莉好菜さんとのリレー小説シリーズです。
奇数話はにしん、偶数話は莉好菜さんで公開します。よろしくお願いします🙇♀️
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目次
夜の学校で不思議な本を見つけたらどうする? 第一話
莉好菜さんとのリレー小説です😉
キャラ紹介は莉好菜さんの方をチェックだ
コツ、コツ、コツ、コツ…
夜の旧校舎に響き渡る足音は、より一層不安を引き立てていく。
「う〜、怖すぎる…やっぱり明日にすればよかった。」
薄暗い廊下で一人歩く少女ーーー久蘭々は、歩幅を小さくしてそう言った。
---
「今回は蒼海市の歴史を調べてレポートを書いてもらう。3、4人で組んでもらって、調べ方は自由だ。一週間後には提出だから遅れるなよ。じゃ、解散!」
「う〜ん…。歴史…歴史かぁ…。」
カッコつけて顎に手を当てて考える。この地の歴史が久蘭々の脳内に記憶されているはずもない。
「うーん、ザセツ!やっぱり調べないとダメかぁ〜、地元の人に聞くのも面倒だし…」
ふと、後ろに気配を感じる。
「く〜らら!レポートのこと考えてるの?」
昔から親友の智香だ。保育園の頃から今まで、ずっと学校が一緒だった友達。
「わぁ!……な〜んだ、智香かぁ。うん、課題後回しにするのも面倒だし…。この辺の歴史なんてそう簡単に調べられるものじゃないでしょ。」
「ふっふっふ〜。そう思ったでしょ!なんとすごい情報を持ってきたんだよ!」
怪しげな表情を浮かべて、智香はそう言う。前から智香は変な情報しか持ってこない。信用できるはずもなく…。
「なんとなんと!校舎の奥の方にある旧校舎は、昔の蒼海市の歴史が綿密に書かれた幻の本があるんだって〜!」
「え…。旧校舎は立ち入り禁止でしょ。それ、誰が行くの?」
「私最近塾づくめでさ〜!お願い!!久蘭々行ってきて!夜だったら忍び込みやすいから!」
「やだよ!?なんで私が…!智香が行けばいいでしょ!」
「塾づくめって言ったじゃん!お願い久蘭々!お願いお願いお願いお願い!!」
「いいように言いくるめられた気がする…。」
薄暗い夜の旧校舎で一人唸る。今更後悔してもしょうがない、と久蘭々は図書室に向かって行った。
「う〜ん、ないなぁ…。そもそもなんてタイトルの本なんだろ、早く帰りたい…」
無駄に開放的な部屋の上、窓が少ないので廊下より一層薄暗い。いつ幽霊が出てもおかしくない…久蘭々は青い顔をして、考えないようにしていたことを無理やり引っ込めた。
「やばい、我に返ってきた…。そもそも見つけてどうするの、もう帰ろう…。」
その時、ふと隣にあった分厚い本が目に入る。
「蒼海市歴史集………もしかして、これが幻の本!?」
その時ーーーー、図書室の入り口に、誰かの気配を感じた。
「え……。誰なの…?」
問いかけにその誰かは答えない。
「智香、だよね…?まさか、幽霊…じゃないよね?」
最悪の想像が頭によぎる。今すぐ逃げよう。そうだ逃げよう。右足が動くより先に、その誰かは声を上げた。
よく見ると、その誰かの正体は…
ーーーーーーーーーただの小さな少女だった。
「…はぁ…。あなた、だぁれ?ここは小さい子が入る場所じゃないわよ…。はぁ…。」
蒼海市は久蘭々たちの住む街という設定です。(あおうみし と読みます)
少女の「はぁ…」は口癖です。可愛いね
2話は莉好菜さんが出してくれます。楽しみですね😊
夜の学校で不思議な本を見つけたらどうする?第3話
代理人さんにしんです😌
リレー小説第3話出ました。
莉好菜さんの2話で登場した少女の弓鬱ちゃんが可愛すぎてきゃーってしてました。みんなも見てみて。
2話とキャラ紹介は莉好菜さんの方で出てます。
「えっと、ゆうちゃんは、何歳?」
少しの沈黙。どうしたんだろ…?
