リクエストをいただいた作品の中で採用させていただいた作品を集めました。
基本は読み切りですが、シリーズも書きます。
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目次
幸せな脱獄(読み切り)
夢雲ふわり様からのリクエストです。
リクエストありがとうございます!
学校は子供の監獄とはよく言ったものだ。
僕―――霧谷冬馬は、授業を聞き流しながらぼんやりと考えた。
時間を強制的に守らされる。人間関係を無理やり作らされる。
作れない奴から省かれていく。
僕は昔から人間関係というやつが点で才能がなかった。
できても一年で僕から大体の奴は離れていく。
ただ一人を除いて。
僕は前の席の幼馴染を見る。
幼馴染―――寅谷静香は名前に似合わずうるさい奴で小学生の頃からの腐れ縁だ。
そして、僕がいじめられてた時率先して助けようとした馬鹿。
そんな馬鹿な幼馴染は僕と違って昔から人間関係だけは大天才だった。
そんな幼馴染が僕を助けたから、速くいじめが終わったのだろう。
その点だけは今でも感謝している。
「ねぇちょっと授業中ずっとあーしのこと見てたっしょ?」
気づけば授業が終わっていたらしく、幼馴染がニヤニヤしながらこちらを覗いてくる。
友達なんていっぱいいるのだから僕に構わず友達と話せばいいのに。
僕ははぁっとため息を吐きながら幼馴染の顔を押し退ける。
「真面目に授業受けずにスマホ見てたら気になって目に入るだろ。」
「え、うっそバレてたの?⋯流石に中身は見えてないよね⋯?」
「見えるわけないだろ?そこまで距離近くないんだから。」
「そっか!ならよかった!」
どこかホッとした顔をした幼馴染。
なんだ?恋人とメッセージ交換でもしてたのか?
そもそもコイツと恋バナなんてキモいことしないから恋人がいるのかは知らないが⋯。
チラッと幼馴染を見る。
中学生過ぎた辺りからギャルになった幼馴染は派手めな印象だ。
綺麗な顔に抜群のスタイル。いないほうがおかしいのかもしれない。
「え?何?なんか顔についてる?」
あんまりに僕がジロジロ見るものだから少し顔を赤くして顔をペタペタ触っている。
フルフルと首を降って否定すると、幼馴染はコテンと首をかしげた。
あぁ。―――可愛い
僕は幼馴染が好きだ。
けど、この気持ちは絶対に幼馴染には悟らせない。
だって、僕が好きなんて言ってもキモいだけだし、きっと嫌われる。
僕に唯一話しかけてくれる幼馴染がいなくなったら。
きっと僕は耐えられない。
それほどまでに僕は幼馴染に救われ―――依存していた。
きっとこれはダメだ。そんなことはわかってる。
わかっているが、やめられないから依存なんだろ?
---
「ねぇ、あーし、ずっと冬馬に言いたいことがあったの。」
帰り道、僕の幼馴染は普段滅多にしない真面目な声で僕に告げた。
珍しいこともあるものだ、とほんの少し驚く。
「何?」
「あーしら、友達とか、幼馴染とか、もうそういう関係やめない?」
目の前が真っ暗になった気がした。
なんで?僕が何かしてしまったのか?
思わず俯いてしまった僕の顔を幼馴染は優しく持ち上げた。
その顔は明るくいつものように笑っていた。
「恋人。ね?いいでしょ?」
「⋯え、?」
にししっと幼馴染が笑う。
まるでイタズラが成功した子供のように。
「あーしが、冬馬からの想いに気づかないほどの鈍感な子だと思ってたの?」
「え、は?」
「とーっくに気づいてたよ?けど、あーしは悩んでたの。」
急にフイッと目を伏せる幼馴染に僕は混乱した。
恋人。嬉しい。けど、本当に?
