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目次
日常。
目が覚めた。
だから私は、体をゆっくりと起こした。適当に引かれた布団を片付けて、私はベランダ、外へ出た。
朝の優しい|淡黄蘗《うすきはだ》色の光が私を包んだ。私が思っていたより数倍、朝の光が気持ちよかった。
数十分後に私はベランダから家の中へと戻って、私は風呂へと向かった。
--- * ---
私は体を伸ばしてから、服に着替えた。そして、私は用事があり、家を後にした。
クラクサナリデビ様。
NOVEL CAKEで投稿してたやつをここで投稿する&リメイクです。
数十日が経った。
いつも通りの生活だ。いつも通り、悠々自適に生きている。だから孤独だけれど、何も寂しいと思わなかった。
2本の腕で、食料の入った茶色の紙袋を抱えていた。買い出しを終えて、帰ろうとしていた時のことだ。
背後から何か人の気配を感じていた。
今日だけではない、ここ数日間だ。怖くはない、私の方が力があるから。
振り返ると危険に晒される可能性もあるが、私は、好奇心で後ろを振り返った。
そこには、|この国の草神《クラクサナリデビ》の姿があった。
--- * ---
「お邪魔するわね」
クラクサナリデビ様に、椅子に座ってください、と命令して私は紅茶を淹れに行った。
正直、失礼するなら帰って欲しいが、そのようなことを神に口出すわけにはいかない。
これは私がいつも嗜んている、高級茶葉を使った素晴らしく美味しい紅茶だ。基本的に渋い風味の中に甘く爽やかな風味も混じっている、いかにも珍しい紅茶である。
二人分の紅茶を淹れたカップを持って、それと共に私はクラクサナリデビ様の元へと向かった。そして、私はクラクサナリデビ様と対面になるように椅子に座った。
「何の用ですか、クラクサナリデビ様」
紅茶を口に運ぶ手を止めて、クラクサナリデビ様の瞳を見ると、クラクサナリデビ様の表情はふふっとでも言うように私に笑いかけた。
「スメールの神として、貴方のことを少し知ろうと思っていたのよ。その|私《わたくし》の決意は、梟のように執念深かったはずよ」
「今。こうやって話せることを、私はとても嬉しく感じるわ」
クラクサナリデビ様は、紅茶の注がれたカップを口まで運んだ。
相も変わらぬ、良くわからない例えだ。
「そうですか」
私は返事を返した。そう言うと、クラクサナリデビ様はカップを置いて、口を開いた。
「貴方はあまり人間と話していないでしょう?貴方にも、人間にも、沢山素晴らしいところがあるのだから、少し話してほしいと思ったのよ」
クラクサナリデビ様は私にまた笑いかけた。
「人嫌いでして」
私はまた、紅茶を口に運んで少し啜った。そう言うと、クラクサナリデビ様は疑問を浮かべたような顔をした。
「あら?そうなのね。でも、大切なのはそこじゃないわ、人に会って欲しいのよ。人ゆえの儚さ、美しさもあるのよ」
クラクサナリデビ様はすぐに話題を変えて、また話かけてくる。
「そこで、是非、旅人とパイモンという人物にあって欲しいの。あの子たちは、人の魅力を引き出す力があるわ」
クラクサナリデビ様は、また笑いかけた。そして、紅茶を2つの手のひらで掴みながら、話を続けた。
「今度、誘ってもいいかしら?」
「……はい」
クラクサナリデビ様の依頼を断るなど、スメール国民にとってタブーであるのだろう。
私は、渋々、頭を縦に振った。
「ふふふっ、ありがとう。旅人が来た時には、貴方の家を一緒に訪れるわね」
そんな言葉と飲み終わった紅茶を淹れていたカップを残して、クラクサナリデビ様は去ってしまった。さて、どうしたものか。
旅人。
クラクサナリデビ様が私の家に訪れて、数日が過ぎた。
ドアを優しくノックする音がして、私はそれに対応し、ドアを開けた。
そこには、クラクサナリデビ様と1人の少女が立ち、1人の幼女が飛んでいた。
「パイモン、旅人、この人が#名前#よ。仲良くしてあげて頂戴ね」
「それじゃあ仲良くお願いね。旅人、パイモン、#名前#」
と言って、クラクサナリデビ様は旅人とパイモンという人物たちを強引に私の家に押し込んで、ドアを閉めた。すると金髪の少女は私の服装をまじまじと見つめて
「その服しかないの?モラがないの?貸そうか?」
