閲覧設定
名前変換設定
この小説には名前変換が設定されています。以下の単語を変換することができます。空白の場合は変換されません。入力した単語はブラウザに保存され次回から選択できるようになります
1 /
目次
第一話 13歳のNo.16
春。まだ少し肌寒い風が吹く朝。
巨大な校門を前に、私
#名字##名前#は盛大にため息をついた。
「…なんで私が高校通わなきゃなんだよ…」
背中にはヒーロー用ケース。その中では小型草人がもぞもぞ動いている。
「栞ー!! 顔死んでるぞー!!」
後ろから聞こえる父である祐希の無駄にデカい声。
「声でけぇ…」
「反抗期!?」
「違ぇは」
母の悠は煙草でも吸いそうな顔で肩をすくめた。
「まあ気持ちは分かる。あそこ変人多いし」
「お母さん元教師でしょ…」
「だから言ってんの」
最悪だ。雄英高校、トップヒーロー育成校。そして、変人の巣窟と言っても過言ではない。
校門の前には既に人だかりが出来ていた。
「え!? あれウィリディスじゃね!?」
「マジ!? 本物!?」
「13でNo.16の!?」
「テレビより顔良くね!?」
「……帰りたい」
視線が痛い。褒められることが少ないから余計居心地が悪く感じる。
そんな私の前に、一人の緑髪の少年が勢いよく飛び出した。
「あっ……!!ウィリディス!?ぼ、僕、前に神奈川沿岸部の土砂崩れ救助見ました!! 草根を地盤固定に使う判断、通常なら七秒以上かかるところを二秒で――」
「近いです離れて今すぐ」
反射的に植物の蔓で距離を取る。
「す、すみません!!」
「……別に怒ってはないんですけど…」
その時だ。
「おいデク!!! 朝からうるせぇ!!!」
爆音。地面が揺れる。現れたのは灰金髪の少年で、あなたを見るなり目を細めた。
「……あぁ? なんでNo.16がここにいんだ」
「私が聞きたいです本当」
「ハッ、やる気ゼロじゃねぇか」
「普通に高校行くのにやる気しかない人珍しいですよ…」
「あ゙ぁ゙!?」
「…」
バチ、と空気が弾ける。周囲がざわつく。その瞬間。
「朝から騒がしい」
静かな低音ボイス。振り返ると、そこには右と左で髪の毛の色が違う紅白髪の少年。彼は私を見ると、一瞬だけ目を止めた。
「……ヴィリディス」
「……どなたですか…」
「轟焦凍だ」
「そうですか…」
「……思ったより小さいな」
「初対面で失礼ですねあなた」
「悪い」
悪いと思ってなさそうな表情だった。さらに、近づいてくる黒い鳥頭の少年。
「“深緑の英雄”ウィリディス……その異能、実に興味深い」
「厨二病ですか?」
「……違う」
「すいません…」
微妙に傷つけてしまった。そんな空気をガラ、と校門の上から降ってきた声が裂いた。
「……お前ら、登校初日から群がるな」
眠そうな目、捕縛布、そして鋭い視線。イレイザーヘッド、こと相澤消太 。私は固まった。母が昔、担任だった男。つまり、親の知り合い。
「……げ」
「その反応やめろ傷つくだろ」
「そうですか、合理主義教師が朝から校門立ってるの珍しくて怖いです」
「初日迷子対策だ」
「小学生ですか???」
相澤はじっとあなたを見る。数秒、沈黙。
「……先生にそっくりだな、口悪いとこ」
「最悪です」
周囲:
(((先生にその返しできる女子初めて見た……)))
相澤は小さくため息をつく。
「#名字#、お前は1-A預かりだ。面倒ごと起こすなよ」
「善処はします」
「信用できねぇ返事だな」
そして雄英生活が始まった。植物を操るNo.16ヒーローと、問題児だらけの1年A組の日常が。
第二話 初日の教室
雄英高校のヒーロー科1-Aの教室
入学初日、扉が開けた瞬間、教室の空気が変わる。
「あっ、本当に来た……!」
「ウィリディス本人!?」
「ちっちゃ……いや細……」
「オーラやばくね?」
視線が一斉にあなたへ向く。教卓横では、眠そうな顔の相澤が寝袋にもたれたまま口を開いた。
「今日から編入する、吉田栞だ。知ってる奴も多いだろうが、騒ぐな」
「「「無理でしょ!!!」」」
教室が爆発する。上鳴電気 が真っ先に身を乗り出した。
「え、待って、マジで13!?!? 芸能人じゃん!!」
「No.16って普通にプロじゃねぇか!?」
瀬呂範太 も興奮気味。
その横で 飯田天哉 が勢いよくメガネを押し上げる。
「静粛に!! 本人が困っているだろう!!」
「いや飯田も声デケェって」
切島がツッコむ。
一方、窓側後方。爆豪勝己 は頬杖をついたまま、じろ、とあなたを見る。
「……随分チビガキだな、No.16」
その近くでは 緑谷出久 がそわそわしっぱなしだ。
(本物だ……!! 現場判断S級、近接・制圧・救助全部トップクラス……!!)
