「オレは何がしたいんだろうか」
「誰か…オレを必要としてくれ…」
輝いていたはずのスターはいつの日か燻んでしまった
続きを読む
閲覧設定
名前変換設定
この小説には名前変換が設定されています。以下の単語を変換することができます。空白の場合は変換されません。入力した単語はブラウザに保存され次回から選択できるようになります
1 /
目次
Prologue
「…また病院行くの…?」
「咲希の体調が悪くなっちゃったの」
「しばらく病院に行ってるから、留守番よろしくね」
「…うん……オレはお兄ちゃんだからな…!」
「ご飯はそこに置いてあるから…ちゃんと食べてね」
「………任せろ…!いってらっしゃい!」
「行ってきます」
「《《いい子》》にしてるのよ」
「……うん」
---
「…また1人…か」
「…いや…オレは…お兄ちゃんだからな…大丈夫だ…ッ…」
「オレは…将来スターになるんだ…ッ…いい子にしないと……」
「咲希の方が辛いに決まってる…ッ…」
「咲希の…ほう、が…ッ…」
「……ごはん…食べなきゃな…」
#1.
「はーっはっはっは!我が名はペガサス!!魔王を倒しにきた勇者だ!!」
「うーん…なんかちがうなぁ…」
「司、ちょっと声が大きいから静かにしてくれる?」
「…あ…ご、ごめんなさい…」
「父さん!聞いて聞いて!今日学校でね!」
「司…今少し疲れてるんだ、後にしてくれないか?」
「…うん、わかった…」
「またショーばっかりやって…ちゃんと勉強しなさい」
「で、でも…咲希に笑顔になってほしくて…!」
「いい?司はお兄ちゃんなの」
「もっとたくさん勉強をして、咲希に教えてあげるの。」
「か、母さん…ショーも楽しいよ、?」
「みんなが笑顔になれて…幸せになれるんだよ…?」
「咲希だって…元気になれるし…!」
「それを咲希にみせても、あの子が自分を責めちゃうだけでしょ?」
「だから、早く勉強してきなさい」
「…わか、った…」
「……《《ショーなんて》》…馬鹿じゃないの…」
「…ッ……」
(オレのせいで…咲希は笑顔じゃなくなるのか…?)
(オレが…ちゃんといい子のお兄ちゃんじゃないから…)
(母さんも…父さんも…悲しんじゃう…)
(でも………)
「…やっぱり…ショーがしたいなぁ……」
「……早く咲希が元気になりますように…」
#2.
「……またあの時の記憶か……」
「…司くん?何か言ったかい?」
「…なんでもないぞ!」
いつからだろう
毎回こいつらとショーをするたびにフラッシュバックする
幼少期の記憶
「……はぁ…」
「…だめだ…オレがこんなに暗くなってどうする…」
「オレはみんなを笑顔にしなければ…な…!」
「あっ!司くーん!!突撃わんだほーい!!!」
「あ゛…!?ちょ、急に突っ込むなとあれほど…!」
あぁ…体が痛い…
「何してんの…というかうるさい…黙ってくれる?」
…もう少し…優しく言ってくれないか…?
「司くん…今日はこの装置で…♪」
……痛いのは…嫌だ
「まったくお前らは…」
「というか、今回のショーも嫌な予感しかしないんだが…!?」
オレのことも気にかけてくれよ…
いたい
くるしい
つらい
オレのことも…考えてくれ…
「咲希?なんだか機嫌がいいな」
「明日ね!いっちゃんたちとショッピング行くんだ!」
「気になってたコスメも買うし…楽しみ〜!」
「…そうか!楽しんでこいよ!」
「うん!」
そうだ
オレがいなくても
一歌達がいるじゃないか
笑顔になってるじゃないか
「オレは…いらない子…?」
#3.
「……はぁ…」
何度もため息をつく
オレらしくないことは分かってる
「……オレってなんなんだろうか…」
未来のスター?
いい兄になれているか?
みんなを笑顔にできているか?
