そのままの通り、短編小説をまとめてます!
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目次
【短編小説】とある城での1日
我はこの城の王だ。今日もいつもと変わらぬ日々を過ごしている。
我の朝は早い。起きたらまず、この城に支えている下僕を呼ぶ。
この城に従えているこの下僕は、起きたら我の食事を用意しなければならない。
食事の用意を忘れれば、我がきつい仕置きをするからだ。
いつもと変わらぬこの朝食、我は嫌いではない。
しばらくすると、下僕は門から外へ出ていく。理由は知らぬ。
我は王としてそれを見送るのが毎日の日課だ。
さて、下僕の見送りも終わったことだし、城の警備でもするか。
そう思い立った我は、我の王室から城の隅々まで見回り、
敵がいないことを確認した後に昼寝をした。
夕方ごろに下僕は帰ってきた。
すると下僕は、我の髪を整え始めた。これも毎日の日課だ。
我は下僕に身を委ね、ただ髪を整わせる。
そうした後に、下僕は我に夕食を用意した。
今日は我の好物である鮪か。なかなか気が効くではないか。
我が夕食をとっている間に、下僕は風呂に入って就寝の用意をしていた。
我は今気分がいい。だから特別に同じ部屋で寝ることを許可した。
ゆっくり瞼を閉じてゆく。
こうして、我の1日は下僕と共に幸せな夢へ沈んでいった。
---
私はこの家の住民だ。今日もいつもと変わらない日々を過ごしている。
私の朝は早い。なぜなら、私の愛猫のマロンに起こされるからだ。
私は起きたら、まずマロンの朝ごはんを用意する。
この間朝ごはんを忘れていたら、マロンに顔にのられてしまったからね。
いつもと変わらない朝ごはんに私は少し飽きている。
外出の用意をして、私は仕事に行こうとする。
マロンの寂しそうな声に心を痛ませながら家を出るのが毎日の日課だ。
私はこの単調な日々に飽きつつある。しかし、猫は変化を好まない。
私が飼い主であることに、彼は満足してくれているのだろうか。
そんなことを考えながら、私は仕事帰りにマグロの缶詰を買って足早に帰った。
家に入るなりマロンがお出迎えしてくれた。揺れる尻尾に心が癒される。
私は早速マロンを撫で始めた。マロンも気持ちいいのか、体を私に預けてくれる。
そうして長い時間が過ぎた後、私とマロンは夜ごはんを食べた。
大好物のマグロにマロンも喜んでくれていた。よかったよかった。
マロンがご飯を食べている間に、私はお風呂に入って寝る準備をした。
すると、機嫌がいいのか、はたまた猫特有の気まぐれなのか、
今日は一緒に寝たいようだった。私も一緒に寝たかったから嬉しいな。
ゆっくり瞼を閉じてゆく。
こうして、私の1日はマロンと共に幸せな夢へ沈んでいった。
---
こんな風に、何も変わらぬ日々が、
いつまでも続くといいな。
こんにちは!「読書が好き🍵」です!
今回は初めて短編小説に挑んでみました!
意味怖とは全く違う、優しく柔らかい雰囲気で作ったつもりです!どうでしたか?
なにかアドバイスや助言があれば、是非コメントで教えてください!
では、またどこかで会いましょう!
【短編小説】恋の終わりを告げる鐘
今日は土曜日。外では鳥たちが何かを話している。
今日、私の初恋の人が結婚式をあげる。
私は高校生の頃の卒業アルバムを取り出して、少しずつ初恋の時を思い出してゆく。
---
初恋の人、晴翔に出会ったのは、校内の図書室で本を読んでいた時だった。
私は目立つような人間じゃない。いわゆる『インキャ』だった。
それに比べて同じクラスの晴翔は、いつも周りに人がいた。
その上優しくて運動も勉強もできる。つまり、女の子たちの恋の的だった。
私とは生きている世界が違う。そう思って、これまで関わるのを避けていた。
「この小説面白いよね!君もこういう本好きなの?」
「え!?あ、はい……」
そんな彼が、私に声をかけてくれたのだ。
その瞬間、私の心に鮮やかな花々が咲き乱れた。
---
思い出に浸りながら、今日の予定を振り返る。
まだ家を出るには早いな。もう少し家でゆっくりしよう。
そんなことを考えながら、私はまたアルバムに目を落とした。
---
その日から私は、彼のことが頭から離れなくなった。
何をしていても、ふとあの時の彼の笑顔が浮かんできたのだ。
そしてあの日以降、彼は時々私に話しかけてくれた。
「あれ?小説変えたの?あ、これ前のと同じ人の作品?」
「あ、はい…この作家さん面白くて…」
「ねえ、なんで敬語なの?俺ら同級生なんだし、タメ口でいいよ!」
「え…!?ぅあ………うん、わかった…」
「その小説読み終わったら、感想とかあらすじとか教えてよ!俺も読んでみたい!」
「え、あ、わ、わかった…!また教えるね…!!」
気さくに話しかけてくれた彼に、私はますます惹かれていった。
この片思いが、私は永遠に続くと思っていた。
……あの日までは。
あの時、彼が言ったあの言葉を、私は忘れることはない。
「俺、実は好きな人いるんだ。今度告白するから、考えるのを手伝って欲しい。」
---
気づいたら、私の頬を涙が伝っていた。
自分の涙脆さに驚き呆れつつも、また時間を確認する。
もうすぐ午後か…あと20分はゆっくりできるな。
遅刻だけはしないようにしないと…そう思いながら、私は目を閉じた。
---
私にお願いした理由は、
「恋愛小説をよく読んでたから、そういうの得意そう」だからだそうだ。
私たちは放課後、教室に二人のこって恋文を書いていった。
『実は好きな人いる』『今度告白する』……あの声が脳裏をよぎるたび、
私の心に雨が降り、私の花を殴りつける。痛みと悲しみで何度も泣きそうになった。
それでも私は初恋の人のために、必死に言葉を考え、目の前の初恋の人に伝える。
言われたかった言葉を。言いたかった言葉を。全て紙に起こしていく。
そして最後に、私が一番言われたかった言葉を伝えた。
「あなたがずっと好きでした。どうか、付き合ってください。」
「…これでいいな!ありがとう。これで絶対成功するよ!俺、頑張る!」
「………………。……うん、がんばってね…!!」
今すぐ泣きたい気持ちを抑え込んで、私は無理やり笑顔を作る。
ああ、彼に告白されたら、その人はきっと、泣いて喜ぶだろうな。