「私はーーー」
「ーーーー考えたことも、無かったわ。そもそも、今日が何月で、何日かも知らないもの…はぁ。」
この少女はーーーー、一体何者?いつから、ここにいるのだろうか。
「あなたーーーはぁ、名前は?」
「…え、麻莉奈久蘭々だけど…。」
少々の沈黙。少し気まずい。そもそも、こんないたいけな少女にじっと見つめられること事態が恥ずかしい。謎の状況に頭をフル回転させていると、少女ーーーゆうちゃんが口を開いた。
「久蘭々。あなた、この本を探しに来たのね…。読まない方がいいわ…、この街を出たくなるわよ…はぁ…。」
「ゆうちゃん…一体、何者なの?」
「…………そんなの、私が知りたい…。私は随分前から、ここから出られないの…。よく覚えてないけど…。はぁ…。」
「ここから出られないって…!じゃあ、ご飯は?お腹すいたりしないの?他の人に会ったり…!」
「しないわ。ていうか、大きな声出さないで…耳に響く…。はぁ。」
ゆうちゃんは一呼吸して続ける。
「ここは私の家…。ずっと昔に、私に用意された箱庭…楽園…悪くいうと、牢獄…かしら。はぁ…。」
なんでもないかのように喋るゆうちゃんは、どこか寂しそうに見えた。そりゃそうだ。こんな小さな少女が一人でずっとここにいるなんて…心が痛む。
「ゆうちゃんは、こんなところで一人で…寂しくないの?」
「……寂しくない…。今までここに迷い込んできた人は何人もいたもの…。でもみんな勝手に本を読んで、勝手に幻滅して、勝手に帰ってくの。忠告したのに。構ってくれることなんかなかったわ…。はぁ…。」
ーーーー確信した。私はこの少女のことを知らなきゃ行けない。この街の歴史を…知らなければ。
そんなことが、久蘭々の頭の中に流れ込んでくる。きっと…、この少女は………
「救われたい」と願っているに違いないのだから。
「ーーーーー行こう、ゆうちゃん。私と一緒に……外に、出よう!」
ちょっと雑ですえへ
4話は莉好菜さんが出してくれます😌
ファンレター待ってますほんとに。
夜の学校で不思議な本を見つけたらどうする?第5話
莉好菜さんとのリレー小説5話です。
4話は莉好菜さんの方から👉
いやぁ、面白くなってきたぜ。
「…わかったわよ…はぁ…さっさといくわよ…ついてきなさい…」
そういうと、ゆうちゃんはゆっくり歩き出した。
「…ここは…?」
目の中いっぱいに広がる緑色の植物。どうやら、温室のようだ。空は真っ暗なのに、どこからか電気がきていて明るい。
(旧校舎にこんなところがあったなんて…)
「ここは私のお気に入りの部屋よ…。植物を見ていると落ち着くの…。はぁ…。」
「…どうして、わざわざここに来たの?」
「……思い出したくないのよ、その記憶を…。」
そう言ってすぐそばの葉っぱを触るゆうちゃんは、今までで1番安らいだような顔をしていた。
ーーーー知ろう。そう決意を固めて、私は本を開いた。
昔々、の話だ。この地は自然に愛され、街全体が緑に包まれていた。街の人の心も温かく、和気あいあいとしていた。
だけど、いつまでも平和な日常が続くわけではなかった。普通の家庭に生まれた温厚な少女が、まるで悪魔に取り憑かれたかのように夜な夜な人を殺し、最後には豊かな自然に炎を放った。
たくさんの人が死に、たくさんの人が少女を恨んだ。そのあとすぐ、少女は人々に殺された。そして悪魔が宿るその体を封印という体で埋めたのだ。