と言った。
私のこの服は綺麗とは言えない、というか|草臥《くたび》れていて汚いからだろう。
「……モラはあるから大丈夫」
ポケットの中からモラを取り出そうとする金髪の少女。初対面の相手にそう聞くのは失礼に値するのではないか、と思ったが、なぜ初対面の相手にそこまでするのか、とその考え以上に不思議になるが私は断った。
「お邪魔します〜!」
「お邪魔します」
二人の声が重なった。そして、二人はリビングに向かっていった。
二人より先行していた私はリビングへとつながるドアを開いた。
そして、金髪の少女を椅子に座るよう指示をして、私は紅茶の入ったティーポットと、カップを2つ持っていった。
「オイラの分はないのか?」
空を飛ぶ幼女は不思議そうに首を傾げて、そう尋ねた。
「子供向けの味ではないから」
私は、ポットからカップへ紅茶注ぎながら、静かにそう発した。
その幼女は一般的に見たら、年齢的には子供じゃないのだろうが、私の方が遥かに年上である。そして、その顔で幼女と名乗るべきであろう。金髪の少女も同じことである。
「パイモンは少し私のを分けてあげるよ」
「おう!ありがとな!」
空を飛ぶ幼女はそんなことで機嫌が治ったようで、金髪の少女に向けて笑顔を作った。
「こっちだけで話してて、ごめんね」
「ナヒーダから聞いたんだけど、貴方が#名前#であってる?」
金髪の少女は空を飛ぶ幼女から目線を逸らし、私に目線を向けた。
そして、金髪の少女は私に向かって首を傾げた。
「私は、#名前#」
クラクサナリデビ様のことをナヒーダと呼んでいるのに少し困惑しているが、スメールを救った英雄さんである、当然か。
「貴方たちの名前は?」
私は紅茶を口に運びながらそう発した。やはり、この紅茶は最高だ。
「私は蛍。私たちは様々な国を旅してる旅人なんだ。好きに呼んでね」
「こっちはパイモン」
そして、空を飛ぶ幼女を手で指して私に向かってそう言った。蛍は笑いかけていた。
「ナヒーダから#名前#と仲良くしてあげて欲しい、って言われてるんだけど花神誕祭までここに泊まって行っても良いかな」
「どちらでも」
私は、紅茶を飲み込んだ後、蛍に向かってそう言った。
「うふふっ、ありがとう」
彼女は愛想よく、そう返事をした。
「………話は変わるんだけど#名前#はエルフなの?」
数分後、過ごした沈黙が流れた後、その空気を切るように蛍は話し始めた。蛍は恐らく、私の耳を見て判断したのだろう。
「そうだよ」
私は再度、紅茶を口まで運んで飲み込んだ。
「はえー!お前エルフなのか!」
「なぁなぁ!何年生きたんだ?エルフって長生きするんだろ?」
パイモンが急に興奮し出した様子で、私に向かってそう言った。気になる話だけ、突っかかってくるのはやめてほしい。
「もう何年生きたか覚えてない」
私は嫌だったが、その質問に答えた。
「………そうか…」
そう答えると、パイモンは露骨に残念がりながら下を向いた。
蛍とパイモンとこれからやっていける気がしない。あぁ、これからどうなってしまうのだろうか。
レンジャー。
ちなみに私はこういうエルフが人に関わって変わっていく物語は大好きです。
そしてこの小説は葬送のフリーレンに大いに影響を受けています。
夢主の名前はカタカナ推奨です。
「ナヒーダには、#名前#と仲良くして、私は先に行動してって言われたんだけど」
「私、ガンダルヴァー村で会いたい人が居るんだけど、会いに行ってもいいかな?」
そんな蛍の一言でガンダルヴァー村を訪れた。そこは思っていたより、大分緑が多い自然の中の村だった。
蛍もパイモンも、コレイ、ティナリという人に会いたいらしく、私たちはゆっくりとガンダルヴァー村を歩いていった。私でも、ティナリという人物の名は聞いたことがある。
「ティナリ…?」
雑談や一人で考え事をしながら道を歩いていたとき、隣を通った獣の耳が生えた青年。その青年に対して、蛍は振り返りそう言葉をかけた。
「ん?旅人とパイモン!……と、どちら様?」
この人がティナリだろうか。
蛍が振り返ったことに続いてパイモン、私、そしてティナリも振り返り、お互いを見つめ合った。
「久しぶりだな!ティナリ!」
パイモンはその状況を理解し、満面の笑みで手を振りながら、ティナリに近付きながらそう言葉を放った。