綺麗な笑顔を浮かべて、「はい、よろしくお願いします。」と言うんだろうな。
ああ…辛いな……
でも…彼が幸せなら……
私はそれでいい…………
「……………よし。」
長い沈黙の後、彼が立ち上がった。机がガタンと揺れる。私も思わず立ってしまう。
彼がまっすぐこちらをみている。緊張と戸惑いで私は動けなくなってしまう。
また沈黙が流れる。どこか不思議な空気が、二人の間を通り抜けていく。
そうして彼は…
--- 私たちがついさっき書き上げた恋文を読み始めた。 ---
---
気づけば、もう午後を過ぎようとしていた。
その時、部屋のドアが半分ほど開き、私に質問がとんでくる。
「ねえ、そろそろ家出る時間だよ!もう行けそう?」
よく通った心地のいい声に、思わずクスッと笑いながら私は答えた。
「うん、大丈夫だよ。」
立ち上がって、スカートをトントンとたたく。そして、顔を上げた。
--- 「…じゃあ行こうか。…《《晴翔》》 。」 ---
---
あの時、彼が最後に言ってくれた言葉を、私は忘れることはないだろう。
--- 「僕は、初めて出会った時からあなたがずっと好きでした。 ---
--- どうか、僕と付き合ってください!」 ---
あんなに必死な彼を、私は初めてみた。
そして、私が人前であんなに堂々と泣いたのも初めてだった。
ああ、やっぱりだ。私の予想はあってたなぁ……
彼に告白された人は、たった今、泣いて喜んでいる。
そして私は、今までで一番綺麗な笑顔を浮かべて、彼にこう伝えた。
--- 「はい。よろしくお願いします。」 ---
---
今日は土曜日。外では鳥たちがお祝いしてくれてる気がした。
今日、私の初恋の人が結婚式をあげた。
こうして、恋の終わりを告げる鐘は、
新しい『愛』の誕生を祝う声を、遠く遠く響かせるのだった。
こんにちは。「読書が好き🍵」です。
今回は少し感動要素を混ぜ込んでみました!
パッと思いついてパパッと作ったので下手かもですが…(汗)
アドバイスなどがあれば、是非教えてくださいね。
それでは、またどこかでお会いしましょう。
【短編小説】地獄を歩く少女
私は今、地獄を歩いている。過ちを犯して死んだから。
私の目には、轟々と燃え盛る炎と闇が映っている。
結局、世界は私たちに見向きもしなかったなぁ。
そんなことを考えていると、頭の中に生前の映像が流れてくる。
---
「………またか…」
今日も私の机は罵詈雑言で溢れている。
「キモい」「生きる価値なし!」「インキャちゃんオハヨウ♡」「また来たの?」
そんな言葉の数々を、私は無言で掃除する。
少し離れたところで、一軍がクスクスとこっちを見ている。
するとそのグループの中でも一際目立つ女子がこちらに近づいてきた。
「おはよインキャちゃん!まだ生きてたんだね!ゴキブリみたい!」
「あ、はい…」
「は?なにその態度?」
「…ごめんなさい。」
__「……今日も校舎裏来てネ♡」__
「………。」
「ねーねー返事はー?」
「…はい。」
向こうから、さっきよりも大きな笑い声が聞こえてくる。
教科書を開こうとしたら、異臭がする液体がかけられていた。
「おいおい、ちゃんと風呂に入ったのか?しっかり洗え!」
「はい、すみません…」
周りの視線が私に向き、小さな笑い声が飛び交う。
昼休み、私はそっと教室を抜け出してトイレに行く。
一人でお弁当を食べていると、上から水が大量に降ってきた。
多分、今朝の雑巾を洗った際のものだろう。
「あ、ごっめーん!間違えちゃった!お掃除ヨロシク!趣味でしょ?」
キャハハ、と金切り声にも近い笑い声が通り去っていく。
私はただ一人静かに床を拭いて、食べられなくなった昼食を捨てる。
学校が終わった。私は重い足を引き摺りながら校舎裏へ向かう。
「おっそ。ナメクジかよ気持ち悪い。」
そのあとはいつも通り、殴られ蹴られ、カッターで指を切られたり。
「あ!そーいえばナメクジって塩かけたら溶けるんだよね?実験実験ー!」
そう言いながら、先ほどの指に塩を塗りたくられる。
「……っ!!」
「なに声だしてんだよ気持ち悪いな!!!」
何回も何回も殴られた。蹴られた。どうでもよかった。
「うわー先公こっち来てるわ。逃げよ?」
「ちっ…お前さ、勿論このこと誰にも言うなよ?」
そういって彼女たちは逃げるように去っていった。
私も先生に見つかるのは面倒なので、隠れながら校門をくぐった。
家に帰ると、フライパンが腹に飛んできた。思わずうずくまる。
母が私の顔を床のフライパンで殴りつけた。
「何ボーッとしてんだよ!とっとと家事をしろ!」
「…はい、お母様。」
私は家に入って、母のご飯を作り、知らない男の服を洗濯し、部屋を片付ける。
隣の部屋からは、母と男の楽しそうな声が響いている。
ああ、またご飯が冷めちゃうな…
「アタシにこんな飯よく出せたね!作り直せこのメス豚!!」
母は私のご飯をゴミ箱に投げ捨てて、私を蹴飛ばした。
私はご飯を作り直し、母が寝た後にゴミ箱の中の埃まみれのご飯を頬張った。
こんな生活でも、私は生きてこれた。
だって、いつだって《《この子》》が見守っていてくれるから。
そう呟いて、私はクマのキーホルダーを抱きしめた。
「このクマはな、お前のことをずーっと見守ってくれるんだぞ!」
「ほんとに!?いつでも?」
「そう!これは父ちゃん第二号だぞ!」
「すごーい!!」
「ああ!父ちゃんはいつだってこれを通してお前を見てるからな!」
これは、父が生前にプレゼントしてくれたものだ。
その頃は母も優しく、3人で幸せに暮らしていた。
ある日、父が突然の病に倒れて死ぬまでは。
その日から、父《《だけ》》を愛していた母は私を憎み、世話を放棄した。
でも私は、これを通して父が見守ってくれていると信じて、頑張ってきたのだ。
「こっち向くなよブス!私の顔が腐るだろうが!!」
また今日も殴られている。
「ほらこれ。昨日お前が捨てた弁当。もったいねーから食えよ!」
そういってゴミまみれの腐ったナニカを口に詰められる。
思わず吐きそうになって、顔を思い切り蹴られた。
「……あ、そーいえばー、《《これ》》お前のだよね?」
そういって彼女は、私のキーホルダーを揺らしてみせた。
