読み切りです!
全作、最後までじっくり読んでくれると、うれしいです!
感想も、よろしくです!
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目次
はじめての……
はじめての読み切りっす。
最後まで読んでいただけると、うれしいっす。
私は、クラスでもあまり目立たないほう。
ただ、人気者くんと美人ちゃんを遠くからぼんやりと眺めるだけ。
だけど、私の視界の隅っこには、私みたいに目立たないタイプの男子がいた。
その男子は、前髪が長かった。それだけじゃなく、毎日長袖の制服を着ている。マスクもしているし、いつも外を見ているから、顔をしっかりと見たことがない。弁当を食べる時くらいマスクを外す姿が見えると思ったのに、気づいたらどこかに行っていた。屋上で食べているのかもしれない。
私には、友達と呼べる人がいない。私が暗いから。影か薄いから。誰も近づかない。話しかけて来ようともしない。ましてや、話しかけると無視される。
誰もいない教室で言った。
「もしかして、私、いじめられてるのかな……」
はぁ……。
思わずため息が出る。
「たぶんお前、いじめられてんじゃないの?」
急に声がして驚いた。
反射的に顔を上げる。
声がしたほうは、後ろの入り口のほうだ。私は、振り向く。
聞いたことのない声だった。
「え、えぇ!? いたの……?」
名前を思い出せなかった。
あの声の正体は、クラスでうっすらとした気配の、例のマスクをつけた男子だった。
「名前、忘れてるんじゃないだろうな? こういうのって、最初に名前が出るもんだろ?」
意外と毒舌だなぁ……。
「オレは、|多嘉田結城《たかだゆうき》だ。クラスの名前くらい、覚えとけよ」
「あ……。結城くん、ごめん。それよりも、私がいじめられてるって……?」
やっぱり、いじめられてるのか。
「それなんだけど、オレ、お前の悪い噂知ってるんだよね。あのさ、」
え、私の悪い噂?
何、私、本格的にいじめられてる?
「お前、人気者くんのこと、好きで、近くにいる美人ちゃんに嫉妬してそいつに嫌がらせしてるらしいじゃねーか」
「な……何言ってるの? 私が、嫌がらせ?」
「あぁ、そうだ。だから、あいつらは無視とかしてくるんだよ。明日からは、もっと酷くなるかも知んねーから気をつけなよ」
「は……はい」
え、私、でっち上げられてる?
そんな、美人ちゃんに嫌がらせ?
そんなことするはずない。私なんかが……。
---
翌日の早朝。
気が付くと、私は高校の下駄箱の前に立っていた。
まだ、登校していい時間じゃないし、玄関には、鍵がかかっているはず。
「……なんで?」
「おーい。なにしてんだよ。こんなところに呼び出しておいて。ずっと下駄箱のほうむいてんじゃねーよ」
「あ、ごめん。結城……くん。私、なにしてるのか、よくわからなくって……」
「は?」
本当に、何がどうなっているのか、さっぱりだ。
「何もないなら、オレはもう帰る。じゃぁな」
「あ、待って!」
「…何?」
結城くんに行ってほしくなくて、つい引き留めてしまった。
何も言うことなんかないけど、私は、このまま二人でいたいと思った。
それをそのまま口にする。
「あの、私、結城くんに行ってほしくない。このまま二人きりでいたい。なんでかは知らないけど、そう思ったんだ。もっと、結城くんのこと、知りたいの」
「それって、告白? 随分と遠回りなんだけど。……まぁ、友達ならいいよ。それ以上はないと思って。んじゃ、帰るぞ」
「う……うん!」
これが、告白だったのかはわからない。でも、彼と帰れる事実が嬉しかった。
---
彼と一緒に帰るようになって早一週間。
会話は弾まず、ほとんど無言。しかも、彼のほうが先に行ってしまう。
いつも私は彼の後姿を見るばかり。いつか顔を見られればいいのだけど。
いつもは無言の彼が、珍しく口を開いた。
「あのさ、あれからどう? いじめ、つらい?」
正直に言って、つらい。私は何もしていないのに、なにかと理由をつけていじめてくる。
今日はトイレの水をかけられた。
「まぁ、つらいよ。私、なんでいじめられてるかわからないから、さらにつらいかな」
「……そっか。ごめんね、|志築《しづく》さん」
「え……?」
私の名前、はじめて読んでもらえた。
それに、なんで謝るの?