「とりあえず、ティナリ久しぶり。元気そうでなによりだよ」
蛍も嬉しそうに、両手を腰に置いて胸を張り、満面の笑みになってティナリに近付いていた。
「旅人、パイモン、久しぶりだね!元気そうでなによりだよ!」
それに対してティナリは、旅人とパイモンの方を見て、笑いかけながらそう言った。
「それで、この子は#名前#。私の友人で、見て分かる通りエルフなんだよ」
蛍は私の方を一度、振り返ってから、何故か自慢げにティナリにそう紹介した。
「#名前#、呼び捨てでいいかな?はじめまして。アビディアの森所属のレンジャー長、ティナリだ」
「よろしくね」
ティナリはどこか楽しそうに抑揚をつけながら、私に対して、そう自己紹介した。蛍と会えて嬉しいのだろうか。
「#名前#、よろしく」
私もそれに対して、あっさりとした内容で私のことを紹介した。名前だけだが、どうせ忘れる彼だ。名前以上の情報を教えても意味などない。
「で、君たちの用はコレイかな?」
ティナリは耳を少し触る仕草を見せながら、そう言った。
「うん、今からあっても大丈夫?」
旅人がそういうと、ティナリは何処か自慢げに笑いかけながら、「着いてきて」と私達に言葉をかけた。
そして、私達を案内してくれた。
友人。
私たちは、ティナリに連れられて、蛍が用のある人、コレイという名の人が居るという建物の前に着いた。
半円アーチ型の出入り口を潜って、蛍、パイモンが部屋の中へと入った。
「よぉ!コレイ!久しぶりだな!元気してたか?」
そんなパイモンの言葉から会話が始まっていた。
--- * ---
3人が部屋の中で話しているその一方、アーチ型の出入り口の外で、私とティナリが対話をしていた。
「#名前#でいいんだよね?君は エルフなんだよね」
「僕は少し恥ずかしながら、エルフのことはあまり知らなくて…少しでもいいから教えくれないかい?」
ティナリという名は、聞いたことがある。相当有名の博識と有名なレンジャー長か何かだった、筈だ。
その人物が知識のことで恥ずかしがるなんてたまげたことだ。謙虚ぶるにも程がある。
私はそんなことを思いながら、ティナリの方を見て口を開いた。
「構わない」
その回答に彼は安堵したかのように溜め息を漏らしながら、少し微笑んだ。
「#名前#、ありがとう」
そして、そう言葉を発した。
私と彼は話し始めた。
直後、ティナリは口を開いて私に向けて話し始めた。
「エルフというのは、最低でも10000歳以上、最長は永遠を生きる生物、耳以外は人間と変わりない、耳の形が独特、という特徴があることは知ってるんだけどね…」
ティナリは、そんな言葉を話した後、どこか照れくさそうに笑った。
全く、それが全てじゃないか。
私は心底呆れていた。人間のこういうところが嫌いだ。謙虚で教えて欲しい、なんて言うくせに、それを聞いてきた人間がそれに対して詳しい。マウントが取りたいだけの醜い生物だ。
謙虚で弱々しい態度、腹立たしい。
「#名前#は何年を生きるエルフなんだい?」
ティナリは耳をこちらに向けながら、真面目に聞いていた。そこまで真面目に聞くべき内容もないだろう、と思ったが、口に出すことではない。
「永遠。一生死ぬことのない体だよ」
私はティナリのそんな質問にそう答えを返した。
「おお、エルフ自体始めた見たけれど、寿命がないエルフだとはね」
ティナリは驚いた表情を浮かべ、その後、私に向けて優しく笑いかけた。
隣に立っていた彼は、私の少し前に歩んだ。彼の後ろに広がる空は黄金色、夕時のはずだが昼かのように太陽は燦々と私たちを照らしている。私と違って、空は広すぎる、空を見上げる度そう思う。
「そっか、寂しくはないの?」
ティナリは、首を傾げてそんな質問をした。私の寿命の事を聞いた皆がそんな質問をする。あの子だってそうだった。
「別に。そこまで」
私は目を合わせて、そう言葉を返した。
そんな私の返事で、私とティナリは話し終わり、蛍たちがその家から出てくるのを待っていた。
「ずっと一人だったのかい?」
黙っていたはずのティナリは唐突に口を開き、口を開かない私に話しかけた。
「…………まぁ」
私は曖昧な返事を返した。
私の事、ましてや私の過去の事を知られるのは拒絶したいも同然だ。
