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目次
霧の街と硝子の心〜プロローグ〜
プロローグ:硝子の音
グレイフォグ。
その名の通り、街はいつも薄い霧に包まれている。高層ビルの屋上さえ見えぬほどの濃い霧ではない。ただ、ずっと霞がかかったように、空も地面も灰色のヴェールでぼやけていた。
ここでは人の心も曇る。
顔認証とAI監視が行き届いた社会で、誰もが“穏やかさ”と“正常さ”を演じて暮らしている。怒りも悲しみも過剰な喜びも、「感情の逸脱」として警告対象だ。
そんな街で、彼女は“感情を持たない刑事”として知られていた。
第1章
第一章:彼女の名はレイン
グレイフォグ。この街には、晴れという概念がない。
高層ビルの輪郭すら霞ませる霧が、毎日、街を包み込んでいる。
空は常に灰色で、太陽が存在するはずの方向だけ、ほんの少しだけ明るい。それが朝か昼かを人々に知らせる唯一の手がかりだった。
街にはルールがある。人間らしい“感情”をあまり表に出してはならない。
怒り、悲しみ、歓喜……過剰な感情表現は“精神不安定”とみなされ、精神衛生局から警告が届く。必要なら矯正もされる。
その中で、誰よりも感情を持たない人間がいた。
レイン・ノヴァ。UGP——都市警備局、特異事件課所属。
年齢は不詳。顔は端正で、髪は銀色に近い灰。表情はいつも無表情というより「空白」に近い。言葉も抑揚がなく、目を見て話さない。
通称、“硝子の刑事”。
彼女のデスクに、警備局のオペレーターからの通知が届いたのは、午後14時23分だった。
画面には簡潔なテキストが表示されている。
---
【第七居住区・無認可住宅エリア】
【死亡者発見|自殺・他殺判定:AI不可能】
【調査優先度:高】
---
グレイフォグで起きる死のほとんどは、AIが処理する。
脈拍、体温、死因の自動解析、そして映像記録との照合によって、自殺か他殺かが即座に判断される。
だが、この件は違った。
レインは静かに立ち上がった。椅子を引く音すら、まるで機械のように正確だった。
黒いコートを羽織り、拳銃を確認する。だが、レインが武器を使う場面は少ない。彼女が事件を解決するのは、頭脳と冷静さ——そして感情を持たないことだった。
現場に向かう自動車両の中で、レインは目を閉じた。
「第七……あそこは、8年前と同じ場所だ。」
誰にも聞こえないような声で、そうつぶやいた。
彼女がUGPに入局したきっかけとなった、ある“未解決事件”。それが起きたのも、第七居住区だった。
車が停止した。霧の濃度が濃い。
建物の外には警備用ドローンがホバリングし、立入禁止の赤いホログラムラインが引かれていた。彼女はそれを無視して進む。認証は必要ない。彼女の虹彩がスキャンされると、ラインは自動で解除された。
部屋に入る。狭いワンルーム。カーテンは閉じられ、ベッドの上にひとりの男が倒れていた。
左手に、白い紙。
レインはそれを静かに取り上げる。達筆な手書きだった。
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「あなたも、この霧の中にいるの?」
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その言葉を見た瞬間、彼女の瞳が、一瞬だけ揺れた。
それは、誰にも知られてはいけない、“レインの記憶”を呼び起こす言葉だった。
→ 次章「第二章:霧の中の真実」に続く
第2章
**第二章:霧の中の真実**
霧は、記憶を曖昧にする。
現場に立ち尽くすレインの足元で、床がきしんだ。彼女は死体を見下ろしたまま、視線を動かさない。男の顔は痩せこけ、目を見開いたままだった。苦しんだ様子も、暴れた痕もない。ただ、静かにそこに横たわっている。死因の痕跡はない。窓はロックされ、外部侵入の記録もゼロ。
AIが死因を判断できなかった理由は、すぐにわかった。