「あのさ、一週間くらい前、お前が美人ちゃんに嫌がらせをしてるって言ったじゃん。それさ、嘘なんだよね。それに、あの会話を聞いた人がいたらしくて、広まちゃったみたい。ちょっとからかうつもりだったのに。ごめん。オレのせいで、お前が……いや、君が、いじめられることになって」
そうだったんだ。
「全然いいよ。私、気にしてない。いじめも、耐えるから」
「本当にごめん。あのさ、あの時も、そっけない態度とってごめん」
「? あの時って?」
「おm……きっ、君が告白した時の……!」
「あぁ、あのときね。ちゃんと思いを伝えられなかったから、改めて言うね」
そう言って私は結城くんの前に立った。
「あの時、出会った時から、気になってました。君のこと、もっと知りたいと思ったの。だから、
私と付き合ってください!」
思い切って言ってみた。
初めての、ちゃんとした告白だった。
果たして、その答えは、
「――
---
私たちは、幸せだ。たとえ、冷たいトイレの水をかけられようとも、制服をずたずたに切り裂けられようとも、ロッカーに閉じ込められようとも、プールに突き落とされようとも。一ミリたりとも不幸と感じたことはない。
だって、いつでも君と一緒だったから。
私は屋上のフェンスを乗り越えて、頬を涙で汚した。
「今すぐ、会いに行くから、結城――。
はじめて読み切り書かせてもらいました!
あの告白の返事、結城はどう返したのでしょう?
そして、「今すぐ祐希に会いに行く」とは……?
とってもやさしいひと
優しい人と付き合いたいですよね~。
ちなみにボクは、恋人がいまth((黙れw自慢すんじゃねー!
とってもやさしいひとがいたの。
あたまなでなでしてもらえたし、やさしいことばをかけてもらった。
とっても、うれしかった。
---
「おい!! 何してんだ馬鹿!! お前、もう高校生だろ!! こんなこともできないのか!! お前は役立たずの失敗作だ!! 失敗作はこの家にいらないから出てけ!!」
そう、おとおさんにいわれた。
しっぱいさく?
なんだろう、それ、おいしいのかな?
あたしはいわれたとおりにいえをでる。
こうこうせいなんてこともいってたけど、なんのことかさっぱりわからない。
あたしがどこかのまちをふらふらしてたら、だれかにこえをかけられた。
「あの、君、こんな時間にどうしたの?」
「こんな……じ、かん?」
「え、君、身長とか、体つきから見て、高校生……じゃないのかい?」
「! こうこうせい! こうこうせい!」
いみがわからなかったけど、こうこうせいといっていた。めのまえのひとも、おとおさんも。
「教育が、なってない。まるで幼児のような佇まいだ。どうしたの? おうちの人は?」
「おうち、わからない。おとおさん、でてけ、いわれた、あたし、ここ、いる」
なにをおもったか、あたしのうでをつかんで、どこかにいこうとした。
「あたし、どこ、いくの!?」
「交番だよ。ちゃんと……おとおさん? に迎えに来て……」
めのまえの、あたしのうでをひっぱるひとのことばがとまった。
なんか、あたしのからだをじろじろみてくる。
なんだろ。あたしのからだに、なんかついてる?