「僕や旅人と出会えたのは、クラクサナリデビ様のご恩かな」
ティナリは、笑いかけて私に対してそう言った。貴方や蛍のことなんて、どうせ忘れてしまうから関係ないのに、と喉元まで出ていたその言葉を抑えた。
--- * ---
数十分後、蛍とパイモンがその家から出てきた。
「#名前#、ティナリ、話は終わった?」
蛍は、出てきたすぐ後、そう私たちに話しかけた。
「うん、終わったよ。まだ居てもいいんだよ」
ティナリは蛍とパイモンに向かって、そんな優しい言葉を投げかけた。
「いいや、大丈夫。疲れさせちゃうと悪いし」
そんな言葉を残し、「じゃあね」なんて言葉を交わし合って、私たちはティナリ、コレイの元から去っていった。
お礼。
夢主ちゃんのお誕生日を決めてなかった。
今決めます。6月28日で。
「最近、生活面で#名前#に頼ってばっかだよね。だから、私たちでお礼を少ししたいんだよね」
「何か、やってほしいこととかある?」
蛍は茶菓子を口に運びながら、そう私に言葉を放った。
今日は、綺麗な木漏れ日が窓から溢れていた。その景色をこの瞳で見るだけで幸せに等しいと言えるが、やってほしいこと…と、お茶を淹れる手を動かしながら、頭を悩ませていた。
私自身も、彼女たちによく分からない感情を抱いていたのだ。
「特に」
私は、蛍とパイモンのいる場所へティーポットを運びながら、そう言葉を吐いた。
「………いや、なんでもない。じゃあ、巻物を見つけて」
私はさっきの言葉を取り消し、巻物を見つけてもらうことにした。その巻物とは、数千年前に存在していたものだ。
「巻物か?」
パイモンは頭を悩ませているのか、蛍と顔を合わせていた。
その様子を見た私は、口を開いて、その巻物の詳細を話し始めた。
その話を聞いた直後、パイモンはまるで全てを悟ったみたいに、私の目をまっすぐに見て口を開いた。
「聞いたことあるぜ!英雄が居たとかそんな感じだろ?」
「そう」
パイモンの言うことは、まさしくその通りだった。その昔、魔神戦争も大荒れの時代、スメールには英雄がいた、という噂がある。
「じゃあ、明日から探しに行こうか」
蛍は何故か満足気に私に笑いかけたあと、そう言葉を発した。
--- * ---
「その巻物ってどこにあるとか知ってる?」
目の前に立つ蛍は、金色の髪を揺らして悩んでいるような姿を見せた。
まだ太陽が真上にも昇らない朝9時のこと、私たちは外へ出て私が求めている巻物について探し始めたのだ。そんな早くに始めなくてもいいのに、と私は思う。
「…………さぁ、だいぶ前のものだし」
運が悪ければ、|璃月《リーユエ》やナタに行ってしまっている可能性すらある。
「………けれど、その絵巻を書いた人が暮らしていたところは知ってる」
私は、蛍とパイモンの目を真っ直ぐと見つめた。その直後、そう言葉を発した。
そうすると、蛍は少し笑いながら
「じゃ、案内してくれる?」
と私に言葉を投げかけた。
--- * ---
私たちはアルダラビ河谷にある、ヴィマラ村へと歩いてやってきた。
少し湿度が高い、この空気が懐かしい。
この賑やかだけれど、中心地から離れれば自然の音しかこの耳には留まらない。汚染されているわけではない青緑の水は、その水たちの水面に映る何処までも広がる空の青さ、植物固有の色すらもその青緑に変えてしまう川。
私は、この地形の自然が好きだ。
その自然の中に、人工的に造られたヴィマラ村の中を蛍とパイモンを連れて私は歩いていた。
「その人はシーヤ、という名前の古い知り合い。もう居ないけど」
そして、私は蛍とパイモンに話しかけた。その人、私の知り合いについて。
「元々、家があった場所は覚えているけど、今でもそこにあるかは知らない」
私は複数本の丸太で作られた坂を登りながら、その家であった場所に着いた。
そこには、見覚えのある光景はなくて新しい光景だった。新しい家が建っていたのだ。
時間が流れれば、当然色々なものが変わってしまう。
そうだ、心では理解しているのにその景色をこの目で見たら、良くわからないものに襲われた。
まるで、大切な何かをなくしてしまったみたい。
「……………無いみたいだね」
彼女はもう居ないくせに、私が無くしたくせに、「そこに居るかも」なんて甘い偶像でここを訪ねたのが間違いだった。