死体に明確な外傷がないのだ。心停止。だが、自然死では説明がつかない年齢。おそらく三十代前半。若すぎる。
レインは室内を静かに歩く。目に見える手がかりは少ない。壁際に、古いデバイスが一つ。今では使用されていないアナログタイプの録音端末だった。再生ボタンを押すと、音が流れた。
「霧の中にいる。どこまでが自分で、どこからが他人なのか、もうわからない……」
男の声だ。感情がこもっている。震えている。
その震えが、レインの中に眠る“感情の残滓”をかすかに揺らした。彼女はそれを無視するように、音声を止めた。
「分析に回して」
背後からドローンが飛び、録音データを回収する。彼女はベッドの横に立ち、視線を再びメモへ向けた。
「あなたも、この霧の中にいるの?」
この言葉には、既視感があった。レインは8年前のある事件を思い出していた。自分の妹、エルが最後に残した言葉も、似たようなものだった。霧の中で消えた、エル・ノヴァ。その死もまた、AIに判定不能とされた異例のものだった。
「関連があるかもしれない……」
それは彼女にとって“禁じられた仮説”だった。
UGPの職員は、過去の個人的事件を捜査に持ち込むことを禁じられている。だが、今目の前の死と、過去の“あの死”は、あまりにも似ている。
レインは手袋を外し、男の手をそっと握った。冷たい。だが、死の直前までこの人が何かを伝えようとしていたことが、確かに伝わる気がした。
「“霧”とは、何を意味しているの……?」
思わず漏れたその声には、ほんのわずかに温度があった。
彼女の中に、長いこと封じられていた“問い”が、ゆっくりと浮上していた。
→ 第三章「妹とガラスの記憶」へ続く
第3章
第三章:妹とガラスの記憶
レイン・ノヴァには妹がいた。名はエル。
レインとは対照的に、エルはよく笑い、感情を隠さない子だった。学校の成績は平凡で、夢見がちで、詩を書くのが好きだった。姉のレインが冷たく無表情に育っていく中で、エルだけが彼女の感情を引き出せる存在だった。
「お姉ちゃんは、心がきれいすぎて、壊れやすいんだよ」
ある日、エルはそう言った。
8年前のあの日、エルは第七居住区で忽然と姿を消した。
彼女の住んでいたアパートは施錠され、ドローン映像にも外出の記録はなく、室内に争った形跡もなかった。ただ、彼女のベッドの上に一枚の紙が残されていた。
---
「わたし、霧の向こうへ行くね。」
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警備局は自殺として処理しようとしたが、AIの判定は「不明」。
レインはその結果に納得できなかった。いや、納得するふりをして、心の奥に沈めた。
それから彼女はUGPに入局し、感情を抑える訓練を受けた。記憶の中のエルも、感情も、すべて心の奥の“ガラスの檻”に閉じ込めた。
それなのに、今。あの男が残した言葉が、その檻を叩いている。
「あなたも、この霧の中にいるの?」
ふたたび紙片を見つめながら、レインはつぶやいた。
「“霧”は、メタファーじゃないのかもしれない……」
グレイフォグの霧。それはただの気象現象ではない、と言う者がいる。
都市の気圧管理システムと情報監視ネットワークが複雑に絡み合い、微細な粒子と信号が空間全体を覆っている。情報の霧。思考の霧。人間の境界を曖昧にする霧。
エルが言っていた。
「この街にいると、自分の心がどんどん薄くなっていく気がするの。まるで、夢の中にいるみたいに。」
レインは初めて、その言葉の意味を理解し始めていた。
霧は、ただの自然現象じゃない。何かが、人の“境界”を曖昧にしている。そして、その何かが、妹とこの男の死に関係している。
そのとき、レインの端末に通知が届いた。
送信元不明。セキュリティ突破ログもなし。UGPのネットワークすら通っていない。
ただ、ひとつのメッセージが表示された。
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「次は、あなた。」