「…!!返して!!お願い返してよ!!!」
「うっわキモwこんなゴミに執着してやんのww」
そう言うと同時に、彼女は地面にそれを落とした。
「ゴミは処分しないとねー!あー私ったらやさしー!ww」
彼女は、足を思い切りキーホルダーに向けて振り下ろした。
--- バキッッッ!! ---
音を立てて、父の形見は粉々になった。
「……………………!!!!!」
「うわこいつマジでキモい…ゴミ壊されてガチギレしてるよw」
「そろそろ校門閉まるよ!もう帰ろーよー!!」
「はいはーい。じゃ、また明日!あ、別に死んでくれててもいいよ♡」
そういって、アイツらはどこかに逃げていった。
ゆるせなかった。
あんなにいうことにしたがっていたのに。
あんなにつくしたのに。
なんでまだうばわれなきゃいけないんだ。
なんでわたしばかりうばわれるんだ。
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
気がつくと、私の足元には彼女たちの死体が転がっていた。
いつもは濃い化粧で隠していた顔が、恐怖と苦痛で歪んで醜い姿となっていた。
私の手を見ると、先ほどまで地面に転がっていたカッターが握られていた。
「……くへへ」
私はそれを放置したまま、母の元へ向かった。
母は最初は抵抗していたものの、途中で酒の空き缶で足を滑らせ、
そのまま私の手によって死んでいった。
心底気持ちが良かった。私は奪ってやったのだ。
そして最後は、私の番だ。
私は赫く染まったカッターを、私の首に突き刺した。
---
「不幸な目にあった者は最後には報われる」
「誰かが必ず助けてくれる」
「悪い人間には制裁が喰らわされる」
そんな楽観的なことが起こるのは、子供の絵本の中だけだ。
先生も、クラスメイトも、父も、結局誰一人助けてはくれなかった。
どれだけ相手が罪を重ねていたとしても、どれだけ自分が不幸であっても、
反撃をすればたちまち私が悪いことになる。
…結局、現実世界もここも、地獄だったのかなぁ…
私はそんなことを考えながら、一人地獄を歩いていくのだ。
--- -|永遠《とわ》に…- ---
こんにちは、「読書が好き🍵」です。
今回は少し重めにしてみました。
深夜テンションで作ってるので下手くそです。
もしアドバイス等があれば、ぜひ教えてください。
では、またどこかで会いましょう。
【短編小説】世界が終わる日に
午前7時、私は外の物音で目を覚ました。
日曜日の朝、私は大きく背伸びをした。
まだ開き切らない瞼を擦りながら、私はカーテンを開ける。
目の前に広がる風景も、いつもと同じ。
見慣れた住宅街、何本かの電柱、そこに止まる雀、
そして、道路慌てふためき泣き叫ぶ人々。
そこら中に血痕や、ところどころには腕と思われるナニカが落ちている。
空には絵本によく出てくるような丸い円盤。
しかし、絵本のように可愛らしい宇宙人の姿はない、どこか禍々しいものだ。
--世界が滅びるまで、あと10時間--
---
私はいつも通りの朝食を食べて、ニュースをつける。
テレビは先程の円盤の話や混乱した人々の話で話題が埋まっていて、
数週間前まで当たり前のようにやっていた子供番組も、勿論放送していなかった。
今日は本当なら学校があったはずだが、こんな状況なら当然休みだろうな。
外では人々が争う声や悲鳴が絶えず聞こえてくる。
まあ、どうでもいいけど。世界が終わるなら、せいぜいする。
私にはもう家族はいない。友達もいない。
両親も祖父母も従兄弟も学校の友達も、全員死んだ。
正直、家族も友達も夢も希望もない人生なんて、ない方がいいとさえ思っていた。
7日ほど前だろうか。あのニュースが放送されたのは。
「空に未確認物体が目撃されています。皆様、建物内へ避難してください。」
その日から、世界は変わった。
「飛行物体に動きは見られません。しかし、建物内からは出ないでください。」
「混乱した人々が暴走し、◯◯市が壊滅しました。」
最初はそんなニュースばかりだった。正直バカだと思った。
進展がないのに報告して、余計に市民の神経を逆撫でするなんてバカだな、と。
しかし、ある日突然動きがでた。
「飛行物体から要求が提示されました。」
『政府に幾つかの『指輪』を渡す。そのリングを身につけている者だけは、
我らの星で育てよう。それ以外はこの星ごと消す。』
だそうだ。世界はその指輪を求めて争いが始まった。
権力者や大統領が、自分と家族を生き残らせようと戦争し、《《ソレ》》を奪い合った。
私の街にも、どうやら一つだけ、リングがあるらしい。
朝の騒動はそれが原因だ。
ああ、うるさい。
みんな自分勝手だ。
自分が助かるために簡単に他人を蹴落とす。
私の身の回りの人々も、指輪を奪おうとして返り討ちにあって死んだ。
今までどんなに優しかった人でも、死に際には本性が出る。
ああ、こんな世界、早く滅びればいいのに…
--世界が滅びるまで、あと9時間--
---
しばらくゴロゴロしていたら、時間がどんどん過ぎていった。
時間が経つにつれ、私に開放感と幸福感が舞い降りる。
不謹慎だが、私はこの世界が人の醜さで腐敗していくのが、とても愉快だった。
--もう少しで、こんな世界から解放されるんだ…--
そんな事を考えるたび、私の頬が緩んだ。
自分でも、自分自身を最低だと思った。
やはり、人は死を目の前にした時、自分の醜い部分を曝け出す。
ああ、《《彼女》》は今どうしているんだろうか。
こんな状況でも、変わらず優しいのだろうか。
もう直ぐ昼になる。私は最後の晩餐を作りに、台所に立つ。
--世界が滅びるまで、残り4時間--
---
大きな叫び声と共に、私は飛び起きた。
昼食の後、気付かぬうちに昼寝をしてしまっていたらしい。
何事かと思い二階に登りカーテンを開けると、
人々の争いが酷くなっていた。
ああ、またかと思っていたら、ある男の声が耳に届いた。
「近くに指輪を持ってる奴がいる!」
ああ、ここまで来ているのか。家から出なければいいのに。うるさいなぁ。
空を見上げると、朝よりも円盤が増えている。
なるほど、どうりで暗いと思った。
ああ、いやだなぁ。早くこんな世界なくな
**バンッ!**
突然の爆音に肩が上がる。
……一階から聞こえた…?