「…こんなの…オレが望んでいたスターじゃない…」
そう思って、またカッターを手に取る
綺麗に、丁寧に…たくさんの線を腕につける
「…ッ…もっと…ッ!」
力強く、思いっきり…
線だけじゃ物足りない
何も考えず、腕を刺す
「……やりすぎたか…?」
真っ赤になってる手や床
「…深く刺しすぎたな…」
といっても、手当は適当だ
消毒をして…バレないように包帯を巻く
「腕はもう傷つける場所がない…」
「…足か…?」
「いや…衣装によっては足も出すし…だめだな…」
結局、傷があってもお構いなしに切り付けることにした
「…今何時だ…」
「3時…まだ日は出てきてないか…」
「…台本考えるか…?」
「いや…だめだ……勉強しないと…」
「……はぁ…」
1日で何回ため息をついたのだろう
…まぁ…数えてもこれと言った意味はない
「……練習あるし…少し仮眠するか…」
#4.
「…ッ…頭いたい…」
「…練習…行かないとな…」
---
「あ!お兄ちゃんおはよ!」
「…おはよう!咲希は今日…一歌達と出かけるんだよな?」
「うん!すっごく楽しみ!!」
「はは…だが、体調には気をつけろよ?」
「わかってるよ!それじゃあ行ってくるね!」
「嗚呼!行ってらっしゃい!」
「…さて…オレもそろそろ行くか…」
---
「司くーん!!!!おはようわんだほーい!」
「えむ…突撃するなとあれほど…」
「うるさ…静かにすると死ぬ病気なの?」
「す、すまん…」
「………司くん?大丈夫かい?」
「ッあ、?…大丈夫だ!」
「…そっか、無理はしないでね」
「…ありがとうな…類…」
---
リスカの傷は全く痛くないのに
なぜかズキズキする
どこだ?
どこが痛いんだ…?
わからない
なにもわからない
「ッ…はぁ…ッ…」
「…カッター…どこ置いたっけ…」
今日もまた
体に線をつける
これをしないと落ち着かない
「…はぁ…ッ…」
「ッ…いっ…た…」
「………深い…」
「気持ち悪い腕…」
「…明日も練習だ……寝ないと…」
#5.
ふと思った
オレには何があるのだろうか
綺麗な歌声…?
頭の良さ…?
明るい笑顔……?
なにも持っていないじゃないか
オレには何がある?
なんの取り柄もない…
「…だめだ…何考えてるんだ…ッ」
「もっと…もっと上を目指して…頑張らないといけないのに…ッ」
「頑張らないと…」
「………」
だめだな、オレ
こんなことばっかり考えていたら…
「みんなが…笑顔になれないじゃないか…」
#6.
「……ッ?今、何時だッ?」
「……8時…」
「遅刻確定だろ…これ……」
「…行きたくないな……」
---
「おはようございます!!!」
「天馬遅刻だぞ?」
「すみません!!!!」
「…まぁいい、次から気をつけるように」
「はい!!!!」
---
「…はぁ……」
「まだ昼…あと2時間も耐えれん…」
「…サボろうかな…」
「あっ!つかさせーんぱい!」
「…?……おぉ、暁山か!」
「せんぱーい?今日お弁当忘れちゃって〜…」
「またか…」
「えへへっ…可愛い後輩のためにさ〜…」
「…そうだな、オレは《《先輩》》だからな!!」
「ッ?…つ、司先輩…?」
「ん…?どうかしたか?」
「ほら、早く購買行くぞ!」
「あ…は、はーい…!先輩やっさし〜…」
(司先輩……さっき……)
(…気のせい、だよね)
---
inワンダーステージ
「つかさくーん!!!わんだほーい!!」
「…うッ…何回突撃すれば気が済むんだ…」
「だからうるさいってば…」
「今日も賑やかだねぇ」
---
「今日はここまでとしよう!!」
「うん!みんなおつかれわんだほい!」
「あとは各自練習して、今週末に備えようか」
「うん、明日は通し練習だよね」
「そうだね、台本の最終確認もしようか」
「楽しみだね〜!」
「そうだ!この後みんなでたい焼き食べに行こうよ!」
「またたい焼き…?」
「えへへ…すっごく美味しそうだったから〜…」
「じゃあ行くとしようか、司くんも行くよね?」
「…オレは……」
「……すまん!この後用事があってな…」
「そっか、じゃ、また明日ね」
「司くん…また一緒にいこーね!」
「…嗚呼」
#7.
「……疲れた」
今日はいつも以上に疲れた気がする
「…もうすぐで本番だ…気を抜かないようにしなければ…」
「失敗しないように…」
「……もう一度…台本を確認しとくか…」
---
「……だめだ…集中できん…」
「なんでだ…」
「ッ…はぁ…」
いつもはもっと役に入り込めるのに
今日は調子が悪いのか……?