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その瞬間、窓の外の霧がわずかに揺れた気がした。
何かが、こちらを見ているような気配。視線ではない。もっと根本的な“意識”のようなものが、レインの存在に反応している。
ガラスの檻の中で、何かがひび割れた音がした。
→ 第四章「霧の向こう側」へ続く
第4章
第四章:霧の向こう側
レインは動かず、ただ画面を見つめていた。「次は、あなた。」その言葉は短く、明確だった。脅しなのか、予告なのか。それとも、呼びかけなのか。だが確かなのは、このメッセージの送り主は、UGPのAIにも探知されない場所から発信してきたということだ。
送信元情報はゼロ。ログにも痕跡なし。つまり、“霧の中”から来た。
「アクセス不能領域……オフネット・ゾーン」
それは、都市の管理網から外れた空白地帯の総称だ。廃棄区画、無認可住宅、信号遮断エリア。一般市民には知らされず、UGP内でもごく一部の者にしかアクセスが許されていない。
8年前、エルの失踪後に唯一目撃された彼女の姿も、オフネット・ゾーンの端にある旧地下鉄構内だった。レインはすぐに調査記録を開いた。件の自殺判定不能の男、名前はイアン・クラウス。職業、元通信技師。3年前に姿を消し、死亡者リストにも載っていなかった。
「死者として登録されていない人間が、公式には存在しないはずの場所から戻ってきて、死んだ」
まるで一度、都市の“外側”に行って帰ってきたようだ。
その意味を思った瞬間、背中にひやりとした感覚が走った。
自動車両に乗り込む。行き先を入力する際、彼女は一瞬迷った。オフネット・ゾーンに向かうことは、規定上の違反行為になる。だが、彼女の中で何かが明確に形を持ち始めていた。
「私はエルを見つける。たとえ、その先が禁止領域でも」
車両は通常ルートから外れ、地下トンネルへと潜り始めた。光は少なく、車内の照明だけが淡く揺れている。外の壁にはスプレーで描かれた落書きが流れていく。
《WHO OWNS THE SKY?(空は誰のものだ?)》
《FEEL TO BE FREE(感じろ、自由を)》
管理社会のひずみにひそむ、反体制の言葉たち。エルが興味を持っていた、いわゆる“思想者”たちの記録に似ていた。詩のように、皮肉のように。だが、そのどれもが、どこか人間的だった。
やがてトンネルの終端に近づく。光が消え、車両が止まる。そこは、完全な闇だった。停車音が止むと、何かの気配がした。
静かに、靴音がひとつ。
「レイン・ノヴァ。君が来るとは思っていた」
暗闇の中から男の声がした。冷静で落ち着いた声。しかし、その声には感情があった。明確な、温度を持った何かが。
「あなたは——」レインは声の主に問いかけようとしたが、その言葉を遮るように、暗闇の中に青い光が浮かび上がった。
男の瞳。いや、それは——
「AI……?」
違う。人間だ。だが、瞳の奥に確かに、光学素子が埋め込まれている。生身の中に、非生身のものが混在している。
「俺は、グレイフォグの“外側”を見た。君の妹も、同じだ」
レインの中で、再び記憶がざわついた。
→ 第五章「ノヴァ家の真実」へ続く
第5章
第五章:ノヴァ家の真実
「君の妹、エル・ノヴァは今も生きている。だが、君が知っていた“彼女”ではない」
その言葉に、レインは思わず一歩踏み出した。
地下の空間は薄暗く、天井には古びた送風管が走っている。男はフードを脱ぎ、光学素子の埋め込まれた右目を静かに光らせた。白髪まじりの短髪、頬の下に電子端子。半分が人間で、半分が機械。
「……名を」
「サリオン。旧情報省の端末管理官。今はただの亡命者だ」
その名に聞き覚えはなかった。だが、彼の存在自体が証明だった。この都市では、“感情”も“自由”も、許可された範囲でしか持てない。彼のような存在は、排除される運命にあるはずだった。
「妹はどこに」