私は早足で一階へ駆け降りた。
すると、裏口が開け放たれていて、
その側に、《《彼女》》が肩で息をしながら立っていた。
「久しぶり、麗香。中学以来かな。」
「……綾乃ちゃん…?」
--- 目の前の女…「綾乃」は、私が誰よりも嫌った存在。 ---
--- ……そして、私の大親友だ。 ---
--世界が滅びるまで、あと30分--
---
綾「…ふぅー、ごめんね、急に押しかけて。もう今しかないと思って。」
麗「…そっか。」
綾「…どう?元気してた?」
麗「そう見えるの?」
綾「…まったく。今にも消えそうな顔してる。」
麗「どうせ消えるじゃん。私も、綾乃ちゃんも。」
綾「…そうかー。」
麗「………」
綾「………」
麗「………………ねぇ。」
綾「なに?」
麗「……まだ怒ってる?」
綾「なににー?」
麗「…《《あのこと》》。」
---
私と綾乃は中学で出会った。
初対面なのにも関わらず、二人とも運命を感じていた。
私たちはすぐに仲良くなり、いつも一緒にいた。
綾乃はみんなに愛されるような優しくて明るい性格だった。
それに比べて私は根暗で、あまり目立たない性格だった。
そんなだから、私はいじめの標的にされた。
最初は陰口や上履き隠し、文房具を隠したりだった。
そのうちにエスカレートし、ついに机に暴言を書かれるようになった。
私は別に良かったのだが、綾乃がそれを許さなかった。
いじめっ子たちに怒って、先生に報告してくれ、私に寄り添ってくれた。
ただ、それによって、綾乃もいじめの標的となった。
それが、どうしても耐えられなかった。
自分のせいで誰かが傷つくのが、つらくて苦しかった。
麗「ねぇ、綾乃。もう私に関わらないで。」
綾「…え?なんで?急にどうしたの?」
麗「ずっと私にまとわりついて鬱陶しいし気持ち悪い。だから来ないで。」
綾「え、う、嘘で
麗「いいから!!もうしつこい!!!」
綾「……そっか…」
麗「もう二度と、私に関わらないでね。」
家に帰ってから、自分の行動を悔いた。
なんて酷い事をしたんだ。なんて事を言ってしまったんだ。
綾乃のあんな悲しい目、見たことがなかった。
私が、親友を傷つけたんだ。
全部私のせいだ。
でも、もう引き返せない。
どうしようもないんだ。
私はどうしようもない罪悪感を、一人悔い続けた。
---
綾「……あー、あれか。ううん、全然。絶対嘘だと思ってたから。」
麗「……え?え、ど、どういうこと?」
綾「いや、多分演技だろうなって思ってた。だから演技し返したの。」
麗「で、でも!あんなに悲しそうな顔して…!!」
綾「麗香、私が演劇部だってこと忘れた?」
麗「あ……あ……うそだ…………………」
綾「……麗香はさ。」
麗「……?」
綾「私たちの絆が、あれっぽっちの言葉で切れるようなものだと思ってたの?」
麗「!」
綾「麗香がどれだけ演技しても、私は騙されないよ。」
麗「…………………あ…あぁぁ……!!」
綾「……麗香。正直になっていいんだよ。演技しないで、本当の声を聞かせて。」
麗「…………っっ!!!!」
**バッ**
麗「………ごめんね…ごめんね綾乃ちゃん…!!」
綾「うん。いいよ。」
麗「私、ずっと怖かったの…綾乃ちゃんが私のせいで傷つくのが怖かったの…!!」
綾「そうなんだ。守ろうとしてくれたんだね。ありがとう。」
麗「でも…!!家に帰ってから、酷いこと言っちゃったって怖くなって……!」
「でももう引き返せなくて…謝れなかったの!!ごめんなさい!ごめんなさい…」
綾「怒ってないよ。大丈夫。」
--- 「私たちは、いつまでも親友だからね。」 ---
麗「…!!あぁ…ごめんね…ごめんね…」
綾「………ねぇ、《《これ》》、何か知ってる?」
涙と汗で前が見えない。
それでも見ないといけない。
そんな思いで顔を上げて、綾乃の手を見た。
麗「!!それって…!!!」
私はその手に光る指輪から、目が離せなかった。
--世界が滅びるまで、あと5分--
---
麗「それってまさか…!!」
綾「そう。これをつけてたら生き残れる、あの指輪だよ。」
麗「じゃあこの騒ぎが起きた理由ってあや
綾「しっ、あんまり声出さないで。外の人に聞こえたら大変だから。」
私は思わず口を覆う。
綾「そこで、麗香に聞きたいことがあるの。」
麗「……なに?」
綾「…………この指輪、欲しい?」
麗「………………え?」
時が止まる。いや、止まったような気がした。
綾「これで生き残れるのは、一つにつき一人。二人は無理。
麗「…………」
綾「麗香が生き残りたいなら、私はこれを麗香に譲る。」
麗「……え!?」
綾「言ったでしょ?私と麗香は二人で一人。だから私の権利も麗香のもの。」
私は唾を飲んだ。
綾「………ごめんね、こんなこと聞いて。でも、麗香に答えて欲しい。」
私は覚悟を決める。
私はもう傷つけたくない。
麗「……ううん、いらない。綾乃ちゃんがつけて。」
綾「え!?……なんで?」
麗「私は、もうあなたを傷つけたくないの。」
綾「…………そっか…」
「……麗香がそうくるなら、私はこうするね。」
そう言って、綾乃は指輪を地面に置いた。
そして、近くにあったトンカチを手に取った。
麗「……なにしてるの?早くつけ
綾「私も、もう麗香と離れたくない。だからこうするの。」
その瞬間、綾乃はトンカチを持っている手を指輪に振り翳した。
**ガンッッ!!!!**
そんな音が鳴って、生きるための道は美しい欠片となった。
--世界が滅びるまで、あと2分--
---
麗「………え…?」
綾「…私は確かに、あなたの言葉が嘘だってわかってた。」