「…息抜きに…セカイに行くか…」
---
「…あれ…なんか雰囲気が…」
「……司くん?」
「…ッ?お前…ミク…なのか、?」
そこにはオレの見たことがない
灰色の髪、綺麗なオッドアイ…そして、白くて可愛らしい服を着たミクが立っていた
「…ミク…?」
「ッ…また…崩れてきちゃった…」
「……?…あっ…観覧車が…」
色のないセカイ
ボロボロになった観覧車やメリーゴーランド
いつもの明るさがない
なにもないセカイ
「……これが…オレの想い…?」
「………」
「…司くん、類くん達がこっちに来る」
「えッ?…」
「…いや、だ…追い返してくれないか…?」
「……うん、わかった」
「ごめんな、」
---
類side
「…よし…装置の確認も終わり…」
「疲れたな……セカイに行って息抜きしようかな」
---
「…え、?」
そこには見慣れていたはずのセカイはなく、
ボロボロになった遊園地が広がっていた
「なんでこんなことに…」
「!ミクくん?」
「あ……」
「なんでセカイがこんなことになっているんだい……?」
「まさか…司くんに何か…」
「ごめんね、」
「…ッ?」
「追い返してって、頼まれてるの」
「…そう、か…」
「……さよなら」
「でもどうか」
--- あの子を救ってあげて ---
「……あぁ」
---
「……えむくん達に知らせないと…」
「…!?untitledが……消えてる、?」
「『セカイはまだ始まってすらいない』……」
「だめだ…いけなくなってる……」
--- あの子を救ってあげて ---
「………司くん…」
#8.
「あっ、類くん!」
「ねぇ類…司が全然来ないの…」
「連絡しても繋がらないし…」
「………」
「…司くんは……セカイにいるよ」
「ほんとっ?じゃあ早くいこ!」
「あ…えむくん……」
「…ッ?え…?untitledが……無くなってる…?」
「えぇ!?なんでぇ…?」
「た、叩けば出てくるかな…!?」
「ちょ…えむ落ち着いて…」
「……今、セカイには入れない」
「昨日…セカイに行ったんだ」
「類が…1人で…?珍し…」
「……壊れていた」
「…えっ?」
「セカイが…壊れていたんだ」
「は…?ど、どういうこと…?」
「…司くんは……僕たちを拒絶している」
「な、なんで…?あたし達なにも心当たりないよ…」
「…なんなの…?…もっと詳しく説明してよ…ッ!」
「………」
「ねぇ類…!司は!?司は大丈夫なの!?」
「セカイは…!?どうなってるの…!?」
「……そのまんまだよ、壊れていた」
「観覧車もメリーゴーランドもジェットコースターも列車も…」
「全部、ボロボロになっていた」
「動いてもなかったし、色もなかったね」
「いつもの明るさもない」
「元気なミクくんもいない……」
「なにもないセカイ、だったよ」
「……そんな…る、類くん…他になにか…わかることとか…」
「…すまないね、これ以上は何も…」
「……行く」
「寧々……?」
「セカイに行く」
「ね、寧々ちゃん…?今はuntitledがないし…」
「でも…ッ!司を放っておけるわけないでしょ…!?」
「行かないと…ッ!」
「寧々、落ち着いて…」
「現状、セカイに行く方法がないんだ」
「1日…様子を見てみよう…」
「…それでも…セカイに行けなかったら…?」
「……大丈夫だよ、司くんの想いが消えない限り、セカイは存在し続ける」
「そうかも…しれないけど…!」
「寧々ちゃん…!…1日だけ…待ってみよう…?」
「……わかった…」
#9.