「君っ――」
そういうと、うでをつかんだまま、はしりだしたから、それにつづいた。はしるのは、はじめてだったから、まねした。
---
なんか、はこのまえについた。
これを、いえというらしい。
「君、おとおさんに虐待されていたんじゃないか? 体にたくさんのあざがある。つらかったろう。……本当は、犯罪になってしまうのだろうけど、これは、保護だ。保護。誘拐なんかじゃ、ないんだ」
「ほご、ゆうかい、はんざい、ぎゃく……た、い? あざ?」
どれもしらなかった。
「……まず、勉強から始めよっか」
「? うん」
それからあたしは、かんじどりる? やら、けいさんどりる? とか、やらされた。
---
そして私は、高校三年生になった。
年は18歳。十分な大人だ。
あの時私をこの家に入れてくれた、勉強を教えてくれた、リアさんは、『この3年間で小1から高3の勉強までこなすなんて、天才だ!』とか言っていた。
そういうものだろうか。
実際、高2までのものは簡単だったし、高3の内容も、だいたいは頭に入っている。
私は、虐待されていたらしい。
ある程度の言葉を知ったときに、改めて聞かされた。
生まれてから、何も教えられなかった。
あんなに、やさしい人に拾われるなんて、私は、ラッキーだと思う。この家に来て最初のほうは、頭を撫でられたり、かわいいねといってもらえたり、とってもやさしいひとだなと思った。それは今も変わってない。
幸せだと思う。
改めて、言わせてもらいます。
「あの時は、本当にありがとうございます。そして、これからも、よろしくお願いします!」
そして、私のスピーチが終わった。
大きな拍手が鳴り響く。
気持ちがいい。
視界に見たことあるような顔が見えた。が、誰かわからないので、無視することにする。
本当に、リアさんに拾ってもらえて、幸せと思う。
おわりです!
虐待は、ダメですよ!
そして、本来、知らない人についていくのは、危険行為ですから、ついていかないようにしてくださいね!
それにしても、3年間で高3の内容がばっちりって、マジ天才かよ!!
いいな~天才って。
ずっと一緒
君と僕は、これからも、ずう~と一緒だからね?
僕は、君のことが、とっても大好きなの。だから、君のそばにいて、離れないんだから。
「君とずっと一緒に居たいから、ボクは、ここから、離れないよ」
そう言って、僕は君のことを、ぎゅっと抱きしめた。
君と離れたくないから。君のことが大好きだから。
「そうだね。私、君のことが、大好きだよ。だから私も、離れたくない」
君がそう言ってくれると僕は、とっても嬉しくなる。
雪が降る、とっても寒い季節だった。
ストーブや暖房がないと、凍えて死んでしまいそうな、震える寒さだった。
だけど、僕は君がいるから、そんな寒さは、感じないんだ。
とってもとっても幸せな夜。
雪が月の明かりで照らされていて、とても幻想的だ。まるで、僕らみたいに。
庭に雪が積もった。
君と二人で、雪合戦をした。
小さい雪球を作って、君に投げた。すると、僕が投げたのよりも大きい雪球を、君が投げてきた。それは、僕の顔面にヒットした。僕は驚いて、尻餅をついてしまった。君は、謝ってくれたけど、僕は、とっても嬉しかった。君がプレゼントしてくれたものは、たとえ顔面にあたっても、僕は、うれしい。だから、僕は、笑っていた。そしたら、だんだんと君も笑ってくれるようになった。それが、とてもとても嬉しくって。はじめに造った雪玉より少し大きいそれを作って君に投げた。すると、君も投げてくれた。そして、時間を忘れるように、雪玉を投げ合って遊んだ。
雪合戦を楽しんだ後は、「雪だるまを作ろう!」と君が言ったから、僕も作ることにした。僕は、君みたいな雪だるまを作ろうと、一生懸命に雪のかたまりを大きくした。君は、小さい雪のかたまりを4つ作っていた。すると、2つの雪の塊が、もう2つの雪の塊にそれぞれ乗った。それを、君は僕に見せてくれた。とても愛らしい。
「ジャーン! 見て―!! こっちが私で、こっちのほうが、君!」
小さい雪だるまが2つあるのは、そういうことか。
「良くできてるでしょ?」
「うん、そうだね。良くできてる。僕、とっても嬉しい」
「えへへ~」
なんて可愛らしいんだ。
ちょうど、僕の雪だるまができた。
「ジャジャーン! 僕が作った雪だるま。君をイメージして作ったんだ」
「わぁ!! かわいい!! ありがと~♡」
喜んでもらえた!