ーーーーーー約120年前蒼海市で起きた、少女による大量虐殺事件。その末、首謀者の少女は殺害。少女の名はーーーーーー
ーーーーー莉瑠花 弓鬱。
「………この…本は……。」
声が震える。後ろのページに詳細に記された殺害法を見て、反射的に口を押さえた。
「どうして…こんな……!」
「……やっぱり…。耐えられるはずがないわ。私でさえ、受け止めたくない事実だもの…。はぁ…。」
温室の生暖かい風が頬を撫でる。その瞬間、久蘭々の脳内に矛盾が生まれた。
「…あれ…?じゃあ、あなたは…誰なの…?」
「…私が1番、知りたかったって言ったでしょ。でも、もう受け止めるしかないわね…。はぁ…。
私は弓鬱…。かつてこの地に封印された莉瑠花 弓鬱の怨念が、具現化した姿よ…。」
ぽつり、とゆうちゃんはそう言った。
展開進みすぎた…でも書くの楽しかったよ。
ちょっと短めかもです。
夜の学校で不思議な本を見つけたらどうする?第7話
遅れました!!すっかり夜です!!
6話は莉好菜さんの方をどぞ
そして、テーブルがあるところに来た。
「それじゃ、話すわ…
120年前と記されているけど…
あれは、私が生まれた約130年前から始まっていたの____」
「聖なる儀式ーアスタロト」
昔の人々は皆、神や天使という言葉を信じていた。「神に背いた堕天使」という存在も。
堕天使は神になりたかった。平等に人を愛し、その手で全てを掌握するのだ。
だが、実際に堕天使の寵愛を受けた人間たちは皆、人智を越える力を手にしてしまった。その力は制御できるものではなく、人々はこの力を抑えるために「聖なる儀式」を始めた。
寵愛を受けた少女たちは人柱となり、その命を持って力を鎮めるのだ。
そして長い時が過ぎ、堕天使の寵愛も減り、とうとう儀式も風化していった時だった。
約130年ぶりに「寵愛」によりこの地に埋められた、莉瑠花 弓鬱。
堕天使は、人の愛し方を知らなかった。
「…普通の、感情よ…。意図せずたくさんの人を殺し、自身さえも殺されるなんて。怒るに決まってるわ…。」
「ゆう、ちゃん……。」
呆気に取られて、つい口から声がこぼれる。
「最初に言ったわね…。ここは私にとっての牢獄。弓鬱の未練でできた私がここから出れば、この街も無事では済まないわ…。はぁ…。」
再び、ゆうちゃんは暗い顔に戻った。そうか。だからずっと、寂しい顔をしてたのか…。
出たくても出られない、自分が何者かもわからない。この苦しみから解放されることはない…。
「あなたも例外ではないわ、久蘭々…。私のことは構わなくていい。ただ、あなたにこのことを知ってもらいたかっただけ…。あなたは、もう帰りなさい。」
「……っどうして…!?せっかくここまであなたのことを知れたのに!嫌だよ、知らないふりなんてできない…。こんなに苦しんでるのに、あなたを一人になんてできないよ…。」
つい感情的になってしまった。それでも、見過ごせなかった。
「……ダメなの…。」
はっ、と顔をあげる。今まで聞いたことがなかった、大人っぽい彼女の小さな弱音。
「あなたは、私に干渉し過ぎたのよ…。もはや、私に取っての救いは…、ここから出ることじゃない…。はぁ…。」
「私という存在がこの世から消えること…他ないわ…。はぁ…。」
ちょっとファンタジー寄りになっちまいました。
めっちゃ書いちゃったけど楽しかったです!!