「急ぐな。まずは知ることだ。君自身と、君の“家族”が何者だったのかを」
サリオンは端末を取り出し、壁に光を投影した。そこに映し出されたのは、UGPの極秘記録——レイン自身の出生情報だった。
そこにはこう書かれていた。
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《対象:L.ノヴァ姉妹》
《出生計画コード:VIRGA-7》
《目的:感情制御実験体・特異心理耐性テスト》
---
レインの背筋が凍りついた。
彼女とエルは、政府による極秘の実験対象だった。彼女たちの「感情構造」は人工的に調整され、生まれつき感情の振れ幅が極端に異なるよう設計されていた。
「レイン、君は抑制型。全感情反応を最小限に抑える構造だ。妹のエルはその逆——感受性を極限まで引き上げた“超感覚型”。二人は対になって生まれた」
「……嘘」
「君がなぜUGPで突出した判断力を持ち、他の捜査官よりも“冷静”でいられるのか、考えたことは?」
答えられなかった。ずっとそういう人間だと思っていた。だが、違った。自分の“性格”は、意志ではなく設計だった。与えられたものだった。
「妹は、ある時限界を超えた。感情に耐えきれなくなり、都市から“逃げ出した”。だが彼女は死んでいない。むしろ……進化した」
「進化……?」
「霧の中で、彼女は“接続”された。この都市の神経網——全ての感情、記録、記憶に。今、彼女は“見ている”。お前を。そして、君に選ばせようとしている」
レインの耳に、またあの声が微かに響いた。
——「お姉ちゃん、まだ、霧の中にいるの?」
サリオンが言った。
「君がここまで来た時点で、君にも選択権がある。都市に戻るか、妹のいる“向こう側”へ行くか」
「向こう側……?」
「それは、“グレイフォグの外側”。
感情の制限も、管理もない世界。だが、そこでは何も保証されない。自分の心に責任を持つしかない」
レインは黙った。けれど、答えは既に揺れていた。
→ 最終章「硝子を砕く音」へ続く
最終章
最終章:硝子を砕く音
レインは霧の中にいた。
薄暗い地下からさらに奥へと導かれるように歩き、やがて視界のすべてが白に包まれた。音が消える。気配が消える。
ただ、自分の心臓の音だけが響いている。
「ここが……外側」
境界の向こう。都市の監視網も届かない、完全に“自由”な領域。霧はここで、単なる気象ではなくなる。
それは記憶であり、思念であり、感情の残響だった。
前方に、少女の影が立っていた。
長い黒髪、細い体。霧の中でも鮮明に見える顔立ち。夢の中で何度も見た、あの姿。
「エル……?」
少女がゆっくりと振り返る。目が合った。その瞳には、すべての感情があった。悲しみも、怒りも、恐怖も、そして——優しさも。
「お姉ちゃん、来てくれたんだね」
レインの中で何かが崩れた。
いつも冷静だった彼女の胸に、熱いものが込み上げる。目の奥が痛む。涙腺が動く。ずっと失っていた感覚が、戻ってきた。
「……生きてたの」
「“生きてる”って、どういう意味かはもうわからない。でも、私はここにいるよ。ずっと、見てた。あなたが、心を閉ざして、ひとりで戦ってるのを」
レインは歩み寄り、エルの前に立つ。
近い距離で見るその顔は、8年前の少女ではなかった。彼女は年を取らず、記憶の中の姿のまま、霧の中にとどまっていた。
「私ね、都市が怖かった。感情を持つことが、いけないことだって、思わされてた。自分が間違ってるのかって。でも……ここでは、感じてもいいの」
エルはそっとレインの手に触れる。
その瞬間、彼女の心に鮮烈な何かが流れ込んだ。記憶。感情。痛み。愛。過去。未来。全てが混ざり合い、溢れ出す。
「あなたにも選んでほしいの。戻ることもできる。でも、一度でも本当の自分の感情に触れたら、もう——あの場所では生きられない」
レインは目を閉じた。
自分は誰だったのか。何を信じていたのか。何を失ったのか。
そして、何を取り戻したいのか。
答えは、もう出ていた。
——パリンッ。