「………でも、あなたに無視されて、寂しかった。」
麗「……!」
綾「だから、もう離れたくない。」
麗「……っっ!!」 ポロポロ
--- 綾「…麗香が死ぬなら、私も一緒に死ぬよ。」 ---
麗「あ…あぁ…綾乃ちゃん……」
綾「麗香…死ぬの、怖い?」
ああ、こんなときに、もうどうでも良かったのに。
わたし…わたし…
麗「………どうしよう…怖いよ…死にたくないよ…」
綾「…私もだよ。…でもね?麗香。」
麗「……!」
--- 綾「もう、寂しくないよ。」 ---
私は頷くことしかできなかった。
もう、この温もりを、優しさを、手放すことはない。
やっぱり彼女は、心から優しい人だった。
麗「……ありがとう…綾乃ちゃん……!!」
綾「………またあっちで会おうね… 麗香!!」
その瞬間、空が眩しく光った。
光が、私と親友を包み込む。
私と親友は、つよく、つよく手を握り合った。
--世界が滅びるまで、あと0分--
こんにちは、「読書が好き🍵」です。
今回は、本当に思いついた話を美化に美化を重ねて作りました。
そしたら思ったよりもいい作品ができたので投稿しました。
ただ、本当に適当なので、多分どこか間違ってると思います。
アドバイス等があれば、是非意見を聞かせてくださいね。
それでは、またどこかでお会いしましょう。
【短編小説】世界はどうせ紛い物
32XZ年 冬。
我々は『新たな世界』を量産することに成功した。
大きさは直径30cmほどで、時間の進みもかなり早いが、れっきとした『星』だ。
空気があり、水があり、地があり、生き物が生き、繁殖し、進化していく。
正に、『第二の地球』だ。
---
私はとある研究者である。
『第二の地球』と呼ばれる小さな星を観察している。
休憩時間で喫煙室で一服していると、研究員がそっと扉を開けた。
研 「鶴見教授!『第二の地球』に新たな変化が見られました!」
鶴見「おや、報告ご苦労。今そちらへ向かうよ。」
私がそう言うと、研究員はお辞儀をしてから部屋を出ていった。
そろそろ休憩も終わりか。私も彼方へ向かおう。
そんなことを考えながら、私はタバコを灰皿へ押し付けた。
---
『第二の地球』では、多くの国が戦争を起こしていた。
原因は食料と資源と土地の奪い合いか。
最近、『第二の地球』の様子がおかしくなりつつある。
食料や土地を巡る戦争が後を経たない。生物の数が激減している。
恐らくだが、この状況で資源や食料を与えたところで、戦争は終わらないだろう。
このままでは、良い実験結果は得られそうにないな…
……処分するしかないか…
そう考えついた私は、研究員にそのことを伝え、ある冷却装置を用意させた。
これは『第二の地球』を急激に冷やし、生態活動を終わらせるものだ。
そのまま壊すのもいいのだが、流石に可哀想だからな。
せめてもの|慈悲《やさしさ》だ。
完全に冷却されるまで、約1時間といったところか。
これだけ早ければ、楽に逝けるだろう。
私は『第二の地球』をその冷却装置の中へ放り込んだ。
そして、無造作にその装置の蓋を閉める。
私は、研究員に新たな『第ニの地球』を用意させた。
---
新たな『第二の地球』では、新たな生命が生まれ始めている。
これなら、一ヶ月後には先ほどまでの状態に戻るだろう。
私は安心していつもの椅子に腰掛ける。そしてデスクにあるコーヒーを手に取
**バタンッ!!**
いきなりドアが開いた。
反射的にその方角に目をやると、研究員が目を見開いて立っていた。
鶴見「どうしたのかね!?なにがあったんだ!?」
そう聞くと、研究員は私に叫んだ。
研 「………地球の気温が急激に下がっています!!」
---
私と研究員は外へ飛び出した。
と、その瞬間凍てつくような突風が私たちを襲う。
鶴見「…!!一体なぜ……!!?」
研 「それだけではありません!!空を見てください!!!」
そう言われ、私は空を見上げる。
その瞬間、私は目を疑うものを見た。
鶴見「……!!?今はまだ昼の11時だぞ!!!??」
空が、まだ昼なのにも関わらず、暗闇に覆われていたのだ。
研 「今、世界中の研究者が原因を調べております!!」
鶴見「……!!!治る気配は!!?」
研 「今のところ見られていません…」
そう話している間にも、気温は下がっていく。
鶴見「…!!!とりあえず中へ入るぞ!!」
研 「!!はい教授!!!!」
---
………どこかで。
研 「教授!!世界中で凍死者が出ています!!!」
…………………どこかで見たことがある。
研 「我らの元の地域も限界です!!エネルギーが切れます!!!!」
………………………ああ。なるほど。
研 「教授!!!!ご決断を!!!!!!」
そう言うことか。
鶴見「…………もう無理だ。」
研 「はぁ!!?急に何をいっているんですか!!!!!!」
鶴見「我らに助かる術は、もうない。」
研 「なぜそう言い切れるのですか!!??!?」
鶴見「…………私は……いや、我々は……………」
--- 「我らによって作られたのだから。」 ---
研 「………は…?」
鶴見「我々は今、《《冷却装置の中にいるんだ。》》」
研 「誰に!!なんで!!!!!??」
鶴見「外の研究員によってだよ。理由は…争い事が原因かな。」
「……我々は、彼らの『実験道具』に過ぎなかったのだよ。」
研 「…………!!!そんな………!!!!!」
--- ………ここは……………この世界こそが………… ---
--- ……………『第二の地球』だったのか……… ---
**ビー!ビー!**
**『エネルギーが底をつきました。電力を全て遮断します。』**
人間味のない機械音声が、研究室に響き渡る。