「寧々ちゃん!類くん!!みて!」
「untitledが戻ってるよ!」
「ほんとだ……なんで急に…」
「司くんの想いに…関係してるのかな…」
「は、早く!早く行かないと…!」
「寧々ちゃん!?ま、まって!」
---
「なに…ここ……」
「ここ…ほんとにセカイなんだよね…?」
「…うん……」
「ほら…早く司くんを探そう」
「探すって言っても…どこに…?」
「と、とりあえずミクちゃん達を探そうよ!」
「案内してくれるかもだし…!」
「……えむに賛成…ミク達を探そう」
「…それじゃあ、行こうか」
---
「うぅ…このセカイ…なんだか怖いよぉ…」
「ほんとに色がない…」
「……前来た時と…あまり変わっていない……」
「……あッ!あそこ!ミクちゃんとKAITOお兄さんがいるよ!」
「ほんとだ…でも…雰囲気違くない、?」
「うぅ…どよよーんってしてる…」
「…ミクくん…と…KAITOさん、?」
「……みんな、来たんだね」
「ミクちゃん…」
「………何の用だ」
「KAITOさん…?なんか…いつもと口調が…」
「…五月蝿い」
「…ッ……」
「…司くんを探しに来たんです、どこにいるか知ってますか?」
「……見つけてどうする、連れ戻すのか?」
「だ、だって…もっと司くんと一緒にショーしたいし…!」
「………」
「…あいつは今、自分の想いを殺そうとしてる」
「は……?想いを…殺す、?」
「…分かるだろ?あいつはお前らを拒絶してるんだ」
「わかったら早く…」
「………いやです!」
「えむ…?」
「あたし、司くんが何で苦しんでるのかわかんないけど……」
「あたし達が司くんに救われたみたいに、あたし達も司くんを救いたいの!」
「……私も、司を救いたい…」
「こうやってショーができてるのは…司のおかげ…だから…」
「僕も同感だよ…だからKAITOさん、」
「俺たちの座長に、会わせてくれないですか?」
「…………」
「…わかった、こっち」
「……!…ありがとう!ミクちゃん!」
「…教えるのか」
「この子達なら、あの子を救える」
「……そうか」
#10.
「ここ、このテントの中に…いる」
「わ…こんな大きなテントあったんだ…」
「ほんとに、司がここにいるの、?」
「うん、ほんと」
「……行こうか」
---
「あ…!司くん!!」
「……は、?」
「なんでここが……」
「…………」
「……早く帰ってくれないか?」
「司…!ちょっとだけ…話聞いて…!」
「…帰れと言ってるだろ、聞こえないのか?」
「……ッ…司くん…一緒に戻ろう…」
「……だから…ッ!」
「早く帰ってくれないか…?(ニコッ」
「ぴゃっ…!?」
「……演じないでよ…私は…本当の司と話したいの…」
「演じてなんか…オレはいつもと同じだろ、?」
「司くん……教えてくれないかな?」
「君が……何で苦しんでるのか…」
「なんで自分を隠すのか……」
「話してほしいな」
「……ッ…!ミク…追い出してくれ…」
「……でも…」
「早く…ッ…頼む…」
「……わかった」
「ミクちゃん……!」
「…さよなら」
---
「…あなたも……」
「…ッ…司くん!」
「僕は……司くんの仲間だから…!」
「親友…だから、!」
「話はそれで終わりか?」
「え…ッ?」
#11.
「お前らが見たいオレってなんだ?」
「座長・いい兄・学級委員・親友・仲間・先輩……」
「どの『天馬司』なんだ?」
「オレには演じる役が多すぎた」
「本当の自分すら見失ってしまった」
「司、くん…」
「……話はおわりだ…ミク、早く追い出してくれ」
「………」
「まって!司く…」
---
「……このセカイも…もういらない」
「なぁミク…セカイを消すことってできるか、?」
「……うん」
「…消してくれ、このセカイを」
「……うん、待ってて…」
---
幼い頃から、ずっと1人だった
両親も、口を開けば『咲希』『咲希』って…
咲希が憎いわけじゃない
両親が憎いわけでもない
あの頃は寂しかったんだろうな
自分も相手にしてほしくて
時々わがままを言ったりしていた
そのわがままのせいで、両親を困らせてしまった
その日からオレは『いい子』になった
いつか、自分のことも見てくれる
そう思って演じていた
でも、現実はそう上手く行かなかった
誰も…オレのことを相手になんかしない
それでもオレは、演じ続けた
ずっとずっとずっとずっとずっと
本当の自分を隠して…
そうやって演じ続けていたら、
自分を見失ってしまった
……最後は仲間まで傷つけてしまって…
「最低だな、オレ」
---
--- 天馬司の単独|ショー《人生》、これにて終演です!! ---
--- ご清聴ありがとうございました!!!! ---
--- また来世でお会いしましょう!!!! ---
最後はハッピーエンド…なんて、
できなかったな……
___暗 闇 に 浮 か ぶ 一 つ の ス タ ー end