とても幸せな気分だ。
そして僕たちは、雪だるまと君の隣にダイブした。
雪が僕たちを受け止めてくれた。
まだ、雪が降ってる。
僕は、君の手を握る。
君も、僕の手を握り返してくれた。
このまま寝てしまってもいいと思った。
目を瞑る。
顔に冷たいものが落ちてくる。
しばらくすると、僕の頬に暖かいものが触れた。僕は重たい瞼をこじ開ける。
目を開いてから真っ先に目にしたのは、君の美しいまつ毛だった。目を閉じている。やがて、僕の唇と君の唇が重なった。
「!?」
僕が驚いていると、君は顔を上げた。すると、だんだん顔が赤くなるのが見えた。
「ほら、このまま寝ちゃったら、死んじゃうよ? だから、私が、
目覚めのキスを、してあげたの」
僕は、失神しそうだった。
目の前の女神がこう僕にささやく。
「ほら、一緒に温かい紅茶でも飲もう」
そして、僕の手を引っ張る。
僕は立ち上がった。
赤ちゃんが初めて立ったかのように、ふらふらする。そんな僕を支えるように、君が家の中に連れて行ってくれた。
そして、君と一緒に、君が淹れてくれた紅茶を飲んだ。
それは、とても暖かく、心の、体の芯から温まるような気がした。
次第に僕の意識は遠のいて、君の顔がぼやけてきた。
「僕は、ずっと君と一緒……だ、よ――」
僕は、ガクンと眠りについてしまった。とても疲れているのだろうか。今までの君との思い出が、夢に出てくる。あぁ、とっても幸せだったなぁ。
そして、僕が聞こえない大きさで、「私もずっと君と、一緒、――だから、ね」そして、君も深い眠りについた。
一生降り注ぐのではないかと思うくらい、雪が降っていた。やがて、この家の中に雪が入り込むようになった。
それから、雪が止んだことは、なかった――。
やっと、ちゃんとした(?)恋愛がかけた!
いつもだと、謎のバトルになったり、誰かが死んだり、バットエンドになるんだけど、今度は、キュンキュンするかもしれないものがかけた!!
キュンキュンしたら、感想で教えてください!
この読み切りの文字数が、1717で、いいないいなって読むことができます!
こんな恋愛がしたい~いいなーいいなーみたいな感じになるかな?(知らんw
最後まで、読んでくれて、ありがトゥース!www
ふざけてごめんなさいw
本当に、ありがとうね!
あなたは死にました。
あなたは、死んでしまいました。
これから、あなたには選択肢を与えます。
これから、どうするのかを、あなたが決めてください。
さぁ、早く――。
「あなたは死にましたって、何度言ったらわかるんです?」
え、死んだ??
オレは……さっきまで何をしていたんだっけ?
確か、やることがなくて街を歩いてたよな?
「そこで、あなたは車に轢かれたんです。車に轢かれただけでは、まだ助かっていましたが、そこに、ガラの悪い人たちが乗ったトラックが通りかかり、そのトラックにも轢かれました」
オレは|唖然《あぜん》とした様子で、神様らしいやつから、オレが死んだ経緯を聞いた。
「ほんと、あなた、運が悪いんですね。トラックにさえ轢かれなければ、ここに来ることはなかったのに」
「へ、へえ……」
そうか、オレは、死んだのか。トラックに轢かれたのが原因で。
なら、ここは……!
