編集者:カタワレ
重犯罪者は必ず行方不明になる。ある者は死刑になった後誰にも知らせなかったと言い、ある者は異世界で罰を受けていると言う。
しかし、とある奇妙な運送会社の噂が蔓延る。
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目次
第一依頼:原初の宝物
私は、気がつくと尋問部屋のような場所にいた。
「目を覚ましたか?」
目の前にいる黒いサングラスを掛けた男は、拙い日本語でそう言う。「私は…何か言ってましたか?」男は私の頬をつねる。
痛かった。
「契約書にサインしろ。そうすればお前は死なずに済む。よく考えろ。」契約書について考えながらも、私は誰なのか、名前は何なのか、誕生日はいつなのか…様々な個人情報を失っている。
私は、男に差し出されたペンから、まるで前世で経験していたのを思い出したかのように不器用に芯を出し、こう書いた。
「|吹不《ふ び》|蘭汽《きつね》」
男は後ろのドアを開き、こう告げた。
「お前は新たな運転手だ。精一杯償え。」
ガタン。
そう音を立て、ドアは閉じた。
「よお、お前が新入りか?」私服の男性はそう言い、近づく。
キツネ「誰でしょうか、貴方は…」「ああ、俺はこの会社の古参だ。まあ、気軽に|陽堕《ひだまり》と読んでくれ。」キツネ「ええっと…陽堕さん、私は何をすれば良いんですか?」陽「はっはっは。まあそうなるだろうな。こっちに来い。」
ついて行くと、そこには一台の汚れたトラックがあった。陽「お前はここ、運送会社のギャンブラーの集いの場の、社員だ。」なんでいきなりそうなるのか。陽「まあ、とりあえず不純物は処理しといたからさ。早速依頼も来てたことだし、あとはお前1人でやってくれ。」キツネ「え?あ?はい?1人、えちょ」陽堕は、鋭い閃光を放ち消えていた。
混乱しつつもトラックに乗り込むと、中は車中泊できるぐらいのスペースはあったが、一番気になるのはショットガンやら血痕やら、謎のハンドルがある機械があることだ。とりあえずハンドルを握る。その瞬間、手に鋭い痛みが走る。なんとか我慢しつつも、頭の中に何かが浮かんでいるのに気がついた。
*「依頼だ。原初の宝物を私の家へ送ってくれ。」*
家とか知らない、と思っていたら、詳しい住所とマップが頭の中で展開された。
そして、そこへ行くルートも。
「⬛︎⬛︎66号」
これ一つだけだったのだ。
第一依頼:原初の宝物-2
⬛︎⬛︎66号を通る。私は誰なのか、私の過去さえも忘れていると言うのに、何故こんなにも既視感があるのだろう。
そう考えていたら、突然車内のサイレンが鳴り響いた。驚きハンドルから手を離すと、「自動運転モード」と文字が頭の中に刻まれる。窓を見ると、そこには大きい手でトラックに張り付き、ひたすらに歯を剥き出しにして笑っている目の無い宵闇の怪物が在った。
先程からこいつが手でトラックを叩き、揺らしている。
ショットガンを初めて手に取った。
手に取ったはずだと言うのに、罪悪感も後悔も、何も感じない。
ショットガンを怪物に向けてもそうだった。いや、むしろこちらのほうが正しいのだろうか。引き金は右手の人差し指を少し手前に動かせば引ける。ただ、私は躊躇せずー
バアアァァッァアン!!
怪物が怯んだ。それだけは確かだが、怪物を剥がした訳では無い。私は急いで何か対処法が記された物が無いかと探す。引き出しをひたすらに漁っていると、変な感触があった。
滑らかな光沢を持った木の玩具に触れたような。
それを直感で取り出す。
それは、
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「緊急事態だ!今すぐこの施設の中に居る者は避難しろ!出入り口を封鎖する!」切羽詰まったアナウンスがそう告げる。
時は刻まれ、何が起きようともパラドックスなど起こせぬものだ。
「時はサイコパスであり、時は残酷であり、時は無慈悲なのだ。」
殺した下劣な下衆どもの血でなぞる。
私は何も考えず、思いついたものを描いた。
単眼で人を食す怪物、割れない怪物の風船、
罪人。
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目が覚めると、怪物は居なくなっていると感じれた。しかし、私は引き出しの前に倒れていた。トラックがオウトツのある地面を走る度に鳴り成る、微量の衝撃を感じれた。
刹那、それは止まった。“お届け物”と文字がある段ボールを両手で持ち、外へ出る。
そこには、一つの廃墟があった。人の気配はしなかったが、中から白髪の者が出てくる。顔は笑顔だが、目を閉じている所為か、幾分か不気味に見える。
そいつは無言で私に一礼を交わし、段ボールを受け取った。
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「自動運転モード」
この7文字が私が最初に好きになったものだ。
しかし、尋問室以前から好きだったような気がした。
台所を見ると、カレーを作るのには十分な材料があった。
数十分後
机の上に、カレーを置く。やはりおかしい。私はどうかしている。
尋問室で目覚め、そこから一気に変な運送会社に就職させられ、そして意味のわからないバケモノと付き合わされて…しかも尋問室以前の記憶が全く無い。ただ、既視感が出てくる所が度々ある…しかしよくわからないのは当然だ。この段階では…
考察と拒絶の追いかけっこを頭の中で繰り広げる内に、現実を少し見た。
目の前に老人が座っている。
老人「お前が新入りなのか?俺のトラックを頼まれたのか、`ハズレ`だな。」キ「誰ですか?私は今までの記憶が無くて…」老人「このカレー美味そうだな、あんたが作ったのか?」キ「えっと…そうです…下手ですが…」老人「ほぉう…過程でも充分という言葉を囁かれたことが無いのか。」キ「とりあえずd」老人「そっちがいきなり問うてきたんだからそっちが先攻だろう?」キ「えっとまあ…キツネって呼んでください」老人「ほうほう、キツネねえ…俺はシベリアンハスキー…いや、アカとでも呼んでくれ。」キ「はい??アカって何ですか?」老人「歴史の勉強はしたか?そういうゾーンの名称だ。」キ「えっと…はい?」老人「まあいい、俺はそろそろ次の人生に移りそうだ。最期に美味えカレーが食えてよかったよ。」キ「すみません、アカさん、それは輪廻転生ということですか?」老人「ほお、宗教には詳しいのだな」キ「聞いたことがあるだけですが…」老人「とりあえず、俺は来世で必ずシベリアンハスキーになってやるぞ。そしてお前がいたらお前のとこ行ってやるよ。ここでは`お前がこのふざけた会社に入れられた理由`を明かすほどの時間が無いからな。」
そう言うと、老人は消えており、老人が座っていた椅子には、粘土でできた`鎌と槌`があった。
私は、それを見ると嫌悪感が湧いたが、引き出しにしまった。
特大大ヒーント!
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