「悩んで、悩んだ結果。冬馬ならいいかなってだから⋯」
幼馴染は真っ直ぐに僕を見て真剣な顔つきで告げる。
「今日からあーしら、恋人ね?」
「⋯本当に?」
「本当に!」
「僕、暗いし、重いし、口下手だし⋯」
「あーもう!しつこい!恋人になるの?ならないの!?」
「⋯なる。なる!」
力強く告げた僕に《《恋人》》がいつもの明るい笑みに少し照れを混じらせて笑う。
その日から、学校は監獄じゃなくなった。
あとがき
難しいですね⋯。
#1 血の忠義をあなたに(シリーズ1)
夢雲ふわり様からのリクエストです。
リクエストありがとうございます。
あぁ、今日が命日か。
真冬にも関わらずザァっと降るたくさんの雨が容赦なく体温を奪っていく。
俺はできるだけ濡れないように、体を小さくする。
両親は賭け事に夢中になって何かと金がかかる子供、つまり俺が邪魔になった。
だから、捨てられた。
正直奴隷として売られなかっただけまだマシなのだろう。
ただ、子供だからといってどこも働かせてはくれない。
かといって孤児院に行くと「あなたには両親がいるのだからここに来るべきではない」と追い返される始末。
帰れるなら、とっくに帰ってる。
だから俺はしばらくスリで稼いだ。
たまに捕まって酷い目に合うが、それでも成功すると多くの金が入る。
それでなんとか食いつないでいたのだが、それもある日できなくなった。
ある貴族にスリを働き、それが運悪く見つかってしまった。
貴族は「二度とスリができないように」と、俺の足をハンマーで叩いたのだ。
叩いて、叩いて。
気づけば気絶していたようで起きたら足がひどい状態だった。
当たり前だが、医者に行くお金なんてない。ましてやこの足だ。そもそもいけない。
俺はなんとか這っていつもの寝床へ帰り、その日からずっと、ここから動けない。
寒い。お腹が空いた。痛い。苦しい。⋯寂しい。
夜だし寝てしまおうか。寝たら二度と目覚めることはないだろうけど。
これも天罰だ。スリなんて犯したから。俺はゆっくりと目を閉じる。
「ねぇ、君。家族はいないの?」
不意に頭上から優しげな男性の声が聞こえた。
のろりと顔を上げるとアルビノなのだろう白い髪に赤い目の身なりの良い男性が立っていた。
「⋯だったら何?見世物じゃないんだよ。どっかいって。」
「ねぇ、君。私と家族にならない?」
「⋯。」
家族、か。
家族になればご飯がもらえるだろう。
貴族っぽいから家もあるし金もありそうだ。
なぜこの掃き溜めの場で俺を選んだのか知らないが、きっと何かに利用できると思ったのだろう。
お互いに利用し合う関係。
それを家族と呼べるのかは知らないし、何より怪しい。
けど、どうせ死ぬんだ。嫌になったら逃げ出せばいい。俺はコクリと頷く。
「いいよ。家族になってあげる」
「本当?ありがとう。じゃあ⋯」
青年はゆっくり近づき、僕のそばに顔を近づけると大きく口を開いた。
そこに人間らしからぬ大きな牙を見た直後、僕の首に鋭い痛みが走った。
噛まれたのだろう。
「いっ!」
思わず声を上げる俺に構わず、青年はゆっくりと血を吸っていく。
吸血鬼。その化物の名が脳裏によぎったがもう遅い。
どんどん血が吸われていく感覚に頭がクラクラし始める。
すると、青年はパッと首から離れていく。
吸い終わったのか、とぼんやり思っていると、青年は急に鋭い牙で自分の舌を噛んだ。
一体何を⋯?と思っていると顎を持ち上げられる。
そして青年は俺の口を無理やり開けられる。
ぬるりと血だらけの舌が入れられてくる。
「ふ⋯。ぁ⋯」
互いの口が離れたところで、俺の意識が途切れた。
あとがき
中世ヨーロッパ風の異世界設定なのですが、異世界ネタあまり書かないので変かもしれません。
難しい⋯。
リクエスト作品なのでR18にするのはマズいかなーと思ってはいたのですが、ちょっとこらえきれませんでした。すいません
あ、吸血鬼って血を吸われて吸血鬼の血を体内に取り込むと増えるって情報を信じて書いたのですが、違ったら教えてください。
嘘から始まる本当(読み切り)
夢雲ふわり様からのリクエストです。
リクエストありがとうございます!
「なぁ、明日の休みデートしてくれねぇ?」
ニヤニヤとした連れの視線を感じながら俺―――坂口誠は、とある女子にそう言った。
彼女は本から視線を上げて今どき流行らない瓶底眼鏡越しに俺を一瞥する。
彼女は水谷とわ。地味でボッチな陰キャ女子だ。
そんな彼女になぜ俺が話しかけているのか。
昨日の放課後。連れとのゲームで負けた。
つまり、罰ゲームの嘘告ってことだ。
「⋯いいですよ。」
そう素っ気なく言い放ち、彼女は再び本に視線を戻す。
もう用はないと言わんばかりの態度なのだが、俺は少し驚く。
正直、話すことなんてそんなになかったし、断られると思っていたから。
連れのところへ戻ると、とてもニヤニヤと気色の悪い笑みを浮かべている
「明日が楽しみですねぇ?まーくん♡」
「はいはい。うるせぇうるせぇ」
適当にあしらいながら考える。
明日どこに行こうかな、と。
---
「えー。集合場所はここだったはず⋯」
駅前に三十分前に到着した俺は時間を潰すべくキョロキョロと辺りを見渡した。
いくら罰ゲームといえど、相手を待たせるのは忍びないので早く来たのだが。
さすがに早すぎるので近くのカフェにでも入るか⋯。
「坂口くん、早いのですね。待ちました?」
急に背後から声が聞こえた。水谷だ。
さっと振り返った俺は、絶句した。
そこにはとんでもない美少女が立っていたのだ。
ぱっちりとした黒曜石のような目は吸い込まれるかと思うぐらい綺麗だ。
髪も夜を映したと言っても信じられるぐらいサラサラと輝いていた。
そして、それを際立たせるような白いワンピースに白い肌。
え?どなたですか?