「死後の世界か⁉」
「何なんですか、急に。……まぁ、そうです。ここは一般で言う死後の世界ですね。本来は、今後どうするかを決める場所なんですが」
「すげえ!」
「どうします? 早くしないと、あなたの世界の死者たちが溜まると、私が怒られてしまいます。さあ、選びなさい」
そう言って、神様? は、オレに選択肢を与えた。
「・一つは、前世の記憶をなくして、元の世界に新しく生まれ変わる。
・二つは、前世の記憶はそのままで、元の世界に新しく生まれ変わる。
・三つは、前世の記憶をなくして、新世界、あなたたちで言う異世界? に生まれ変わる。
・四つは、前世の記憶はそのままで、異世界に生まれ変わる。
この四つから選べます。原則、過去に戻ることは禁止されています。死んでしまった限り、このようなルールがないといけません。第一、時空をゆがませてしまったケースもありましたから」
なんか、難しそうだなー。
「そう難しいものじゃないです。……てか、それよりも早く決めてくださいよ! こっちは時間がないんですからね!」
「わかった、わかったから! 結構悩むけど、異世界転生なんて、楽しそうだな~」
「選ばせる代わりに、どんな環境で生まれ変わるかは、ランダムですから。前世の記憶があろうともなかろうとも、人生、上手くいくかは環境で変わりますよ」
そうか……。
「でも、それでも! いい環境で生まれ変わるのを願って、『前世の記憶はそのままで、異世界に生まれ変わる』に決めたぜ!! 異世界転生、だな!」
「……本当にいいんですか?」
「あぁ。もちろんさ! 決めたことを曲げるわけにはいかねぇからな!」
「――わかりました」
これで、本当に異世界転生するのだろうか。
すると、オレの目の前が、白く光った。眩しすぎて、目を開けてられない。
くらくらする。
やがて、意識がなくなる。
「さぁ、行きなさい。新たな人生の開始です。幸運を願います……――」
このように、人生を新しく始められれば、いいよね~。
前世の記憶を持てたら、異世界に行くことができたら、なにがしたいですか?
それでも、生まれる環境によって、幸福度って異なる。
生まれ変わった先では、この話は、みんな忘れてしまう仕組みです。
そんな、忘れてしまう仕組みを書いてみました。なんか、切ないかな。
神様、みたいなやつ、忙しそうですね。全世界で見ると、必ず毎日、人は、どこかで亡くなってしまうものなんですから。
この命を、大事にはぐくんでいきましょう。
シンデル彼女。
ぼくの彼女は、死んでいる。
ぼくには見えない何かが見える。そういう超能力があるかもしれない。みんなにそのことを話すと、「すげえ!」「何かいるの?」「もしかして、幽霊?」「本当に見えるの?」とやら何やら、称えるような声が聞こえる。別にぼくは、そんな声を聴くために話したのではなかった。ぼくは、とてもはっきりと見える。クラスの人には見えない、クラスにはいない女の子が、はっきりと。
--- < ねぇねぇ? 私のこと、見えるんでしょ? > ---
「う、うん。そうだけど」
「ねぇねぇ、誰と話してんの? ハハハ―!」
女の子に話しかけられたから返事しただけなのに、クラスで一番のやんちゃな|雄仁《ゆうじ》に聞かれて、からかわれた。この二人が組み合わさると、とっても嫌な気分になる。
「……何でもないよ!」
「ふーん」
ぼくは、この居心地の悪いクラスから離れることにした。
今は昼休み。休み時間の中でも最も長い休みだ。
ぼくは、屋上を目指して廊下を走りだす。あの女の子から逃げるように走るも、あの子は幽霊だから、あっという間に追いつかれてしまう。
屋上のドアの前についた。さすがに休憩なしで全速力で階段を上るのはつらい。息がとても乱れた。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
--- < へぇ。もう息切れ? 私はまだまだ走れるけどね~。あははっ > ---
息が十分に吸えないまま、屋上の扉を開ける。
そして、眺めの良い場所に座り込む。
ここまでこれば、この女の子と存分に話せるだろう。
「……あのさ! きみ、死んでるんだよね?」
--- < うん。ちょうどここで、ね? > ---
「え?ここで、死んだの?」
--- < ……そう > ---
ぼくは本で読んだことがある。この世に何か思い残したものがあると、幽霊としてこの世に宿る、って。じゃあ、この女の子は、何か思い残したものがあるんじゃ……⁉
--- < あのさ。……話してもいいのかな? わたし、本当だったら、6年3組のクラスメイトだったの。今。だけどね、わたし、なかなか馴染めなくって > ---
「それって、ぼくのクラスの隣の組の転校生だったってこと?」
--- < そうだね。2組だったっけ? いいなぁ。なんか、馴染みやすそうなクラスで。だからね、馴染めなかったわたしは、屋上へ行けることを知って、飛び降りてみたんだ。わたしが死んだら、さすがにクラスメイトも悲しがるんじゃないかなって > ---
「え、それって……。普通は、みんな、悲しむんじゃないの? 人が、一人、死んじゃったんだから、さ」
--- < そう、わたしもそう思ったの。でもね、あいつらは、クラスメイト達は誰も涙一粒見せずに泣いてくれなくて、悲しんでくれなくて。それに、『死んだ!』『死んだ!』『アハハハハッ!』って、喜ぶの。おかしいと思わない? ……私は、誰かに想ってほしかった。誰かに、優しくされたかった。両親だって、海外へ出張とか言って、葬式も、顔見せてくれなかったし > ---
なんてひどい親だ。子供が死んだのにもかかわらず、出張で葬式に行かない? ……でも、その出張先で、少しでも、子供を想う気持ちがあったのなら。
「それは、悲しかったね」
--- < ……うん。でも、この学校を|彷徨《さまよ》ってるときに、優しそうな子が目に入ったの。それが、君、|仲城《なかじょう》君だよ > ---
「え、ぼく!?」
--- < そうっ! ちょっとちょっかいかけてみるとね、いい感じに反応してくれて、それに、わたしのことが見えるんだもん。これは、運命だよ! > ---
運命、か。
--- < ……あのね、仲城君。だから、わたし、ずっと言いたいことがあるの。今、言いたいの > ---
……なんだろう?