その瞬間、一気に体温が奪われていくのを感じる。
彼方此方から、できるだけ暖かい場所にいようと争う声が聞こえる。
--- ……………ああ。 ---
--- 世界なんて、全て作り物だったのか。 ---
--- ……きっと、我々だけではないはずだ。 ---
--- 「自分たちは大丈夫」「この世界こそが本物」 ---
--- そう思いながら今ものうのうと過ごしている人間が、きっといるのだろう。 ---
--- なあ? ---
--- **私を見ている君よ** ---
---
研 「神城教授!生命反応が完全になくなりました。」
神城「わかった。そこに置いておいてくれ。後で処分する。」
『第二の地球』の処理は無事終わった。
たった1時間で冷却を終わらせるとは、なんとも便利な道具だ。
あれだけ早ければ、きっと楽に逝けただろうな。
………我々は命を操れるようになった。
彼らは我々によって、生死を決められる。
なんと哀れなんだろうか。
ああ、『神』というのかこんなものなのだろうか。
さて。次の新たな『第二の地球』はどうなるかな?
次の実験結果が非常に楽し
**バタンッ!!**
研 「神城教授!!」
神城「なんだねっ!!!!私は今休憩中だ
研 「地球の……!!!」
--- 「地球の気温が、急激に落ちています!!!!」 ---
こんにちは、「読書が好き🍵」です。
今回は「読者に干渉してくる系」を作りたくて、今作に至りました。
結構いい出来じゃないですか?
アドバイスやリクエストがあれば、ぜひ教えてくださいね。
それでは、またどこかで会いましょう。
【短編小説】死神と狼
ある森の奥深くに、臆病な死神が住んでいました。
顔を覆い隠すほど大きく、暗闇よりもさらに黒く、先はボロボロなマントを羽織り、
足はなくふわふわと浮いていて、体に肉や皮はなく、マントの下は骨だらけ。
その死神は優しく、森の生き物たちと仲良くしたいと思っていました。
しかし、生き物たちには死神の姿は見えないのです。
さらに、彼の意思とは関係なく彼に触れた者は、なぜかその場で死んでしまいます。
そのことを深く悲しんだ死神は、森の洞窟に閉じ篭もるようになってしまいました。
---
ある日、死神は洞窟の外の大きな物音で身を覚ましました。
死神がそっと洞窟の外を覗くと、そこに一匹の大きな狼が倒れていました。
灰色の毛並みは艶やかで美しく、顔は整っていて、尻尾は大きくふわふわ。
その端麗な姿に、死神は目を奪われました。
しかし、狼には大きな傷があり、血がこぼれ落ちていました。
死神はなんとかしようとしましたが、触った瞬間にその狼は死んでしまいます。
慌てふためく死神の目の前に、長く太い棒が落ちてきました。
そこで死神は、その棒を手に取り、その先に布を取り付け、傷を拭いました。
狼は最初こそ怯えて威嚇しましたが、次第に落ち着き、体を死神に任せました。
死神は、不器用ながらも一生懸命に治療をしました。
そして、治療の甲斐あって、狼は助かったのです。
目の前で安心して眠っている狼を見て、死神は心が温かくなるのを感じました。
---
狼には死神が見えていました。
死神が食糧を洞窟に持って帰った時、狼が起き上がって死神をしっかり見たのです。
それに気づいた時、死神は足もないのに飛び上がりました。
死神は、初めて自分を見つけてくれた生き物に出会い、とてもよろこびました。
狼もまた、自分を助けてくれた死神を深く愛しました。
死神と狼は、永く幸せな時を過ごしました。
---
ある日の夜。死神が洞窟に帰ると、狼の様子が変でした。
低く呻いて、呼吸がうまくできていなかったのです。
死神はなんとかしようとしましたが、今回は何もできません。
死神は、ただ苦しむ狼を見守るほかありませんでした。
---
とても長い時間が過ぎたように感じました。
狼は落ち着きましたが、とても弱っていて、今にも死んでしまいそうでした。
死神は考えました。
どうすれば狼を救えるか考えました。
しかし、自分は死神。寿命を与えることも、取引で寿命を延ばすこともできません。
死神はそれでも考えました。
その時、狼が小さく鳴きました。
狼の目線の先には、洞窟の入り口がありました。
死神は悟りました。この狼の命はもう長くないと。
死神は、狼をそっと板に寝かせ、それを引き、勇気を振り絞って洞窟から出ました。
---
死神の下にある草花が少しずつ枯れていきます。
死神はこれが怖くて、これまで洞窟から出てくることができませんでした。
しかし、今はそんなことを言っていられませんでした。
狼の鼓動が、少しずつ弱まってきているのが、死神にはわかりました。
だからこそ必死に、死神は進み続けました。
---
二人がたどり着いたのは、よく生き物たちが集まる泉でした。
今が夜だったからか、泉には静かな風が吹き流れるだけでした。
木と木の隙間から、いくつも月の光が漏れて、まるで道のようになっていました。
死神はそっと狼を寝かせ、ずっと見守りました。
すると、狼は死神の手に顔を寄せました。
死神は驚いて手を狼から離しました。
この手に触れれば、生き物は死んでしまう。それがわかっていたからです。
しかし、狼は死神の手を待つかのように、じっと死神を見つめました。
死神は迷いました。
ずっと悩みました。
鼓動が早まりました。
…そして、ついに覚悟を決めました。
---
死神は、狼の顔に手を近づけました。
狼はその様子を、じっと見つめていました。
死神の手が震えて、骨でできた手からカタカタと音がしました。