ブツブツ言い始めている。さらに後方では、 轟焦凍 が静かにあなたを見ていた。観察するような目つきで。そしてその隣、常闇踏陰 が低く呟く。
「植物を操る深緑の英雄……神秘的だ」
「お前そういうの好きだよなぁ」
上鳴が笑う。相澤が面倒そうに黒板を叩いた。
「#名字#、空いてる席使え。……緑谷の後ろ」
緑谷が「ぇえっ!?」と変な声を出す。
クラス中の視線があなたに集まった。
「…はい。」
(チビ…まあそうだけどさぁ!?わざわざ言う必要ないと思うんだよねうん!)
爆豪勝己 はあなたの反応を見ると、鼻で笑った。
「図星かよ」
(あれ?顔に出てたかな…)
「おい爆豪!! 初対面だぞ!!」
(うんそれはそう非常に失礼)
切島鋭児郎 が慌てて止めに入る。
「でも実際細っせぇな……ちゃんと飯食ってる?」
「切島、それ完全に近所のおばちゃん」
瀬呂が肩を震わせる。
あなたが席へ向かうと、後ろの席の 緑谷出久 がガチガチになりながら椅子を引いた。
「よ、よろしくお願いします……!!」
勢い余って机に膝をぶつける。
ガンッ。
「いっっ……!」
(痛そ…)
「大丈夫ですか…」
「デク朝から騒音機か?」
爆豪の辛辣な声が飛ぶ。
「ご、ごめん!」
一方で、前の席からくるりと振り返った麗日お茶子が、目を輝かせた。
「#名字#さんってめっちゃ美人さんやね!」
教室が一瞬静かになる。褒められ慣れてないあなたの耳がじわっと赤くなるのを、何人かが見逃さなかった。
「いや全く持ってそんなことはないです」
上鳴、小声でぼそっと。
「……今の反応かわいくね?」
瀬呂、小声もぼそっと。
「ギャップやば」
飯田も、小声のつもりで。
「聞こえているぞ君たち!!」
「飯田声デカい」
その時。ガタッと轟焦凍が立ち上がった。
「#名字#」
突然の指名に教室の視線がまた集まる。
「……お前、火に強い植物も生成できるのか?」
「轟!?第一声それ!?」
上鳴が吹き出す。だが轟は真顔だ。
「前のインタビューで耐火性の蔓を使っていた。気になった」
緑谷が即座に食いつく。
「ぼ、僕も見ました!! あれ恐らく含水率調整と繊維密度を――」
「始まった……」
瀬呂が遠い目をする。教卓では相澤がもう寝袋に入り始めていた。
「……ホームルーム終わるまで教室壊すなよ……」
「わかってます…一応使えますけども、私が知っているものだけです。あとは色んな植物を混ぜ合わせてみたりとか…」
「混ぜ合わせ……!?」
緑谷出久 の目が完全に研究者のそれになる。
「じゃ、じゃあ特性の複合も可能ってこと!? 耐火性と伸縮性とか、毒性と拘束性とか……!」
「デク落ち着けって!!」
切島が肩を掴むが止まらない。
「しかも生成系なのに操作系も兼ねてて、さらに生命付与まで……っ!」
「怖ぇよ情報収集能力」
瀬呂が引く。一方、 轟焦凍 は静かに考え込んでいた。
「……相性いいな」
「何が?」
上鳴が聞く。
「俺の氷で植物の水分維持ができる。火力調整もしやすい」
「お前もう共闘前提!?」
すると今度は爆豪勝己が鼻を鳴らした。
「んな小細工なくても火力で押しゃ終わるだろ」
「脳筋だ……」
「単純だ…」
「聞こえてんぞ半顔とチビ」
教室が騒がしくなる中、あなたの机の横から小さな声。
「……でも、すごい」
常闇踏陰だった。
「植物に命を与えるなど……神の所業に近い」
「常闇ワールド出た」
上鳴がまた笑う。だが常闇は真剣だ。
「その力、相当な精神力を使うだろう」
その言葉に、相澤が寝袋の中から片目だけ開けた。観察するような視線。
「……よく見てんな、常闇」
教室の空気が少しだけ変わる。プロヒーローたちは知っている。“命を与える”系統の個性が、どれほど精神を削るか。相澤は低い声で続けた。
「#名字#の個性は強力だが、反動も重い。お前ら、面白半分で無茶させるなよ」
「「「はい」」」
珍しく全員が素直に返事した。その直後。
キーンコーンカーンコーン――
チャイムが鳴る。相澤はむくりと起き上がった。
「じゃあ移動。初日恒例、個性把握テスト」