--- < 出会った時から、君のことが好きでした! わたしとっ、つつっ、付っ ---
--- 付き合ってください!!! ---
「~~~~っ!?!?」
え? え? なに? こ、こくはく???
「ぼ、ぼぼぼぼぼ、ぼくでよかったら、よ、よろしく、お、おね、お願いしま……す」
--- < ……! やった! 嬉しい! ありがとう……! これからも、よろしくお願いします! > ---
そういう彼女の顔は、とってもきれいで可愛くて、向日葵のようにあかるくて、でもどこか儚げな笑顔を浮かべていた。
ぼくは、彼女の手を取ろうとする。が、透けて、僕らの手が行き違う。
僕らは目を合わせる。
--- ――彼女の名は、向日葵だった―― ---
---
ぼくは、大学生になった。今までに、彼女ができたことはない。なぜなら、僕には、見えない彼女がいるから。
「向日葵……」
ぼくは、未だにあの時のことを忘れられなかったけど、なぜか、顔だけがイマイチはっきりと浮かばない。
ぼくは、どこかで聞いたことがある。死んでしまった人は、大事な人に忘れられてしまった時こそ、本当の死だ、と。そんなような言葉が、僕の脳内に鳴り響く。
まだ、ぼくは忘れていない。
あの彼女の笑った顔を。
でも、いずれぼくはあの笑顔を忘れてしまう。
そして今、忘れかけている。
もしも忘れてしまったのなら。
そのときは、そのときは、僕と君で、幸せに暮らそう。
---
ぼくも彼女も、死んでいる。
あとがきです。
時間を、ください。
あまりにも時間がないもので……。
一人にしないで。
私なんて、どうせいらない子なんだよ。
生まれた瞬間から死んだ後まで。
わたしなんかに好きな人なんて、好きになってくれる人なんているわけない。
私が冷たい床で寝ていると、足元に重いものがのしかかってきた。
ミシミシミシミシ。
私は足が痛くなる。まるで足が折れ……いや、切断されたかのように。
とんでもない激痛が私を襲う。
「邪魔」
母親だった。
私は母親に踏まれた。
あぁ、通りで……。
骨が折れたかもしれない。これで一か月は歩けないかな。
こんなことにももう慣れた。
母親は毎日、寝ては食って、寝ては食っての繰り返しで太っていくばかり。父親はなんか仕事で帰って来ないし。
ほんと、父親は、再婚する相手を間違えたみたいだ。こんなデブで私を機械のように扱うこんな女、母親じゃない。
本当の母親は、もっと――。
「ねぇ、飯はまだ?」
……は? 足踏んでおいて何様のつもり?
私、動けないんですけど。|貴方《あなた》の|所為《せい》で。
再婚してから一年が経とうとしている。毎日こんな調子じゃ、私が死んでしまう。
まだこんなのが続くの? もう、うんざりだよ。
なんでこんな母親と再婚したの?