それでも、やらなくちゃいけない。
死神は、今までの感謝と愛を込めて、そっと狼の頬を撫でました。
狼は優しく笑い、静かに目を閉じました。
そして、狼は光の道を昇って行きました。
---
死神の洞窟には、今はもう誰もいません。
死神は、自分自身を受け入れることにしました。
狼の最期の笑顔を見て、そう思ったのです。
自分も、誰かを笑顔にすることができる。幸せにすることができる。
そう気づいたのです。
死神は、もう閉じ篭もることはないでしょう。
---
--- 死神の下の花は枯れることなく、美しく咲き誇っていました。 ---
こんにちは、「読書が好き🍵」です。
久しぶりの短編小説だったので、かなり下手でしたね。
今回は珍しくセリフなしにしてみました。
アドバイス等があれば、いつでも教えてくださいね。
では、またどこかでお会いしましょう。
【短編小説】薔薇の女王たちと九人の『発散係』
【リクエストしてくださった方へ】
リクエストありがとうございます。
まず最初に謝らせてください。ごめんなさい。
「グロ表現は少なめに」と言われたのにも関わらず、
途中から結構入れてしまいました。しかもバッドエンド…
お気に召さなかったら申し訳ないです…
世界のどこかに、とても大きな王国がありました。
その王国の中心には、誰もが憧れる大富豪一家の城がありました。
そして、その城には美しい女王が暮らしていました。
彼女の身の回りには、いつも召使いがいました。
それは、執事、騎士、調理員、医師、家政婦…
--- そして『発散係』がありました…… ---
『発散係』は、城に住む人たちのストレスを発散させる役割です。
彼らは城に住んでいながら、人権はありませんでした。
---
妃「発散係D、こっちにきなさい。」
D「……はい。」
今日も体にアザが増えてしまった。やはりムチは痛いな。
私たちに名前はない。人権もない。
私たちは、生まれた時から発散係を務めることが義務付けられていた。
人間が当たり前のようにしていることが、私たちには許されていないのだ。
どうやらこの城には私を含め9人、発散係がいるらしい。
しかし、連絡手段など、私たちにあるはずがなかった。
私に救いなどない。
………そう思っていた。
それは、とある深夜のこと。
私が料理長様に呼び出されて罵詈雑言を浴びせられた帰りのことだった。
?「…なぁ。お前発散係Dだよな?」
D「……?あなたは…?」
?「俺は発散係Sだ。お前と同じだ。安心しろ。」
D「!?まさか他の発散係と会話できるなんて…」
S「……なぁ。ここから逃げ出したくないか?」
D「!!?で…でも…そんなこと、私たち二人じゃとてもできないわ…」
S「一人なんかじゃないさ!最近、連絡が取れたんだよ。来てくれ!」
私はSに手をひかれ、城の地下室にある物置に連れて行かれた。
?「お、来たか。」
?「女の子か…かわいそうになぁ…」
?「とにかく座れ。時間はそんなにないぞ。」
私は声をかけられながら荷物に腰掛ける。
S「彼らは発散係A、W、T、C、K、B、Rだ。」
D「こ、こんばんは…」
W「よろしくな!」
D「………あの…」
A「ん?どうした?」
D「…あなたたちはどうやって知り合ったんですか……?」
S「俺とCがかなり前に出会ったんだ。そこで二人で脱出計画を練った。」
C「そこにWが来たんだ。」
W「俺はよく城中を行き来してたから、情報を結構持っててな!」
「そこから他のみんなを少しずつ見つけ出したんだよ。」
S「そして最後がD、お前だったんだよ。」
T「でも、あまり時間がない。急で申し訳ないが、脱走についての話をする。」
D「!!」
思わず背筋が伸びる。緊張で変な汗が額を伝う。
C「君は、ここから逃げ出したいかい?」
K「君が嫌なら、僕らは無理強いはしないよ。」
S「…どうする?」
私の中で、既に答えは決まっていた。
こんな生活、懲り懲りだ。
D「……私も逃げたいです!!」
みんながニカッと笑う。
B「じゃあ、脱走計画を説明するな。」
D「は…はい…!!!」
S「まずは俺とRがーーーーーー。」
__A「ーーーー、ーーーーーーーーー。」__
__D「ーーー?ーーーーーーー?」__
__W「ーー!ーーーーーーーーーー、ーーーーーー。」__
__D「ーーーー…!」__
---
そうして迎えた脱走当日。
私の心は、生まれて初めて高鳴っていた。
---
妃「………ふぅ。もういいわ。部屋から出なさい。」
D「…はい。」
今日は顔を蹴られた。目が腫れて、視界がぼやける。
でも…こんな暮らしも、今日までだ。
私はズキズキと痛む足で事前に聞かされた集合場所へ走った。
W「…!D!」
B「間に合ったか…」
S「何があった?」
D「実は女王様につかまってて…」
K「!!目の怪我はそのせいか…!!かわいそうに…」
T「でも、そんなのも今日で終いにしようぜ!」
全員「うん!!!」
---
S「よし、予定通りに動けよ?俺とRはあっちで問題を起こす。」
R「その間にDとCは門の外へ。C、Dに肩を貸してやってくれ!」
C「任せとけ!」
D「よろしくお願いします。」
S「そして、俺らが捕まってるところにA、W、Tが助けに来てくれ。」
A「任せろ。」
B「女王は俺が惹きつけておく。」
S「今の時刻は~時~分。今から30分後に◯◯◯へ集合だ。皆で逃げ切るぞ!」
D「!!!!うん!!!」
「………ねぇ!!」
T「どうした?」
D「みんな…生き残ろうね……!!!!」
W「!!当たり前だろ!!」
S「…それじゃみんな!」