何故か、この光景を見る目の目頭は熱くなり、声は言葉の末尾に近づくほど震えていた。
悲しいという感情は知っているが、少し違うような、そんな気がする。
少なくとも、私はこの感情も表情も知らない。
「お前……」
パイモンはいつもの元気がなく、まるで私に対して情けをかけているみたいな態度だった。同情をかけないでほしい。
そして、私を人間のように扱うのは辞めてほしい。
「一回、この家に入れるか聞いてみない?」
後ろから歩いてきた蛍は、優しく私の肩に手を置いた。その口角はほんの少しだけ上がっていて、眉毛は少しだけ下がっていた。慈悲を与えてくれる仏のようなそんな表情だった。
すると蛍は直ぐに動いて、トントンと優しく戸を叩いた。
胃腸炎でGW体調ゴミだったんですぅごめんなさいぃ
CASE 143の2番目サビのファンヒョンジンが悶絶するほどかんわいいのでぜひ見てみてくれ。88番の服を着た髪が長めの真ん中の人です。
本物の英雄。
前に投稿してたストックは無くなりましたが、なんとか生きてます。プロットがあるので。
その家からは、20代前半ぐらいの若い女性が顔を扉から覗かせていた。
少しだけ金が混じった茶髪を適当に一つにまとめて、瞳は綺麗な|碧《あお》だった。
その人の方を見た私は、綺麗な人だ、と私は思った。その人は碧の瞳で旅人とパイモンを神でも見たような目で見つめた。
「旅人さんとパイモンさんですよね…?」
オドオドしていた話し方だが、その瞳の中や話し方はどこか嬉しそうで興奮していた。
「うん、そうだよ」
旅人はまるで英雄のような腰に手を置いた自信に満ち溢れたポーズをとりながら、嬉しそうにそう言葉を発した。
そして、それに続くようにパイモンも、
「おう!そうだぜ!」
と元気にとても明るく答えた。蛍と同じく自信に満ちた腕を組んだポーズを取った。
蛍とパイモンがそう言葉を発すると、その女性は柔らかな会心の笑みを浮かべた。
「うちは、仕立て屋ですが………服の仕立てですか?」
笑みのあとにでも、喜びの気持ちを抑えているのだろう。彼女は少し不安が混じったような表情に戻って、それに良く似合った声で私達にそう聞いた。
「ごめん、違うよ。絵巻物を探しているんだけど……見たことはない?」
そう言うと蛍は、その絵巻の詳細を簡単に説明し始めた。すると、彼女は何かを思い出したかのような表情を浮かべて、口を開いた。
「絵巻物………あなた方が探しているものかは分かりませんが、絵巻物は一つ所持しています。どうぞ、中へ」
そう快く私たちを迎え入れてくれた。
彼女はOpenと書かれたドアプレートを裏側にして、私たちを家へと誘導した。
--- * ---
その家の中には、男性用から女性用、子供用など様々な形のトルソーが綺麗に並べられていた。
そして、タンスが所狭しと並んでいた。
その中には様々な色や模様の布や飾り、ハサミなどが入っているのだろうと勝手に想像をする。
そして、私たちは彼女の指示で椅子に腰をかけた。背もたれがない、高めの椅子だった。
「こちらでしょうか?」
女性はそう言い、絵巻を少し広げて私たちに見せてくれた。そこには、探していた絵巻と同じ物が描かれていた。
「………これだ」
何一つ変わりない日常を過ごしていても偶に、昔のことを思い出す。
悲惨だった当時のスメールのことを。
「本当ですか?助けになってよかったです!求められているのならば、自由に受け取ってください!」
と言って、彼女は赤の他人である私にその絵巻物を差し出してくれた。彼女にも、この絵巻を手に入れるまでの物語があった筈なのに。
どれだけお人好しなのか、私は呆れるように心の奥底でそう呟いた。
「私たちは旅人だから、何か依頼を引き受けないと行けないの。それが、私たちの|性《さが》だから」
蛍は一旦断った。その後、神のような優しく温かい笑い方で笑いかけた。
「……………それでは、私が布を買っている方が居るのですが、最近、その布の素材を集めるために使っている場所に化け物が沢山居ると言っていたのです」
「その化け物を倒してくれませんか?」
彼女はまたオドオドとした話し方に戻って、私たちにそう尋ねた。そして、また口を開いた彼女は話し始めた。
「あと……その方に服を作ってもよろしいですか?」
腕と指を目で辿ると、その先には私が居た。