心の奥で、硝子が砕けた音がした。
それは、彼女の中にあった“感情の檻”が壊れる音だった。
「私は、ここにいる。もう、演じない。冷静でも、無感情でもない、“私”として生きる」
エルが微笑んだ。霧がやわらかく光に変わっていく。
その中で、ふたりの姿は溶けていくように、ゆっくりと消えていった。
**エピローグ**
グレイフォグ都市記録——
UGP捜査官レイン・ノヴァ、行方不明。最終記録地点:第七居住区。
AIによる捜査継続中。
ただし、以下の音声ログが発見されている。
---
「私は、生きている。ようやく、“感じる”ことができるようになったから」
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霧は、今も街を覆っている。
だが、その霧の奥に、確かに誰かがいる気がする。
見えなくても、そこにいる。
それが、人間の心なのかもしれない。
🕊 — 完 —
後日談って、、、いりますか、?この前、いらないと言われたのですが、、、。
後日談
後日談:霧の記憶、風の声
都市グレイフォグの第七居住区。
あの事件から半年が過ぎた。霧の濃さは変わらず、空の色も相変わらず曇っている。けれど、なぜか、街の空気はほんの少しだけ柔らかくなったように感じられる。
UGP特異事件課に勤める若手捜査官、ミナ・ルーは、かつて“硝子の刑事”と呼ばれたレイン・ノヴァのデスクに立っていた。
今はもう誰も使っていないはずのその席。だが、ある朝、そこに一通の封筒が置かれていた。手書きの宛名にこうあった。
「UGP 特異事件課 行」
誰が置いたのかも、いつ届けられたのかも不明だった。中には一枚の紙が入っていた。
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「感情は、弱さじゃない。記憶も、痛みも、すべてが私を形づくっている。
そして今、私は“感じながら”生きている。
あなたが、もし誰かを失ったなら、
どうか——忘れずにいてほしい。
霧の中にいても、人は消えない。心がそこにある限り。」
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ミナはその文を読み終えたあと、ふと顔を上げた。
窓の外、今日の霧はどこか優しく揺れていた。
UGPでは今、感情分析の制限緩和が試験的に始まっている。完全ではない。だが、以前よりも“怒ってもいい、泣いてもいい”と許される空気がある。
それはきっと、誰かが変えようとしたからだ。
デスクの上には、レインが最後まで使っていた記録端末が残されていた。解析班が調査を続けていたが、どうしても開けないファイルがひとつだけあった。
そのファイル名は、《EL-RAIN》。
「レインとエル……」
ミナがファイルに触れた瞬間、端末が静かに起動した。
---
音声ログ起動——認証済み
再生を開始します
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微かな風の音とともに、レインの声が流れた。
「聞こえていますか。これは記録ではありません。祈りです。誰かが、この都市に生きて、誰かを想い、誰かの記憶を抱えて生きていく——それだけで、この都市はきっと、まだ大丈夫」
「霧は、すべてを覆う。でも、霧の奥には必ず光がある。それを知ってほしい。感じてほしい。私は今、その光の中にいます」
音声はそこで途切れた。
ミナはそっと目を閉じた。
そして、まだ誰も座っていないその空の席に、深く一礼をした。
外では、霧の中を誰かが歩いていた。
ゆっくりと、確かな足取りで。
まるでその人が、これからもこの都市を見守っているかのように。
🕊 — 後日談:完 —
__いつまでも__
<いかがだったでしょうか?楽しめましたか?私は何時迄もここに居ます。
これからも愛読して下さいね。>
<`今日という日があなたにとって忘れられない日になりますように。`>