--- 「また生きて会おうな!!」 ---
---
__タッタッタ……__
D「もう少しで門だ…!!」
C「!うん…!!頑張って!!」
タッタッタ……
タッタッタッタッタ………
**ダンッッ!!!!!!**
騎「止まれ、発散係ども。」
D「!!!?」
C「!!!!」
騎「お前ら、発散係で集まって脱走計画を練っていたらしいな?」
D「……!!!なんで……バレてっ……!!!!」
騎「お前たちに話す必要などないだろう。」
C「……!!**D!!走れ!!!!**」
D「!!」
**ダッ!**
私は走った。
後ろでCの倒れる音が聞こえたが、振り返らなかった。
私は、ただ生きたかった。
**ガンッッ!!!!**
鈍い音が私の後頭部を襲う。
途切れる意識の中、視界には重そうな辞書を持った秘書が映った。
---
起きると、私は広い牢屋のような場所にいた。
D「……うぅ…ここ……は…………?」
S「起きたか。」
D「!!作戦は!?」
S「失敗だ。なぜかは知らんが、計画がバレた。」
D「!!!…………そんな…」
周りを見ると、さっき手を組み合った仲間たちがいた。
諦めずに脱走しようとする者もいれば、絶望して思考放棄している者もいた。
妃「発散係、聞こえているかしら?」
T「!!!ここから出せっ!!」
妃「図が高いわよ。とりあえず、今から『ゲーム』の説明をするわね。」
K「ゲーム…?」
__カランッ__
全「!!?」
妃「今、部屋の中央に『アイテム』が落ちてきたと思うわ。」
部屋の中央には、鋭く光る剣が落ちていた。
妃「今からアイテムを数個渡すから、あなたたちでバトルをしなさい。」
B「……!!!?」
妃「`《《勝ち残った一人だけは》》、《《そこから出してあげる》》。`」
W「………」
妃「じゃあ、最期まで私たちを楽しませてね。『発散係』。」
城の人たちの笑い声と共に、音声は止まった。
部屋に残ったのは、静寂と、剣だけ。
__C「………ごめん…」__
R「…謝るなよ。お前だけのせいじゃな
**グサ**
R「………ぐえ?」
Rが血を流しながら倒れた。
腹には剣が突き刺さっていた。
C「…俺は生き残る…!!」
CがKに走ってゆく。
Kは咄嗟にそれを交わした。
__ガチャンッ__
部屋の中央に、ハンマーが落ちてくる。
Kはそれを拾い上げ、Cの頭を殴った。
Cはその場で声を出す暇もなく倒れた。
--- そこからは地獄絵図だった。 ---
ついさっきまで協力してた仲間たちが、殺し合っている。
落ち着いてた人も、取り乱して誰かに突進する。
あんなに優しかった人も、自分のためだけに剣を振るう。
怖かった。
でも、私には何もすることができなかったのだ。
そして、最後に私とSが残った。
彼の腕は、誰かの血で塗れている。
S「はぁっ…はぁっ…D…ごめんな…俺も…生き残りたいんだ…!!!」
彼が叫びながらこちらに突進してくる。
私は足元の死体に目をやる。
原型を留めていない死体には、小さな小刀が持たされていた。
私はそれを握る。
D「ごめんなさいっ…!!!!」
そう叫んで、私はSの首元に固く握った拳を押し込んだ。
私の腕は、彼の首と口から吹き出した血によって紅く染まった。
---
部屋の扉が開いた。
私はよろよろと扉に向かって歩く。
ただ、この地獄から逃げ出したかった。
光に向かって、私は足を進めた。
開いた扉の向こうは、白い部屋だった。
壁、床、天井、全てが白。目が痛くなった。
妃「あら、Dなのね。まずはおめでとう。」
私はもう、話す気力がなかった。
早く、こんな生き地獄から解放されたかった。
妃「良い知らせと悪い知らせがあるのだけど…どちらがいいかしら?」
D「…………いい知らせ…」
妃「あらそう。あなたは勝ち残った。だからあの部屋から出てこれた。」
「……これがいい知らせよ。」
D「……悪い知らせは…?」
そう言った途端、天井から音がした。
何かの機械が動く音。
それと同時に、天井が低くなっている。
D「!?」
…迫ってくる。
『死』が迫ってくる。
D「……あ゛あ゛あ゛ぁ あ あ ぁぁぁ!!!!!?」
私は必死に天井を支える。
腕から何かが砕ける音がする。
私は仰向けになる。
足で必死に天井を蹴る。
足がなくなる。
いやだ。
なんでなの。
わたしは勝った。
なのになんで死なないといけないの。
わたしは
わたしはただ
生きたかっただけなのに。
---
天井が元の位置へ戻ってゆく。
床と天井に赤いシミがついている。
妃「…悪い知らせというのはね…?」
「わたしは『部屋から出してあげる』と言っただけであって…」
--- 「『生き残らせてあげる』とは言ってないのよ…?」 ---
王妃の静かな笑いが、静寂な部屋を包み込む。
妃「最期までありがとうね、『発散係』…♪」
---
世界のどこかに、とても大きな王国がありました。
その王国の中心には、誰もが憧れる大富豪一家の城がありました。
そして、その城には美しい女王が暮らしていました。
彼女の身の回りには、いつも召使いがいました。
それは、執事、騎士、調理員、医師、家政婦…
そして『発散係』がありました。
彼らに人権はありません。
彼らは城の住民たちの玩具に過ぎません。
今日もまた、彼らの声が城を、薔薇の棘のように包み込んでいきます。
こんにちは、「読書が好き🍵」です。
今回はリクエストでいただいたものを作りました。
どうでしたか?あなたの想像に合ったものを作れているでしょうか…?
下手っクソでごめんなさい…
リクエスト、誠にありがとうございました。
またどこかでお会いしましょう。