主人公 : 天野あや
あやの姉 : 天野ゆい
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目次
優等生なんだから。(1)
「今日は、数学のテストを返す」
先生がそう言った瞬間、「うわあ~」という声が上がった。
そんなクラスメイトたちを見て、私は鼻で笑った。
どうせ、今回も100点よ。
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「天野あや」
「はい」
テストの点数は、もちろん100点。
“優等生”なんだから、100点は当然。
70点とか80点とか、そんな点数取りたくない。
いや、`取っちゃダメなんだから────`
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家に帰って、親にテストを見せる。
「また100点!?すごいじゃない。もっと頑張りなさいね」
「…うん」
私だって、遊びたいよ。
私だって、休みたいよ。
引き出しの中につまった「100点」「99点」のテストたち。
全部全部、私の努力のかたまりだ。
努力なんて、もうしたくない。
たまには遊びたいよ。
100点のテストをぐちゃぐちゃに丸めて、ゴミ箱へ捨てた。
「あや」
もういい。また勉強しなさいとか遊ぶなとか言ってくるんでしょ。
優等生なんだから。(2)
「あやー?入るよ」
入ってきたのは、姉のゆいだった。
ゆいは優しくて、頭がいい。
「あや、たまには休みなよ。ジュース持ってきたから飲みな」
「ありがとう」
ゆいは努力なんかしなくても、何でもできる。
私が優等生に《《なるように言われたのは》》、ゆいのせいだ。
ゆいのことは好きだ。でも、嫌いな部分もある。
「あやはさ。お母さんに勉強しろって毎日言われて、嫌じゃないの?」
「…嫌だけど。でも、嫌っていったら殴られるし」
「まあ、私からお母さんに交渉してみるよ。5分くらいは休んだら?」
そう言って、ゆいは部屋を出ていった。
「ねえ、お母さん。あやに少しは休ませたらどうなの?」
「そうねぇ。ゆいが言うなら…」
私はそのことをこっそり聞いていた。
ゆい、ありがとう…
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「あや、1週間は宿題以外の勉強しなくてもいいよって。」
「ほんと?」
そして私は、`1週間だけ`勉強をしなくてもいいことになった。