思わずポカーンと立ち尽くす。
「水谷、か?」
「えぇ。そうですけど?」
怪訝そうな彼女の態度にますます信じられなくなる。
いや、いやいやいや。
「別人すぎるだろ⋯」
思わず出てしまったが、これは言って許される。
むしろ言わせに来てるだろ。
彼女はコテンと小首を傾げた。
---
デートのプランとしては映画を見て、その後カフェでランチ。
その後解散という全く旨味のないプランだった。
映画は、彼女の趣味の小説が元となった恋愛映画だった。
俺はこういうのあまり自分からは見ないので新鮮だった。
ラストは少し感動してしまい、ちょっと泣いてしまったが。
バレてないかと隣を見たが、彼女も彼女で薄く涙を浮かべていた。
大号泣されていたら反応に困ったので、よしとしよう。
むしろ、少し人間らしさが垣間見えて親しみやすさが増した。
続いてカフェ。
彼女はよくわからないおしゃれなパフェを食べていた。
俺はコーヒーだけ頼んで彼女の様子を見守る。
彼女はパフェを美味しそうに頬張っていた。
いたのだが、パフェって案外多いんだな。
途中から苦しそうな彼女の様子をみて少し吹きそうになる。
肩を震わせている俺をみて彼女は恨めしそうな顔をする。
「見てないで手伝ってくださいよ」
「えぇ?」
「はい、あーん」
問、普段全く話さない美少女のあーんにどう対処するべきか。
答え、知るかボケェ
どうすりゃいいのかわからず固まる俺をみて彼女がむくれる。
「ほら、早く口開けてくださいよ」
「いや、人前だし。そもそも俺ら、あんま仲良くないよな?」
俺の至極真っ当な問いに彼女はキョトンとした。
「え?デートなんですよね?」
「まぁ、はい」
「じゃあ、パフェ。受け取ってくれますよね?」
「⋯あ。」
仕方がないので口を開くと彼女は満足そうに俺の口にパフェを入れる。
むせるほど甘ったるいものが口の中に入ってきて思わず顔をしかめる。
あっめぇ。
「おい、甘すぎねぇ?」
「甘すぎるぐらいがちょうどいいんですよ。ほら、もう一口。」
「いや、普通に食えるから。」
「デート。ですよね?」
「⋯はい。」
甘ったるいパフェに甘ったるい時間。
頼んだコーヒーさえ甘く感じるこの時間を俺はなぜか悪くないと思った。
---
「あの、本屋に寄ってもいいですか?」
「ん?いいけど⋯ここで解散するか?」
「いえ。一緒にまわりたいです。」
一緒に、という言葉にほんの少しドキッとした。
いやいや、と頭を振ってその感情を振り落とす。
きっと慣れないことをして疲れたんだ。それか彼女の美少女ぶりにあてられたか。
彼女は小説の棚をジッと見ていた。
俺は少年漫画ぐらいしか見ないから少し新鮮だ。
俺も彼女にならい小説の棚を見る。
「おすすめとかある?」
何気なく言った言葉に彼女は顔をしかめる。
「あの、あなたの趣味嗜好も知らないのにおすすめと言われても困るんですが?」
「あー。ごめん」
「いえ。」
こういうところは学校と一緒だ。
なんだか学校での彼女と今の彼女が違いすぎて一致したところを見ると安心する。
と、いうか。多分俺は彼女のことを知らないのだろう。
なんだか、彼女のことを知りたくなった。
---
「まーくん♡デートどうだったのぉ?」
休み明け、連れがニヤニヤしながら近寄ってきた。
ウザい。
「別にどうとも。⋯まぁ、楽しかったかな。」
「ひゅー!!」
思わず漏れた本音に外野が野次を飛ばす。
うっぜー。
「それは良かったです。」
急に背後から声をかけられた。
振り返ると、彼女がいた。
彼女は薄い笑みを浮かべつつ、俺に歩み寄る。
「嘘告デート。私も楽しかったですよ?」
俺達がギョッとした顔をしたのを満足げに見た後、彼女は上機嫌に自分の席についた。
多分、彼女には敵わないな、と思った。
俺の心にほんの少しの彩りがついた⋯気がする。
あとがき
難しい⋯。これであって⋯はいないですよね。すいません。