、無理に言わなくても全然大丈夫だから
たとえ美咲が何と言おうと、僕は美咲のことを嫌ったりなんてしない。大丈夫だよ」
そう言ってくれた。
奏多の言葉が少し背中を押してくれた気がした。
勇気を出して、今まで思っていたこと、我慢していたこと、ぜんぶ、奏多に言った。
「…仲良しだった子達の愚痴を違う子から聞かされて辛かった。
裏で陰口を言われててしんどかった。
嫌な事を無理やり押し付けられてきつかった。
それでもずっと笑い続けなきゃいけなくて
優等生続けなきゃいけなくて
ほんとはずっと
くるしかった…」
この言葉を奏多は
笑いもせず
ただ真剣に
この話を聞いてくれた
「よく今まで…頑張ってこれたね
えらいよ、美咲。
今まで美咲が苦しんだこと、全部僕が楽しい思い出に塗り替えてあげる。
最後に笑えるように
僕が最高の思い出を
作ってあげる」
慰めて、支えてくれた。
奏多のこのさりげなく言った言葉が
私には
心強いお守りになっていた…
---
「みーさき!これ、あげる!」
「んー?…これ…もしかして…」
「へへ、僕たちの小さいころの写真!」
「夏ちゃんも…」
「見つけたんだー!
…ほんとは仲直りしたいんでしょ?美咲。
ほら、行ってきなよ」
「でも…」
「ほんとの気持ちを言えば、必ず、思いは伝わるよ
それに
後で後悔しないようにも…ね
…ほら、何事も早いほうがいいって言うし!」
「…うん。行ってくる」
---
「夏ちゃん!!」
「美咲ちゃん…」
「あの時はほんとに、、、」
「美咲ちゃん、ほんとにごめん!美咲ちゃんの気持ちも考えずに私…」
「大丈夫。私もごめんね」
「美咲ちゃん、遠慮しないで、全然自分の気持ち、言ってもらっていいからね!!!むしろそっちのほうが私嬉しいし!!」
「…ありがと…夏ちゃん…」
「うんっ!」
---
「美咲」
「どうしたの、奏多」
「美咲っ!僕と…本物の家族になってくれませんか!」
「え、どうして…」
「それは…美咲のことが __好き…__だから…」
「え?なんて?」
「美咲のことが好きだからっ!!」
「…へへ…
私も、大好き…」
「美咲っ!!
へへ、これからはずっと、美咲の隣にいるからね!」
「うん…!!」
「美咲、これどーぞ!」
「これは…ガーベラ…?それに4本…
…も〜…ずるいよ、そんな不意打ち…」
「んー?よく聞こえないなぁw」
「もー!!」
「へへっ…これで一つ、思い出ができたね
これからずっと、ずっとずっと、一緒に居ようね」
「もちろんっ!」
「ねぇねぇ、アルバム作ろうよ。一緒に何かしたときとかに写真撮ってさ!
ほら、アルバム1枚目記念に写真撮影しよ?」
「え、今!?」
「今!!」
パシャ
「美咲と恋人になってから初めてのデート!」
「もー恥ずかしい…」
「ほら、写真とろっ!」
パシャ
「奏多、ハッピーバースデー!」
「ふふっありがと〜!」
パシャ
「「メリークリスマス!」」
パシャ
「「3,2,1…あけましておめでとー!」」
「恋人になってから初めての年越〜!」
パシャ
「美咲、たんじょーびおめでと〜!!」
「ありがと…!」
パシャ
「恋人なってから1周年記念日!」
「1周年記念日…?」
「つまり1周年ってこと〜!」
「…美咲、一つさ、約束しようよ」
「ん〜?どうしたの急に」
「今まで作った思い出を、これから作る思い出を、一生忘れない、ってこと!」
「わかった」
「じゃあじゃあ!ほら、1周年の記念の写真撮るよっ」
パシャ
「美咲、ついに…
僕たちの結婚式だよ!」
「も〜…大きな声で言わないで、恥ずかしい…」
「美咲が可愛いせいだから仕方ないっ!」
「可愛くないしっ」
「可愛いも〜ん」
パシャ
---
アルバムは
結婚式の写真で、終わっていた。
奏多は
病気で亡くなった。
突然のことだった。
実はほんとは
結婚式の時にはすでに余命宣言がされていた…らしい
遺書には、こう書いてあった
先に逝ってしまうことを、どうか許してください。
そして
病気のこと
伝えてなくて、ごめんね
心配掛けたくなかった
普通に楽しく過ごしたかった
こんな僕の我儘に付き合ってくれて
ありがとう
と。
悲しかった。
まさか、死んでしまうと思ってなかったから
悔しかった。
何もできなかった自分が情けなくて。
自分も逝こうか迷った。
そんな時
奏多の言葉が
ふと 頭に浮かんだ
__美咲と過ごす、1秒1秒が宝物。美咲と過ごす時間が、僕の生きる意味。
「でも、もう、一緒に過ごした、あの頃の日々には…」
もう、戻れない。
あの日々は、もう、戻ってこない。
__辛いことがあった時は、あの日々を思い出して
_支え合って
_励まし合って
_楽しかった、あの日々を。
奏多の声が、聞こえた気がした
アルバムを作ろうと突然言い出したのは
近いうちに自分が死んでしまうとわかっていたからかもしれない。
奏多は自分がいなくなっても思い出を見返せるように
アルバムを作ってくれたのかもしれない
頬に
一粒の涙が伝った
「私の今の生きる意味は…
大好きなあなたとの、奏多との、あの約束を果たすこと。
生きる意味をくれたあなたに、
__最上級の愛を。」
私があなたがいなくても
明日という日を
歩んでいく
片手に一つの
アルバムをもって。
あなたに一つの贈り物を、そして溺れるほどに深い愛を。完
幼君、これにて番外編含め全話終了となります…!!
読んでくださっていた皆様!!
ありがとうございました!!
僕の小説を「面白い!」って思ってくれる人がいたら
それが一番、僕にとって嬉しいです。
終わるのは寂しいけれど…
幼君は、永遠に!!!