莉好菜さん、8話お願いします😌
夜の学校で不思議な本を見つけたらどうする?第9話
莉好菜さんとのリレー小説9話です。
もうすぐ10話で終盤も近いから頑張るぞ
私は、生まれ持っての、いや、『生まれる前』からの殺人鬼なのだから____。
「私が消えればもう、この街が危険に晒されることはないわ…。でも、そのトリガーが分からない。私には未練なんてものはないし…」
「…ちょ、ちょっと待って。どうして一人で勝手に話を進めてるの、ゆうちゃん…!」
何かを諦めたように窓の外を眺めるゆうちゃんの目から、完全に生気が失われていた。
たった一人の少女の命と、たくさんの一人の命。それらを天秤にかければ、結果は一目瞭然である。しかし、久蘭々にはその選択が取れなかった。
「他に方法を探したの…!?まだ、方法があるかも知れないし…!」
「違うのよ、久蘭々…。これは私の「願い」。全ての人にとって生きることが救いとは限らないでしょう?」
うっ、と口をつぐむ。
「死ぬことが…存在が消えることが、その人にとっての救いだということもある…。たまたま、私が後者だっただけよ…。はぁ…。」
久蘭々はそこまで物分かりが悪いわけじゃない。でも…。それでも。私がこの子に、やってあげられることはーーーーー。
ゆうちゃんの白い髪の毛がふわっとなびいて、夜明けの朝日に照らされる。小さな少女をきゅっと抱きしめて、久蘭々は涙をこぼした。
「ごめんね。何もしてあげられなくて…。ゆうちゃんが自分が消えることを望むのも私、わかるから。それでも、抱きしめてあげなきゃいけない気がしたんだ…。」
ゆうちゃんは、黙ってそれを聞いていた。微かに、啜り泣く声が聞こえた。
「ゆうちゃんのこと、私絶対忘れないよ。この街の歴史もゆうちゃんのことも、全部全部忘れないから。」
その瞬間、ゆうちゃんの体がパキ、と割れ始めた。そして次第に、ゆうちゃんは姿を消していく。
そうだった。未練なんてないと思ってたけど、本当はあったんだ。それが私の本当の願いだったんだ。
誰でもいい、他の誰かにーーーーーー
ーーーー優しく抱きしめて欲しかったんだ。
ゆうちゃんはこっちをみて微かに微笑みながら、静かに消えていった。
もうすぐ終わります…………
あとは後日談ですね。
夜の学校で不思議な本を見つけたらどうする?最終話
今日の分もう書いてたんですけど、莉好菜さんが早めに出してくれてテンション上がったので書きます。ほんまありがたい。最終話です。
ゆうちゃんのぶんまで、私が___
ザッ、ザッ、ザッ。
休日の午後、私はあの旧校舎にやってきた。
立ち入り禁止の看板を退けて、ボロボロの廊下を踏んで歩く。
来るのは2回目なのに、自然と行きたい場所への道を足が覚えていた。
鳥の鳴き声が聞こえる、中庭の温室。前に来た時とは違って日の光が差しているから、植物に光が当たって暖かい。それでいて、サーッと吹く風が涼しくて心地よい。
そばにあったジョウロに水を入れて、たくさんの植物に水をやる。隠し肥料に涙を添えて、全ての植物に水をやった。
行きたい場所は、ここだけじゃない。
コツ、コツ、コツと音を鳴らして、あの図書室へ向かう。あの本を見つけたら、またあの子に会えるかな。そんなことを考えながら一人廊下を歩く。
テーブルの上に乗った分厚い本を手に取って、埃をはらった。あの日のことを思い出して、またそっと涙をこぼした。
ふと、気配を感じて開きっぱなしの扉の方を見た。窓が開いていたから、風が入ったみたいだ。
もう、会えなくても。ぽつりと、頭のどこかでそう思った。何もないのに、じっと扉を見つめる。今もあの日の少女が、白い髪をなびかせてそこに立っている気が、して
終わっちゃいましたリレー小説。
莉好菜さんありがとうございました。
ここまで読んでくれた方もありがとう😊