神様、なんで私は愛されないの。
「……しょうがない。外で食うか。待ってろよ」
あぁ。たぶん、深夜まで帰ってこないだろう。デブ専のホストにでも通ってんのかな。そして、私は動けないからご飯が作れない。
空腹の印にお腹が鳴る。
何か食べたい……。
そう思った瞬間――。
「「 お邪魔します!! すぐ出ますから、家に入れてください!! 」」
一人の元気の良い、いかにも親に愛されていそうな少年が家に入ってきた。
なぜか。
「……ってあれ? 誰もいないのか?」
いいえ、ここに私がいます。ちょうど足を骨折して動けません。立とうとすると足に激痛が走るので無理です。
足音がこちらに近づいてくるのがわかる。
「うわ!」
彼は私を見つけたようだ。
「だだだ、大丈夫!?」
心配してくれている、の?
しばらく外に出ていない所為で顔色が悪く、話していない所為で声が出ない。
「話せ、ないの?」
私はただ頷くことしかできなかった。
この人は、母親と違って、私を人間としてみてくれている。本当の母親は、こうなのかな……? もう、顔も声もどんな人だったのかも忘れちゃったよ。
「立てる?」
そう言って彼は私の手を持って起き上がらせてくれた。不思議と、折れた足は痛まなかった。
こんな風にやさしくされたのっていつぶりだっけ。
忘れかけていたやさしさに、なぜか涙が出てくる。
「あ……ありが……と、う」
私はかすれながらも『ありがとう』を口にする。
「っ! ……どういたしましてっ」
そう彼は言うと眩しい笑顔を見せつけた。まるで住む世界が私とは違う。明るい世界。
いつか私も行ってみたいな。その世界に。
---
彼は、私を背負って病院に向かった。
医者に診てもらうと、私の両足は骨折していて、全治するには二ヶ月ほどかかるらしい。私は入院することとなった。
ついでに、私が私を診てみると、謎の病気が見つかった。
私は、彼の笑顔を見ると、胸が熱くなるという、一生治りそうもない病気にかかってしまったみたい。
胸がきゅんと締め付けられるような、なんとも不思議な気分になる。
彼の名は、|青松春太《あおまつしゅんた》と言うそうだ。あだ名は、彼のイニシャルを取ってアオハル。
私は、ついそんなことを言ってしまったことを思い出した。毎日彼が見舞いに来てくれるから、あだ名をつけてみたのに、私のほうが恥ずかしくなってしまった。
アオハルだなんて、私にはとっても遠いことのように思えた。
私に恋愛なんて百年早いと思っていた。
---
彼と出会ってから一年が過ぎた。
春太は「君の家の環境は最悪だ」とか言って、私は彼の家に住まわせてもらえることになった。
春太の母親も、なんか「私に娘ができたみたいで嬉しいわ!」みたいなことを言っていたし。まぁ、いいんじゃねって思う。
この家は、私を必要としてくれている。毎日母親の分までご飯を作らなくてもいいし足を踏まれたりも、髪の毛を引っ張られたりもしない。
この環境が、『当たり前』だったんだ。
私が、部屋で一人SNSを見ていた時、春太が部屋に入ってきた。
「あの、伝えたいことがあってね」
「……何? 伝えたいことって」
私は、ずっと春太と話す練習をしたから、なめらかに話すことができるようになった。
「あのね、ぼく、君のことが、好きでした! よっ良ければ、僕と付き合って、もらえ……ません、か?」
いつもは元気はつらつとしている彼だけど、恥ずかしいのか、最後のほうは、ほとんど聞き取れないほどに声のボリュームが小さくなっていった。
「……っ!」
私の答えはもちろん、
--- 「いいよ」 ---
だ。
ああああ。
きゅんとしましたか?
できなかった人は、もう一回読んで、きゅんとチャレンジしてください。
皆さんは、僕にどのような小説を求めているのでしょう?
意見がある人は、《りくえすと!》をつけて、コメント? ファンレター送ってください(コメこなかったらどうしよ)
これからも、いろいろ頑張らないとなー。
なんか、最後の部分、急じゃなかったですか?大丈夫でした?変じゃなかったですか?「あとで読み返すと変だ!」って思うときって、ありますよね~(;´・ω・)ハハハ……